No.0205
はじめに…
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いきなりじゃが、わしはシューティングゲーム(STG)というものが下手でのう。
昔からそんなにSTGをゲームセンターなどで遊んだり、家庭用作品をわざわざ購入したりはしなかったんじゃ。じゃが一部例外もあっての、「ドラゴンスピリット」や「ファンタジーゾーン」なんかは、こんなわしでも下手なりに好んでよく遊んだものじゃ。
それは何故かと言うとじゃな、作品が持つ独特の世界観やBGMの良さに心ひかれたというのが大きな理由じゃ。STG以外の普段遊ばないようなジャンルでも、そういう作品には手を出してしまうという傾向がわしにはあるようじゃ。勿論、最低限ゲームとしての出来が”まとも”なものに限られるがの。
そして今回紹介する作品も、同じ理由で当時購入して遊んだゲームなんじゃ。PCエンジンのオリジナルタイトルでは、珍しく気に入っていたSTGでの。”ある作品”に似ているというのも気に入ってた理由じゃな。

では中に入るが良い。射手の塔 FLOOR 19 じゃ!
サイバーコアとは?

「サイバーコア」は、「IQパニック」、「ワールドビーチバレー」などのPCエンジン作品を発売した「IGS」が、1990年に発売したPCエンジン用縦スクロールSTGで、1991年にはX68000版が「SPS」より発売されている。PCエンジン版、X68000版ともに開発は、PCエンジン版「イースI・II」などを手がけた「アルファ・システム」である。
100年に及ぶ探査飛行を終えて帰ってきた探索隊が見たものは、巨大化した昆虫に支配された地球の姿だった。バイオモンスターと化した昆虫(ハイパーインセクト)たちを倒すため、外宇宙の超生命体「キマイラ」と合体した主人公は、”メタモルフォーゼ”能力を武器に人類最後の戦いに挑む。(※マニュアルより抜粋)
本作は、宇宙から帰還したら人類が昆虫によって絶滅させられていた、という超絶望的なところから始まるストーリーと、ゲーム中に出てくる敵の殆どが”巨大な昆虫”で、主人公はその昆虫の力を吸収して戦うという無視嫌いにも絶望的な世界観が、非常に特徴的な作品であった。
また当時X68000に移植される作品はアーケードかPCからの移植というのが定番だったのだが、本作はPCエンジンからX68000に移植されるという珍しいケースであり、PCエンジンオリジナルタイトルでX68000に移植された作品としては、他にPCエンジン版「ボンバーマン」や「パワーリーグ」くらいしか思いつかない。それほど異色な異色作でもあった。
メタモルフォーゼ?

本作は縦スクロールSTGであり、ゲームシステムは残機制の特殊耐久度制。自機が被弾すると耐久度が減っていき、耐久度0の状態でさらに被弾すると1ミス、残機が0になるとゲームオーバーとなる。構成は全8ステージで、各ステージ最後にいるボスを倒すとクリア。最終ステージのラスボスを撃破することでエンディングとなる。
自機(サイバーコア)には対空ショットと対地ショット、2種類の攻撃手段があり、これを使い分けて空中、または地上の敵を倒していく。また攻撃手段ではないが、自機のスピードをいつでも三段階に変更することも可能である。自機はステージ中に登場するアイテムを運んでくる虫(アイテムキャリアー)を撃ち、吐き出させた色がついた玉(メタモルフォーゼアイテム)を取ることでパワーアップ(メタモルフォーゼ)する。
メタモルフォーゼアイテムには赤/青/黄/緑の4種類の色があり、第一段階(サイバーコア)でアイテムを取ることによりその種類に自機が変態し第二段階(幼虫モード)となる。さらに同じ種類のアイテムを取り続ける事で、自機は第三段階(成虫モード)、第四段階(特殊モード)まで成長し、攻撃力は更に上がる(ただし成長すると自機のサイズも大きくなるため被弾しやすくなる)。

メタモルフォーゼアイテムによる形態には、色によるモチーフとショットの特徴に違いがあり、まず赤色は蝶がモチーフの「スウォローテイル」形態で、成長すると幅の広いリップルレーザーを撃てるようになる。黄色は蜂がモチーフの「ホーネット」形態、成長すると前方に貫通力の高い貫通弾が撃てる様になる。青色はカブト虫がモチーフの「ビートル」形態、成長すると3WAY>5WAYと広範囲のショットになる。
最後の緑色はカマキリがモチーフの「マンティス」形態、これはショットはノーマルに近い貧弱なものだが自機の周りを回転するように鎌が飛び、バリアのように敵や弾を打ち消してくれる。ちなみに各形態とも成長により、対地ショットもパワーアップするが基本的にシングル>ダブル>トリプルと変化し、形態による大きな違いはない。
本作ではとにかく広範囲から敵が押し寄せてくるため、こちらも出来るだけ幅広い攻撃手段で迎撃したい。そう考えると赤か青の形態が便利だろう。またどの形態でも真横や後方には弾が撃てない為、周囲を鎌が飛び回る緑形態は横から後方への迎撃手段として頼もしいという面もある。
突然変異?

本作のパワーアップには、ひとつ”裏ワザ”的なものが存在する。それは、初期状態(サイバーコア)で、赤黄緑3種類のショットを同時に撃てるようになるというもので、マニュアルには記載されていないパワーアップであった。ただしその状態になるには、パワーアップアイテムを
緑>緑>黄>赤
という順番に取り、その状態で一度被弾する。という非常に特殊な手順を踏まなければならない。
しかし当たり判定的に最小の初期状態で、3種類の強力なショットが撃てるというのは魅力的であるため試してみる価値はあると言えるだろう。ただし、自機そのものは最弱の状態であるため1回の被弾でミスになるうえ、他のパワーアップアイテムを取ってしまうと元に戻ってしまうことに注意が必要である。
KEY POINT!

本作を遊んだことがある人の多くは、恐らく本作があの名作STG「ドラゴンスピリット(ナムコ/1987年)」を意識したのでは?と思ったのではないだろうか。システム面も似ているが、特に本作のパワーアップする毎に攻撃力範囲が広がるものの、自機が大きくなり当たり判定がキツくなるというのはドラゴンスピリットの代表的な特徴である。
また記事の最初に”特殊耐久値制”という説明をしたが、これは第二段階以降パワーアップした状態で被弾してもミスにはならず、1段階前の状態に弱体化するだけというもので、これもドラゴンスピリットの代表的な特徴といえる。
しかし本作ではパワーアップによる耐久値の増加に加え、それとは別の”シールド”という耐久値も用意されており、第一形態からパワーアップアイテムを取って成長するごとに、シールドが1つ加算される。シールドは最大で3つまで増え、被弾した際はシールドから減っていくため、弱体化しにくい仕様になっている。
また先述したスピードを自由に切り替えられる、パワーアップも自分で選択できるという仕様のほか、敵が基本的に”昆虫”であることや、ステージの舞台が現代(ビル郡などもある)であったりというところでドラゴンスピリットとは差別化が図られている。あとエンディングに可愛い女の子も登場しない。
ちなみに、特定のパワーアップ後に自機が被弾で突然変異するというのは、「ダーウィン4078(データイースト/1986年)」を思わせるところがあるが、こちらはゲームシステム的にまったく別なものなので余り関係はないかもしれない。
難易度的には

ところで本作の難易度はどんなものなのだろうか?
主な敵の吐き出す通常弾は、スピードが遅いのでかわしやすいのだが、その分長く画面に残るため自機の行動範囲が狭められやすい。そこに加えてヤケに追尾性能の高い大量の雑魚が体当たり狙ってくるという場面が多い。敵の弾も真下に高速連射されるもの、自機の位置を狙ってくるもの、しつこく追尾してくるものなどが画面内で入り乱れるので、何を最優先して倒すかの見極めが難しいように思う。
しかし、最初から自機のショットが連写機能付きであったり、自由なスピードの切り替えが可能である事、アイテムキャリアーは続けて攻撃すれば何個もアイテムを落とすのでパワーアップしやすい事、当たり判定のある地形が存在しない事、初見殺しな攻撃や出現パターンを把握しないと対応できないようなケースが少ない事などから、難易度は低めと言えるだろう。
さらに一般的なアーケードSTGと比べると1ステージが比較的短い事、コンティニューが無限に可能である事なども合わせてSTG初心者向けの作品であるともいえる(ただしそれでもステージ7と8は、玄人も躓くレベルだそうだが)。
サウンドと隠しモード

※この画像のみPCエンジン版
本作を語る上で、BGMについて忘れてはいけないだろう。というのも、本作のBGMはどれも良曲ばかりでBGMを聞いているだけでも楽しめるくらいなレベルなのだ。他のジャンルでもそうだが、特にSTGではスタートボタンを押してステージが始まったときに流れる最初のBGMは、個人的にプレイヤーのハートを強く掴むものであって欲しいと思っている。
本作のステージ1のBGMはまさにそれであり、昆虫に支配された地球を取り戻すための反撃の開始、というシチュエーションを強く感じさせる高揚感のある曲でプレイヤーのハートを掴んでくる。またステージ3のBGMも、敵の猛攻に疲労してきた主人公を再び奮起させるかのような高いテンションと、どこか哀愁を感じさせる良曲でファンも多い。
やはり製作側もBGMには自信があったのだろうか、本作には隠しモードが存在し、その中に全てのBGMを聞くことが出来る「サウンドモード」も存在した(画面の女の子もとても可愛いくて良い)。ちなみにこの隠しモードを使用するとゲーム画面が縦長になる「縦画面モード」で遊ぶことも出来、これは当時の家庭用ゲームでは非常に珍しい機能であった。
ところでX68000版にこのモードは見当たらないのだが、だれか知らないだろうか?
昆虫達に支配されているという絶望感

どうじゃったかの?
どうじゃったかの?地球が”交渉”も”意思疎通”も不可能な昆虫達に支配されている、という絶望感が半端無いうえに、虫達のグラフィックがやたら気持ち悪く、特に3面のボスである巨大なハエは本体だけでも十分気持ち悪いのに、体を震わせて周囲に蛆虫を撒き散らすところなどは、リアルで想像したら卒倒しそうなほど気持ち悪いものじゃった。
そして、だからこそわしも当時この作品に引き込まれてしまったのじゃろう(あとドラスピに似ておったのも理由じゃがw)。また自機のデザインは前述したように様々な虫をモチーフにしてるのだが、こちらはリアルな虫ではなく、メカと虫がバランスよく融合されたデザインになっており、純粋にかっこいいものじゃった。
ところで今回わしはX68000版を初めてプレイしたのじゃが、最初まともに1面もクリアできんかった。当時はそれでも3面くらいまでやりこまずとも行けたはずなんじゃが…。なのでその理由を探すためPCエンジン版とX68000版の仕様をちょっと比較してみたんじゃ。
するとX68000版はスピード切り替えが無い(常にPCエンジン版の一番遅い状態)、アイテムを落とす敵の無敵判定が妙に長くなかなかアイテムを落とさない、またパワーアップ時にシールドが増えない、といった違いがあっての、これのお陰でPCエンジン版では簡単になれた第四形態になることが非常に難しく、仮になれても維持することも難しかったんじゃ。
最初は「こんなのグラフィックを向上させただけの劣化移植じゃろ?」と憤慨したんじゃが、恐らくこれは劣化移植などではなく、難易度を上げた上級者向け移植作品なんじゃろとも思った。なんせPCエンジンはSTG下手なわしが「遊びやすい」と思うような作品じゃったからの、STG上級者にはもの足りんかったのじゃろう。
そんなわけで本作は、知名度はやや低いがなかなかの名作シューティングじゃと思うので皆にも遊んでみて欲しいのう。もし腕に自信があるんじゃったら、X68000版にも挑んでみてほしい。X68000版は現在、ProjectEGGにて発売中じゃからの。
本作のエンディング最後の「The End」の演出は、なかなかに必見の価値ありじゃぞ?
ところで…

これウシアブ(ナウシカ)かの?
まあそんなこといったら、ステージ1のボスはほとんどアレじゃがw
≫EXIT
お疲れ様でした!

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コメント
懐かしい。PCエンジン版もってたわ
なんとか最終面まではいけたけど、高速で突っ込んでくる雑魚がよけられず挫折した
友人に貸したら、翌日、「なんか気持ち悪くて遊ぶ気しない」と、すぐに返却w
いま冷静に見ると、確かにグロいよね
>ナツトさん
おお、この作品を覚えていてくれた人がいて嬉しいw
>なんか気持ち悪くて遊ぶ気しない
それがいいんじゃないか!と思ってしまいますが、虫が苦手な人にはちょっと辛いゲームですからね。仕方が無い…。
↑のサウンドテストの少女のドットを打った人間です。
可愛いと言っていただけて、嬉しいやら恥ずかしいやらでございます。
なお、自分はX68k版には参加していないので、サウンドモードの有無は覚えておりません。
>ぱりだかのりひこさん
おお、まさかのグラフィッカーさんが!
この子は当時も勿論ですが、今見てもいい意味で時代を感じさせる可愛いさがありますよ。そして虫だらけの本作における、唯一のオアシスですw
アルファシステム制作でしたか。
元キャリーラボの制作スタッフの方々が独立された会社でしたね。ちゃっくんぽっぷの移植や、昆虫繋がりの98版ギャプラスの移植をされたHaHi(長谷川)さん(アルファシステムではイースI・Ⅱ担当)は、元同業の自分が一番尊敬するプログラマーの一人です。