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『デゼニランド』AVG史に残る動詞「ATTACH」を生み出した作品

賢者の塔 59F/No.0188

発売年:1983年
開発元:ハドソン
ジャンル:コマンド入力式AVG
発売機種:PC88、PC98、PC6001mkII、X1、FM-7、MZ-1500、MSXなど
※画像はすべてPC88版です

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「デゼニランド」とは

そういえば、昨年「東京ディズニーランド」は30周年だったそうですね。私は田舎から上京してきてもう20年経つのですが、実はいまだに一度もディズニーランド系にはいった事がありません。大きな理由は私が人混みが大の苦手だからでして、その昔付き合っていた女性とUSJができたばかりの頃に大阪で遊んだときも、超話題のUSJへは行かず史跡を巡っていたくらいでしたからw

さて、今回紹介する作品「デゼニランド」は、その「東京ディズニーランド」が1983年に開園したときに制作会社である「ハドソン」の社員達で遊びに行き、それをきっかけにして製作され同年に発売された作品なのだそうで、従って内容もそのへんを「強く」意識したアドベンチャーゲームになっていました。
あ、ということは、このデゼニランドも昨年30周年だったということですね…(遠い目

本作は当時のAVGの中でもかなりボリュームがあり、内容もしっかり作られていました。この当時のハドソンは作品を出してもあまりヒットしなかったそうですが、本作がそれまでの作品の5倍も売れるヒット作品となったため、以後本作に習い、質を重視した作品をつくるようになり、それにより1984年の「サラダの国のトマト姫」や1986年の本作の続編となる「デゼニワールド」などの名作AVGが誕生したわけです。

ストーリーとシステム

千葉に作られた巨大な遊園地に対抗するため、埼玉県知事は埼玉の大地主「三月伸一」を暗殺してその土地を手に入れ、そこに「デゼニランド」を建設した。その後知事は、その土地から三月家の秘宝「三月磨臼(みつきまうす)」を見つけ出しデゼニランドのどこかに隠したのだが、その直後に自身も暗殺されてしまう。

プレイヤーはその噂を聞いた主人公となり、デゼニランドのどこかに隠されている「三月磨臼」を探し出すのが目的です。

本作はコマンド入力式のアドベンチャーゲームとなっており、実行する動詞+対象の名詞をキーボードから入力しコマンドを実行させながらゲームを進行していきます。ただしコマンドは全て英語での入力に限られているため、例えばチケットを買いたい場合は「BUY TICKET」というように入力する必要があります。

名詞については、画面に表示されるメッセージの中に重要なものは英単語で表示されることが多いため、それほど苦労はしないのですが、実行する動詞については自分で考えるしかありません。自分で考えたコマンドを英訳するために、小中学生のプレイヤーにとっては和英辞典が必須でしたね。

そしてこの英語のある「動詞」が、当時多くのプレイヤーを悩ませることになりました。※それについては後述

アレを強く意識したアトラクションが…

さてデゼニランドに入り込んだ主人公は早速園内の様々なアトラクション施設を探索し「三月磨臼」を探し始めるのですが(とはいえ、入り込むだけでも結構難儀するんですけどねw)、最初に触れたようにこのデゼニランドは、東京ディズニーランドを強く意識した作品であるために、アトラクションの名前も「それっぽく」なっていました。

例えば「カリブ」ではなく「瀬戸内海の海賊」というアトラクションがあったり、「ジャングル・クローズ(クルーズではないw)」とか、「ホラマンション」、「スペースリバー」など、東京ディズニーランドを強く意識した、あくまで強く意識したアトラクションがありました。しかしそれらは単に「一発ネタ」という存在ではなく、ちゃんとアトラクションをプレイヤーが体験しているような作りになっていたのは面白いと思います。

しかし遊園地のアトラクションなのに、中に本物のライオンがいてそいつを殺さないといけなかったり、行動を間違うと毒蛇に噛まれて死んでしまったり、飛んでいる蝙蝠を捕まえてその生き血を搾り出すとか、
そんな体験はさせてもらわなくても結構なのですけどねw
これ普通の客も危ないだろうに…。

AVG史に残る動詞「ATTACH」

ところで、本作のゲーム難易度についてなのですが、全体的に見れば「マイルド」といえるかもしれません。というのも、ちょっと引っかかりそうな場面では「LOOK」コマンドを実行することによって、「○○を××できるかもしれない」というようなヒントっぽいメッセージが表示されるからです(例えば、「マストの上に登れるかもしれない」など)。

しかし何箇所か、なかなか行うべき行動が思いつかない場所もあります。例えば行き止まりの何も無い部屋で、隠し通路を見つけるために「壁に聖書を投げつける」なんて発想は簡単には思いつかないでしょう。しかし、本作でもっともプレイヤーを悩ませたのはゲーム史上にも残るのではないかというコマンド「ATTACH」の存在ではないでしょうか?

ゲーム中のある場面にて、十字のくぼみがある「棺おけ」を発見するのですが、ここまでの道中で「十字架」を見つけているプレイヤーならばそのくぼみに十字架をセットすればいいと容易に思いつくんです。が、しかし、その十字架を棺おけにセットするコマンドの動詞がわからない!普通ならば「PUT CROSS」でOKだと思うんですよね、だってこの場面にくる途中で同じような仕掛けがあって、そこは「PUT」でいけるんですから。
ところが反応しない!

結論から言えばここで「ATTACH CROSS」を実行すればOKなんですが、当時それを思いつける人が少なく、あまりに難解だということで後で移植された機種ではヒントが表示されるようになったそうです。思うに、このATTACHについてはハドソン側も苦しめようとして用意したものではなく、別回答としての「PUT」を用意し忘れただけなんじゃないかな?とも思えるんですよね。別の場所の同じような仕掛けでは「PUT」でも「ATTACH」でも実行できましたから。

《最後に》筆者が生まれて初めて見たAVG

さて本作は、前述したように「LOOK」することによって行動のヒントになるメッセージがちゃんと用意されていたり、コマンドを何も入力せずにリターンキーを押すことで過去に表示されたメッセージが見れるようになっていたり、また一画面に何箇所か入れる場所がある場合に扉を色分けすることで色指定で入る部屋を決められたりなど、いろいろなところで丁寧に作られているというのが解り、この丁寧さが翌年の「サラダの国のトマト姫」にも受け継がれているのが実感できます。

ちなみに余談ですが、本作は恐らく私が生まれて初めて「見た」AVGなのではないかと思います(初めて自分で買ってプレイしたのは「ABYSSII 帝王の涙」ですが)。同じ部活だった友人がMSXを持っていて、部活の後でそれを見せてもらいに行き、そのとき友人がプレイしていたのがこの「デゼニランド」だったのです(確かテープでした、しかも線画のみで色なし)。

そのときはそれが「デゼニランド」という作品だとは知らず、友人が画面になにやら大きなロッカーが描かれている場所で、片手に英和辞書を持ちながら、片手の人差し指でたどたどしく英語を入力しては「これじゃない…」とか呟いているのを後ろから見ていて、ぶっちゃけ
これの何が面白いんだろう?と思ってしまいましたw
もちろん後に本格的にパソコンゲームに興味を持ち始めて、本作、そしてAVGの楽しさにも気づくのですが。

そんなわけで、この「デゼニランド」は個人的にも非常に記憶に残っている作品なのです。
みなさんは、この作品遊んだことはありますか?

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コメント

  1. 匿名 より:

    懐かしいな〜
    ATTACHとPOLISHはデゼニランドを語る上で必ず思い出す単語だわww

  2. ソンゴスキー@れとろげ より:

    >名無しさん
    > ATTACHとPOLISHはデゼニランドを語る上で必ず思い出す単語だわww
    POLISHは、最後の「柱」でしたかね?
    中々思いつくものではないですなw

  3. rr より:

    当時小学校低学年だった俺には難解なゲームだったなぁ

  4. ソンゴスキー@れとろげ より:

    >rrさん
    このころ小学生ということは、私と年齢があまり変わらないでしょうねw
    コマンド入力が英語のみというのも、やはり小学生にはハードルが高かった…

  5. bg* より:

    アタッチ族なんていう言葉まで生まれましたよね。私はサラトマしかやっていないのですが、当時の雑誌記事などで、強烈に印象に残っているゲームです。

  6. ソンゴスキー@れとろげ より:

    >bg*さん
    > アタッチ族
    なんかどこぞの現住民族みたいですねw
    この作品はデッサンとかかなりアレですけど、サラトマは凄かったですね。
    アニメを意識したような構図で。

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