隠者の迷宮 B35
発売年:1987年
開発元:フェアリーテール
ジャンル:アダルトアドベンチャーゲーム
発売機種:PC-88など
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「殺しのドレス」とは
「殺しのドレス」は、1987年に「リップスティック」や「狂った果実」などでお馴染みの「フェアリーテール」より発売されたコマンド選択式推理アドベンチャーゲームで、一応アダルトゲームという扱いではあるものの、全体的にエロ要素は控えめで、それよりもゲーム開始早々に小指を切り取られた全裸の女性の死体や、ゲーム中頭を勝ち割られた人間の死体が登場するなど、残酷描写のほうがショッキングな作品でした。
後にシリーズ化し続編が2作品発売されているが、雑誌などで広告に使用されていた奇抜なキャッチコピーのおかげで、恐らく本作の続編である「殺しのドレス2」が一番印象に残っている方も多いのではないでしょうか?
『いきなりベッドシーンから…!』ってやつです。
本作のストーリーはというと、ある夜主人公である「あきら」の元に、親友である「さとる」より電話が入る。その内容は、2人の友人である「まこと」の婚約者「かおり」が何者かによって殺されたというものだった。かおりは公園の公衆便所の中で全裸で首を絞められて殺されており、しかも彼女は右手の小指を犯人によって切り取られていたのだという。驚いたあきらは急いでさとるや他の友人達、そして恋人である「ゆう」に会いに行くのだが…。というものでした。
システムはコマンド選択式
本作ではプレイヤーは主人公となり、最終的に友人であるかおりを殺した犯人を突き止めるのが目的です。とはいえ主人公は刑事でも探偵でもない一般人なので、最初はただ友人達にかおりが殺された理由を聞いて回ってるだけだったのが、やがて事件の核心部分へと踏み込んでいってしまうという流れになっています。
本作のシステムは「コマンド選択式」で、最初に画面に表示される第一選択肢から「動詞」(見る、話すなど)、次に表示される第二選択肢から「名詞」(会話相手や物など)を選択して行動します。一覧に表示される選択肢の内容は固定ではなく、直前に行った行動や別の場所で行った行動の影響により変動します。
選択肢の数はそれほど多くなく、動詞で主に使用するのも見る・調べる/話す/聞く/移動する、といった程度なので行動選択にあまり迷うことはありませんでした。ちょっと特殊な選択肢として自室のみで行える「考える」というのがあり、これが状況を整理するのに便利でありながら、この行為自体が重要なフラグとなることも多かったですね。
さて本作での場面の移動方法ですが、コマンドの「移動する」を選択して移動先を選択するだけで簡単に移動できます。ただBという目的地に行くためにAという場所を経由して移動しないといけないというのがあり、序盤は行ける場所がそれほど多いわけではなく(友人達の家+殺人現場の公園)、そこを何度も言ったり来たり繰り返すことになるので若干めんどくさい点はありました。
また中盤にかけて移動できる場所がいくつか増えるのですが、それも特定の場所を経由しないといけない、かつ何度目であろうとも特定の場所でいくつか行動してからじゃないと移動できないという仕様になっていました。こういった推理モノAVGは何度も繰り返し同じ場所に行くのが普通ですから、ここについてはちょっと配慮が欲しかったかもしれません。
場所移動とちょっと関連した話で、本作の場所のグラフィックは実際の風景写真を「2階調化」して加工したようなものを使用していてサスペンス的な雰囲気がとてもあるのですが、ソコに表示されるポップ目な人物のデザインとの落差に最初若干戸惑いがあるかもしれません。まあそこはプレイしていくうちに慣れて気にならなくなるのですがね。
エッチはちょっと控えめ…
最初に本作はエロが控えめだという話をしました。
実際本作は「アダルトゲーム」というジャンルでありながら、何と言うんですかね言葉を選んでいうと「抜きどころ」が少ない(無い?)作品でした。主人公には恋人である「ゆう」という女性がいて、彼女と二人きりのときに迫ると「性行為」に及ぶことはできるのですが、ゆうは「結婚するまではBまで!」と言って最後までさせてくれません。なんということでしょう!
一応そんな味の薄いエッチシーン以外にも、何箇所かではゆう相手だけではなくほかの女性とのエッチな画像を見ることが出来るのですが、そのほとんどが単なる「主人公の妄想」で、シーンも一瞬で終わるものばかりなので「ソッチ目的」でもし本作を購入した人がいたなら、ちょっと(かなり)ガッカリだったかもしれませんね。
とはいえ、この時代のアダルトゲームはまだジャンルとして成長途中であり、この時代辺りから一気に多様化して様々なタイプのゲームフォーマットが誕生して行ったという面もあるので、本作はエロよりもドラマ部分に注力した作品の先駆けといえるかもしれません。
そしてこの路線の先に、あの「狂った果実」があるのだと思うと、本作のガッカリなところも許せてしまうかもしれませんね(そうかな?
「狂った果実」へ繋ぐサスペンス
さて、本作をプレイしてみると解るのですが、ストーリー部分についてはかなりよく出来ています。事件現場のショットから始まり、その関係者である主人公が登場、亡くなった友人の事を調べているうちに、意外な友人達の人間関係を知り、やがて事件の核心部分に迫っていき犯人と対決。というまるで2時間サスペンスのような展開は、知らず知らずゲームの世界にプレイヤーを没頭させる魔力がありました。
特に、終盤に差し掛かる辺りで主人公の不安な感情を散々高めておいてからの、謎の人物から送られてきた小包を主人公が開けるというシーンは、
ホントに鳥肌が立ちましたね…。
この雰囲気の作り方は、確かに後の「狂った果実」に通じてるものがあります。
しかしさっきの話とちょっと矛盾することになるんですが、主人公が様々なところを巡って情報を集め、今回の事件についての事が次第に見え始めてくると、それにあわせてプレイヤーの気分も知らず知らずのうちに盛り上がってきます。しかしそんなときに主人公の空気の読めない行動に、盛り上がった雰囲気をぶち壊されて「イラッ」としてしまうことがあるんです。
TPOを考えない主人公にイラッ
というのは、主人公はそうとう節操が無いタイプらしく、自分の彼女だけじゃなく友人の彼女相手にエッチな妄想をしたり、娘を亡くしたばかり母親の体にいやらしく触れようとしたり、終いには友人の母親に迫って胸を揉んでるところを写真で取ったりするなど本当に酷いんです。
そしてこういった行為を、物語の雰囲気が盛り上がってきたときにやられると台無しになるんですね。
もちろんそれはプレイヤーがコマンドで選択している事なので「やらなければいい」だけなのですが、本作はコマンド選択式なので画面に表示されているコマンドの何がゲーム進行に関わるのかは解りません。だから表示されているコマンドはとにかく試すというのがセオリーですから、実行せざるを得ないんですよ。
もしかしたらゲームを製作した側としては、まがりなりにもアダルトゲームなのだからそういうシーンを合間合間に入れて置きたいという気遣いなのかもしれませんが、逆にストーリー部分がよく出来ているというのが仇になってその気遣いが邪魔に感じてしまうんですよね。これは大誤算ですw
さすがに物語のクライマックスに入ってからは、そういったものが無くなっていたので邪魔されること無く物語にのめりこむことができ、結果的には非常に満足のいく作品でした。是非おススメしたいと思える作品です。ちなみに、そうはいってもやはり当時のプレイヤーにはエッチシーンの少なさが不満だったらしく、続編はエッチシーンが増量されたそうです(半ば義務的なエッチシーンになった感もありますが)。
機会があれば、その続編の方も紹介したいですね。
↑本作とはなんの関係もありません(似て無くはない?)
≫EXIT
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