勇者の塔 56F
No.0203
発売年 | 1987年 |
発売/開発 | スクエア |
ジャンル | フィールド探索型ロールプレイングゲーム |
発売機種 | ファミリーコンピューター、MSX2など |
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「ファイナルファンタジー」とは

「ファイナルファンタジー」は、1987年に「アルファ」や「デストラップ」、「クルーズチェイサー ブラスティー」などで有名な「スクウェア」より、ファミリーコンピューター用フィールド探索型ロールプレイングゲームとして発売された作品で、後にシリーズ化し、来年2016年には最新作「ファイナルファンタジー XV」の発売が予定されている人気シリーズの、第一作目になります。
1980年代のゲーマー達にとって”スクウェアはパソコンゲームの会社”というイメージでしたが、スクウェアは80年代後半にパソコン業界からファミコン業界へシフトし「テグザー」や「キングスナイト」などを発売しました。しかし当たりは”いまいち”で会社も倒産寸前になったため、これが売れなかったら会社を畳むという”背水の陣”で発売したのが本作とのことです。
※ちなみにタイトルの”ファイナル”は、これが最後のゲームになるかも…という意味のファイナルではないそうです
本作は、ファミコン作品とは思えないような様々な凝った演出や美しいBGM、またキャラメイクや行動に関する自由度、”四天王”と呼ばれる存在との戦いを軸にしたストーリーなどがうけたのか、ファミコンゲーマーの間でも話題の作品となり、やがて最後どころか会社そのものを支える”スクウェアの顔”となるシリーズ作品になりました。
ストーリー

風、水、土、火、4つの力を象徴するクリスタルに支えられたこの世界は、今、闇に飲まれ滅びようとしていた。
それは、“2000年の時の輪”が作り出す、定められた運命。
しかし、恐怖と不安にふるえながらも、人々はひとつの予言を信じて待ちつづけた。
「この世 暗黒に染まりし時 4人の光の戦士 現れん」
やがて、4人の若者が長い旅の果てにコーネリアの地にたどり着く。
4つの力に導かれ、クリスタルに輝きを取りもどす伝説の光の戦士。
記憶も何もなく、自身が何者かもわからぬまま、彼らは予言に従い闇と戦う冒険に身を投じた。
旅のなかで戦士たちは知る。
世界を包む暗闇の正体もまた、4つの力であることを。
小さなすれちがいのすえに、4つの力によって憎悪の化身となった男の想いが、
世界を時の輪のなかに閉じこめていたのだ。
光の戦士たちは時を越えて、その憎しみに立ち向かう。
ゆがんでしまったクリスタルの力を、正しい方向に導く者として。
キャラクターメイキング

では、本作のシステム説明に入るとしましょう。本作ではゲームを始めると、最初にまず”キャラクターメイキング”から始めることになります。キャラクターメイキングと言っても、プレイヤーが行うのはキャラクター4人分の名前と職業(ジョブ)のみで、選択できるジョブは、戦士、モンク、シーフ、黒魔術師、白魔術師、赤魔術師の6つになります。
各ジョブについて簡単に説明すると、まず前衛職が、様々な武器・鎧を使いこなす戦士、武器防具に頼らず素手で戦うモンク、劣化戦士のシーフ(酷い)の3種類。次に後衛職が、黒魔法(主に攻撃魔法)の専門家である黒魔術師、白魔法(主に治癒魔法)の専門家である白魔術師、黒・白両方の魔法を使え、しかも戦闘もこなす赤魔術師の3種類です。
組み合わせのパターンにはルールが無く、重複したジョブを選ぶ事も可能で、その気なら4人全員同じジョブなんて事も可能になっています。ただし、一度選択した職業は途中で変更することができないだけでなく、途中でのメンバー入れ替えも不可能になっています。まあ前衛職から2人、後衛職から2人を選んでおけば、組み合わせはどうであれクリアは可能な難易度らしいです。
フィールド・世界


本作のフィールド・街中・ダンジョン画面は、ウルティマシリーズなどで有名な上空から見たような視点、所謂”見下ろし型”となっていました。プレイヤーは主人公を十字キーで操作して移動し、街や城、ダンジョンの入り口、建物の扉、階段などに接触させることで、別のフィールド(あるいは別画面)に移動することができます。
また街中にいるNPC、ダンジョンにある宝箱などには隣接してからその方向を向き、Aボタンを押すことで「会話」や「調べる」というアクションをすることが可能でした。いちいちコマンド画面を開いて「話す」や「調べる」などを選択しなくても、その対象物により自動でアクションを決定してくれるので、面倒臭くなく非常に快適でしたね。
ただ、会話やアクションを起こしたときに表示されるメッセージウィンドウの開閉が若干遅めでややストレスだったのですが、これについては次回作で既に改善が加えられてましたね。ちなみに1ボタン操作で、対象によりアクションを自動選択してくれるシステムは、後のシリーズにも継承されていました(良いところは残し、悪いところはすぐ改善、素晴らしいことです)。

本作のフィールドはシリーズ最初の作品としては世界もそこそこ広めで、大小複数の大陸だけでなく小島なども点在していました。しかし地続きでも山脈が邪魔で通れないところや、海の向こうの大陸や小島には歩いて向かうことはできません。
本作では序盤で「船」を入手でき、それにより海を使って山脈の向こう側に行ったり、別の大陸に移動することが可能でした。しかしその船も埠頭のある場所にしか停泊できないため、埠頭のない小島や、山脈に囲まれた場所などへは中盤で入手できる「飛空艇」で行くことが可能になります。
本作に登場したこの「飛空艇」は、その軽やかなスピードで飛びまわれる爽快感が好評で、以後のシリーズ作品にも必ずといっていいほど登場する有名な乗り物になりました。船と飛空艇以外で、あと本作に登場する乗り物には、河川のみを移動できる「カヌー」というのもあります。余談になりますが、本作にはシリーズで最も有名な乗り物「チョコボ」はまだ登場しません。
戦闘システム

フィールドやダンジョンを移動しているとランダムで敵と遭遇し(ランダムエンカウント)、画面が戦闘シーンに切り替ります。
本作の戦闘シーンは、ウィザードリィやドラゴンクエストのような、敵と正面から対峙したような画面でもなければ、ウルティマシリーズのように上から見た画面でもない、横からの視点で敵と味方を左と右に分けて配置するという結構特殊なものでした。
(同様のパターンでは、スタークラフト社の「ファンタジー ジェルノアの章」などがこれに近い)
戦闘システムは、そのターンの行動を1キャラずつコマンドから選択し、その後敵味方が順番に行動をしていくというターン制のコマンド選択式でした。選択できるコマンドは敵を直接武器で攻撃する「たたかう」、魔法を使用する「まほう」、魔法効果のある武器防具を使用する「もちもの」、戦闘から離脱する「にげる」、そして持っている回復系アイテムのみを使用する「くすり」の5つです。
敵は同時に複数種類が登場しますが、最大でも全部で9体までしか登場しません。この敵を全滅させるられれば、戦闘後に経験値とギル(この世界の通貨単位)が取得できますが、逃げるで戦闘から離脱した場合は一切何も得られません。
またこちら側の全員が戦闘不能(HPが0になるか、麻痺する)になるとゲームオーバーとなり、前回セーブしたところからの再スタートになります。(ちなみに麻痺はターン経過で回復する場合もあるので、全員が行動不能になる前に回復すればセーフ)
本作は4人パーティですが、一応”隊列”というものが存在します。戦闘画面の上段2名が”前列”で、下段2名が”後列”という扱いになり、前列は敵の近接攻撃を受けやすく、後列は受けにくくなります。
本作には敵の”バックアタック”が存在しないので、戦闘中に隊列を変更する必要は無い(というかできない)のですが、毒や石化状態で戦闘を終えた場合、戦闘終了後にそのキャラは勝手に後列に移動してしまうので、治療後に隊列コマンドで順番を変える必要がありました。

さて、本作の戦闘シーンで特筆すべきは、やはり演出部分にあると思います。
例えば「こうげき」を選択して武器で敵を殴る場合でも、ただ「○○は攻撃した!」というメッセージが出るだけでなく、そのキャラが1歩前に進んで装備している武器をガスガスッと振るアニメーションが表示されるんです。
そしてこのときに表示される武器は、装備しているものによってちゃんと変わるんですよね。
また魔法使用時にも、同じように術者が一歩前に出て呪文を発動させるポーズをとります。そのとき表示される魔法のエフェクトも、使用する魔法によって変わるんです。
それらのエフェクトは今見ればしょぼいものではありますが、当時のRPG、しかもファミコンでこういった演出をするというのが非常に斬新で、私もとても興奮しましたね。
また戦闘シーンのBGMも素晴らしいのですが、戦闘勝利後にファンファーレが鳴りキャラクター達が勝ちポーズをする。これも珍しかったうえにとても気持ちよい演出で、これも後のシリーズに継承され定番演出となりましたが、スクウェアに限らず後の多くのRPGで模倣されたように思います。
本作の戦闘システムは単純ではありますが、攻撃や魔法を実行する相手を直接カーソルで指して選択できるなど、直感的に操作できる遊びやすさが考慮されていました。
ただ、やはり最初の作品なだけに行き届いていない部分もあり、同じターゲットを複数の味方で攻撃する場合、途中でその敵が死んだとしても攻撃ターゲットが別の敵に移動しないという不便な点もありましたね。
魔法

さて本作の魔法に関してですが、本作には大きく白魔法と黒魔法の2種類があり、それぞれにキャラクターのレベルとは別に魔法のレベル(最大8)が存在し、それぞれのレベルに4種類の魔法がありました。
大抵のRPGでは魔法毎に消費MPが5pとか10pとか設定されていて、使用するとその値分キャラクターのMPが減る、そしてMPが0にならない限りはどの魔法でも使用できるというシステムが一般的だと思います。
ところが本作では、魔法のレベル毎に”使用できる回数”がMPとして設定されており、魔法を使用するとそのレベルのMPが1減り、そのレベルのMPが0になるまで魔法が使用可能という仕様になっていました。
魔法のレベルと使用回数はキャラクターのレベルが上がると増加しますが、どれだけレベルが上がってもMPの最大値は9までになっています。大雑把に言うとウィザードリィの魔法体系を参考にしたような感じですね。
ただ本作の魔法がウィザードリィと違うのは、ウィザードリィではレベルが上がることで自動的に魔法を取得できたのに対し、本作ではレベルが上がっても”魔法が使える回数が増える”だけで魔法は自動的に覚えません。魔法を覚えるには、町にある魔法屋でわざわざ魔法を買わないといけないのです(魔法のレベル毎に売ってる町が違うので探すのも大変)。
先ほど白黒共に、各レベルには4種類ずつの魔法があると言いましたが、実はキャラクターが覚えられる魔法は各レベル毎に3種類までと決まっているため、各レベルで1個は覚えられない魔法があります。このあたりの選定が、ゲームを始めた頃には解らない(しかも買った魔法は売ったり、他に渡したりできない)為、使えない屑魔法を選んでしまったらご愁傷様ということになります。
ちなみに、白黒両方の魔法を覚えられる赤魔術師は、白黒合わせて3種類までなので選定は余計厳しくなります。
セーブと宿泊施設

本作のセーブは、ルールとして”宿泊した際に行われる”という仕様になっており、具体的には街中にある宿屋を利用した際に、HP/MP完全回復と共にセーブが行えました。
ちなみに本作は、後のライバルゲームとなるドラゴンクエストシリーズの2作目「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」と同年に発売されましたが、本作にはバッテリーバックアップ機能があったので長いパスワード的なものは必要無く快適でしたね。
※同年とはいえDQ2は87年の年初、FF1は年末に発売されているので、実際は1年近く後の発売になる
また本作には、宿屋以外にも宿泊の方法もありました。
寝袋、テント、コテージといったアイテムがそれにあたるのですが、こちらは宿屋と違い野外での使用が可能のため、ダンジョンに入る前や出てきた後などにセーブを行うことができ非常に便利でした。使用時のHP回復は、寝袋>テント>コテージの順に高くなっていきますが、MPを回復できるのは高価なコテージのみでした。
ただFC版のコテージには、コテージ使用してもその後に寝袋を使わないとMPが回復しないというバグがありましたね。
ジョブチェンジ

さてファイナルファンタジーといえば、同じキャラクターで様々なジョブに変わる「ジョブチェンジ」というシステムが有名で、特に「III」や「V」などでは、ジョブチェンジをどう活かすかが攻略の鍵だったりもしました。
そのジョブチェンジというシステムは、実はシリーズ初代である本作から既に存在していました(厳密にはちょっと違う意味ですが)。
ゲームを進行して行くと、「ドラゴンの洞窟」にて「バハムート」からある”試練”を受けられるようになります。この試練に合格すると、キャラクターたちは戦士は「ナイト」に、モンクは「スーパーモンク」、シーフは「忍者」、白魔術師は「白魔道師」、黒魔術師は「黒魔道師」、赤魔術師は「赤魔道師」にジョブチェンジします。
ジョブチェンジによって、前衛職は主に上位の武器防具を身につけられるようになり、後衛職は高位魔法を覚えることができるようになります。
あとナイトは低レベルの白魔法、忍者は低レベルの黒魔法も使えるようになります。このジョブチェンジは、実は行わなくてもゲームクリアが可能なのですが、ジョブチェンジ後は実質的に戦力が大幅に上昇するため、縛りプレイでもなければジョブチェンジはやっておいて損はないでしょう。

ちなみにジョブチェンジ後は、なぜか各キャラクターの頭身がリアル目になりますw
これカッコいいことはカッコいいんですが「ジョブチェンジ前のほうが良かった…」という人は、当時私も含め、私の周りにも結構いましたね。やっぱりあまり好評でなかったのか、後のシリーズではジョブチェンジ前の頭身に普通に戻ってましたが。
ちなみにジョブチェンジしてからお店に入ると…店員さんとの頭身のギャップが酷かったですね
さて、大まかなシステムの説明については以上になります。他にも説明していないこともあるんですけど、あまり長くなってもしょうがないのでそこは割愛します。
カオス(四天王)戦


さて、個人的に本作は全体を通して”演出”というものに非常に拘った作品だったと思っていまして、その中でもストーリーを大きく盛り上げてくれた演出に「カオス(四天王)戦」というのがありました。
前回のストーリー説明の中にて、この作品の世界は風、水、土、火、4つのクリスタル支えられていて、それが今闇に飲まれて滅びようとしている、とあったと思います。
この世界が闇に飲まれようとしているのは、その4つのクリスタルの力が何者かによって遮られてしまっているからであり、それを行っているのが4つの「カオス」と呼ばれる存在たちなんです。
4つのカオス達は、土のカオス「リッチ」、火のカオス「マリリス」、水のカオス「クラーケン」、風のカオス「ティアマット」というそれぞれ恐ろしい姿をした怪物で、こいつらを倒して4つのクリスタルに光を取り戻すというのが、ストーリー上の大きな目的になっています。
もちろんこのカオス達は、それぞれが強力な力を持っているので簡単に勝てるような相手ではありません。カオス戦に備えてのレベル上げ、装備の充実、戦術の構築が必要になるので、このカオス戦の攻略はプレイヤーにとっても大きな目標となるでしょう。
また大抵RPGでは、ゲームが始まって魔王を倒すぞ!と旅立ったものの、あちこちの町で大筋とは直接関係無いクエストをやっているうちに「俺ら魔王倒さなきゃいけなかったんじゃ?」と我に帰るようなことも多々ありますが、本作ではいいタイミングでこのカオス戦が存在するので、ストーリーの本筋や雰囲気から気持ちがそれないようになっていました。
ちなみにゲーム中には確かそういう記述は無かったと思いますが、当時は自然にこのカオス達を「四天王」と呼んでましたね。
演出といえば…?
さてファイナルファンタジー1の”演出”として語らずにはいられないものがあります。
それが”オープニング”です。本作ではゲームの電源を入れると、ストーリー説明の文字が表示されてその後にボタンを押すと、ただ”つづける/ニューゲーム”を選ぶメニューが表示されます。そしてニューゲームを選ぶとキャラメイキングをして、その後、いきなりフィールド画面に放り出されるんです。
あれ?オープニングシーンとか、ドラクエみたいなタイトル画面は無いの?そう誰もが思うはずです、きっとね。
そしてオープニングが無いまま城の王様に会いに行くと「さらわれた姫を取り戻してくれ」と、普通のRPGだったら最終目的とも思えるような事を依頼されます。なのにそのお姫様は城のすぐ近くの古城にいて、そいつをさらったの「ガーランド」を倒すとあっさり姫を取り戻せてしまいます(パーティ編成によってはレベル1でも勝てる)。
拍子抜けの気持ちで姫を連れて王様の元に戻ると、お礼として次の大陸に移動できる”橋”を作ってくれるんですね。んじゃまあ、橋を渡って次の大陸に向かうとしますか~と端に乗った瞬間…

あの今ではゲーム好きなら誰でも知っていると言っても過言では無い、ファイナルファンタジーの「メインテーマ」とともにオープニングシーンが流れ始めるのです。この瞬間、ゲームが始まってからここまでが「アバンタイトル」だったんだとプレイヤーは理解するわけですね。この演出には、当時本当に「やられた!w」と思いました。
ここのシーンは、今でも本当に大好きなシーンですね。

あと細かい演出というか表現の部分なんですが、それまでの見下ろし型のRPGの場合、大抵マップ上に”1本の木の絵”、”1つの山の絵”を描いた1キャラ分のタイルをただ並べて「森」とか「山脈」というように擬似的に表現するのが普通だったのに対して、本作では複数の絵の組み合わせで見ただけでこれは森、これは山脈だと理解できる表現になっていました。
また街や城が在る所にも、ただ1キャラ分の街の絵を置くだけでなく、その周りに門や城壁を表示することで存在感やリアリティを持たせていますし、その街中もこれまでのRPGように乱雑に店や施設が配置されているようなものではなく、大都市では石畳の上に建物が並びその建物の間が路地として使用されるなど、生活観の感じられる設計の町並みが表現されていました。
個人的に、本作のこういった町並みの表現は、後のスクウェアに限らず他社のRPGにも影響を与えたと思っています。
まとめ

本作の制作にはプロデューサーにスクウェアの創設者「宮本雅史」氏、ディレクターに「坂口博信」氏、デザイナーに「田中弘道」氏、音楽は「植松伸夫」氏とPC時代からの多くのスクウェア作品に関わったメンバーに、天才プログラマーと呼ばれ、本作のファミコンとは思えない飛空艇のスピードなどを実現した「ナーシャ・ジベリ」氏を加えた気合の入った布陣でした。
さらにはキャラクター・モンスターデザインに、なんと「タイムボカンシリーズ」や「新造人間キャシャーン」「宇宙の騎士テッカマン」を手がけた「天野喜孝」氏が加わるという、ドラクエの「鳥山明」氏の採用も凄かったですが、それに負けず劣らずの存在感を本作に与えてくれていましたね。(依頼したスクウェア側も、まさかOK貰えるとは思っていなかったとかw)
天野喜孝氏の独特で繊細なデザインを、かなり忠実にドット絵に起こしたスタッフも凄いと思いますが。
凄いメンバーが集まったからといって凄いものができるとは限らないのが世の常ですが、しかし本作に限ってはそれが上手くいったケースといえるでしょう。特に、もう何度も言っていますが、これまでのRPGではやってこなかったゲーム中の”演出や表現”への拘りは、ユーザーの心にもガッチリ命中しましたし、その後のスクウェアの指針となったのではないでしょうか?
(まあ結果”やりすぎ”まで行ってしまった感も否めませんが)
パーティの様々な組み合わせを試して繰り返し遊べることや、ゲーム中に行ける場所が一個ずつ開放されていくような窮屈なものではなく、序盤から船が手に入ることで自由に世界のあちこちに行くことができることでのゲームの自由度も高く、カオス戦だけでなく、「ファンタジー」と名打っておきながら後半にSF要素を盛り込んだり、時代を超えての決着などシナリオの構成も非常に良かったと思います。
そして誰もが思ったであろうBGMの素晴らしさ。
例えばドラクエが「勇壮な冒険世界」をイメージする曲が多いとしたら、本作はまさに「幻想的(ファンタジー)な世界」をイメージできる透明感のある曲が多かったように思います。無論どちらも素晴らしく、どちらもその世界観を忠実に表現した良曲ばかりで、今原曲で聞いても十分にその良さを味わえます。
本作はシリーズ最初の作品(作っている側はシリーズ化など考えていなかったと思いますが)にしては完成度が高かったと言っていいと思うのですが、それでもやっぱり幾つかの残念だった点は存在しています。

まずは前回戦闘システムの際にも言いましたが、戦闘中に麻痺や石化、毒を受けたまま戦闘終了すると状態異常になったキャラが勝手に最後列に移動してしまうことです。本作には毒と麻痺の攻撃をしてくる敵がやたらといる(しかも受ける確率が割と高い)ので、その都度戦闘後に隊列を元に戻すのは正直ウザかったです。
またその状態異常を治すアイテムや、HP回復のポーションについて、町のアイテム屋で纏め買い(5個や10個という単位で)できないのもイライラしました。
本作では魔法が回数制(最大9回)で、しかもダンジョンなどでのHP・MP回復手段が乏しいので、回復魔法はできるだけ温存する必要があり、その結果HP回復は基本ポーションで行うことになるため、大量に買い込まないといけなくなるのです。なので店で1個単位でしかアイテムを買えないのは、非常に難儀でした。
あとは移動に関してですが、ドラクエの「キメラの翼」のように一瞬で街に戻る、あるいはダンジョンを脱出するアイテムが無く、そういう効果の魔法はあるものの、覚えられるのは結構レベルが上がってからなので、しばらくの間は町とダンジョンの往復、ダンジョン入り口と最深部の往復はすべて”徒歩”になります。
一部のダンジョンではボスを倒したあとに地上に戻れる場合があるんですが、それ以外ではこれが結構辛い。(町にワープできないのは、船や飛空艇の再配置に問題が出るからかな?)
ちょっと上と重複する話になりますが、MPの回数制というのも正直きつかったですね。
どれだけレベルを上げても同じレベル帯の魔法は最大9回までしか使えない、さらに重要な攻撃魔法が同じレベル帯に固まってるので特定のレベル帯だけ使用頻度がどうしても高くなるんです。しかもダンジョン内でMP回復はまずできないし、ダンジョンからの脱出もアイテムではできないから、ボスまでの道中に加えて帰り道での戦闘も考慮しなきゃいけない。そう考えると最大9回ってのはきつ過ぎました。
この辺が当時遊んでみて改善して欲しいなあと思ったところだったのですが、これらは後のシリーズやリメイク時にちゃんと改善・修正されていましたね。素晴らしい。細かいところですが、ユーザーの遊びやすさの改善も忘れない、そういう姿勢が長く愛されるシリーズに繋がった。そういうこともあるかも知れませんね。
最後に
さて最後になりますが、今回紹介記事に使用したMSX2版ファイナルファンタジーについてですが、こちらはファミコン版の発売から2年後の1989年に発売されました。このMSX2版の移植を行ったのは、「は~りぃふぉっくす」や「サーク」を開発した「マイクロキャビン」だったのですが…、こちらは残念ながらあまり良い評価にはなりませんでした。
どんなところが評判が悪かったのかというと、媒体がカセットではなくFDだったのでアクセス待ちが頻繁に起こる。セーブ時にディスク交換が必要なので、HP回復したいだけで宿に泊まる度ディスク交換が必要になる。と、この2点はまあしょうがないかなと思えるんですが、一番酷かったのがキャラクターの移動速度です。
何の冗談だろう?と思えるほど移動がトロく、処理を速くさせる目的で画面の表示サイズをファミコン版より小さくしたにも関わらず、それでも嫌になるくらいに遅い。しかも、ファミコン版でユーザーを驚かせた高速で動ける飛空艇も、歩くのと殆ど変わらない程度の移動速度という酷い状態…。
まあマイクロキャビンのゲームは殆どがアドベンチャーゲームで、これと同年になってやっとアクションRPGの「サーク」を作り始めたから、そういう技術がまだ足りなかったのかな?と弁護してみたり。(でも結構経ってから作ったはずの「フレイ」もなぁ…)
正直なところファミコン版のファイナルファンタジーをプレイした人なら、まともに遊ぶのが辛いってくらいの出来です。価値があるとすれば、ファミコン版より若干多い色数による綺麗な画像と、FM音源+PSGの凄く綺麗なBGMくらいだと思います。
というわけで、この「ファイナルファンタジー」のファミコン版は、今やっても十分に楽しめる作品ですので、遊べる環境がある方は、これを機会にまた(あるいは初めて)遊んでみてはいかがでしょう?個人的には、戦、戦(モ)、赤、赤がおススメのパーティですよ?(単に私が赤魔好きなだけw)
≫EXIT
お疲れ様でした!

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いつもバナークリックや拍手していただいて、誠にありがとうございます!
コメント
当時確か、ウィザードリィと一緒に買ってきて同時進行で遊んでました。
なんかこう「ジャンルの似たゲームを同時進行してしまう」という事がよくあって
MSX2のサークとイースを遊んで、軽く混乱したりとか。
大雑把に言うと、ウィザードリィは暗くてこっちは明るいんで
気分転換にはちょうどいい組み合わせだったんですけどね。
あと、ラスダンの中ボスを倒した後にその場を離れて戻ってくると
またそいつと戦うハメになるというDQ2の時と同じミスをして悶絶したり。
>神楽さん
サークとイース一緒に買っちゃうって凄いですねw
まあ面白そうなゲームは、似たようなのでも別腹ってことなんですかね。
ノーヒントでやって、もし片方で詰まっちゃったら
解るまで別のを遊ぶと考えれば、ある意味効率的なのかな?
すっかりご無沙汰しておりましたm(_ _;)m
仕事や仕事や仕事で毎日が埋め尽くされ『え?休日?それって都市伝説だよね?』状態で思わず逝ってしまうんじゃないかと危惧した日も有りました…orz
いや、まぁ、年末年始に向けて、また忙しくなるんですけどね…(´;ω;`)ブワッ
FFシリーズは4から始めたもんで、1はかなり後の、ワンダースワン版をプレイしました…が、途中で挫折しましたw
確か、魔法の○○○ガを売ってる街まで辺りはプレイした記憶が有るのですが…(´・ω・`)
ちなみに、イースはPC88版をリアルタイムにプレイしていましたが、サークはX68k版が初めてでした(´・ω・`)
後にPC88版もプレイしたのですが、流石に後発でビジュアルもBGMも豪華だったX68k版の後だと見劣りが激しかったです…
サーク2も、BGM『は』X68k版は豪華でしたねぇ…
(ビジュアル面は、PC98のベタ移植でしたw)
>にゃんこさん
お久しぶりです。この時期はどこも年末に向けて忙しくなるところですね。
まったくこの時期から休みに入れる学生さんが羨ましいw
ワンダースワン版のFF1は私も持ってました!
全体的に絵もリニューアルされてて凄い!と思って遊んだんですが、
私は挫折というか、さすがに昔のゲームだったので今ほど夢中になれず、
途中で飽きてしまった記憶があります。
ファミコンで散々遊んだしw
PCゲームのX68移植版は、なんか色の塗り方が合わなくて…
アーケード移植ものは、ホントに羨望のまなざしで見ていましたけど。
FFはMSX2版しか持ってないのですが、やはり戦闘ごとに行われるディスクアクセスは辛いですね。
当時やってたらそんなに気にならなかったかもですが。
そして記事を読むとクリアーまでやりたいのですがなかなか時間もとれず、もどかしい。
>>5
人間それが普通だと思えば対して苦にはならないものですが、いざ便利を知ってしまうともうそれまでの「普通」には戻れなくなってしまうんですよね。私も今あのディスクアクセスの長いウィザードリィを遊ぶのは厳しいかもw