勇者の塔 1F
No.0001
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いらっしゃいませ!
フロア案内役の”管理人”じゃ。
同じジャンルの作品が多くある業界の中で、大事になってくるのは他作品との差別化、つまり「個性」じゃ。今回は非常に個性の光るRPGを紹介するぞい!
観覧者の”謎の妖精”よ。
でも個性って狙いすぎると「欠点」にもなるわよね。バランスが難しいというか…
この記事は以前公開したものを再編集、書き足し、分割を行った「改装版」です。
本記事を読み進める前に…
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覇邪の封印の基本情報と概要
本作の基本情報
タイトル | 覇邪の封印 |
シリーズ | なし |
ジャンル | フィールド探索型ロールプレイングゲーム |
発売年 | 1986年 |
販売/開発 | 工画堂スタジオ、セガ(セガマークⅢ)、アスキー(ファミリーコンピュータ) |
発売機種 | PC-8801、PC-9801、FM-7、X1、MSX、ファミリーコンピュータ、セガマークⅢなど |
前作 | なし |
次作 | なし |
本作の概要
本作の目的はストーリーにあるように、開いてしまった異次元への通路「バァンドゥラ」を再び封印する事にある。
しかしそのバァンドゥラがどこにあるのかは全く分かっていないので、プレイヤーは主人公を操作してゲーム内の大陸を旅して情報を集め、各地に隠れている3人の仲間を見つけ出し、様々なモンスターらと戦い自らをそして仲間を成長させながら、最終的に封印すべきバァンドゥラに到達させるという流れになっていた。
セガマークⅢ版は、当時CMをよく観た記憶があるわね
案外「マークⅢのゲーム」って印象が強いひともおるかもじゃのう
覇邪の封印のストーリー
舞台は、我々の世界とは別の時間と空間に支配された、未だ剣と魔法が君臨する幻想の異世界。 そこには様々な神獣・魔獣が存在し、神話や伝説も力強い鼓動を続けていた。
この世界は4つの大国に分割・統治されており、中でも特に深い歴史を持つのが「聖アルカス公国」で、かつて強大な武力を背景に一大帝国を築き上げたこともあり、周辺の国々からは今もなお畏敬の念を拭いきれずにいる国である。
このアルカスには「バァンドゥラ」と呼ばれる、遠い昔、大いなる恐怖と混乱をこの世界にもたらした異次元への通路があったのだが、先史の勇者イアソン死を賭した覇業によりその通路は塞がれていた。
しかしその事を知る人すら少なくなった時、愚かな何者かがバァンドゥラの封印を取り去ってしまい、バァンドゥラ通路は再び開かれ、凶悪な異次元の軍勢を吐き出し始めたのである。
アルカスの兵は善戦し、多大な犠牲を払いながらも異次元の軍勢をなんとか退けた。しかしあくまで一時的に追い払っただけに過ぎず、これから始まるであろう大攻勢に人々は毎日怯え、やがて希望も奪われてしまうだろう。そしていつの日にか…。
アルカス王家には一つの言い伝えがあった。それは、この世界のどこかに異次元の通路を塞ぐ方法が隠されており、先史の勇者イアソンこそが唯一それを手に入れたのだと。
かくしてアルカスの長老達は、一人の若者を選び出し伝承の地を求める旅へと向かわせたのである。
覇邪の封印の特徴
では最初にまず、本作の主な特徴について話すことにする。
フィールド画面がメイン画面じゃない
本作のゲーム画面はメイン、フィールド、コマンド、ステータス、アイテムの表示エリアに別れている。本作はジャンルとしては「ウルティマ」シリーズのようなフィールド探索型RPGであるものの、そういったジャンルで良くあるような「フィールド」部分がゲームの「メイン」部分という構成ではなく、メインとフィールドが別々の役割を持った構成になっているのが特徴的であった。
このメイン部分は《状況》《情報》《戦闘》、これら三つの役割を一手に引き受けており、《状況》は主人公や仲間、そして屋外、町中、ダンジョンなど主人公が今いる場所それぞれのグラフィックが表示され、《情報》は各状況の中で行われる会話や得られた情報が表示され、《戦闘》では遭遇した敵とバトルシーンが表示されるようになっている。
このメイン部分が、箱型の舞台を使った人形劇のようで面白いんじゃよな
また各キャラクターのステータスや、敵の体力などが数値ではなく棒グラフで表示されていたのも特徴で、その時点でのキャラクターの強さ、状況などが目で見て直感的に解るように工夫されていた。
無口主人公とおしゃべり妖精
本作の主人公は、ゲーム中に一切言葉を発しない「無口系主人公」なのだが、その代わりに主人公と常に一緒にいる可愛らしい妖精が非常によく喋る。
主人公が得た情報を喋らない主人公に代わって読んでくれたりするだけで無く、普通のRPGであれば「どうする?」「◯◯が見える」「◯◯を見つけた!」などのメッセージウインドウに表示されるようなナレーションまで妖精が喋るのだ。ちなみに前述のメイン部分の《情報》については、そのほとんどをこの妖精が担っていると言っても過言ではない。
そんな大活躍の妖精だが実はかなりの毒舌キャラであり、主人公が人間を倒してお金を奪うと「モ・ウ・ケ!」などと発言したり、主人公が死んでしまった時などは、悲しむどころか
「死んじゃった、割と役立たずね!」
などととんでもない罵声を浴びせてくるのである。
しかもこの妖精、特に重要人物が姿を変えられたわけでも、誰かの指示で主人公に危機をしらせにきた使者でもない。それどころか何故居るのかもハッキリしていない謎キャラだったりする。
暴言はともかく、多分、当時放送してた「ダンバイン」とか「エルガイム」なんかの妖精がモチーフなんじゃろな
未知のものとの遭遇(エンカウント)
本作においての敵との遭遇(エンカウント)については、歩く毎にランダムで遭遇判定が行われる「ランダムエンカウント制」が採用されていた。
一般的なランダムエンカウント制のRPGでは、敵と遭遇するといきなり戦闘が始まって戦うか逃げるかなどの選択になるのが普通だが、本作ではここに「ワンクッション」入っていたのが特徴である。
そのワンクッションというのは、遭遇した時にすぐ遭遇した相手が画面に表示されるのではなく、メイン画面の中にまず人影のようなものが表示されて「向こうに何かいるよ?」と妖精が教えてくれるのだ。
そしてここで「近づく」と戦闘シーンへの移行となり、「離れる」と戦闘が回避できる。ちなみに戦闘中とは違い、この時点での戦闘の回避にはデメリットが存在しない(100%安全に回避できる)。
ランダムエンカウント制でありながら、戦闘を回避できるという仕組みは非常に助かるのだが、特定のエリアに登場するモンスターは、遭遇するとこの仕組みをすっ飛ばしていきなり戦闘になる場合(一般的なRPGで言う奇襲やバックアタック的なもの)もあるので注意は必要である。
変則タイマン戦闘(バトル)
敵に遭遇した後に対象に近づくと、遭遇した相手の姿がメイン画面に表示され、戦闘モードに入る。
遭遇する相手はモンスターだけとは限らず、旅人や商人など普通の人間の場合もあり、本作ではそれら全ての相手に対して、攻撃/話す/脅す/逃げるといった行動が行えるようになっていた。ちなみに本作の逃げるは100%成功するが、逃げる前に高確率で敵から追撃ダメージを喰らう。
本作に登場する敵は全て一体のみで登場するが、主人公側は最大で四人パーティになる。
そうなると一体を四人でボコボコにできるのかと思ってしまうが、実はそうではない。本作の戦闘はちょっと特殊で詳しくは後述するが、味方が何人であっても1ターンで攻撃できるのは1人と決まっているので、基本的に戦闘は変則的だがタイマン勝負となる(イメージとしては、プロレスの一対多でやる「ハンディキャップマッチ」のようなもの)。
戦うメンバーを選ぶと、そのメンバーが敵に向かって走って行って体当たりして帰ってくるのが面白かったのう
運命の仲間を見つけ出せ
先程の戦闘の説明でも出てきたが、本作には主人公の他に主人公の仲間となるべき運命を宿した人物が三人存在し、最終的に四人パーティで旅をする事ができる。
しかしゲーム開始時は主人公1人のみであり、他の仲間は記憶を奪われたりモンスターにされたりしてこの世界のどこかに存在している状態なので、彼ら(1人は女性だが)を探し出す事も本作における目標の一つとなっている。
ちなみに本作における仲間の存在については、他のRPGと比較してちょっと特殊な部分もあるのだが、それについても後述する。
仲間だけではない旅のお供
ここまでの説明で、本作には主人公とお付きの妖精、そして三人の仲間がいることが分かったと思う。しかし実はそれだけではない、まだ別の旅の仲間が本作には存在する。それが「鍛冶屋」と「まじない師」だ。
本作では戦闘を行うと体力だけだなく装備の耐久力も減少する。ここも詳しい話は後述するが、本作ではこの体力と耐久力の回復に多くのお金を費やすことになってしまうのだ。
そういう状況において鍛冶屋を雇うと(5万G)、戦闘終了後に自動的に装備の耐久力を回復してくれるのである。しかも「無料」で。
また、まじない師を雇うと(1万G)同じように戦闘終了後に体力を自動的に回復してくれるのだが、こちらは無料ではあるものの回復のために「モツ薬」という媒体が必要になる為、正確には無料ではない。
戦闘には参加してくれないし、お金を払って雇っているので「仲間」というのもちょっと変だが、彼らがいてくれることでパーティが受けられる恩恵は仲間の存在と同等と言っても過言ではないだろう。
異次元獣と地元獣?
ここまで敵として登場する人間以外を「モンスター」と一括りにして話してきたが、実はこのモンスターにも大きく二つの「括り」が用意されていた。
一つは、本作の元凶である扉からこちらの世界にやって来た、侵略を目的としているモンスター「異次元獣」。そしてもう一つが、元々この世界に住んでいる、野生の動物のような存在のモンスター「地元獣」である(ちなみに地元獣は”じもとじゅう”と読む)。
異次元獣についてはこの世界の敵であるため、倒す事で「知名度」というパラメータが上昇し、主人公の立ち位置は「善」に傾くが、逆に地元獣はこの世界にとっては無害だったり、神殿などに住み着く守り神のような存在になっているものが多いので、倒してしまうと知名度が下がってしまうことが多い。
知名度はゲームの進行に影響するのだが、ただ進行上地元獣を多く倒さなければいけない状況もあるため、知名度のバランスをどう取るかもゲーム攻略の鍵となっている。
RPG界一エロいラスボス「テラリン」
本作の特徴の最後を飾るのはやはり異次元獣を統括する将軍であり、本作のラスボスでもある「テラリン」の存在しかないだろう。
本作のゲームパッケージには、ど真ん中に羽の生えた半裸の女性のようなモンスターが、四つん這いになっている妖艶な姿がデカデカと描かれている(ちなみに主人公達は隅の方に小さめに描かれている)。誰でも目が奪われてしまうであろうこのパッケージのモンスターこそ、誰あろう本作のラスボス「テラリン」なのである。
ラスボス(または準ラスボス)がゲームパッケージに描かれている、というのは無い話ではないと思うのだが、その場合でも主人公達の後ろに背景のように描かれていたり、主人公達と対面しているように描かれるのが殆どだろう。
しかし本作ではラスボスそのものが最前面のど真ん中に描かれているうえ、主人公達と対面どころか眼中にもないと言わんばかりに真逆を向けて、まるでパッケージを手にしたプレイヤーを睨め付けるようにしている構図なのだ。
こんな特徴的なパッケージのRPGはなかなか存在しない、そう言って良いだろう。
といった訳で、ここまで「覇邪の封印」という作品の主な特徴について話してきた。これだけでも結構個性的な部分があるRPGだと感じていただけたと思うのだが、しかし本作にはもっと個性的な特徴があと三つほどある。ここからは、そのもっと個性的な特徴について話していきたいと思う。
コーヒーブレイク!
といわけで、ここまでで覇邪の封印の概要と特徴は終了じゃ。この後は、本作で特に気になった部分についての話がまだ続くんで、ここで一旦休憩しておくと良いぞ
コーヒーブレイク!
コメント
覇邪の封印、懐かしいなぁ
布製のマップに付属のフィギュアを置いて、プレイした記憶アリ。
クリアは、・・したと思う。
始めまして。
バラデュークで検索していて、こちらのサイトにたどり着きました。
面白そうなお話が多いので、ゆっくり読ませていただきます。
覇邪の封印は、かれこれ30年ほど前の高校時代。
友達にMSX版を借りてクリアした懐かしい思い出のゲーム。
クリアすれば認定証のような物がもらえましたが
その友達はクリアできなかったため、応募ハガキを私にくれました。
何ていい人なんだ!
後、マークⅢ版もクリアしました。
BGMの評判は結構良かったですよね。
でも内容は殆ど忘れました…
丁寧な解説で面白かったです。
昔の16bit以前のPCは実物を見たことも無いですが、工画堂のRPGはファミコンでは珍しそうな多数のグラフィックとアイコンを用いた画面構成などで今見ても興味をそそられます。
ファミコンの貝獣物語を中古で買ってMAP無しノーヒントで遊んでたので、似た印象を持ったこれもプロジェクトEGGで遊びたいですね、今度こそMAP見ながら。
ところで「光」画堂という社内ブランドを私は知らないのですが、個性が光る紹介だからこのブログでは文字を変えてるのでしょうか。
>>1
>面白かったです。
ありがとうございます。頑張った甲斐があります!
>画面構成
この頃の「工」画堂スタジオの作品は、RPGっぽい画面構成からわざと外している感じがあって非常に独特でしたね。それでもなかなか面白いので、是非遊んでみてください。
>「光」画堂
修正しました光画堂だと、究極超人あ~るになっちゃいますね。ご指摘ありがとうございました。