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『覇邪の封印』工画堂スタジオならではの”強い個性”が光るRPG

1マス先は闇、から始まるRPG

 これから先どうなるのかまったくわからない事を例えて「一寸先は闇」などと言うが、それになぞらえて本作のフィールド画面を例えるなら「一マス先は闇」と言って良いだろう。

よくあるRPGのフィールド画面

MSX版「ドラゴンクエストⅡ」

 例えばだが、国民的RPGと称される「ドラゴンクエストⅡ」のフィールド画面を思い出して欲しい。平地、森、山、川などのパーツで描かれたフィールドがあり、そこに城や町、洞窟などのパーツが置かれている。

 主人公は画面の中央にいて、周りを見ながらあっちへ行こう、こっちへ行ってみようなど考える事ができた。フィールド探索型RPGの始祖とも言える「ウルティマ」シリーズなどもこれと同様である。

一方本作のフィールド画面は

 一方、本作では左下のエリアがフィールド表示部分になるのだが、ゲームが始まるとそこに1マスだけ何か表示されているのに気づく。

 実はこの1マスが本作のフィールド画面なのだ。正直これでは自分の立っている位置の周りに何があるのかが全くわからないし、先程のドラクエやウルティマのフィールド画面を思い出してもらえば、本作のフィールド画面の異質さが理解できるだろう。

 東西南北いずれかの方向に移動すれば、移動した先が何なのか表示されるので解りはする。

 解りはするが、本作では移動した先が森林、山岳、砂漠だった場合、かなりの強敵に絡まれて強制戦闘になる可能性が高く、また川や海に落ちてしまえば強制的にどこかに流されてしまう(しかも溺れてダメージを受ける)ので、移動すればその先が何か解る、では遅いのだ。

 自分のいる場所しか見えず、一歩動くだけでも高いリスクを伴うのでまともに歩けない。本作のフィールド画面は、まさに一寸先は闇、いや一マス先は闇というに相応しいものであった。

 ただこれで終わっていたならば、本作は「クソゲー」の烙印を押されていたかもしれない。しかし本作にはフィールド画面がこの状態である「理由」とその「対策方法」が用意されていたのである。

このフィールド画面にした理由とは?

 「理由」については、当時横行していたゲームコピーに対する一種の「ハードウェアプロテクト」としての処置である。

 そして「対策方法」は本作のパッケージに付属していた、ゲーム内に登場する城や町の位置や、山岳や砂漠、川や海の位置までもが正確に記され、しかもマップに表示されている縦横の罫線がゲームでの主人公の1歩単位と等しくなっている「ワールドマップ」と、主人公を象った小さな「フィギュア」である。

 このマップ上に実際にフィギュアを置いて周囲を確認しながらゲーム内で移動する事で、ゲーム上で1マスしか見えない状況でも比較的安全に冒険が出来るようになっていたのだ。

 一方でコピーしたゲームにはマップが付属していないため、ゲームが始まると周りも見えなくて、まともにゲームができなくなる。つまりそういう擬似的な「コピープロテクト」だったのである。

 とは言え、ちゃんとパッケージで購入しても、いちいちマップと見比べて一歩一歩歩いていては、ゲームがスムーズに進行できないうえに非常にストレスでもある。

 これについても対応はされており、ゲーム内でフィールド表示範囲を広げるアイテム、「遠めがね(範囲3×3)」と「千里の玉(範囲5×5)」を購入してフィールド表示範囲を広げることができた。

ただしこれらのアイテムは値段が高いんで、簡単には買えないんじゃよなあ…

モンスターがお金を落とさないRPG

お金が貰えないのに物価が高い世界

 この当時の一般的なRPGではモンスターを倒すとお金が貰えて、そのお金で新しい装備や必要なアイテムを買い揃えていくというのが定番であった。

 しかし本作においては、なんと登場する如何なるモンスターを倒しても、絶対にお金は手に入らない仕様になっている。ではお金はどうやって入手すれは良いのか。

現実的にモンスターがお金を持ってるのは変な話なんじゃが、RPG的にはモンスターがお金を持っていないのは異常じゃよなw

 その前に、本作の世界の「物価」について説明しておこう。例えばどのRPGでも構わないが、その作品の中で「一番弱い武器の値段」はどのくらいか思い出せるだろうか?10G?100G?大体そんなものだろう。

 ところが本作において一番弱い武器である「短剣」の値段は、なんと3,000Gもするのである。ちなみに一番弱い防具の「帷子」は2,000Gもするのだから、これより強い武器や防具の値段もどんなものなのか察して貰えると思う。

またゲーム進行上、買わなければ行けなくなるアイテム(前述の遠めがねなど)も多くあり、そのうえどれも10,000Gや50,000Gなどかなり高額な物ばかりなので、とにかく本作での物価の高さを実感する。

買ったら終わり、にはならない

そんな高い値段の武器や防具だが、買ったらそれで「はいお終い」ではない。実はそこからさらに「修理費」というものがかかるのである。

 本作では戦闘するとキャラクターの体力だけでなく武器と防具の耐久力も減る仕様になっており、耐久力が0になった武器や防具は壊れて失われてしまう。

 前述のように武器や防具は高いので、壊れないように修理する必要が出てくるのだが、この修理費が(体力の治療費もだが)全回復で一律幾らではなく、減った分を1回復させる毎に幾らという計算で請求されるので、治療費も含めてとにかく出費がかさむ。

ここまでをまとめると本作では、モンスターはお金を落とさない、なのに物価は高い、しかも戦えば戦うほど出費もかさむという最悪の状態だ。

 ちなみに本作のゲーム開始時の所持金は9,000Gと、一般的なRPGと比べて破格の金額に設定されているが、ここまでの話を考えればこれだけの額でもあっという間に底をつくことは容易に想像できるだろう。ではこの状況をどうやって脱出すれば良いのか、それについては2つの方法がある。

二つのお金を稼ぐ方法

 まず1つは、確かにモンスターはお金を落とさないのだが、あるお城で「ライセンス」というものを発行してもらうと以後モンスターはお金の代わりに「牙」を落とすようになる。

 この牙はお城に持っていくと1本50Gで換金してくれるので、これがお金の代わりになるのだ。しかし序盤のモンスターは倒しても精々1〜3本くらいしか落としてくれないので、牙だけで生計を立てようとしても治療費や修理費を賄えず結局詰む。

 もう1つについてだが、ここまでずっと「モンスターは」お金を落とさないと言ってきた。これは言い方を変えれば「モンスターじゃないやつ」はお金を持っているという事だ。

 モンスターじゃないやつ、そうそれは「人間」だ。本作のフィールド上では、モンスター以外にも旅人、商人、盗賊、聖騎士などの人間に遭遇する場合がある。この人間たちを襲い倒す事で、手っ取り早く直にお金を手に入れることができるのだ。

当然デメリットもある

 ただし、世界を救うために旅立った勇者が、あろうことかモンスターではなく人間に襲いかかるような暴挙が許されるわけなどなく、人間を襲った場合は前述の「知名度」というパラメータが大きく下がってしまう。

 ところが人間でも属性が悪に該当する「盗賊」と「悪徳商人」は、倒すと逆に知名度も上がるようになっており、特に悪徳商人は2000Gもの大金を落とすので積極的に襲う事で、財政難からの脱出が可能となっている。

 このように、本作はお金稼ぎの手段という点に置いては、人間を襲うのがメインでモンスターを襲うのはサブというRPGでも珍しい特徴を持っていたと言える。

この殺伐さは「夢幻の心臓」を思い出させるものがあるのうw

1+1が2にならない?仲間を探すと損するRPG

よくあるRPGの仲間システム

 本作はRPGにはつきものの「仲間」についても、非常に特徴的なものがあった。と、ここでまた「ドラゴンクエストⅡ」を思い出して欲しい。

主人公であるローレシアの王子は、仲間となるサマルトリアの王子と、行方不明になっていたムーンブルグの王女を見つけ出すことで三人パーティになる。

 この作品は仲間が増える事で戦力は1+1=2、2+1=3と増えていき、さらに魔法が使えない主人公に対し、仲間の2人は魔法剣士と魔法の専門家なので、仲間が増えることで出来ることも増える。つまり1+1が2以上に、2+1が3以上になるゲームシステムであった。

 従ってドラクエⅡであれば、仲間は早い段階で見つけた方が絶対に得なのである。まあこれは「ドラクエⅡが」という話ではなく、一般的なパーティ制のRPGに多く当てはまる話であろう。

1+1が2にならない理由

 話を本作に戻すが、本作も主人公が旅の中で仲間を1人また1人と見つけていき、最終的に四人パーティとなる作品なのだが、前述したパーティシステムとは真逆で、1+1=2にならないうえに(2以上になるという事ではない)、早い段階で仲間を見つけると得どころか損になるというゲームシステムだったのである。

 なぜそうなるのかという点について、ここから話していこう。まず何故仲間が増えても1+1=2にならないのかだが、それは戦闘システムに理由がある。

 本作の戦闘シーンは一応ターン制なのだが非常に特殊で、例えパーティメンバーが何人いたとしてもそのターンに攻撃出来るキャラクターは一人だけであり、そのキャラクターが敵に攻撃するとそれと同時に敵の反撃を受ける(攻撃していないキャラクターは反撃を受けない)というシステムなのだ。

 1回のターンで攻撃できるのは1人だけなのだから、何人パーティだろうが1ターンで敵に与えられるダメージは1人分なのである。

 また本作には魔法や特殊能力というような概念も存在せず、仲間は悪い言い方をすればみんな主人公の劣化コピーでしかない為、仲間が増えても出来ることが増えるわけでもない。

 従って仲間が増えても1+1=2にはならず1+1=1のままなので、本作では仲間を早く見つけても「意味がない」という事は伝わった思う。

早く仲間にすると損になる理由

 では意味がないどころか「損をする」というのはどういう事だろうか。これは先程の戦闘システムの中にある経験値取得の仕組みに理由がある。

 先程のドラクエⅡにしてもそうだが、一般的なパーティ制のRPGでは戦闘終了後に、倒した敵の分だけ経験値が全員に入る(トータルの経験値をメンバー人数で分配するものもある)というのが普通である。

 一方で本作では、戦闘中にキャラクターが敵を攻撃した直後に、攻撃したキャラクターのみに経験値が入るという仕様になっている。つまり主人公1人なら1人分の経験値を稼げば良いだけなのだが、仲間が2人になってしまったら2人分の経験値を稼がなければいけなくなるのだ。

ただこれはターン毎に攻撃するキャラクターをローテーションさせる方法をとれば、前述のトータル経験値を分配するタイプという見方もできるので「損」というほどの仕様ではない。では何故「損」と言ってしまえるのか。

 それは、仲間が参入したときのレベルは、参入時の主人公のレベルと同じになる、という本作の仕様があるからだ。

 つまり主人公のレベルが低いうちに仲間を増やすと、増やした人数分の経験値も稼がなければならないが、主人公のレベルを最大(多分18)までの上げてから仲間を増やせば、仲間は最初から最大レベルで参入するのでそれ以上経験値を稼ぐ必要がなくなるのである。

では仲間は必要ないのか?

 仲間を増やしても戦力的に変わらない、しかも主人公のレベルを最大にしておけば、仲間の経験値稼ぎは必要ない。となれば、急いで仲間を見つけるのは「意味がない」どころか「損」だということがわかってもらえると思う。

 では本作において「仲間」は不要なのか?というと、そんなことはない。まあ仲間を全員見つけないとゲームがクリアできないので不要ではないが、それだけでなく実用面でもちゃんと仲間が存在する意味はある。それは「継戦能力」だ。

 ゲーム中盤以降は、体力も攻撃力も高い敵が登場してくるので主人公1人では倒しきれない場合もある。

 例えば主人公1人だと8回攻撃しても倒しきれずに、逆に反撃ダメージで主人公が死んでしまうような強い相手でも、仲間4人で攻撃をローテーションさせれば同じく8回の攻撃しても、各々は2回分ずつしか反撃ダメージを受けないので誰も死ぬことがないのだ。

 さらに1人で何度も攻撃していると、戦闘中に武器防具の耐久力が0になり壊れる場合もある。それについても、攻撃をローテーションさせることで、それぞれの武器防具が壊れるのを遅らせることができる。

 つまり仲間が増えるほどに、強い敵に対する継戦能力が上がるという事になり、これが本作における仲間の存在意義なのである。

おかしな言い方にかもしれんが、本作の仲間は1+1=2にはならないものの、1+1=1+1にはなる、と言って良いシステムなのかも知れんのう

《まとめ》「特徴」か「欠点」か

欠点ではなく工画堂スタジオの特徴だ

 というわけで《まとめ》としては、本作にはゲーム開始直後は隣に何があるかもわからないフィールド画面、モンスターがお金を落とさないのに物価も高いし出費も多い、そして旅の仲間は見つけ出しても1+1が2にならないし、早く見つけも損するばかり、というように一般的なRPGと比較して非常に個性的な特徴があった。

 ただそれだけ聞くと、これは作品の「特徴」ではなく「欠点」ではないか?と考えてしまうかもしれない。

実際にこういうことを「欠点」としてあげている人もおるし、そう考えていた時期がわし自身にもあったのも事実じゃ

 しかしここまで説明してきたように、これらの事にはそうである理由やそれに対しての対策がちゃんと用意されており、かつこれらが原因でゲームが破綻してしまったり、つまらなくなっている訳でも無い。それでいて強く印象に残るのだから、これらは決して失敗した点ではなく、他のRPGとの差別化が図られ、それに成功した立派な「特徴」だと言える。

 工画堂スタジオのRPGは「コズミックソルジャー」にしても「サイキックウォー」にしても、また本作や「アルギースの翼」にしても、必ずその頃の一般的なRPGのフォーマットに迎合せず、あえて差別化を図ったシステムや表現を取り入れている。

 そのシステムへのとっつき難さはあるかも知れないが、そのシステムがゲームを破綻させるような存在にまでは至っていないのが「工画堂スタジオの力」と言えるのではないだろうか。

本作は1コインの幕の内弁当?

 では逆に「特徴」ではなく「問題点」はあるのか?という話になると正直そこまで酷いものはない。敢えて挙げるとするならば、全体的なボリューム不足感と、プレイ時間の殆どを経験値とお金を稼ぐ事に費やすという点だろうか。

 ゲームボリュームとしては、全体マップの半分くらいでもいいのでもう一つ別のマップ(敵の本拠地とか)があれば良かったかなとも思う。

 ただし、そうなればそうなったできっと別の問題も出てくるだろう。例えばこの作品をひとつの幕の内弁当と考えた時に、これに対して器だけを大きくしようとすれば中身がスカスカになり、具を多くしようとすればご飯が足りなくなり、ご飯を多くすれば今度はおかずが足りなくなる。

 つまりマップだけ増やしても、それに応じた新しい敵やイベント、装備やアイテムも増やさなければスカスカになってしまう。要はバランスだ。

 そう考えると、本作は「ウルティマ」などのように器もご飯もおかずも多い大作幕の内弁当ではないものの、最小限の範囲できっちりと纏まったワンコインの幕の内弁当という感じがした。

 それは決して悪口ではなく、やや物足りなさはあってもその分、一度食べ終わってもまた食べたくなる「気安さ」をこの「覇邪の封印」という作品から感じたという事である。

大作RPGはもちろん満足感があるが、じゃあまた最初から遊ぼうかとなると意外と「重く」感じる事もあるからのう

遊びたくなったら?

 現在、覇邪の封印が遊べる環境としては「ProjectEGG」にて、PC-88版、X1版、FM-7版、MSX版、そしてファミリーコンピュータ版があり、購入して遊ぶことが出来ます(ただしソフトの費用とは別に月額会費が必要)。

≫EXIT

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コメント

  1. 名無しの冒険者 より:

    覇邪の封印、懐かしいなぁ
    布製のマップに付属のフィギュアを置いて、プレイした記憶アリ。
    クリアは、・・したと思う。

  2. おひ☆ より:

    始めまして。
    バラデュークで検索していて、こちらのサイトにたどり着きました。
    面白そうなお話が多いので、ゆっくり読ませていただきます。
    覇邪の封印は、かれこれ30年ほど前の高校時代。
    友達にMSX版を借りてクリアした懐かしい思い出のゲーム。
    クリアすれば認定証のような物がもらえましたが
    その友達はクリアできなかったため、応募ハガキを私にくれました。
    何ていい人なんだ!
    後、マークⅢ版もクリアしました。
    BGMの評判は結構良かったですよね。
    でも内容は殆ど忘れました…

  3. 名無しの冒険者 より:

    丁寧な解説で面白かったです。
    昔の16bit以前のPCは実物を見たことも無いですが、工画堂のRPGはファミコンでは珍しそうな多数のグラフィックとアイコンを用いた画面構成などで今見ても興味をそそられます。
    ファミコンの貝獣物語を中古で買ってMAP無しノーヒントで遊んでたので、似た印象を持ったこれもプロジェクトEGGで遊びたいですね、今度こそMAP見ながら。
    ところで「光」画堂という社内ブランドを私は知らないのですが、個性が光る紹介だからこのブログでは文字を変えてるのでしょうか。

    • songoski songoski より:

      >>1
      >面白かったです。
      ありがとうございます。頑張った甲斐があります!
      >画面構成
      この頃の「工」画堂スタジオの作品は、RPGっぽい画面構成からわざと外している感じがあって非常に独特でしたね。それでもなかなか面白いので、是非遊んでみてください。
      >「光」画堂
      修正しました光画堂だと、究極超人あ~るになっちゃいますね。ご指摘ありがとうございました。

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