現在ライブドアブログより移行作業中です。

『ラプラスの魔』TRPG「クトゥルフの呼び声」をイメージしたホラーRPG。

勇者の塔 2F
No.0002

今回は当時は結構珍しかったホラーRPG、ハミングバードソフトの「ラプラスの魔」を案内するぞい。

今じゃメジャーになった「クトゥルフ神話」を取り扱った作品らしいわね。楽しみ!

この記事は以前公開したものを再編集、書き足しを行った「改装版」です。

ラプラスの魔の基本情報と概要

本作の基本情報

タイトルラプラスの魔
シリーズゴーストハンターシリーズ
ジャンルホラーRPG
発売年1987年
発売元ハミングバードソフト
開発元ハミングバードソフト
発売機種PC-8801、MSX2、PC-9801、X68000など
前作なし
後作パラケルススの魔剣
※使用している画像は指定が無い限りPC-88版のものです

本作の概要

本作「ラプラスの魔」は、アメリカマサチューセッツ州の片田舎の街「ニューカム」にある幽霊屋敷で発生した怪事件の謎を解くという事が目的で、プレイヤーは怪事件や怪奇現象に挑む《ゴーストハンター》となり幽霊屋敷を探索し、屋敷に巣食う怪物と戦いつつキャラクターを成長させながら、幽霊屋敷の謎を解きつつエンディングを目指すRPGである。

本作は1920年代の現実世界が舞台であり、選択できる職業や使用する武器などに現実的なものが用意されていたり、幽霊屋敷が主な舞台になるホラーRPGということで、探索中に様々な怪奇現象に遭遇したり、幽霊や骸骨、ゾンビなど不気味な怪物と戦うなど、非常に「雰囲気」を感じさせる作品であった。

またシステム的にもTRPGをベースにしたような、能力値とスキルによる行動判定を盛り込んでおり、また「発狂」などという恐ろしい状態異常や、ちょっと他にはない特殊なお金稼ぎ方法があるなど、当時では全体的に「異色」と言っていいRPGであった。

今じゃホラー要素のあるRPGも珍しくないけど、当時はどうだったの?

ホラー要素のあるゲームは多少あったが、ホラーRPGでしかもここまで本格的な作品というのは珍しかったのう。あとRPGではないが、「Produce」というホラーSLGが同年にあったのう

ラプラスの魔のストーリー

アメリカは東部、マサチューセッツ州に一画にその街はあった。
ニューカム。かつては漁港の街としてにぎわったこともあったのだが、いまはなぜか活気がない。街並に何かどんよりとした重苦しい雰囲気が感じられる。

そんな192X年の、ある冬の寒い日のこと、住人たちは見知らぬ男の来訪を知った。細面の東洋系の顔だちは、それ自体東部のこの田舎では人目を引いたが、男のたずねまわっている場所を耳にして、人々はますます口を開きたがらなかった。

ウェザートップ館のことだって?

街のはずれに建つこの館の住人は、以前から街とあまりつきあいがなく、近頃はその住人もどこへ去ったのか、荒れ果てた無人の館と化していた。しかし、その無人のはずの館に何か奇妙なものがいるという噂もある。
真顔でこうした話を聞き回り、街の小さな図書館で何か古い文献を漁っていた青年は、ある日、大きな荷物を背負って、その館の方へと消えていった。

人々がそうした出来事を忘れかけていた矢先、恐るべき事件が起こった。”幽霊屋敷を探検に行くんだ”と、親の叱言もきかずに、出かけていった腕白ざかりの子供たちが、館のすぐ外で惨殺体となって発見されたのだ。群の保安官たちの捜索により、犯人はこの館で雨露をしのいでいた浮浪者か変質者のしわざだろうということになったが、それにしては死因に妙な点がありすぎた。

死体はバラバラにされたり、無残にくいちぎられたりしていたが、その歯形はとても人間のものとは思えない。いや、動物とすら思えないのだ。また、死体に付着していた奇妙な粘液を分析した検屍官も、ただ首をひねるばかりだった。

幽霊屋敷に殺された?!

この怪事件はたちまち新聞やラジオで報じられ、物見高い連中がいっとき館に押し寄せた。
しかし、白日の下、警察の再捜査によっても新たな手がかりは発見できず、やがて押し寄せた人々は潮のひくごとく散っていった…。
館は以前に戻った。と、同時に街に戻ってきたものもある。どんよりとした無気味な雰囲気。そして、目つきの鋭い何人かの人々。彼らこそ<ゴーストハンター>と呼ばれる者たちである。彼らは、ニューカムの街で用意を整えると、誰にも知られることなく、ウェザートップ館に向かった。

図書館では、その彼らにも知られずに一冊の本が眠っていた。単なる古い本だが、そこにはあの東洋人の筆跡で、ただひとこと、こうした書き込みがあった<ラプラスの魔>と。

現代風キャラクターメイキング

本作「ラプラスの魔」では、最大4人パーティて冒険を行うことになるのだが決まった主人公は存在しない為、ゲームを始める前にプレイヤーが操作するキャラクターを最低でも1人は作成する必要があった(他のメンバーの作成やメンバーの入れ替えは後からでも可能)。

また本作の舞台は一般的なRPGでよく見るファンタジーやSFの世界ではなく、1920年代の現実世界のアメリカが舞台となっているため、キャラクターメイキングについても他のRPGとは一線を画すものになっていた。

キャラクターの作成

キャラクター作成にあたり、まずプレイヤーは作りたいキャラクターの名前と誕生日、そして性別を設定する。すると画面にランダムで設定された能力値とボーナスポイントが表示されるので、ボーナスポイントを各能力に自由に振り分けてキャラクターを作る。

本作の能力値は他のRPGではなかなか見ないものが多いので、以下にその名称と役割を表記する。

体力物理戦闘の命中力、攻撃力、回避力
分析力探索などの成功する力
意志力精神攻撃や精神罠に耐える力
知覚力精神攻撃の成功や罠を発見する力
魅力交渉や尋問に成功する力

各能力値の最大値は18までで、レベルアップ時に+1〜-1で変動する。また能力値が11であれば+1、18ならば+8というように内部でボーナス値が設定されており、このボーナス値はその能力値が影響する判定や効果に加算される

職業の決定

キャラクターの能力値を設定すると、その能力値によって就ける職業が画面上に表示されるので好きな職業を選択するのだが、本作は現実世界が舞台ということで就ける職業もまた他のRPGでは中々見かけないものになっていた。

選択できる職業とその特色、そして職業に就ける条件は以下の通り。

科学者科学の力で戦う職業で、機械を使う事で擬似的な精神攻撃が唯一可能。また治療箱を使った生命力回復も得意。条件は分析力と意志力が10程度。
ジャーナリストカメラを使っての写真撮影ができる唯一の職業で、交渉や探索も得意とする。実は本作でお金を稼げる唯一の職業でもある。条件は体力と分析力、魅力が10程度。
探偵剣、銃、素手、あらゆる戦闘に特化した職業。降伏した相手からアイテムなどを奪える「尋問」を唯一使用可能。条件は体力と意志力が10程度。
ディレッタント好事家。霊能力以外なら大抵なんでもこなせるオールマイティな職業。ヒントとなる情報を探し出す謎解きを唯一使える。条件は分析力と知覚力が10程度。
霊能者所謂「霊能力」に特化した職業で、精神攻撃や精神捜索、精神移動などの精神系スキルを唯一使用可能。条件は知覚力が12以上、魅力が10程度。

本作の職業については、それぞれ出来ること出来ないこと、得意なこと不得意なことの差が大きく、さまざまな場面で色々な職業の能力が必要になってくるので、同じ職業を同パーティ内に2名以上入れるのは、特別な目的がない限り円滑なゲーム進行の妨げになる恐れがあると言えよう。

スキルの取得

職業の選択をすると、ランダムでキャラクターがいくつかのスキルを習得する場合がある(全くしない場合もある)。この「スキル」という存在は本作において非常に重要なもので、攻略の要と言っても過言ではない。このスキルとその役割については以下の通り。

武器(剣)ナイフ、斧、サーベルなど近接武器のダメージ、及び攻撃回数に影響する。
武器(銃)レボルバー、ライフル、ショットガンなど遠隔武器のダメージ、及び攻撃回数に影響する。
格闘素手による攻撃時のダメージ、及び攻撃回数に影響する。
捜索仕掛けられた罠、隠された扉やアイテムなどを発見する成功率に影響する。
謎解き図書館でのヒントの発見や鑑定の成功、冒険中の手掛かりを得る行動に影響する。
医療手当医療箱を使った際の生命力の回復量や、毒の治療成功率に影響する。
心理治療護符を使った際の精神力の回復量に影響する。
交渉遭遇相手との戦闘を回避して、かつ情報を得る成功率に影響する。
尋問戦闘中に降伏してきた相手から、情報やアイテムを得る成功率に影響する。
精神戦闘精神攻撃を実行した際の命中率、及びダメージ量に影響する。
精神捜索仕掛けられた罠、隠された扉やアイテムなどを発見する成功率に影響する。
精神移動五芒星を利用した転移時の消費精神力などに影響する。
写真写真機を使っての写真撮影の成功率に影響する。
機械機械による精神攻撃を実行した際の命中率、及びダメージ量に影響する。

キャラクター作成時に取得できなかったスキルについては、ニューカムの街にある「占師の館」で取得することが可能だが、その場合は有料となりお金あるいは経験値を支払う必要がある。スキルには1〜9までのレベルがあり、レベルが高いほど能力も高いが、支払う対価もまた大きくなった。

またスキルにはある職業でしか取得できないものや、ある職業で優遇されるものがあり、優遇されるスキルの場合、取得にかかる対価が通常の半分になる。

それにしても、能力値、職業、スキル、どれを取っても一般的なRPGじゃ見かけないものばかりね…

恐らくこの作品に触れていなかったら、ディレッタントなんて言葉、一生耳にしなかったじゃろうな、わしw

経験を積ませる?

能力値へのボーナスポイントの配分と職業の選択を行うと、キャラクターの作成については一旦の終了となり、いくつか追加の能力値やステータスが決定される。ここで「登録する」を選ぶことで作成したキャラクターをセーブできるのだが、登録した時点で決定するステータスもある。

運が絡む要素(逃走や物品の破損、クリティカルヒットなど)に影響する能力値
年齢キャラクター作成時は15歳。年齢が高くなると能力値が下がりやすくなり、老衰することもある。
レベルキャラクター作成時は1。経験値を一定値貯める事で「占師の館」で1上げることができる。
経験値キャラクター作成時は0。戦闘やイベントこなすと増えていく。
所持金キャラクター作成時は30ドル(本作の通貨単位はドル)。
生命力一般的なRPGのHPに該当するもので、0になると死亡。
精神力一般的なRPGのMPに該当するもので、0になると発狂。
顔のグラフィック。自分では決められず、年齢に合わせた顔になる。

本作ではここで「経験を積む」という選択をすることもでき、これを実行するとキャラクターが少し歳を取ってしまうが、能力値、所持金、スキルがランダムで変動する(しない事もあるが)。また「経験を積む」ことは何度も実行可能なので、繰り返せば最初から多少強い状態でゲームを始める事ができる。

ただし能力値や所持金は下がる場合もあり、経験を積む選択後に結果が悪くても元に戻すことは出来ず。またキャラクターが高齢なると、能力値が下がりやすくなるほか、最悪の場合には事故や老衰でキャラクターがゲームを始める前に死亡してしまう事もあるので注意が必要である。

ラプラスの魔のシステムと特徴

冒険の拠点はニューカムの街

キャラクターを作成してパーティを組んだら、いよいよ冒険の開始となるが、まず始めに本作「ラプラスの魔」のゲーム画面についての説明をしておく。画面は大きく4つのエリアに分かれており、それぞれの役割は以下の通りである。

パーティ表示エリア。現在パーティを組んでいるメンバーの名前と職業、顔グラフィック、生命力ゲージ(緑)、精神力ゲージ(青)が表示される。状態異常になるとゲージの色が変わる。
メイン画面。街では街や施設のグラフィック、売買する商品の一覧や取得できるスキルの一覧などが表示され、幽霊屋敷では館内の様子が擬似3Dで表示されるほか、イベントグラフィックなども表示される。
コマンド表示エリア。Enterキーを押した時やキャンプ時のコマンドの一覧が表示される。また戦闘中は敵やメンバーの情報、使用できるアイテムが表示されるなど多目的に利用される。
メッセージ表示エリア。ゲーム中の様々な情報が表示されるほか、何かしらの入力が必要な場合はここで入力する。

そして本作での冒険の拠点となるのは、噂の「幽霊屋敷」がある「ニューカムの街」で、プレイヤーはまずこの街のさまざまな施設を利用して準備を整えてから、目的となる幽霊屋敷への探索へと向かうのだ。ニューカムの街にある施設は以下の通り。

ホテルパーティメンバーの編成、キャラクターの作成、ゲームのセーブが行えるほか、写真の買取もしてくれる。
酒場お酒を購入しての情報収集やNPCの雇用ができるほか、ギャンブル(ブラックジャック)もできる。
武器屋剣や銃、弾丸や防弾チョッキなど、戦闘に関わる物品の売買が可能。
道具屋写真機や機械、医療箱や護符、フィルムなど冒険で使用する様々な道具の売買が行える。
占師の店キャラクターのレベルアップや新たなスキルの取得、スキルのレベルアップが行える。
図書館ゲーム進行に関するヒントの購入や、冒険中に入手したアイテムの鑑定を依頼できる。
教会冒険で減少した生命力や精神力の回復、キャラクターの様々な状態異常の治療が行える。
幽霊屋敷冒険の舞台となる「ウェザートップ館」。

注意する点として「教会」では生命力と精神力の回復をなんと「無料」で全回復してくれるのだが、回復時に稀にだが歳をとってしまう場合があるので高齢キャラやキャラクターに歳を取らせたくない場合は注意が必要になる。

便利だけど歳を取っちゃうんじゃ、おちおち利用できないわね…

恐らく歳を取る判定は、回復量じゃなく回復する毎にランダムでという仕組みだと思うんで、ちょっと減っているくらいならアイテムで回復させるのも手かのう?

ちなみに酒場でできるブラックジャックは所詮は片田舎の酒場という事か、賭け金の上限が20ドルまでしか設定できないので頑張っても一攫千金というほどは稼げない。

ウェザートップ館での探索

ニューカムの街で準備を終えたら、冒険の舞台となる「幽霊屋敷(ウェザートップ館)」に挑むことになる。幽霊屋敷での操作やコマンドについては以下の通り。

通常状態での操作コマンドメニューキャンプメニュー
8キー前進、またはドアを空けて前進。キャンプキャンプメニューを開く。眠る仮眠をとって精神力の回復を図る。
4キー左を向く。調べる情報やアイテム・罠を探す。ステータス各キャラクターのステータスを確認する。
6キー右を向く。罠を外す見つけた罠を解除する。アイテムアイテムの準備、使用、受け渡しを行う。
2キー後ろに下がる。取る見つけたアイテムを入手する。別れるメンバーをパーティから除外する。
Enterコマンドメニューを開く。動かす目の前にあるものを動かす。
話す目の前の対象と会話を試みる。

幽霊屋敷の内部には様々な家具や調度品、そして外壁には窓などが配置されており、屋敷内を探索しているとメイン画面にそれらのグラフィックが表示される。

ここでコマンドメニューを開き、何かしらのアクションを実行することで、行動に応じたリアクション(アイテムの発見、怪物の出現など)が帰ってくる場合もある。またこちらが何もアクションしなくても、突然何か(幽霊など)が現れる場所もあるのだが、そういう場合はイベントの可能性が高く、コマンドから「話す」を実行することで重要な情報を聞けたり、アイテムを入手できたりもする。

しかし家具や調度品に対してアクションを行う事が「トラップ」になっている場所もあり、ピアノが突然音が鳴りだす、食器が動きだす、絵画が叫ぶなど怪奇現象が起こり、それによって精神力ダメージを受けたりもするのでアクションを実行するのも中々に怖かったりする。また通路やドアの入り口などに、本当のトラップ(吊り天井や落とし穴など)が仕掛けられている場所もあって、これらは事前に発見して解除すると経験値がもらえた。

コマンドからのアクションには、実行するキャラクターの能力値(ボーナス値)、該当するスキルのレベルによる「成功/失敗」判定があるので、誰にどういったアクションをさせるのが適切なのか、そしてそれを考慮した上での必要な能力値の成長、スキルの獲得と上昇を考えて進めるのが、本作をプレイするうえで重要となってくる。

モノクロのイベントグラフィックが、ホラーって感じで良い雰囲気を醸し出してるわね

リアルな絵柄じゃなく、古い小説の挿絵っぽいのが、探索で記録された手記って感じでバッチグーじゃ

恐ろしい怪物との戦闘

幽霊屋敷では決まった場所、あるいは歩くごとのランダム判定で怪物と遭遇し戦闘になる。怪物はいかにも幽霊屋敷に住み着いていそうなネズミや蝙蝠、大蜘蛛やら、スケルトン、グール、ゾンビ、ゴーストなど非現実的なものまで様々で、複数体かつ複数種類現れる場合があり、数が多いと前列、後列と隊列を組んで現れる。

戦闘に関するコマンドは以下の通り。

全体コマンド
戦う戦闘を行う。個別コマンドへ進む。
逃げる戦闘からの逃走を試みる。
降伏相手に降伏を申し入れる。
話す敵に対話を持ちかける。
尋問降伏してきた相手を尋問する。
個別コマンド
通常攻撃近接武器、銃器、素手で相手の生命力にダメージを与える戦闘を行う。銃器は一回毎に弾薬を消費し、ショットガンは一回で複数に攻撃も可能。
精神攻撃霊能者のみが実行可能で、精神力を消費して相手の精神力にダメージを与える戦闘を行う。敵単体/全体へ攻撃可能。
防御姿勢相手からの通常攻撃に対する防御を行う。
精神防御相手からの精神攻撃に対する防御を行う。全職業可能。
アイテムカメラや機械、医療箱など様々なアイテムを使用する。

戦闘はターン制で、各ターンの最初に全体コマンドから行動を決定、「戦う」を選んだ場合は各キャラクター事に個別コマンドから、個々の行動を選択する。全員選択し終わると敵味方全員で順番に(意思力順?)コマンドを実行していく。全員が実行し終えたらターン終了、敵(あるいは味方)が全滅していなければ全体コマンドに戻るという流れである。

個別コマンドの補足として、通常攻撃は近接武器や素手の場合は、敵の前列にしか攻撃できないがダメージに体力のボーナス値が乗る。一方で銃器は前/後列に攻撃可能だがダメージに体力のボーナス値が乗らないという特性がある。

精神攻撃は選択時に「ポイント」を設定することができ、ポイントは高いほど相手への精神ダメージが高くなるが、自身が消費する精神力も大きくなる。また科学者はアイテムから「機械」を使う事で擬似的な精神攻撃が可能で、精神力は消費しないが機械のバッテリーを消耗する。

戦闘に関して注意すべき点は、敵には通常攻撃が効かない、または精神攻撃が効かないという敵もいるという点、そして戦闘中に武器やアイテム(機械やカメラ)が突然壊れてしまう事がある(能力値の運によるらしい)という点だ。特に武器は壊れると以後素手で戦うことになり戦力が大幅に落ちるので、余裕があれば探偵に格闘スキルを覚えさせたり、予備の武器も携帯するなどしておきたい。

戦闘の役割としては、体力の高い探偵が近接戦闘でメインアタッカー、ディレッタントが銃器でサブアタッカー、霊能者と科学者が精神攻撃担当ってとこじゃな

あれ、ジャーナリストは?

…撮影担当。

戦闘は基本的に全ての敵を倒すことで終了となり、倒した敵の種類と数により経験値が計算され、それを生き残ったメンバーで分配するのだが、全ての敵を倒していなくても敵が「降伏」してくる場合があり、その場合は「尋問」する事でボーナス経験値に加えて情報やアイテムなどを獲得できる(ただし成功した場合のみ)
ちなみに戦闘ではもう一つボーナス経験値が貰える手段があるのだが、それについては後述。

ところで言い忘れていたが、一般的なRPGと異なり本作においては戦闘終了時にお金は一切得られない

精神の死、発狂

さて先ほどから「精神ダメージ」という言葉が出てくるが、生命ダメージを受けて生命力が0になるとその対象は「死亡」する。では精神ダメージを受けて精神力が0になるとどうなるのかというと、その対象は「発狂」してしまうのである

「発狂」は本作においては肉体的には生きていても精神的に死んでいる状態であり、こうなると「死亡」とほぼ同じ扱いとなり、全く何も行動出来なくなるため戦闘からは除外される。従って敵を倒すには必ずしも死亡させる必要はなく、発狂させる事でも倒した扱いになるのだ。

ただし、これは死亡と同じくプレイヤーが操作するキャラクターにも適用される。つまりキャラクターの精神力が下がり0になると、そのキャラクターは発狂してしまうのだ。しかも敵と違ってキャラクター側は精神力が下がる機会が多い。

精神力が下がるケース
敵からの精神攻撃を受ける。
精神攻撃を使用する。★
怪奇現象に遭遇し驚く。
精神罠に引っ掛かる。
罠を精神力で解除する。★
味方の精神攻撃のバックファイアを受ける。

上記のような場合にキャラクターの精神力は減らされ、その時点で0になれば発狂する。ちなみに★マークがついているのは霊能者にしか起きないが、それ以外は全ての職業に起こりうるケースである。

特に気をつけなければいけないのは精神攻撃の際で、攻撃時に指定するポイントを設定してそれにより消費する精神力が現在のキャラクターの精神力よりも多かった場合に、本作では丁寧に「精神力が足りない!」なんて警告は表示されずに問答無用で発狂してしまうのだ。また精神攻撃は稀に「バックファイア」という、敵に与えるはずの精神力ダメージが自分または味方に跳ね返る事態が起こる場合もあるので気をつけたい。

特に探偵はレベルアップ時の成長において、生命力は大きく上がるが精神力はあまり上がらない傾向にあるので、こまめな精神力回復を行っておかないと発狂しやすいので注意である。ちなみにキャラクターが発狂すると、

こんな白目をむいた恐ろしい顔に変貌してしまううえ、時間の経過や道具の使用では回復させることもできず、死んだキャラクターと同様に「教会」に連れて行って治療(有料)してもらう以外に救う方法は無くなる。

物理攻撃が無効で、精神攻撃しかしてこないような敵が相手だと、真っ先に探偵が発狂してしまったりするんじゃよな…

肉体的に強いだけじゃ生き残れない世界なのね…

プロマイド写真売りで収入を

先程さらっと本作では戦闘でお金が手に入らないと言ったが、では本作ではどうやってお金を稼ぐのだろうか?その方法は二つある。まず一つは、幽霊屋敷で手に入れた「お宝」を街で売る事。もう一つは怪物の写真を撮影して売る事だ。

お宝については、例えばだが幽霊屋敷一階のある場所では調べるを行うと敵が出現するものの、戦闘後にもう一度調べると街で100ドルで売れる「アミュレット」を手に入れられる。しかもこれは幽霊屋敷を出てから入り直せば何度でも入手することが可能だ。このように隠されているお宝を見つけたり、降伏してきた敵から尋問でお宝を奪ったりして、それを街で売り払いお金を稼ぐのである。

写真の撮影については、本作ではジャーナリストのみ戦闘中にカメラを使って怪物の「写真」を撮ることができ、撮影したその写真はなんとホテルの物好きな人が数十ドル、珍しいものだと数百ドルで買い取ってくれるのだ。ただし撮影に失敗した場合は0ドル、ピンボケだと通常の半値で買い取られてしまう。「写真」スキルのレベルが高いほど、撮影に成功する確率が上昇する。

また当たり前だが撮影には「カメラ」と「フィルム」が必要で、カメラにはグレードがⅠ〜Ⅳまで存在する。グレードⅠのカメラは安いが一枚撮影するたびにカメラを準備(フィルムの装填)する必要があり、2ターンで一枚しか撮影出来ず効率が悪い。一方でグレードⅣになると高価だが、連続で四枚まで撮影できるので非常に効率が良くなる。

実はなんと写真撮影に成功すると戦闘後の獲得経験値にボーナスが付くので、お金と経験値の安定収入のためにもジャーナリストの写真スキルとカメラのグレードを上げることは優先したいところである。

戦闘中に写真撮影って「零~zero~」みたいねw

「零~zero~」が発売されたとき、多分かつてのパソコンキッズは「ラプラスの魔じゃん!」って思ったと思うぞい

幽霊屋敷からの脱出、そして舞台ラプラス城へ

本作では幽霊屋敷に一歩入り込むと、入り口の扉は固く閉じられもう外には出られなくなってしまう。入った瞬間に脱出不可能、これは洋館ものホラーではある意味定番の現象だ。本作をプレイしたことがある人なら、初プレイ時に勢い勇んで幽霊屋敷に突入したものの、出られなくなってウロウロしているうちに怪物に襲われ全滅、という経験をした人もいるのではないだろうか?

Wow! What a mansion!

すごい館だな!

これは本作における最初の「壁」であり、ネタバラしをすると幽霊屋敷の3階にある釣鐘堂の鐘、これを鳴らさなければ入り口の扉は永遠に開かないのである。実は後半で別の脱出方法が見つかるのではあるが、それまでは館を出るために毎回必ずこの鐘を鳴らす作業が必要になる。

なので慣れたプレイヤーは幽霊屋敷に入ったら速攻で三階向かって鐘を鳴らし、脱出手段を確保してからゆっくり館内を探索し始める、というのをルーチンワークで行うようになっていた。

ところで今更なのだが、ここまでずっと「幽霊屋敷」が本作の舞台という感じで話をしてきたが、実はこの幽霊屋敷での探索はある意味で本作の「前哨戦」に過ぎない。なんと館のどこかにある「五芒星」からワープすることで舞台は「ラプラス城」へと移り、このラプラス城の探索からが本作の「本番」と言っても過言ではないのである。

へー、そうなんだ?
で、その「ラプラス城」の画像は?

ありません…実は当時からラプラス城にいけた事がありません。
館の探索でもうギブアップでした(吐血)

マジか…皆さんはラプラス城行けましたか?

原作、安田均。音楽、小坂明子。

では前半の最後は、本作に関わったスタッフの話で締めくくるとしましょう。本作はゲームを立ち上げると、最初に画面に「原作 安田均」、「音楽 小坂明子」とスタッフクレジットが表示された。これは当時のRPGのオープニングでは結構特殊なものだったと思うが、まさにホラーかサスペンス映画を意識した演出だったのだろう。

ここで名前が登場した安田均氏は、海外のテーブルトークRPGの翻訳やオリジナルテーブルトークRPGの製作、またあの「ロードス島戦記」を手がけるなどの活動を行っていた「グループSNE」の創設者であり、日本で80~90年代のファンタジーものに多少なりとも興味を持った人であれば、一度は名前を目にした事があるだろうというくらいの有名人物であり、本作には原作者として携わっていた。

また小坂明子氏は、作詞、作曲、音楽監督なども行っているシンガーソングライターであり、恐らく40代以上の方であれば一度は聞いた事があるであろう「あなた」という曲で非常に有名な方である。様々な作品に携わっていらっしゃるが、個人的には「劇場版 美少女戦士セーラームーンR」の主題歌「Moon Revenge」を作曲された方としてクリティカルにヒットする。

安田氏については、本作のマニュアルに書かれているストーリーになどを読んでも、惹きつけられる文章力は流石「その道の人」だと感じるし、小坂氏の音楽についても世界観にマッチしていてかつ、良い意味でゲームミュージックらしからぬ良曲が多いのが素晴らしい。ちなみに本作を手がけた「ハミングバードソフト」は、安田均氏(グループSNE)としては後に「ロードス島戦記」のコンピュータRPG版で、小坂明子氏とは「アグニの石」というアドベンチャーゲームでまた関わっている。

安田均さんが関わってるのもそうだけど、小坂明子さんが音楽を担当してるってのも改めて驚くわよね

80年代後半は、そういうアーティストの方がゲーム製作に参加するケースが出始めてきた時代じゃのう

コーヒーブレイク!

といわけで、ここまででラプラスの魔の概要と主な特徴は終了じゃ。この後は、本作で特に気になった部分についての話がまだ続くんで、ここで一旦休憩しておくと良いぞ

一旦休憩!

9

コメント

  1. 名無しの冒険者 より:

    >クトゥルフ神話由来の魔物
    グール、ビャーキー、ディープワンは名前だけ同じでなく、まんまの奴が出たと思う。
    敢えて名は秘しますが、ラスボスが思いっきりクトゥルフ神話の旧支配者だったはず。

  2. あきら より:

    力の入った記事、お疲れさまでした!
    自分はやったことがありませんが、けっこう有名なゲームですよね。
    当時のゲームは何度も失敗してやり直すのが当たり前でしたから、先を急いではいけないのでしょう。
    いろいろやっていくうちに、やり方がつかめていくという感じでしょうか。
    写真を撮って売るとか、怖いイベントで正気を失うとか、ホラーっぽい雰囲気とかは魅力的ですね。

  3. etc. より:

    >ラプラスのま”
    ゲームの舞台として、RPGというと中世欧州(正確には中世代ではないけど)の雰囲気が通常だった当時、近現代に時代背景をあてたのはかなり珍しいと思います。
    また、クトゥルフ神話をモチーフとするのですから…時代は下り「名状し難いモノ」が「美少女(?)」として降臨するのをみると、なんだかなぁと思うおっさんです。
    個人的にハミングバードソフトの作風は、モズ・シバット氏の影響が強いのかSF的なものだと思っていいたので、RPGにオカルト的なものを持ってきたのは妙にマッチしていた感じです。
    原作・原案安田均氏と制作ハミングバードソフトとの繋がりは、レビューでも記載されている「ロードス島戦記PC版」に受け継がれているので、このような流れも注目できるかと思います。

  4. ボンジョビ(本人) より:

    回復を行うと年を取ってしまう・・・ウィザーなんとかの冒険者の宿を思い出しますなっ
    所持金だけ奪われて冒険に出られない捨てキャラ・・・なんとかドリィのギルガメッシュの酒場を思い出しますなっ

  5. マーフィ大尉 より:

    “安田 均氏”、“ホラーゲーム”とくると隠者の塔でも紹介されている『ネクロノミコン』を思い出します。
    『ネクロノミコン』が発売された頃、安田さんが「意外と良く出来たクトゥルーもの」と書いていて
    「安田さんもエロゲーやるんだ」とびっくりしたものです。
    さて『ラプラスの魔』に関しては私も序盤で投げ出したクチです。
    当時は基本、購入したゲームは全てクリアしていたのでよっぽど合わなかったようです。
    この紹介文を読んだ今だったらもっと楽しめたかも。
    それにしてもこのサイトを拝見しているとクラシックゲームがやりたくなって困ったものですw

  6. ソンゴスキー より:

    >>1
    ご指摘ありがとうございます。グールはまあ元々伝承由来ではありますが、ビャーキー、ディープワンって登場するんですね。PCエンジン版にはいるって情報は見かけましたが、PC版にも出るとは知りませんでした。
    とりあえず文面のほうは直しておきました。

  7. ソンゴスキー より:

    >>2
    >けっこう有名なゲーム
    その昔「ラブプラス」ってゲームが登場したときに、多くの古のゲーマーがラプラスの魔を思い出したくらいには有名なゲームかもですw
    本作は、人間関係と同じでじっくり付き合っていかないと、その良さがわかりにくいタイプのゲームなんだとおもいます。

  8. ソンゴスキー より:

    >>3
    >かなり珍しいと思います
    ファンタジーでもSFでもなく、三国志やら戦国でもない、かといって西部開拓時代でもない1920年代のアメリカってのが、本当に珍しかったので私も興味をもった記憶があります。
    >モズ・シバット
    アビスシリーズですね。帝王の涙を当時TAKERUで買いましたw

  9. ソンゴスキー より:

    >>4
    紹介ではパクリっぽい言い方になるかなと思って言いませんでしたが、結構いろいろな部分でもウィザー○リィっぽい仕組みが用意されてましたね。やはり影響は受けていると思います。

  10. ソンゴスキー より:

    >>5
    >安田さんもエロゲーやるんだ
    確かにエロゲーではありましたが、『ネクロノミコン』はホラーADVに無理矢理エロを織り交ぜた感もありますからね。クトゥルーものとして触れたくなるのも凄くわかります。
    >序盤で投げ出したクチ
    やった仲間だ!w
    >このサイトを拝見しているとクラシックゲームがやりたくなって
    「計画通り」(夜神月スマイル)

  11. etc. より:

    >追加で失礼します。
    レビューを拝読して興味が湧いたので「EGG」のサイトへ。
    「ラプラスの魔」の続編として「パラケルススの魔剣」が出ているのですね。
    キャラクターのビジュアルに大きな変化が!
    時代の流れは凄いですね。

  12. ソンゴスキー より:

    >>11
    パラケルススの魔剣は、ラプラスの魔から6年後のストーリーらしいですが、現実でもリアルにラプラスの魔から7年後に発売されてますからね。この時代の7年の進歩はかなりのものですw

  13. もののふ より:

    実は3DOで、ゴーストハンターTRPGのリプレイを原作にしたゲーム、「黒き死の館」が発売されていて、そのゲームのゾンビ役にグループSNEのメンバーが実写で出演してるという…ゲームとしては、RPGよりアドベンチャーよりの、一本道ストーリーで原作を知っていれば、買ったその日にクリアしてしまえるという、ある意味プレイヤーの精神にダメージを与えるゲームでしたw

    • songoski songoski より:

      コメントありがとうございます。
      >ゾンビ役にグループSNEのメンバーが実写で出演してるという…
      そういうスタッフ出演作品って結構ありましたよねw
      記憶に残っているのはプレステ版「鉄拳」のキングのエンディングで、キングの周りではしゃいでいる実写の子供が製作スタッフの実写映像を無理やり小さくして子供のように見せていたとか。
      >ある意味プレイヤーの精神にダメージ
      あとお財布にもダメージデカいですねw

PVアクセスランキング

PVアクセスランキング にほんブログ村

タイトルとURLをコピーしました