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『オールドヴィレッジストーリー』 なんかどうみても「イー○」に見えちゃうAVG

賢者の塔63F/No.0208

発売年:1988年
開発元:エニックス
ジャンル:フィールド探索型AVG
発売機種:PC-88、PC-98

≫ENTER

いらっしゃいませ!

なんでもそうだと思うんじゃが…

ある会社のある商品が非常に客に受けて多く売れたとする。

そうなるとその商品はそのジャンルのスタンダードとなって、他社もそれを真似し始める。ゲームでもドラクエがヒットしたら、各社が似たタイプのRPGを、PSOやモンハンなどの狩りゲーがヒットすれば次々と各社が狩りゲーを、無双タイプのアクションゲームなんかもそうじゃな。

わしはゲームの発展のためにも、そういうのはあっても良いと思うんじゃ。許せないのは、スタンダードになった作品を越えて新たなスタンダードになろうという意欲が無い、ただ見た目だけ真似してキャラを挿げ替えただけの「劣化コピー品」を作ることじゃ。

そういうのは発展どころか衰退に繋がるからの。

ところで、1987年にある会社からアクションRPGが発売され、これが大ヒットした。そしてこの作品はアクションRPGのスタンダードとなり、他社からもこれを真似した作品が登場したのじゃが、当時わしがこれそのアクションRPGを間違いなく真似たじゃろ?と思った作品が2つあったんじゃ。

今回紹介するのは、そのうちの1つじゃな。

では中に入るがよい、賢者の塔 FLOOR 63 じゃ!

本記事を読み進める前に…

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「オールドヴィレッジストーリー」とは?

「オールドヴィレッジストーリー」は1988年に「エニックス」から発売されたAVGで、ファ・ラルーという国の平和な村に住む「シオン」という普通の青年が、ファ・ラルー国の王位継承に関わる騒動に巻き込まれるという物語になっており、プレイヤーはこの青年シオンを操り、次々と起こる問題を解決していくことになる。

本作は、AVGでありながら画面がまるでフィールド探索型のアクションRPGのようなものになっていること、またAVGでありながら「コマンドの実行」という概念が殆ど存在しないということなどが大きな特徴となっており、画面をぱっと見ただけでこれがAVGだとは、当時殆どの人が解らなかったであろう。

また本作は、その見た目が某有名アクションRPGにそっくりであったため別の意味では印象に残った作品なのだが、1980年代にパソコンAVGメーカーの雄として知られた「エニックス」の作品にしては、非常に”地味”な印象しかない作品であった。

AVGなのにコマンドの入力も選択も無いの?

システムの説明をする前に、まず何か1つAVG作品を思い出してみて欲しい。

恐らくそれは、画面に絵が一枚表示されていて、画面の下の”ドウスル?”みたいな問いに対し「ミル ツクエ」や「イドウ キタ」というようなコマンドを入力する、あるいは画面の横にあるコマンドの一覧から「話す」や「調べる」などのコマンドを選択するようなタイプではないだろうか?

それが一般的なAVGであると思うのだが、本作はそれらとは大きく異なる。

本作の画面は上からの見下ろし型のフィールド画面となっており、そこに表示された二頭身の主人公シオンをテンキーで上下左右に移動させ、人と会話したいならフィールド上にいるキャラにぶつかる、何かを調べたいなら調べたいものにぶつかることで、それが「話す」や「調べる」コマンドの代わりになるのだ。

つまりAVGなのに”コマンドの実行”という概念が無い、非常に変わったシステムの作品なのである。とはいえ、一応はイベントの中でコマンド選択があるにはあるのだ。しかしそれも殆ど「はい」か「いいえ」レベルの2択で、しかもその頻度は非常に少ない為、コマンド実行の概念は無いといっても差し支えないと言える。

因みに前年の1987年には、本作と似たようなフィールド探索型のAVG「リバイバー(アルシスソフト)」があったのだが、あちらはコマンドの選択肢がかなり多くあり、本作ほどシンプルなシステムではなかった。

シンプルだからといって簡単だと言うわけではない

本作は入力するコマンドを考えたり、選択するコマンドに悩んだりする必要が無く、何かに接触すればその情況に応じた反応が返ってくるので、AVGとしては非常にシンプルのように思える。だがだからといって簡単かと言われれば実はそうでもない、それなりの手ごたえはあった。

まず本作を進める為の重要な要素として「アイテム」の存在がある。アイテムはある条件が整った際に、特定のキャラクターより受け取ることができ、そうすると画面下の複数のリングの中にそのアイテムが表示されるようになるのだが、これは持っているだけでは意味が無いぞ!(某RPG風に)

アイテムはゲーム中に”I”キーを押すことで、持っているアイテムの中から好きなものをシオンの手に持たせることができる。そしてこのアイテムを持った状態にしてから、それが必要な場所に行かないとゲームは進行しない。

しかしそのアイテムは基本的に何の役に立つものなのかは解らないので、それを推理して臨機応変に持ち帰る必要があるのだ。

またそういったアイテムを貰えたりゲームを進行させるために必要な、一般的なAVGでもお馴染みの「フラグ立て」だが、これも本作はちょっと厳し目に作られている。普通に考えれば、これとこの情報さえ手に入れればもうゲームを進行しても問題ないと思えるような情況でも、必要なフラグを複数きっちり立てていかないと進行できない箇所が本作には多くある。

しかもまったく話と関係無いような人がフラグを持っていたりして、それが見つからずに四苦八苦する場面もあった。AVGらしくない見た目の作品だが、その辺は非常にAVGらしかったと言える。

フィールドは広大!しかしそれが…

ゲームを始めると最初は「テップルの村」から始まり、その後主人公シオンは村から「カーズの町」に向かうことになる。

普通のAVGであれば、移動コマンド的なもので移動先を指定すれば移動できるものだが、本作は見た目どおりのフィールド探索型であるため、村を出ると広大な森のフィールドに切り替り、その中をカーズの町目指して移動するというかたちになる。

テップルの村からカーズの町に行くだけなら一本道なので迷いはしないものの、ゲーム進行のためには後で何度もこの森に来なければならず、しかも奥深くに進まなければならない。さらにこの森フィールドは広いだけでなく森の中の道が複雑でしっかり覚えていないとすぐ迷ってしまうほどなのだ。

こういう広いフィールドは、最初見たときは「おお、広い!」と感嘆の声を上げてしまうものだが、ゲーム中に何度も来るとなると徐々に億劫になってくるものだ。

しかも本作はAVGであり、先ほども言ったように誰が持っているか解らないようなフラグを幾つも立てて進めなければいけないのだから、正解がわからないうちはこの森の中を本当に何度も行き来しなければならず、これがとても辛い。

普通のAVGの移動なら「移動>○○へ」でだけで済む話なのに…。

さらにこの森以外にも本作に登場するフィールドは、メーカーのサービス精神なのか普通のアクションRPG並みかそれ以上のフィールドの広さを持っている。

それだけにゲーム中の”移動”にかかるウェイトは非常に大きかったといえるだろう。ただ森に関して言えば一応の救済措置的なものはあって、森の中には木で通れないように見えて、実は通り抜けられる箇所が幾つもあり、それを利用すれば大幅なショートカットが可能になっているのだ。

というかぶっちゃけこの抜け道がなかったら、ストレスがヤバいレベルである。

KEY POINT

余談だが、本作にはヒロインとしてシオンの幼馴染の女の子が登場する。

彼女の名前は「リサリサ」というのだが…どこかで聞いた名前のような気がしないだろうか?そしてゲームの最初にシオンが向かう町の名前は「カーズの町」である。これも聞いたような気がしないだろうか?

どうやら開発スタッフが「ジョジョの奇妙な冒険」のファンだったらしく、ちょうど当時「週刊少年ジャンプ」で連載していたジョジョの第二部から拝借したらしい。

ちなみに「ジョジョ」という名前もどこかに出そうとしたが、それは流石に悪ノリが過ぎるとボツになったとの事。

ゲーム最初にシオンがカーズの町に向かうとなったとき、リサリサに「私も連れて行って!」とせがまれるシーンがあるのだが、そこで「危ないから止めておけ!」と思ったのは私だけではないだろう。

ちなみに彼女はタバコは吸わない(当たり前だ

非常にゆったりで地味、でもそれを伝えたかったのだとしたら…

1980年代後半になると、パソコンAVGは謎解きよりも「ストーリー性」が表に出てくるようになった。そういう点で、本作のストーリー性について話をすると、よく言えば非常にゆったりしていて穏やか、悪く言えば盛り上がりに欠けていて地味だったと言える。

ゲーム全体に、ドキドキしたりハラハラしたりするシーンがほとんど無く、一応ラスボス的存在もいるのだが、この当時のAVGのラストシーンに比べると、かなりあっさりしている。

ゲーム中に選択ミスでゲームオーバーになる場面はごく一部で、フラグの立て間違えでクリア不可能になるような箇所も無い。そしてストーリーもゆったりしていて派手なところが少ないので、何の緊張感も無くプレイヤーは本作をプレイすることになる。

そう聞くとAVGとしては失敗作?と考えてしまいそうなのだが、果たしてそうなのだろうか?

実は本作は、1985年にアメリカで放送された、「ストーリーテラー」という童話をベースにしたテレビドラマをモチーフにして製作されているらしい。なるほどそう考えれば、本作の中に漂うゆったり感にも妙に納得が行くような気がする。

特にゲーム中でまるでドラゴンのような強大な魚「ナム」と出会うシーンがあるのだが、別に彼と戦うでもなく、のっそりと覗き込むようにして現れた彼から、困っていることを相談されるシーンなどは、実に童話的であるといえるだろう。

意図してハラハラドキドキする展開を狙ってこういう作品になったのなら、それは失敗といえるかもしれない。だが、最初からこういう世界を表現しようと狙っていたのなら、それは製作側の目論みとしては成功していたといえるだろう。この時期のハラハラドキドキする内容ばかりのAVGへの1つの「アンチテーゼ」だったのかもしれない。

最後に。

さてどうじゃったかの?

もう皆わかってくれたと思うのじゃが、本作ははっきり言ってしまうと日本ファルコムの「イース」 から戦闘を取り除いた作品、じゃな。

見おろし方の画面構成、フィールドや町の建物の描き方、アイテムの表現など、画面下にあるのがHPゲージじゃなくてアイテム一覧っていうのを除けば、素人目ならイースと見間違っても仕方ないくらいじゃ。
(しかも主人公が若干赤毛気味だったり…)

そのイースと比べると、村や町の建物の中がちゃんとフィールド化されていたり、イベント時に挿絵が多くはさまれるなど頑張って差別化しようとしている部分はあるのじゃが、フィールド探索型でありながら移動が遅く、スクロールが非常にぎこちない(SHIFTキーを押すと若干高速で動けるが、スクロールすると非常に遅くなる)。

さらに建物に入ったときの長い読み込みなど、イースに比べてストレスを感じる部分が多くあったのう。

まあ実際はこの時期の作品として、イースが出来すぎていたというのが正しいのじゃがな。他のメーカーのフィールド探索型のゲームなんかも、本作と似たようなもんじゃったし。ただ同じエニックスから前年に発売された「ガンダーラ」よりも本作のほうがスクロールがぎこちない気がするんじゃがのう…。

さて最後にじゃが、本作のように何かに似てる印象のある作品は、割と後々でも記憶に残っているものなのじゃが、本作についてはあまり当時の記憶が残っていなかったんじゃ。

それはなぜかと考えたんじゃが、この時期のエニックスは、1987年にジーザス、ウィングマンスペシャル、1988年にはアンジェラス、バーニングポイントと「パソコンAVGの雄」の名に相応しいタイトルが出ておったので、本作はそれらの影に隠れてしまっていたんじゃろうな。

意図的にゆったりした作品にしたという本作じゃが、これらのタイトルに挟まれていたのでは製作側が考えていた以上に、わしを含め当時のプレイヤー達の目には地味に映ってしまった…ということじゃろうかのう?

≫EXIT

お疲れ様でした!

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