闘士の塔35F/No.0166
発売年:1984年
開発元:ハドソン
ジャンル:ステージクリア型ACT
発売機種:PC-88、FM-7、MZ-1500など
※指定の無い画像はすべてPC-88版です
≫ENTER
いらっしゃいませ!
いきなりですが「ゲーム」というのは、プレイヤーが「操作」して遊ぶものが普通ですよね?
「映像」というのは再生さえできてしまえば、あとは鑑賞して内容を楽しむだけですが、「ゲーム」というのはプレイヤーの「操作」が無ければゲームとして楽しむことは出来ません。それは単に「映像」と一緒ですからね。
つまり「ゲーム」と「操作」は非常に重要な関係であり、この関係が崩れてしまえば例え内容が良質でもゲームとしては「いまいち」という結果になってしまったりもします。
今回はそういうお話かもしれません。
本記事を読み進める前に…
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「マリオブラザーズ」とは

さて今回紹介する「パンチボールマリオブラザーズ」という作品をあなたはご存知でしょうか?「スーパーマリオブラザーズ」や「マリオブラザーズ」なら知ってる人も多いでしょうが、パ、パンチボール?なんじゃいそれ?って感じの人が殆どではないでしょうか。
本作は1993年に任天堂よりファミリーコンピューター(以下ファミコン)、およびアーケード用に発売された「マリオブラザーズ」をパソコン用にアレンジ移植した作品なのですが、まず本作の説明の前にオリジナルの「マリオブラザーズ」について簡単に説明しておきましょう。
「マリオブラザーズ」は配管工である主人公「マリオ」および「ルイージ」を操作して、土管の中から現れる敵(亀や蟹、巨大なハエ)を床を下からジャンプして殴り、ひっくり返ったところに体当たりして退治していき画面上にいいる全ての敵を退治すればラウンドクリアというゲームで、なにより2人同時プレイが可能だったことがゲーム性を高くしていた作品でした(主に協力よりも妨害で熱くなるw)。
余談ですが私は当時ファミコンを購入した際に同時にこのゲームも購入し、兄とゲラゲラ笑いながらお互いを邪魔するプレイを楽しんでいましたw
「パンチボールマリオブラザーズ」とは

そして「パンチボールマリオブラザーズ」についてですが、本作は「マリオブラザース」発売の翌年1984年に「デゼニランド」や「サラダの国のトマト姫」などで有名な「ハドソン」によりパソコンに移植されました。
プレイヤーがマリオやルイージを操作して、土管から出てくる亀や蟹などを退治してラウンドクリアしていくゲームという点では「マリオブラザーズ」と一緒なのですが、大きく違っていた部分がありました。
それが敵を倒すための手段、そしてタイトルにもなっている「パンチボール」だったんです。
ちなみにパンチボールというのは、空気を入れた大きな風船にゴムひもをくくりつけて、それを叩いて戻ってきたところを続けてばいんばいんと叩くおもちゃの事らしく、我々にも馴染み深いもので言えば縁日の水風船ですかね。
そしてこのパンチボールを本作ではどうするのかというと、敵に投げつけます (まあそれしか無いわなw
本作では床を下からジャンプして殴っても敵をひっくり返すことが出来ず、このパンチボールをぶつけることで敵をひっくり返し、その後体当たりをすることで退治できるというシステムになっていました。
パンチボールは計画的に

プレイヤーがボタンを押すとマリオ(ルイージ)はパンチボールを向いている方向に投げつけます。
投げられたボールは少し飛んでから地面に落ち、さらにちょっとだけ転がってから止まります。この手から離れてボールが地面で止まるまでの間に敵がいた場合にはその敵をひっくり返すことが出来、さらにボールは貫通するので敵が並んでいれば一気にひっくり返すことも可能です(それに連続で体当たりすると高得点)。
しかし実際のパンチボールとは違い、ボールは手から離れても戻ってくることはありませんし、新しいボールが手元に出現するようなこともありません。投げたボールは自分で拾いに行かないといけないのです。
本作では下から殴って敵をひっくり返すことが出来ないので、ボールを投げてから拾いに行くまでは攻撃手段がありませんw
その間に敵に近づかれたら、ひたすらジャンプで逃げてボールを拾いにいくしかないんです。なので考えなしにボールを投げるのは控えなければいけません。
因みに画面中央にある「POW」は下からジャンプして殴ることで、画面上の敵を一気にひっくり返すことができるボール以外唯一の攻撃手段ですが、3回までしか使用できないうえにラウンドクリアしても回復しない(数ラウンド毎にあるボーナスステージクリア後のみ回復する)のでご利用は計画的にということになります。
ボーナスステージ

先ほどちょっと話しましたが、本作にはマリオブラザーズと同じく「ボーナスステージ」というものが数ステージごとに存在します。ボーナスステージでは敵が一切登場せず、画面上に10枚のコインが配置されているので、それを制限時間内に全てとることが目的でした。
コインを10枚取るかタイムオーバーになると、今まで取ったコインの数によりボーナス特典が入り、さらに10枚全て取ることができていたら「パーフェクトボーナス」としてさらに高得点を得ることが出来ます。
コインを取ることが出来なかったことによるペナルティは存在せず、また画面中央の土管もボーナスステージには存在しないのでミスになることもありません。
それだけなら比較的簡単なようにも思えるのですが、実は本作のちょっと特殊な操作方法というか「ルール」により、思うように行かなくなることがあります。そしてそれこそが本作のゲームバランスを、
著しく破壊している要因なのです。
操作方法が混乱する

ここまで「ボタンを押してジャンプ」「ボタンを押してボールを投げる」というちょっとボカした説明をしてきたと思うのですが、これはワザとで実はここが今回の大問題となる箇所なんですよ。
どういうことかというと、なんと本作では
ジャンプとボールを投げるのは同じボタンなんです。
(゚Д゚)…ハァ?
ええ、わかります。誰だってそういう顔になりますよね。そして次に「え?じゃあボールを投げるのと同時にジャンプしちゃうって事?」って考えると思うんですよ。でもそれだったらまだ良かったんです。
本作に1個しかないボタンの使い分けは、実は以下のようになっていたんです。
ボールを投げる…レバーをニュートラル状態でボタンを押す
ジャンプする…レバーを左右どちらかに入れながらボタンを押す
(゚Д゚;ノ)ノェェエエエエ工
驚いたでしょう?つまりレバーを入力しているがいないかで、ボタンによる操作がジャンプかボールを投げるか変わるんです。これがまた非常にやりにくいっ!!例えば、後ろから敵が来ている、よしボールを投げよう!反対にレバー入れてからボタンを押すっ!
ぴょ~ん♪(ジャンプwww)

予期せぬジャンプをするだけならまだしも、意図しないジャンプ>敵を超えられずに衝突>1ミスというコンボも多発します。
また操作方法上「真上へのジャンプが不可」であるため、画面中央のPOWを殴るのにも横から走ってジャンプしないとボールを投げるだけでジャンプが出来ません。
この不思議な操作に慣れないとまったく思うように動かすことができず、ボーナスステージでも上手くコインが取れない、ジャンプのつもりが飛ばない(ボーナスステージはボールを持ってないのでレバーニュートラルでボタンをしても何も反応しない)などがありかなりプレイにストレスがたまります。
なんでジャンプとボールのボタンを分けなかったハドソン!
本作はまあファミコン版に比べたら動きがもっさりしているところはあるものの、ゲームとしてはファミコン版に近い楽しさ、またボールで戦うという違った楽しさが味わえる(二人同時プレイでの協力や妨害を含め)がんばってる作品なのに、この操作方法のせいでなかなか楽しみを味わうことが出来ないのです。
最後に。
この時代はまだ「レバー+ボタン1つ」だけで遊ぶゲームというのも確かに多く存在はしてましたが、別々の役割を持つボタンを使い分けて遊ぶゲームもありました。出来ないことでは無かったはずなのに、なのになんでこういう仕様にしてしまったのかと。
それさえ出来ていれば良作だっただろうに、そう思わずにはいられません。無闇にボタンが多すぎるゲームも難儀ではありますが、無理やり少なくすればいいというわけでもない。ゲームは操作性というものと、非常に重要な関係にあるんでしょうね。
≫EXIT
お疲れ様でした!

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コメント
ゲームデザインは難しいということがよくわかります……。
完成されたモノになにかをくっつけたりすると、それはやっぱりうまくいかないんですねえ……移植は苦心惨憺たるものがあったとは思いますけど。
しかしこの頃のハドソンって、本当に色々なことをやってるんですね。
余計なことして、ファンの反感を買う。当時のハドソンはそんなメーカーだったなぁ。移植メーカーがハドソンだと分かるとがっかりしたりして。いいソフト沢山出してたのに、なんであぁだったんだろ?
>Kさん
あるゲームを他の機種に移植しようとしたとき、その性能差や特色により一部仕様を変更するということは良くあった話なんですが、このゲームについてはどういうコンセプトでどういう理由でこうなったのかを開発者に聞いてみたいところですw
>おんちゃんさん
ハドソンの移植作というと、やっぱり「ロードランナー」が真っ先に思いつきますね。アレはコミカルなキャラクターでハドソンの出世作ともなりましたが、昔からのロードランナーファンには「なんで1画面じゃなくした!」っていう余計な変更がありました…。