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『ファンタジー ジェルノアの章』”Fantasy”じゃないです、”Phantasie”です!

勇者の塔 32F
No.0097

発売年:1986年
開発元:スタークラフト
ジャンル:フィールド探索型RPG
発売機種:PC-88、X1、FM-7ほか
※画像はすべてPC88版のものです。

≫ENTER

いらっしゃいませ!

お主は「テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)」というものを知っておるか?

簡単に言えばコンピュータRPGをコンピュータを使わずに紙、ペン、サイコロ、そしてゲームの進行を行う「ゲームマスター(GM)」と「プレイヤー」との会話だけで遊ぶRPGで、「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」などが有名なところじゃな。

1970年代あたりでは海外でも非常にポピュラーなゲームでの、あのコンピュータRPGの始祖とも呼ばれる「ウィザードリィ」も作者がコンピュータ上でD&Dを遊ぶ事を実現する目的で作ったといわれておる。今回はそんなウィザードリィと同じくらい「TRPG」というものを意識しておる作品の紹介じゃ。

では中に入るがよい。勇者の塔 FLOOR 32 じゃ!

※この記事は過去に公開したものを再編集したものです

本記事を読み進める前に…

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概要

「ファンタジー」は、「マイトアンドマジック」シリーズなどで有名な「スタークラフト」から1986年に発売された、見下ろし型のフィールド探索型ファンタジーRPGで、後にシリーズ化し4作目まで作られました。

プレイヤーは、「魔術師二力デマス」とその部下「ブラックナイト」によって侵略された島「ジェルノア」に、富と名声を求めてやってきた冒険者となりジェルノア島での冒険を開始するという内容になっています。

ちなみにスタークラフト社のゲームといえば”海外産のもの”がメインだったので、たまに海外メーカーなのかと勘違いしてしまう事がありますが、スタークラフト社そのものは海外ソフトのローカライズを主に行なっていた日本の企業であり、本作の製作元は「SSI」という会社だったそうです。

本作は非常に「TRPG」を意識して製作されていると思われる箇所がいくつもあり、この”TRPGの雰囲気を味わえる”という事が本作の”売り”と言えるでしょう。ではどういったところがTRPGっぽいのか?それについてこれから説明をしていこうと思います。

キャラクターメイキング

ゲームは最初「主人公も誰もいない」状態で始まるので、まずは冒険に連れて行くキャラクターを自分で作らなければなりません。キャラクターメイクは、街の「ギルド」に行き「冒険者を探す」という体で、種族と職業を指定すると、自動的にキャラクターが作られます(能力値は種族と職業の基本値+ランダム増減)。

種族は人間/エルフ/ドワーフ/ノーム/ハーフリングというお馴染みの5種族から、職業は戦士/モンク/レンジャー/シーフ/プリースト/ウィザードというこれまたお馴染みの6種から選択できます。因みに種族には「ランダム」とうのがあり、これを選ぶとミノタウロスやオーク、ピクシー等のモンスターをプレイキャラにすることが可能でした(何になるかはランダムだが)。

能力値にはSTR(腕力)/INT(知能)/DEX(敏捷)/CON(強靭)/CHA(魅力)/LUC(幸運)の6つがありますが、この中でLUCだけはキャラメイク完了時に完全ランダムで決定されます。

キャラクターを決定すると、決定した職業と能力値によって「スキル」が決定されます。このスキルは戦闘だけでなく、敵の存在や奇襲を感知したり、罠の発見・解除、戦闘後の戦利品の発見などの成功率に影響します。本作では種族や能力値の種類もそうですが、特にこのスキルの存在がTRPGを意識したものであると感じられました(当時はスキル制のコンピュータRPGはそう多くなかった)。

フィールド

キャラクターを6人作成し、準備を整えたらいよいよ冒険の始まりです。

町を出ると見下ろし型のフィールド画面に移行しますが、ウルティマやドラクエ等のフィールド画面とは違い、本作のはグラフィック的に非常にシンプルなフィールド画面に見えると思います。しかも主人公達の姿は画面上ではただの”○”印ですし…。

プレイヤーは、この○印を操作してフィールド上を歩き回ります。フィールドは上下左右にも繋がっており、○印が画面の端から外に出ると画面が切り替って次のフィールドが現れるようになっています。

因みに最初とその左隣のフィールドのみ、最初から全てのフィールドが見えるようになっていますが、それ以降は真っ暗の状態になっており(”未開の地”状態)、進むごとに周辺の様子が見えてくるという仕様です。

フィールドを歩いていると、主人公達を現す○印が”×”印に変化することがあります。これは周囲に何か(町や宿、ダンジョンなど)が存在している事を意味していて、その場合画面の下に状況を説明するメッセージ(「東には小さな町がある」などの説明文)が流れるようになっています。

これらの事から本作のフィールド画面は一般的なRPGのそれとと言うよりも、冒険者達が手にしている地図に実際に歩きながら、見つけたものに×印や記入したり地図を書き足していくというTRPG的な演出なのではないかと思えてしまいます。

ダンジョン

見た目がシンプルなダンジョン

フィールド上にあるダンジョンの入り口から中に入ると、ダンジョン画面に切り替ります。

このダンジョン画面も見下ろし型視点なのですが、フィールド画面以上にシンプルな表現になっており、解りやすくいうと昨今のRPGのオートマッピングされた簡略画面の上を歩くといった感じになります。

最初に入ったダンジョン画面はほぼ真っ暗で、画面には主人公達を現す点とその周囲の壁しか見えません。

ここからプレイヤーが操作してダンジョン内を移動することによって、徐々に画面にダンジョンのマップが描かれていくという仕様になっており、これも紙に手書きで地図を書いていくTRPG的な雰囲気を感じます。

ダンジョン内にはあちこちに罠やお宝などが設置されていますが、NPC(ノンプレイキャラクター)も存在しており、主人公達に情報を教えてくれたりもします。

またメッセージの後、幾つかの選択肢の中から行動を選ぶイベントのようなものもあります。選択の結果により重要な情報やアイテムが得られたり、場合によっては戦闘になってしまったりもするので、プレイヤーにとっての悩みどころと言えます。

TRPG的な状況解説

さて本作において最も「TRPG的」と思えるところが、実はこのダンジョンなのです。

ダンジョンを移動していると、突然「石が崩れかけている古びた廊下」とか「壁の松明に照らされた通路」というようなメッセージが画面に表示されます。これはイベントがあるわけでも、罠があるわけでもありません。単なる”状況説明”です。

現在の表現力豊かなRPGであればそんなものに意味は無いのですが、紙上のマップと会話だけで進行するTRPGにおいてこの”状況説明”というものは非常に重要です。

なにせTRPGではプレイヤー目にダンジョンは見えていないのですから、GMが状況説明をしてプレイヤーのイマジネーションを高めなければいけません。

それと同様に、本作も意味のなさそうなこの”状況説明”メッセージを出すことによって、シンプルなダンジョンでもプレイヤーのイマジネーションを高めてくれているのです。

戦闘

戦闘前の1クッションがTRPG的

フィールド画面やダンジョンでは、移動することでランダムにより敵と遭遇します。

普通のRPGでは敵に遭遇したらすぐ戦闘が始まり、そこから戦うか逃げるか等の選択をしますが、本作で敵と遭遇した場合は、まず戦う/降参を勧める/挨拶する/許しを請う/逃げるのうちどれかを選択することになります。

こういった戦闘前の1クッションも非常にTRPG的です。

もちろん敵に奇襲された場合は、問答無用で戦闘になりますが、逆にこちらが先に敵を見つけた場合(奇襲できる状態)は、奇襲するか無視するかの選択も可能です。役に立つ立たないは別にして、こういう選択肢をプレイヤーに与えるところに非常にこだわりを感じます。

戦闘システムそのものは、普通のターン制で特別なところはありませんでしたが、戦闘のコマンドが突く/攻撃/斬る/突進/魔法/回避とやけに近接攻撃の種類が多く存在し、しかもちゃんとそれぞれ効果が違っていたのが印象的です(斬るはレベルが上がると回数が増えるなど)。

敵を全滅させれば経験値とお金を得ることができますが、この経験値とお金(ダンジョンで入手した宝も)は、どこかの町に戻るまで“まだ誰のものでも無い”状態にあります。

お金と経験値の分配もTRPG的

本作ではなんと無事町に戻ったて初めて、経験値、お金、アイテムを分配できる仕様になっているのです。これも非常にTRPG的です。

因みに経験値とお金の分配については、分配時にパーティメンバー毎に1~3まで”割合”を決めることができます。

何のために?と思うかもしれませんが、これのお陰でレベルアップに必要な経験値が他職より多い職業のキャラクターの割合を毎回多くすることで育成が楽になるのです。

また、本作には死んだ仲間を生き返らせる施設が無いため(魔法はあるが覚えるのが後なので)、ゲーム序盤で死亡者が出てしまったら諦めてキャラクターを作り直し、新人の割合を毎度多くすれば、すぐ他のキャラクターに成長が追いつくのです。これも非常に便利。

さて、本作はここまで説明したように、フィールドを探索してダンジョンを発見し、さらにそのダンジョンを探索して経験値とお金、そして宝物を町に持ち帰って分配、回復やレベルアップ、アイテムの補充などを行って、再びダンジョンの探索に出かける。

こういったサイクルを繰り返して攻略していくゲームということになります。

KEY POINT!

本作には幾つかの町が存在するが、一般的なRPGと違い本作では町中でNPCから情報を得られることは無い。つまりプレイヤーが何を成すべきなのか?次にどこへ行くべきなのか?物語はどうなってるのか?そういった情報は町では得られないのである。

そういったことをプレイヤーに伝えてくれるのが、「スクロール」の存在だ。

このスクロールとは一般的なRPGで言う使用する事で魔法の効果がある道具ではなく、本当にただの巻物なのだ。その中には、舞台となるジェルノア島がなぜこのような状況になったのか、あるいはジェルノア島の歴史的建造物などについての情報が書かれている。

これらのスクロールは全部で20本あり、ジェルノア各地の町で売られていたり、ダンジョン内に隠されていたりする。それらを入手して読むことで、プレイヤーはこの世界の物語と、自分達が向かう場所、そして重要なヒントなどを得ることができるのである。

最後に

さてどうじゃったかの?

若干くどいような説明になったが、本作がかなりTRPGを意識した作品になっていたというのが伝わったじゃろうかの?

わしはこの作品を当時中古で買って結構遊んだのじゃが、スクロールがゲーム進行の指標になるとは気付かず、ただダンジョンと町を行き来してレベルだけ上げてるうちに、疲れて途中で遊ぶのを止めてしまったんじゃよ…。今思えば、もったいないことをしたのう。

あとこの作品について印象に残っておるのは”ゲームパッケージ”じゃな。この当時のゲームパッケージは、薄い長方形の箱というのが基本だったのじゃが、この作品はなぜか薄い正方形の箱(5インチデスクがギリギリ入るくらい)じゃった。これが珍しくて非常に印象に残っておる。

そうじゃそうじゃ、一つ大事なことを言っておかねばならん。本作のタイトルは「ファンタジー」なのじゃが…、

英字表記では「FANTASY」ではなく「PHANTASIE」じゃ!
ではまた次のフロアで会おう。

≫EXIT

お疲れ様でした!

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