本記事は、2011年7月26日に公開したものをリメイクしたものです。
元帥の塔10F/No.0051
≫ENTER
いらっしゃいませ!
管理人じゃ。
謎の妖精よ。
綺麗な薔薇には棘がある!
どうしたの急に?
綺麗な見た目に釣られて不用意に手を出してしまうと、とんでもないしっぺ返しを食らう。今回紹介するのは、まさにそういうゲームなんじゃよ…
しっぺ返しは食らいたくないけど、綺麗な見た目の作品ってのには興味あるわね?
ではお主も釣られて入ってみるがよい、元帥の塔10Fじゃ!
釣られねえよ?
本記事を読み進める前に…
本記事を読み進める前に、以下の点についてご了承願います。
- 当ブログで掲載している画像の、著作権または肖像権等は各権利所有者に帰属致します。もし掲載に問題等御座いましたらご連絡下さい。迅速に対応を取らせて頂きます。
- 筆者は本作品において、100%の知識と十分なプレイ経験を持っているとは限りません。誤りがある部分については、コメントにて優しくご指摘よろしくお願いします。
- 記事に書かれている内容についてはあくまで投稿時の状況や筆者の認識であり、現在の状況や筆者の認識と必ずしも同じではない場合があります。ご了承ください。
本記事はこんな人向けです
ちなみに本記事には、こんな人向けに書いてるそうです
- 「パワードール」という作品を知らない。
- 「パワードール」は名前くらいしか知らない。
- 「パワードール」は知っているが内容は忘れた。
尚、本記事は2011年7月26日に公開したものをリメイクしたものとなっておるぞい
「パワードール」とは
「パワードール」は、1994年に工画堂スタジオより主にPC-9801やFM TOWNSなどで発売された、”SF戦術シミュレーションRPG”です。
約100年かけて地球から惑星「オムニ」に移住した人々と、後からやって来てそれを支配しようと侵攻を始めた地球政府軍との間に起きた”独立戦争”を描いた作品で、プレイヤーはオムニ軍の人間となって地球軍を相手に熾烈な戦いを繰り広げていきます。
本作の大きな特徴として、”プレイヤーが美女だらけの機械化特殊部隊「DoLLS」を指揮して戦うことができる”というものがあり、そういうシチュエーションのせいで”軟派なゲーム”というイメージが持たれがちな作品でした。
しかし戦術シミュレーションRPGとしてはひたすらにシビアで、甘えを許さないその高い難易度により、蓋を開けたら軟派どころかガチの”硬派”だったというギャップが逆に知名度を上げた作品と言えるでしょう。
”オムニ独立戦争”と「DoLLS」
ストーリー(オムニ独立戦争)
西暦2455年、過剰な人類の増加により地球は限界を迎えていた。
しかし300年以上前に地球を旅立った無人探査船から植民可能な惑星「オムニ」発見の通信が入ったことにより、人類は160年の人口冬眠を利用した移民船による惑星オムニへの大移民計画を開始する。
新天地オムニへ移民者たちが到着してから20年後、多くの犠牲と想像を絶する困難と努力によって惑星開発はようやく軌道に乗った。
西暦2532年、移民開始から77年がたった頃、地球ではついに超高速航行技術が現実化。これにより地球政府は植民計画を変更、惑星オムニを自らの管理下に置くため使節団20名と100万人もの兵士を送り込む。
しかし、自らの努力と犠牲によりオムニの大地を勝ち取った移民者たちはこれを拒絶。西暦2535年、ついにオムニの独立戦争が勃発したのであった。
「DoLLS(ドールズ)」とは
戦争する事を前提として最新鋭の兵器で武装した100万もの地球軍と、そんな事は考えてもいなかったオムニ軍とでは、本来ならまともな戦いになるはずもありませんでしたが、意外にも戦況は五分の状態に。
その理由としては、一つに地球軍の兵器が惑星オムニの環境に適さなかったにも関わらず強引に運用していた事、そしてもう一つにオムニ側の率いる特務大隊「第177特務大隊」の存在がありました。
この大隊は、主に惑星開発用パワーローダーを軍事用に転用した”装甲起動歩兵”とその搭乗員によって構成された部隊で、主に山岳や密林で活動する第一中隊、市街地や要塞などの攻略戦を行う第二中隊、そして破壊工作や要人救出などあらゆる任務に即時対応できる第三中隊までが存在しています。
そのうち第三中隊は21名の女性のみで構成された異色の部隊であり、”Detachment of Limited Line Service”の頭文字を取って「DoLLS(ドールズ)」と呼ばれていました。
「パワードール」はこんなゲーム
ではまず最初に、本作「パワードール」はどういう内容のゲームなのかというのを、ゲーム全体の流れを追うような感じで説明していきたいと思います。
尚本作はかなりシステムが複雑であり、かつシナリオによって仕組みが多少変わるるため、シナリオ1をベースにかつシステム部分についてはかなり端折って説明させていただきます。
ゲームモードの選択
まず最初にゲームモードを選択します。
ゲームモードには、まず用意された9つのシナリオを順番に攻略して行く「キャンペーンモード」があり、こちらではシナリオクリア時の状態(キャラクターの成長や装備の状況など)を次のシナリオに引き継げるのが特徴です。
このモードにしか登場しない機体や隊員なんかがあったりするぞい
そして次には、用意された9つのシナリオのうちからひとつだけを選んで攻略する「シナリオモード」があり、こちらは別のシナリオへの状態の引き継ぎはありませんでした。
こっちは練習用のモードって感じかしらね?
作戦プランの立案と部隊編成
さて、ここからが本編です。
作戦プランを決定
まず本作ではプレイするシナリオ毎に達成するべき”作戦目的”というのが決まっており、プレイヤーはゲーム中この目的を達成する事を最も優先させる必要があります。
次にその作戦目的を達成するにあたり最大4つの“作戦プラン”が用意されているので、ここでプレイヤーはプランの中からどれか1つを選択します。
選択したプランによって同じ作戦目的であっても、最初のアプローチ方法が変わったり作戦終了までの制限時間が変更されたりするので、非常に重要な部分と言えるでしょう。
作戦の目的には、ダムの破壊や要人の救出、ポイントの防衛など様々なものが用意されておるぞ
一般的な戦術SLGみたいに、敵を全滅させたり拠点を占拠したりだけじゃないのね…
部隊編成や装備の決定
作戦プランが決定したら作戦目的と作戦プランに基づいて、今度は作戦に動員する部隊の編成、各隊員への機体の割り当てや装備の選択を行います。
また作戦によっては味方を作戦ポイントまで輸送する輸送機の手配や、作戦中に支援攻撃を行わせるための攻撃機及び攻撃車両などの手配も必要になるため、それもここで行います。
うーん、難しそう…
正直ここが好きになれるかが、本作を好きになれるかのポイントじゃと思うぞい
ここまで完了したら、いよいよ作戦開始です!!
戦術マップ上での作成行動
作戦が開始されると、シナリオ毎に用意された戦術マップ上でターン制の戦術シミュレーションモードに切り替わ、1ターン毎に以下のフェーズで進行します。
味方降下フェーズ
ここでは部隊編成時に手配した輸送手段により、各味方ユニットを戦術マップ上の目的地まで輸送する事が可能です。
ただし次ターン以降に途中から参加する部隊が無かったり、作戦によって戦術マップ上での各ユニットの開始位置が固定になるなどの場合は、降下フェーズは行われません。
味方支援フェーズ
ここでは部隊編成時に手配していた攻撃機や攻撃車両による支援攻撃を行うことが可能です。ただし支援攻撃は、指示を出してから規定の時間が経過しないと発生しません。
味方陸戦フェーズ
ここでは降下が完了している味方ユニットに対して、移動・攻撃・索敵・通信・特殊行動(爆薬の設置や要人の捜索など)など様々なコマンドを実行させる事が可能です。
各ユニットにはそれぞれ”AP(行動値)”というものが設定されており、コマンドに個別設定されているAP値を消費する事で、同ターン内にAPの分だけ複数の行動を取る事も可能になっています。
へー!1ターンに何度も行動できるのって珍しい仕様ね?
大抵の戦術SLGだと、1ターンに移動1回攻撃1回が1セットじゃったからのう
本作の特徴として、相手ユニットを攻撃しても反撃してくることが無いので一方的に攻撃が可能ですが、移動した際に敵の射程範囲内に入ると迎撃される場合があり、この場合も同様に反撃する事は不可能になっています。
攻撃(または迎撃)によって被弾したユニットは耐久力が減少していき、耐久が0になったユニットはその場で爆発、その後マップ上から消滅します。
マップから消滅って、味方がやられちゃったら…?
MIA…じゃな?
敵降下・支援・陸戦フェーズ
味方の行動フェーズが終了すると、今度は敵が味方と同様の流れでフェーズを進行していきます。
そして敵の行動フェーズが終了すると1ターンが完了。以降、何らかのかたちで勝敗が決するまでこの流れでターンが繰り返されます。
シナリオクリアとゲームオーバー
目的の達成に関係なくシナリオはクリア扱いに
ターンを繰り返していき、最終的にそのシナリオの作戦目的を無事達成する事ができた場合、その時点で”作成成功”扱いでシナリオクリアとなりますが、味方が全滅したりプレイヤーが撤退命令を出したりした場合でも、”作成失敗”扱いでシナリオクリアとなります。
つまりキャンペーンモードの場合、そのシナリオの作戦に成功しても失敗しても次のシナリオへ進むという事です。
尚、作戦行動中に味方のユニットが戦術マップ上から消滅した場合、搭乗してい隊員はMIA(戦闘中行方不明)扱いとなりますが、キャンペーンモードの場合、人的及び機器的に被った被害も次のシナリオに持ち越されます。
特殊なゲームオーバー
本作では例え作戦に失敗しても、”ゲームオーバー”扱いにはなりませんが、本作にはちゃんとゲームオーバーは存在します。
それは、味方の損害状況などによりこれ以上シナリオプレイが不可能(例えば残りの隊員が一定数を下回るなど)となった場合は、次のシナリオには進まずにその場でゲームオーバーとなってしまいました。
以上、ここまでが本作「パワードール」という作品の”ゲームの流れ”になります。
作戦プランや部隊編成などのほぼ全てをプレイヤーが決める部分や、AP消費制による同ターン内で複数の行動が可能な部分など、当時の一般的な戦術シミュレーションゲームとは差別化されたシステムが光る作品と言えるかもしれませんね。
うん、かなりの”異色作”だったってのも何となくわかったわ
ここが凄いよ「パワードール」
ドキッ!女だらけの第三中隊
さて、最初のストーリーの所で「DoLLS」の存在について説明したとおり、本作にてプレイヤーが率いる「第177特務大隊」の第三中隊は全員が女性隊員で編成された特殊な部隊となっていました。しかも、その全員が超が付くほどの美女や美少女だったのです。
この第三中隊が全員女性なのにはいささか事情があり、表向きの理由は女性の方が最新鋭のパワーローダーの適性が高いなどとも言われていたようですが、実際の理由は厭戦気分を解消するための「アイドル部隊」というのが大きな理由でもあったようですね。
とはいえ、彼女たちの実力は間違いなく本物じゃぞ?
アイドル部隊だからって、弾はよけちゃくれないものね
そしてこの”女性だけのアイドル部隊”という存在は設定上だけののものでなく、現実の部分でも非常に効果は高かったと言えるでしょう。そう、美女・美少女だらけの戦闘部隊を率いることが出来るという”魅力”に多くのプレイヤーが釣られたという効果です。
そこのあなたの事ですよ!先生怒らないから、釣られて買った人は手を上げなさい!
( ´д`)ノ
だって「砂の薔薇(新谷かおる)」とか大好きだったんだもん…
男って…
ゲームの難易度はマジ”硬派”
しかしそんな”軟派な気持ち”でこの作品を手にしたプレイヤーの多くは、このあと手ひどいしっぺ返しを喰らった事でしょう。なにせ本作は”軟派”の皮をかぶった、ゴリゴリの”硬派”作品だったのですから…。
作戦前からもう難しい…
まず本作の全体に言えることなのですがプレイヤーに対するナビゲート的な機能が殆ど存在しない為、1から9まで全部プレイヤー自身で考えて選択・行動しなければいけません。これは良く言えば自由度が高いと言えますが悪く言えば不親切、特にゲーム初心者には致命的に不親切です。
しかも”なんとなく”で適当にやっても”なんか上手く行く”ような難易度ではないので、まず部隊編成の段階から非常に頭を悩ませる必要がありました。
まず部隊編成では出撃させる隊員の能力を見て、能力と作戦中に行わせる役目にあったパワーローダーに搭乗させる必要があります。例えば索敵補正が高い隊員は、作敵に優れたローダーに乗せて周囲の索敵を主な役目にするなどです。
搭乗させるさせるパワーローダーを選んだらその次はローダーに装備させる武装を選択するのですが、ローダーには両肩と両手全部で4カ所に武装を装備可能です。だからといって全部に武装を装備させているとAP(行動力)が低くなり、戦場で思うように行動できなくなります。
当然強力な威力を持つ武装は、APに与える影響も高くなっておるぞ
また機体にも武装にも部隊に配備されている数が決まっているので、誰にも強い機体を与え、全てに強い武器を持たせるという訳にもいきません。さらに作戦によってダムを破壊するための爆弾のように”作戦に必須になる武装”というのもあり、それを誰に持たせるのかも考えなければいけませんでした。
さらにさらに彼女達を作戦のポイントまで輸送する空輸ユニットや、作戦によっては作戦中に支援攻撃を行わせる支援機まで手配しないといけません。本当にもうこれだけで疲れますw
プレイヤーが作戦目的に対して、明確なビジョンを持っていないと適した編成は難しそうね…
前にも言ったが、ここが好きになれるかどうかが本作を好きになれるかのポイントじゃと思うぞい
作戦が始まってもやっぱり厳しい…
なんとか頑張って部隊編成を終えてようやく作戦開始!となっても、先ほどの”ナビゲート的な機能が殆ど存在しない”という部分がプレイヤーに重くのしかかってきます。
要は部隊編成と同じで、シナリオで達成すべき目的は明確だが、それに対して”具体的にどうすればよいのか?”のナビゲートが無く、それをプレイヤーは指令書から自身の力で読み解き、それを行動として現わさなければいけないという訳ですね。
近年のシミュレーションRPGを遊んだことがある人は思い出してほしいんじゃが、大抵シナリオが始まると、”こいつを倒せ”とか”ここに侵入しろ”みたいなことを誰かが説明してくれるもんなんじゃよ
そういうのが本作には無いと…
しかも戦場には敵ユニットがいて当然こちらの行動を妨害してくるわけですから、難しい作戦に応じて行動を考えつつ、遭遇した敵にも適時対応していかなければいけない訳で、これは結構”シビア”な状況でしょう。
そして仮に頑張って何とか”目的は達成できた”としましょう。ところがシナリオによっては目標達成だけでなく、そのうえで”指定された時間までに迎えに来た味方と合流する”なんてのが指令に含まれている場合もあります。
そうなると味方との合流時間も考慮したうえで作戦を進めていかないといけない訳で、それだけでもシビアなのにもし味方との合流に遅れてしまうと(多少猶予はあるが)最悪味方部隊が全員MIA(作戦行動中行方不明)という目に合う場合も…。
ひえっ!
…って事は、合流時間は出来るだけ遅くした方が安全なの?
合流時間が遅いとその分長く戦場に居続けなければならないというリスクも生まれるんで、必ずしもそうとは言い切れんのう…
そして作戦行動の中で最もシビアなのは、言うまでもなく戦闘についてです。
本作に登場するユニットは”敵味方共に”そこまで耐久力が高くありません。攻撃が当たりさえすれば、ちょっとの集中砲火であっさり撃墜できます(当然相手にもよる)、ですがそれは味方ユニットも同様なのです。
特に敵のアルゴリズムは本当に容赦がなく、ちょっとでも突出したりするような行動をしようものならガンガン集中砲火を浴びせてきます。しかも本作の武装は結構射撃範囲が広いので、索敵を怠ると見えない場所から一方的に蹂躙されることになるでしょう。
そしてさっきも言ったようにユニットの耐久力は高くないので、集中攻撃されるとあっさり撃墜されます。しかも某スパロボのようにやられても「すまん、脱出する!」とマップから消え、シナリオ終了後に修理代だけ払って難なく復帰、とはいきません。
作戦行動中に撃墜された隊員たちは”MIA(戦闘中行方不明)”となり、キャンペーンモードの場合は最悪以降のシナリオに二度と登場しなくなります。しかも、本作には、味方の被ったダメージを回復する手段が全く用意されていません。
つまりプレイヤーの”甘え”をまったく許すつもりがないんです。
可愛い女の子のビジュアルに釣られて本作を購入した私のような人間には、その女の子たちが自分の行動によって容赦なく失われていくのが本当にキツイんじゃ…
それはちょっと同情するわね…
従って戦力をむやみに分散させず、慎重に索敵を行いながら敵を1機ずつ確実に撃破して行く。そしてあくまで作戦目的の遂行を第一とし、不要な戦いは避けて逃げるときは逃げる。そういった戦術シミュレーションの基礎に忠実に従う事が、大切な彼女達を生き残らせる道になると言えるでしょう。
本当にとにかくシビアで、軟派見た目とは裏腹に「硬派」なゲームでした。
鍵を握るのはAPの成長
ではゲーム内容紹介の最後に、本作攻略の鍵を握る要素と言っても過言ではない”AP値”についてちょっと説明しておきましょう。
機体のAP補正値と武装の負荷値
この「パワードール」という作品は、1つのユニットが同ターン内に複数の行動を取る事が可能で、一般的な戦術SLGではまず不可能な、移動、攻撃、また移動というヒット&アウェイ戦法すらも可能でした。そして、こういった自由自在な行動をする為に重要になるのが、ユニット毎に設定された”AP値”の存在です。
この値はまず隊員の初期AP値と、搭乗するパワーローダーによる補正値で決まりますが、ここから装備する武装のAP負荷値によってAP値が減少していきます。当然多くの武装を持つと減少値も増え、さらにより強力な武装(大型のミサイルなど)を装備した場合は1つだけでも大きく減少しました。
その為ここまでの話でも度々触れていますが、作戦の中でユニットに行わせる役割によってパワーローダーと装備品をしっかり吟味する必要があります。
APが少なくなり1ターンに行動できる数が大幅に減るのは作戦遂行に支障をきたしますし、特に爆弾の設置(AP20必要)や要人の捜索(AP15必要)など、大量のAPを消費する役割を与えたユニットのAP値がそれを下回ったら全く役に立たないユニットになってしまいますからね。
ちなみに武装は邪魔になったら”除装”というコマンドでパージ可能じゃ!
なるほど、撃ちきったらパージすることでAP負荷が無くなるのね?
AP値(及び補正値)の成長
そしてここが肝心なのですが、実はAP値は増やすことが可能という事でした。その方法はキャンペーンモードに限定されますが、隊員に経験を積ませて成長させることです。
具体的に言うと本作では隊員の能力値毎に”経験値”が設定されており、作戦中それぞれに適した行動(敵を攻撃したり、逆に敵に攻撃されるなど)をさせることで経験値が増えていき、それが一定値まで溜まると補正値が上昇する、つまり成長するのです。
AP値も同様に経験を積ませることで成長しますが、経験値を獲得する条件が1ターンでAPを9割以上消費するというちょっと厳しいものなので、何も行動する事が無いユニットでも極力APを毎ターン限界まで減らすとか、作戦の終了をギリギリまで先延ばしにするなどの工夫が必要になりました。
とはいえこのゲームに慣れるまでは、APの成長はなかなかさせられんじゃろうなぁ…
仲間を失いたくないから、やることやったらさっさと撤退したいもんね
ちなみにAP値を最大まで成長させた場合、その値は50にもなるそうですが…相当根性入れて育成しないとまあ無理でしょうね。その分、やり込み要素がある作品だとも言えるでしょう。
「パワードール」に関する諸々
という訳で「パワードール」という作品に関する説明が一通り終わったところで、ここまでで出てこなかった本作に関するちょっとした話を書いておきます。
- 本作の英語のタイトルは{POWER DoLLS」で部隊名も「DoLLS」と”S”が付いているが、日本語では「パワードール」であり”ズ”は付かないのが正しい。
- 本作は美女だらけの部隊をプレイヤーが率いれることからハーレム感を覚えるかもしれないが、作中にプレイヤーの分身ともいえるキャラクターは明確に存在していない。
- 「DoLLS」の中で最高位である「ハーディ・ニューランド」中佐は隊員の中で唯一、作戦中どんな状態になってもMIAにならず必ず帰還する事から、彼女がプレイヤーの分身ではないかという説がある。
- 本作は後にシリーズ化し様々な続編やリメイク作品が制作されたが、2011年ごろに「Webパワードール」というオンラインのブラウザゲーム版も制作されていた(ただし2014年にサービス終了)。
- また本作をベースにしたOVAとして、「POWER DoLLS -オムニ戦記2540-」と「POWER DoLLS Detachment of Limited Line Service プロジェクトα」が制作されている。
「パワードドール」の個人的感想
さて最後に、本作「パワードール」についての個人的な感想を述べて今回の記事を締めくくろうと思います。
パワードルは酷い作品なのか?
まずここまでで何度か言って来たように筆者は当時、美女だらけの戦闘部隊という見かけの美しさに見事に釣られて購入してしまった人間の1人です。
そしてその勢いで遊んでみたものの、もう最初の部隊編成の所で余りの細かさに面倒くさくなって、もういいやとテキトーに編成して出撃したものの、今度はどう攻略していいのかもよく分からなくなり、またテキトーに動かしていたら…
女の子たちが次々と死んでいきました。
これで「なんじゃこの酷いゲームは!騙された!」みたいな気持ちになって、それでも一度ちゃんと説明書を読もうと思ったのですが、説明書がまた100ページくらいある分厚さで読む気もなくなり、結局もう遊ばなくなってしまいました。
ただ今考えればこれは筆者が間違えていて、買う前にちゃんとゲーム内容を確認しておらず、美女と異様に太腿の太いパワーローダーの見た目しか見ていなかったのが駄目だっただけです。それで買ったゲームが難しいからと、酷いゲームだと文句を言うのは間違ってます。
だって見た目が好みな異性にこちらから接近しておいて、性格が難しい人だったからと「騙された!あいつは酷いやつだ!」とキレて文句を言うのはなんか違いますでしょ?皆さんもそう思いませんか?
それで今回改めてこの「パワードール」という作品に触れてみたところ、確かに細かいし面倒くさいシステムなんですけど、それは裏を返せば本当に細かいところまでしっかり作ってある重厚な戦術SLGなんだと気がつきました。
部隊編成についてもただ漫然と強くしようとしてやってもダメで、作戦の中での役割(ロール)をしっかりイメージして攻撃(迎撃)役なのか、索敵サポート役なのか、特殊任務役なのかを決めれば自然にやるべき事が”見えてくる”んですよね。
ここが見えているのとそうでないのとでは部隊編成の楽しさは段違いに変わります。ただ役割というのは当然シナリオの目的によって変化しますから、そこはトライ&エラーで見直す必要はありますね。
差別化が図られた戦術SLG
シナリオの目的といえば、本作はシナリオ毎に作戦の目的が大きく変わりました。それはダムの破壊、要人の救出、拠点防衛など本当に様々で、その都度それに合わせて部隊編成も攻略法も考え直さなければいけません。
これも非常に面倒くさいんですが、考えてみればこの当時のシミュレーションRPGの殆どは消耗戦からの拠点奪取や、敵を掃討して目的地へ向かうなど似たような目的のものものばかりでした。端的にいえば、如何に敵を倒すかを考えるシミュレーションゲームばかりだったのです。
しかし本作においては毎回全然内容の違う作戦目的があり、当然戦闘は発生しますし如何に敵を倒すかも大事ですが、それより何より大事なのは如何にして作戦の目的を達成させるかなんですよね。面倒くさい部隊編成も敵との戦闘も、あくまでもそのための手段の一つでしかない。
私の好きな漫画「蒼天航路」で孫呉の「張昭」という人物が「戦争は政(まつりごと)の一つでしかない」という台詞を言っています。
本作はこの言葉がイメージとして近いなと筆者は考えていまして、つまり本作は戦闘に勝利するために準備と作戦を手段にするシミュレーションゲームではなく、目的を達成するために準備と戦闘が手段としてあるシミュレーションゲームなんですよ。
そういう意味でも本作は、この時期に存在していた戦術シミュレーションゲーム、シミュレーションRPGと大きく差別化されていた作品だったのだなと、今回改めて感じることが出来ました。
まあSLGとして鬼難しいってのは変わらない感想なんですけどねw
みなさんはこの「パワードール」という作品に、当時見事に釣られてしまいましたか?またどんな感想を持ちましたか?
是非コメントで教えてくださいな
では次のクラシックゲーム紹介記事でお会いしましょう。
遊びたくなったら…
もし今回の記事を読んで「パワードールに触れてみたい」とか、「パワードールをまた遊んでみたい」と思った方は、以下のサイトを参考にしてみてください。
レトロゲーム配信サイト「ProjectEGG」にてPC-9801版が現在配信中。また同じくPC-9801版の「パワードール2」も配信中です。動作環境が最新のOSに対応していない作品もありますが、購入については自己責任でお願いします。
≫EXIT
お疲れ様でした!
今回の記事はどうだったかの?何か感じた事があればどんなことでもコメントに残してくだされ。それと当ブログは以下のブログランキングに参加しておる。クリックして貰えるとわしの「やる気」がめちゃアップするぞい!
いつもバナークリックや拍手していただいて、誠にありがとうございます!
コメント
>パワードールシリーズ…
見た目買い!私もその仲間です。しかし遊んでみると中身は重厚な戦術SLGでなんだこりゃ?
というギャップでいっぱいでした。工画堂スタジオの作品は、癖があり難易度も高いので
作品紹介において「見た目に反して~」が常套句のように使われていた気がします
(別作品だとシュヴァルツシルトⅠは、スタートから厳しい)。
ただ「太平洋の嵐」を遊んでいた人達には「見た目に反して面白い」とも言われていました。
しかしブリーディングの内容で、作戦内容の特性を読取り、適材人員を選抜して兵装を整え
るのはかなり無理がある気も…。ここまでで萎える人々も多かったですね。
準備好き人間(ボドゲ好きに多い?か)には堪らない作品です。
コメントありがとうございます。
>見た目買い!私もその仲間です。
わーい、ナカーマ!w
>中身は重厚な戦術SLG
見た目に釣られてると騙されたという気持ちが強く残ってしまいますが、冷静になって対峙すると当時ではなかなか無いほど重厚な戦術SLGだと気付かされます。
>シュヴァルツシルトⅠはスタートから厳しい
シュヴァルツシルトも遊んでみたいタイトルなんですが、やはり難しいというイメージがあって中々手が出せずにいますw
>ここまでで萎える人々も多かったですね。
いやー、見事に萎えましたね。せめて毎シナリオでおすすめの部隊編成とか用意してくれれば、なんとか頑張れたのかも…
>準備好き人間には堪らない作品です。
本当にそうだと思います。そこにハマるかどうかが、本作を好きになる大きな分水嶺でしょうね。
初代パワードールはヌルゲーでした。膨大な時間かけて第1面で出したユニット全員AP最大値迄育て上げた結果ですが。まあ普通そんな事しないんでしょうけど、何分SLG苦手だったので。いや違いますね。戦争はどんな手段使っても勝たなくてはならないんですよ。(自己正当化)
尚、そのような無能卑劣な指揮官ではパワードールの系譜?的存在のシークエンスパラディウムには全く歯が立たなかった模様。
コメントありがとうございます。
>初代パワードールはヌルゲーでした。
マジですか!まあ確かに本作が好きな人は、最初の数シナリオは「まだ簡単な方」とか言ってたから、そういう方もいるんでしょうね。
>ユニット全員AP最大値迄育て上げた結果
なるほど確かに本作はAP値さえ高ければ、撃ち放題殴り放題ですし、脱出の際も一気に逃げ切れますもんね。とは言え最初のシナリオで50まで上げるのは、やり込みが過ぎますなw
>シークエンスパラディウム
知らないタイトルだったのでぐか^_^ってみましたが、パワードールに比べてキャラクターの育成方面に大きく力を入れている感じですね。難しそう。
ボードSLG末期の生き残りであった私はこのゲームに飛びつきました。
キャラに惹かれた訳じゃないですよ?
……えーっと1割か2割、いや3割か4割はあったかも。
難易度についてもボードSLG(とセガ)が好きな奴なんて重度のマゾですから※暴言
気になりませんでした。
ただ、とあることでこのゲーム(というかシリーズ)に微妙な感想を持っています。
どの雑誌だったか忘れましたがスタッフがインタビュー記事の中で
「このゲームはキャラがメインじゃありませんからっ(キリッ)」と言っていて
(あれだけ美少女を前面に出しておいてそれはないだろう?)と急速に冷めてしまったんですよね。
と言いつつこの記事読んだらまたやりたくなってきた微妙なお年頃(オッサン)。
コメントありがとうございます。 >キャラに惹かれた訳じゃないですよ?
ほんまにぃ〜?
>いや3割か4割はあったかも。
正直でよろしい。
>重度のマゾですから気になりませんでした。
さすが幾多のボードSLGを戦って来た者たちだ、面構えが違う。
>キャラがメインじゃありませんからっ(キリッ)
この発言を好意的に解釈するのであれば、もしこのパワードールという作品がキャラメインなら、もっと隊員とのコミュニケーションパートとかがあったゲームだっただろうって話なのかも知れませんね。
>この記事読んだらまたやりたくなってきた微妙なお年頃(オッサン)
さあ、パワードールをやるのだ!
懐かしいですね、私も半分くらいビジュアルにつられて買いましたが、何が何やらわからず呆然としましたね。マニュアル片手に色々と試行錯誤してやっと遊び方がわかるとその面白さにハマりました。1は装備ポケットが無いので弾薬のやりくりが異常に厳しかったですね。
ある程度やるとスイスイとプランの選択もできるようになり、装備も大体こんなもんやろでそのままクリアとか、プレイヤースキルの向上も実感できました。
1は作戦立案がプラン選択式でまだ楽でしたが、2以降は細部まで決めないと行けなくなったので更に難しくなりましたが、それはそれで面白かった。
でも、2面と3面に異様に難しいミッションを置くのはいかがなものかと思いました(これはシリーズの伝統のようになりましたが)。
コメントありがとうございます。
>私も半分くらいビジュアルにつられて買いました
わーい、仲間だw
>マニュアル片手に色々と試行錯誤してやっと遊び方がわかると
あのマニュアルも当時はなかなかなかった厚さと文字数でしたな…でも頑張って読むとちゃんと身につくような情報が多いんですよね。本当に丁寧な仕事だったと思います。
>2以降は細部まで決めないと行けなくなった
要はメーカー側が1の時点でプレイヤーの教育を実感できていて、それを踏まえたうえで「なら今度はここまでできるだろ?」って言って来てるんでしょうね。
>2面と3面に異様に難しいミッションを置く
カプコンのベルトスクロールアクションでの2面殺しみたいな?w
明日、パワードールシリーズの新作?が出るようで。
https://www.4gamer.net/games/795/G079543/20240513030/
なんかどこかで見たことあるロボデザだなと思ったら、10年以上前にニコニコ動画のゲームサービスで1・2年ほど、webパワードールが配信されてて遊んでた時を思い出しました。
ファミコンウォーズ新作が全く出る気配が無い中、割ととっつきやすいターン制ストラテジーゲームとして期待(同ジャンルはSPWW2のような硬派なやつが多すぎる。)
コメントありがとうございます。
>パワードールシリーズの新作?が出るようで。
そのようですね。私もつい最近知ったのですが、どおりでGoogle検索から「パワードール」でうちに来る人が多くなった訳ですw
>webパワードールが配信されてて遊んでた
ありましたね。個人的にキャラデザがちょっと98版と違ってたので敬遠してしまいましたがw
>割ととっつきやすいターン制ストラテジーゲームとして期待
時間をかけてじっくり遊ぶのも嫌いじゃ無いですが、今の時代に合わせてもっとインスタントに遊べるゲームでもいいですよね。