賢者の塔 50F
No.0164
発売年:1986年
開発元:SPS
ジャンル:コマンド選択式AVG
発売機種:PC-88、FM77など
※指定の無い画像はすべてPC-88版です
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本記事を読み進める前に…
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「リ・バース」とは
「リ・バース」は、1986年に「エス・ピー・エス」(本作以外では「棋太平」という将棋ゲームなどを発売)より発売されたコマンド選択式のホラーアドベンチャーゲームです。この「リ・バース」や「棋太平」というゲームはあまりメジャーといいがたいゲームなのでエス・ピー・エスという会社名は、ある種の人達以外にはピンと来ないかもしれません。
ではピンと来なかった人でもこれを言えばきっと「あー!」と思うでしょう。そう、X68000に「グラディウス」を移植した会社です。
グラディウスだけではなく、電波新聞社と並んでX68000用に多くのアーケードゲームを移植し、X68000の名を世に広げることに貢献した会社ですね。
余談ですがX68000に移植された「ナムコ」のゲームというと、やっぱり「電波新聞社」が移植を担当していたイメージが強いのですが、何気に「リターンオブイシター」とか「メルヘンメイズ」、あと「ワールドスタジアム」などのナムコ作品はSPSが移植担当していたんですね。
記憶喪失な男とホラーな物語
本作でプレイヤーは記憶喪失となった主人公になり、自分の記憶に唯一残っていたある「城」の中に入り、その中で自分が何者なのかを究明する探索を行っていきます。
本作のジャンルは「ホラー」なのですが、スプラッターやパニック系ではなく、誰もいない薄暗い西洋の古城を舞台にした「ゴシックホラー」のような雰囲気のある作品でした(「狼男」なんかもでてきますしね)。
本作の大きな特徴といっていいのが「グラフィック」の独特さでしょう。マイクロキャビンの「英雄伝説サーガ」のような画像取込を使ったグラフィックは、まるで実写のようにみえるものや、光と影の具合でおどろおどろしく表現された古城のグラフィックが、ホラーらしい雰囲気を盛り上げていました。
また本作には何人かの登場人物が存在するのですが彼らの絵のタッチがまた独特で、どことなく「楳図かずお」氏のキャラクターを彷彿とさせるものがあり、それがまた怖かったりします。
ゲームは進行状況により大きく3つの章に分かれていて第3章をクリアすればエンディングとなっていましたが、章の切り替るタイミングには特に物語的な節目があるわけでもないので単に容量の都合なのかもしれませんが、章が切り替ってしまうと前の章に戻ることはできませんでした。
コマンド選択式でゲームを進行
本作のシステムはごく一般的な「コマンド選択式」で、最初に「見る」や「調べる」などの動詞(メインコマンド)を選択し、次に「壁」や「天井」などの名詞(サブコマンド)を選択して行動を行っていくのですが、一部のコマンドのみ3回目のコマンド選択が必要になるものもありました(例えば「入れる」>「石」>「壁の穴」というように)。
この頃コマンド選択式のAVGで「見る」を実行すると「どこを?」という選択で、画面にカーソルが現れてそれで見る場所を指すというシステムも多くありましたが、本作はそういうタイプではなく見るを実行すると画面上に存在するものの一覧が表示されていました。
ぶっちゃけグラフィックが雰囲気重視のため若干見辛いというのがあり、もしカーソルで指すようなタイプだったら瓦礫なのか絵のノイズなのかがわからなくなっちゃってたでしょうね。実際に名詞の一覧を見て初めて画面上に「瓦礫」があることに気づく、なんてことが結構ありますからw
移動にはちょっと癖がある?
本作において主人公は古城の中をあちこち「移動」しながら探索をしていくのですが、この移動のシステムがちょっと「クセ」があったように思えました。
まずコマンドから「移動する」を選択すると「移動モード」という状態になり、このモード中は「見る」や「調べる」などのコマンドは使用できなくなり、カーソルキーによる移動入力のみが受け付けられるようになります(リターンキーでモード解除)。
移動モード中にカーソルの上や下を押すと前進あるいは後退をします。
まあそれは普通なんですが、問題はカーソルの左右を入力したときで、例えはカーソルの左を押すと「左を向く」のではなく「左側に移動」、つまり自動で左を向いて前に進むが一度で実行されるのです(ある意味では便利なんだけど)。
さらに例えば北を向いている画面から左側に移動したとすると、感覚的に次の場面では西を向いていると思うものですが、移動した先でどの方角を向いているかは場所と状況によって強制的に決められてしまいます。
なので北を向いているところから左に移動した先でまた北を向いていることもあるし、西を向いていることもあるんです(どちらを向いているかは画面上に方角が表示されている)。
城の内部は結構複雑な構造になっているので迷わないためにはマッピングが必須になるのですが、慣れるまではこの「左側に移動」というのと、勝手に方角が決められるという仕様に頭を悩ませるかもしれません。
グロテスクな戦闘シーン
城内のある特定の場所には「怪物」が主人公を待ち構えています。怪物に遭遇した場合「戦う」というコマンドを実行できるのですが、この戦闘シーンがまた大層グロイんです(汗
ちょっとネタバレになりますが、本作で最初に遭遇する怪物は「狼男」なんですが、主人公はこの狼男とどうやって戦うと思います?「銀の弾丸」が入った銃で撃つ?神聖な剣で斬りかかる?いいえ、
瓦礫でぶん殴ります
こんなのホラーじゃないわ、ただのバイオレンスよ!w
しかもぶん殴られた狼男は血反吐吐くわ、目の玉飛び出るわ、挙句に脳みそまで飛び出す始末…。もうやめて!狼男のライフポイントは0よ!と叫んでしまいたくなります。
ちなみに戦闘シーンとは言いましたが、RPGみたいにコマンドを実行して攻撃、そのあと相手の攻撃みたいなものではなく、ぶっちゃけてしまうとその怪物を倒すのに必要な「ある物」さえ持っていれば必ず勝つ(退散させる)事ができます。
逆に言うとそれが無ければ…お察しという事ですね。
ハマりや即死トラップ
本作には間違った場所に行ってしまったり、適切な対応が出来なかったりすると即ゲームオーバーになる場所(デストラップ)が何箇所かあります。
これに対しては、本作ではどこでも自由にセーブ・ロードが実行可能になっているので、こまめにセーブを行うようにして失敗したらロードし直して、同じミスをしないようにすれば攻略は可能です。
しかし問題は進行不可になる「ハマり」です(バグという意味ではなく)。
本作では基本的に城内を好きなように行き来できるのですが、あるタイミングから今までいた場所に戻れなくなってしまいます。この時点で、今後必要になるキーアイテムを取り損ねていると、その先に進んでもどうしようも無くなってクリアが不可能になってしまうんです。
実際私も本作をプレイしていたとき、ある重要なアイテム(頭○○)を取り損ねたまま戻れなくなる場所を通過してしまい、それが必要だったと気が付いたときには後の祭り、しかも気が付く直前にセーブをしてしまっていたものだからロードもできなくて最初からやり直し。という目にあってしまいました…。
まとめ。
さて、本作が発売された1986年のAVGといえば、それまでの「コマンド入力式」から「殺人倶楽部」のように「コマンド選択式」なものが主流に切り替わり、内容も「謎解き」より「物語」のほうに重点を置くようになってきた頃だったとおもいます。
本作はシステムこそ最新のコマンド選択式になっていたものの、内容としてはコマンド入力式の頃のような様々なところにデストラップやハマリ要素がある、ストーリーを味わうよりもトライアンドエラーの繰り返しでゲームをクリアすることに楽しみを感じられる作品でした(ストーリー性が無い作品ということではない)。
感覚的には「太陽の神殿 アステカⅡ」に近い作品かもしれません(あれほど鬼難易度ではありませんがw)。
おどろおどろしい雰囲気を味わいながら夜中にシコシコ遊びたい。そういう感じの作品ではあるのですが、ただちょっと残念だったのは全編を通してゲーム中のBGMが全て同じだったということでしょうか。
しかも比較的単調なBGM(アーケード版のテトリスっぽい)なので、さすがに長時間やっていると飽きてきます。もうちょっと状況に則したBGMが流れるようになっていればもっといい雰囲気の作品になっていたのではないかとも思います。
それにしても、この作品のクライマックスの展開って…
今で言う超展開だよねw
≫EXIT
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コメント
狼男との戦闘がなんだかコメディタッチに見えてしまいますね……。
こういうホラーAVGは世代が違って知らないですので、面白い記事ですね。サウンドノベルの弟切草世代ですので……中一くらいだったかな。
>>今で言う超展開だよねw
犯人は俺自身だった!とかっていう新本格系っぽいヤツですか?
> コメディタッチに見えて
ホラーな描写というものは難しいもので、狙いどころを少し間違うと滑稽に観えてしまったりします。
某和製ホラーのジュディオングだかなんだかってのも、結構そうなんですよね…
> 犯人は俺自身だった!
主人公の正体についてなんですが、あんまり伏線とか無しにいきなりすぎる事実が明らかに!って感じです