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『スーパーハングオン』あのハングオンが「スーパー」になって帰ってきた!

闘士の塔 52F/No.0237

ゲームセンターを驚愕させた体感筐体「ハングオン」のパワーアップ版が登場。果たして何が「スーパー」になったのだろうか。

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いらっしゃいませ!

何気なく過去の記事をいろいろ眺めていたら、よく考えると自分の苦手なジャンル(レースゲーム、現代兵器SLG)の作品の記事が少ないのう…と思ったんじゃ。ということで今回は苦手なジャンルであるレースゲームからひとつ選んでみようと思ったんじゃ。
では入るがよい、闘士の塔 52Fじゃ!

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「スーパーハングオン」の基本情報

タイトル:スーパーハングオン
ジャンル:擬似3Dレースゲーム
発売年:1987年、1989年(X68000版)
発売元:セガ、シャープ(X68000版)
開発元:セガ、SPS(X68000版)
発売機種:アーケード、メガドライブ、X68000など
前作:ハングオン
後作:なし

※使用している画像は指定が無い限りX68000版のものです

「スーパーハングオン」とは

「スーパーハングオン」は、1987年にセガより発売されたアーケード用バイクレーシングゲームで、1985年に発売された「ハングオン」の続編に当たる。

バイクの後方からの視点でプレイする3Dタイプのものであるが、当時はまだ3Dポリゴンによる描画技術が未熟であったため、スプライトの重ね合わせや拡大縮小を使用した「擬似3D」での表現となっていた。

「ハングオン」と同様、「体感ゲーム(または大型筐体ゲーム)」に属する作品で、一般的なタイプでは後述するハングオンの筐体とは違いモニターとバイク部分が分離されており、モニターは台座に固定、バイク部分に跨ってバイクのみを傾けて操作する方式になっていた。

これにより傾ける操作が楽になって、S字カーブなどにも大幅に対応しやすくなっている。

基本的なゲームルールについては前作を踏襲しつつ、「スーパーチャージャー」機能の追加や、コース選択、BGM選択などの新たな要素を加えてパワーアップした作品となっていた。

「スーパーハングオン」の基本的な流れ

ゲームスタート時には4つ難易度別のコースを選択、さらにゲーム中に流れる楽曲を選択すればレースが開始される。

レース開始時に与えられた制限時間内に次のチェックポイントを通過することでステージクリア、クリア時点の残り時間に一定の時間が加算された状態で次ステージに挑み、最終的なゴールに到達するまでに制限時間が0になるとゲームオーバーとなる。

プレイ中、コース上にはプレイヤーのバイク以外にも競争相手となるバイクが多数登場する。

しかし本作はレースゲームではあるものの「順位」という概念は無く、順位による足きり(一定順位以下でゲームオーバー)なども存在しないため、自分以外のバイクはライバルというよりは「動く障害物」という認識に近い。

障害物なので接触すると弾かれたりして減速してしまうため、極力接触しないよう気をつけなければいけない。

またバイクだけでなくコース外に出てしまっても減速、さらにコース外の障害物にぶつかるとバイクとプレイヤーが大きく吹っ飛びバイクが爆発する演出が入るため、大きなタイムロスとなってしまう。

本作の目的はあくまで制限時間内にチェックポイントに到達することであり、また本作は時間制限が厳しいゲームなので兎に角「接触しない」ことを意識する事が肝心だった。

また、より早くチェックポイントに到達するための手段として、本作には「スーパーチャージャー」という機能が搭載されているのだが、それについては後述する。

衝撃的でありそして異質であった「ハングオン」

さてここ前作「ハングオン」についても説明しておこうと思う。セガから1985年にアーケード用バイクレーズゲームとして登場したこの作品の存在は、当時兎に角衝撃的でありそして異質であったと言えるだろう。

タイトル:ハングオン
ジャンル:擬似3Dレースゲーム
発売年:1985年
発売元:セガ
開発元:セガ
発売機種:アーケード、セガマークⅢ、PC-88、MSXなど
前作:なし
後作:スーパーハングオン

最も大きな特徴はその筐体にあった。

本作の筐体は本物のバイクを少し小さくしたようなものが台座の上に固定されており、プレイヤーはこれにまたがり、バイクの計器類がある位置に組み込まれたモニターを見ながらゲームをするという当時では非常に異質なものとなっていたのである。

加えて操作方法も非常に異質で、筐体には実際のバイクと同じようにハンドルがあり、そのハンドルに付いているアクセルとブレーキはそのままゲームでも使用できるのだが、なんとこのハンドルは曲げることができなかったのである。

ではどのようにしてゲーム中でバイクのハンドル操作を行うのかというと、

筐体に曲がりたい方向に体重をかけて、このバイクごと傾けるのだ。

つまり実際のバイクレースでコーナーを曲がる時のように「ハングオン」でバイクを操るわけで、この「ハングオン」というタイトルはまさに名前に偽りなしであり、当時バイクレースなどに詳しく無く、逆にこの作品でハングオンという言葉を知ったプレイヤーも多かったのではないだろうか。

ただこの筐体、一度傾けた後はバイクを固定している台座内のスプリングのお陰である程度勝手に垂直な状態に戻るのだが、それでもバイクのステップに足を乗せたままだと一度体重をかけて傾けた状態から元に戻すのは結構しんどい操作(特にS字カーブの対応が大変)になるため、バイクを跨いだ状態で台座に足をつけて、足も使って傾けた状態から復帰させるというプレイをする人も多くならざるを得なかった。

当時わしはまだ子供で小柄じゃったから、スプリングが硬くてバイクを傾けきれなかったり、台座に足が届かなかったりで大変じゃったよ…。友達と協力して傾けたりもしたわいw

やや操作に難はあったものの「筐体を自分で動かしてゲームを操作する」という遊び方はとてつもなく衝撃的で当時のゲーマーの話題にもなり、本作は筐体そのものがゲームの一部となる後の「体感ゲーム」の基礎となった偉大な作品なのである(明確に「体感ゲーム」という言葉が使用されたのは「エンデューロレーサー」からとのこと)。

多彩なコースが楽しめる「スーパー」さ!

さて、ではここからは話を戻して、「ハングオン」から「スーパーハングオン」になったことで変わった、「スーパー」になった点について話していこう。まずハングオンから大きく変わった点の一つは、コースが1つだけでなく複数のコースが楽しめるようになったことである。

1985年に後に体感ゲームの第一弾となった「ハングオン」が発売され、1986年には「エンデューロレーサー」というハングオンとはちょっと毛色の違うバイクゲームが体感ゲームの第三弾として発売された。

この2つは両方ともコースが1コースのみで、しかも5ステージしかなく少々物足りなさ(変わり映えの無さ?)のある作品だった。しかし同じく1986年の第四弾「アウトラン」にて各チェックポイントでのコース分岐という機能が登場し、ステージ数は同じく5ステージではあるものの分岐の選択で全16通りもののコースを自由に楽しむことが出来るようになったのである。

そしてシリーズでは第六弾となる本作では、アウトランのコース分岐によって複数のコースを楽しめる方式から少し変わり、最初からコースを4つ用意してその中から好きなコースを選択できるという方式になった。

しかもコースによってゴールまでのステージ数が違っており、一番長いものでは全18ステージというとんでもないステージ数のものまで存在したのだ。

それならば一番ステージ数の多いコースを選んだほうが得で、それよりステージ数の少ないコースは遊ぶ意味がないのでは?と思うかもしれないが実はこの4つのコースは、

BEGINNER アフリカ (6ステージ)
JUNIOR アジア (10ステージ)
SENIOR アメリカ (14ステージ)
EXPERT ヨーロッパ (18ステージ)

というように「難易度」によってステージ数が変わるようになっており、当然高い難易度はコースも難しく容易にクリアできないようになっているため、腕が未熟なのに最初からEXPERTに挑んでも、長く遊ぶどころか1ステージもクリアできないでゲームオーバーもありえるのだ。

逆に言えば自分の腕を磨いて、どんどん高みに挑戦していくという楽しみ方もあるというわけじゃな

ちなみにコースについては、選んだコースの地域によってレース中の背景もその地域にちなんだようなものになっており、さらに2ステージ進むごとに背景も別のもに変わっていた。またハングオンには無かったコースのアップダウン(上り坂や下り坂)も、エンデューロレーサーやアウトランから継承しており、複数のコースが選べるだけではなく目でも楽しめる工夫が盛り込まれていた作品であったといえる。

選べるのはコースだけじゃない!

そしてスーパーになって選べるようになったのはコースだけではない。ゲーム中に流れるBGMについてもゲームスタート時に選択できるようになった。これはアウトランで非常に好評だった機能を継承したものである。

選択できるBGMについて本作で用意されているものは、
OUTRIDE A CRISIS
SPRINTER
WINING RUN
HARD ROAD
以上の全4曲となっていた。

どれも個性的な名曲なのだが、個人的に「スーパーハングオン」と聞いて思い出すのはやはり「OUTRIDE A CRISIS」なのでプレイ時にはついこれを選んでしまうのだが、何気に「WINING RUN」の疾走感もこの作品をプレイするのに実に相応しい名曲と思っている。

しかしどれもやはり名曲なので結局はお気に入りの曲で遊ぶもよし、気分を変えて遊ぶもよしなのだが、なんにしろ「選べる自由」があるだけでゲームの楽しさは大きく膨らむものなのである。

「スーパー」はスーパーチャージャーから?

では最後のスーパーになった点だが、その名の通り「スーパーチャージャー」機能の追加にあるだろう。と言いつつ、実は筆者は車に全然詳しくないためそもそも「スーパーチャージャー」が何なのか理解していない。良く聞く「ターボ」とは違うものなのだろうか。

そこでちょっと調べてみたところ、まあやっぱりよく解らないのでもし間違っていたらコメントなどで訂正して頂きたい。

車やバイクのエンジンのパワーは「排気量」で決まる。この排気量はエンジンに吸い込むことが出来る空気と燃料の容積で、要するに多く空気を吸い込めるエンジンほど大きなパワーが出るということになる。

しかしこの排気量はエンジンによって決まっているものなので、「過給機」というもので吸い込む空気を圧縮させることによって、一度に吸い込める空気の容積は同じでもより多くの空気をエンジンに送り込むことが出来る。

つまり口内の容積は同じでも、パンをぎゅっと圧縮すれば一度に口の中にいれられるパンの量を増やす事ができるって話じゃな

この空気を圧縮する「過給機」が、「ターボチャージャー」や「スーパーチャージャー」と呼ばれるものであり、2つの違いはターボチャージャーがエンジンからの排気を利用して空気を圧縮するのに対し、スーパーチャージャーはエンジンの力そのものを利用して空気を圧縮するという違いになる。

そして本作のバイクに搭載されていたのが後者の「スーパーチャージャー」だった。ちなみにターボのほうがエンジンが熱を持ちやすいらしく、その特性は1989年の「ターボアウトラン」で再現されていた。

では話を本作に戻して、本作の筐体にはハンドルのアクセルを握ったときの親指の近くにスイッチがひとつついており、これをカチッと押すことによってスーパーチャージャーを発動する事が出来るようになっていた。

ただしいつでも発動可能というわけではなく、走行中にスピードが280km/hに達するとスピードメーターが赤く点滅するので、このときにスイッチを押すことでスーパーチャージャーが発動できそれにより最高速度が324km/hまで上昇する。このときのスピード感と迫力は抜群である。

ボタンを押し続けるとスーパーチャージャーも発動しつづけるのだが、当然スピードが速くなるのでカーブなどでのバイクの制御も難しくなってくる。

しかし本作は「スーパーチャージャーありき」の難易度に設定されているようなので、発動可能な速度に達したらいつでも可能な限り発動させていかないと制限時間が非常に厳しいものになるのだ。その為、カーブなどではスーパーチャージャーのボタンを連打してバイクを制御するというテクニックも必要になっていた。

アウトランの「ギアガチャ」的なものかのう?

制御は難しいものの、この「スイッチを押して加速」というギミックはバイクから噴出す炎の表現も相まってどこか「厨二心」をくすぐるものがあり、目の前にカーブが迫っているというのにメーターが赤く光ったら兎に角押さずにはいられないという面白さがあった。

その結果結局コースアウトしてふっとんでしまうのだが、それが解っていても押さずにはいられない魅力があったのである。

まとめ、そしてX68000版について

では最後に本作についてのまとめと、今回画像を使用したX68000版「スーパーハングオン」について話そう。

1985年に発売され、その特殊な筐体で強烈なインパクトを与えた「ハングオン」。

その続編として1987年に発売された「スーパーハングオン」は前作のゲームルールを踏襲しつつ、前作にあった扱い難さを改善した筐体と、自分の実力に合わせて挑めるコース選択、1986年の「アウトラン」から継承したBGM選択、そしてより迫力のあるレースが楽しめる「スーパーチャージャー」機能の追加など、まさに「スーパー」の名を冠するに相応しい続編であった。

そしてX68000版「スーパーハングオン」についてだが、こちらは1989年にSPSにより開発されシャープから発売されていたもので、アーケード版に比べてバイクなどの大きさが小さめなのが気になるものの、ゲームの迫力やスピード感、そしてBGMなどはアーケードに劣らない流石のものであった。

ちなみに1989年にはメガドライブ版も発売されており、こちらはバイクはアーケード版並に大きかったものの、逆にそこ以外はX68000版にやや劣るものであった。

それでもメガドライブ版は、レースをしながらバイクを強化していくクエストモードみたいなものがあって、なかなか楽しめたそうじゃのう

ところでこういったレースゲームの移植作の場合、問題になるのはアナログ操作によるハンドルやアクセルなどの微妙な操作が出来ない(難しい)ことがあるだろう。

X68000版は基本的にキーボード、ゲームパッド、マウスによる操作が可能になっているが、キーボードやパッドでは微妙なアナログ操作がやはり出来ない。マウスであればハンドル側のアナログ操作はかなり出来るものの、長いカーブやS字カーブが難しいと色々難儀な状態であった。

ただX68000には、1989年にX68000版「アフターバーナーII」が発売されたときに専用コントローラーとして発売された「サイバースティック」というアナログスティックがあり、一応これがスーパーハングオンにも対応、スティックでハンドル操作、スロットルレバーでアクセルとブレーキのアナログ操作が可能になっていたのである。

やや歪ではあるが、X68000版ではこれが最も操作しやすい方法だったかもしれない。

遊びたくなったら?

本記事を読んでもし遊んでみたくなった、昔遊んだけどまた遊びたくなったという方には、3DSにて「セガ3D復刻プロジェクト」として発売された「3Dスーパーハングオン」がお勧めじゃな。これはアーケード版を移植したものじゃが裸眼立体視、さらにジャイロセンサーに対応しており非常に良い出来となっておるぞ。気になった人は是非購入してみて欲しいのう

≫EXIT

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コメント

  1. XTC より:

    アップライト型筐体(立ってプレイするタイプのもの)にハンドルだけついたやつもありましたよ。
    アーケード版も同じだと思いますが、X68k版やってて、スーパーチャージャーの音が「キーン」って、たまりませんでしたね。

  2. ソンゴスキー より:

    >>1
    そういえばハングオンの筐体で、中身だけスーパーハングオンっていうパターンもあったようですね。色々な展開していたんだなぁw
    やはりスピードが乗り切ったところでの「キュイーン!」ってスーパーチャージャーは熱い。

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