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『三國志』 今もシリーズが続く名作歴史SLGの第一弾!

元帥の塔14F/No.0089

発売年:1985年
開発元:光栄
ジャンル:戦略SLG
発売機種:PC-88、PC-98、X1、FM-7、MSX、ファミコンなど

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「三國志」とは

「三國志」は1985年に「信長の野望」や「蒼き狼と白き牝鹿」で有名な「光栄(現:コーエーテクモゲームズ)」より発売された歴史シミュレーションゲームで、現在も最新作が出続けている「三國志シリーズ」の1番最初の作品となります。

また本作は光栄が1983年から手がけ始めた「歴史シミュレーションゲーム」としては「信長の野望」「蒼き狼と白き牝鹿」に続く3作目となっています。因みに企画としては「蒼き狼と白き牝鹿」よりも「三國志」のほうが前になります。

因みにですが、日本に「三国志」というコンテンツが広く普及したのは、間違いなく本作の影響が大だったと個人的に考えています。

好きな年代を選ぼう

「三國志」は簡単に言うと、プレイヤーが三国志の英雄の一人となって中国大陸の統一を目指すのが目的のゲームです。

しかし一口に三国志の時代といっても、後漢時代末期に黄巾の乱が起きた184年から、普による大陸統一がされる280年までのおよそ100年間あり、その時期により主な英雄の顔ぶれや勢力図も変わってきます。そこがまた三国志の面白いところですね。

そのため三國志シリーズでは、主要な出来事があった年から始められる「シナリオ」を複数人用意して、プレイヤーがそこか自由に選べるようになっており、本作でも5本のシナリオが用意されていました。

ただちょっと残念なことに、本作では189年から215年までの狭い範囲のシナリオしかなく、関羽の死や劉備没後の諸葛亮が活躍するあたりの年代は含まれていませんでしたね。

好きな「君主」を選ぼう

シナリオを選ぶとその時代の代表的な英雄(以後:君主)が最大で8人表示されるので、その中からプレイヤーは自分の好きな君主を選ぶことができます。

「信長の野望」ではプレイヤーは織田信長か武田信玄(二人プレイ専用)しか選べませんでしたから、選んだシナリオによって様々な君主が選べるようになったのは大きな進化ですね。

ただ本作では最初の作品ということもあってか、君主のパラメーターが昨今のシリーズではちょっと考えられないような数値になっているんです。

例えば袁術の武力が95であったり(文醜と同じ)、劉備の知力がなんと95もあったり、さらにプレイヤーが選んだ君主については、能力値がルーレットにより基本値より+5~-5させることができるので、武力100の袁術や知力100の劉備でプレイするなんてことも出来ました。

これらは恐らくですが、三国志を知らない人がゲームをどの君主で始めてもあまり難易度の差がなく楽しめるようにという配慮からきていると思われます。

システム(コマンド編)

コマンドは毎月国毎に一回だけ

さて上の画像がこのゲームの基本画面となります。画面左に中国大陸のマップ、右に君主として命令を出す国の情報が表示されています。

マップは全部で58の国に分割されていますが、国名(建業や長安など)は設定されておらず、”28国”や”47国”というように番号で識別されていました。因みにちゃんと国名がつくのは「三國志III」からです。

本作は1月を1ターンとするターン制で、各国にランダムで順番が回っていき、順番が来た国では毎月1回だけコマンドを実行できます。順番が君主単位でなく、国単位で回ってくるというのもシリーズとしては異色ですね。

コマンドは既に完成されていた?

実行できるコマンドは全部で20種類あり、キーボードからコマンドの番号を入力する事で実行できます。(コマンドによってはそこから細分化するものもあり)

主なコマンドとしては他国に戦争を仕掛ける「戦争」、資金や兵糧の収入を増やす「開発」、洪水を防ぐ「治水」、他国や在野の武将を登用する「人材登用」、他国との取引交渉する「外交」、武将や人民の忠誠度を上げる「施し」、商人と兵糧や武器の取引をする「取り引き」などがありました。

ここで驚くべきは、これらのコマンドは多少減ったり変わったりするものの、その殆どが最新作に至るまで残っているということで、これはこの第一作目にして既に「やりたい事」が明確になっていたという事ではないでしょうか。

もちろん三國志の前に作られた「信長の野望」や「蒼き狼と白き牝鹿」での経験があってのこな完成度だと思いますが。

因みに一部のコマンドは実行すると簡単なアニメーションや小さな一枚絵が表示されました。画像のものは”治水”を実行した時のアニメーションで、川に杭を打ち込んでいる作業のような動作をします。

コマンドに影響を与える武将の力

本作が信長の野望から大きく進化した点として、君主(大名)とは別に彼らの配下となる「武将」が登場したという事が挙げられるでしょう。しかも255名も登場するうえ、各武将には君主同様に能力値が一人一人に決められていました。

本作のコマンドの一部は配下の武将に実行させることができ、その実行による効果・結果については、実行する武将の能力値(主に知力と武力)によって変化します。つまり能力値の高い武将が配下にいると、非常に重宝するわけです。

各能力について一つ一つ説明していては長くなるので、ここでは重要な5つなパラメータにのみ絞って説明しましょう。

知力武将の賢さ。主に内政の効果や計略の成功率に影響。
武力武将の力強さ。主に戦場で率いる部隊の戦闘力に影響。
カリスマ武将の持つ魅力。主に外交や人材登用に影響する。
経験武将の経験値。経験の値が知力を上回ると知力の代わりになる。
忠誠度君主への忠誠値。これが低いと他国に引き抜かれやすくなる。

能力値は本作のベースとなっている「三国志演義」での活躍により決められているようなのですが、この値はあくまで初期値でありゲーム中に特定の行動をさせる事でさらに値を上昇(または下降)させる事も可能でした。

この辺の部分も長くなるので、細かい能力値の話と一緒にいつか別記事で纏めたいですね。

君主に欠かせぬ存在「軍師」

軍師とは

さて本作において非常に重要な存在と言えるのが、君主に助言を与えてくれる「軍師」の存在です。

本作では配下武将の中に知力が90以上のものがいた場合、自動的に軍師の役職が与えられます。また同じ国に軍師が複数人いる場合は、最も知力の高い武将が筆頭軍師として助言を与えてくれます。

ここで言う「助言」とは、実行したコマンドの効果(効果有り/無しや、成功/失敗)についての助言なのですが、これは軍師の知力が100に近いほどその正確性が高くなります。

軍師がいるメリット

本作では能力の高い武将は何人配下にいても困りません。なので人材登用で他国から(あるいは在野から)どんどん人材を集めていくのは、非常に重要な仕事です。

しかし人材登用は君主のみ可能なコマンドで、しかも1つの国で1月(ひとつき)に実行できるコマンドは一回のみです。つまり登用に失敗すると貴重な1月のコマンドが無駄になってしまいます。

また登用の成功率が最も高いのは、君主自らが登用に向かう事なのですが、これは失敗すると最悪の場合君主が捕まって殺されらというデメリットを孕んでいるんですね。

こんな時に君主の元に知力の高い軍師がいれば、事前に成功するか失敗するかを助言してくれるのでコマンドを無駄にせず、また危険なデメリットも回避出来る訳です。

勿論、人材登用以外の事でも軍師の助言によって無駄や危険を回避できる事は多いので、本作において軍師は非常に重要な存在、そして必須な存在となります。

狙われた「賈詡」

こういった事情から、シナリオ開始時の人材不足な状況で自国に知力の高い軍師がいない陣営では、危険を冒してでも他国の軍師を引き抜きに走るという光景がよく見られました。

特にシナリオ1、2では知力94の「賈詡」が初期状態で君主への忠誠心が低いため、ゲームスタート直後まっ先に引き抜きのターゲットになって「賈詡争奪戦」が展開されていましたね。

後に消えたコマンド

略奪

さて本作には「あまり宜しくない行為」だからなのか、後のシリーズには引き継がれなかったり、移植の際に削られたコマンドもあります。

まず「略奪」です。これに近い行為は後のシリーズでもできたりしますが、本作がヤバイのは、略奪によって得られるものにお金や米だけでなく「美女」というのがありました。そして略奪で手に入れた美女は以後国で管理され、なんと人材登用時の武将への手土産として与える事ができてしまったんですね。

流石に略奪で美女を手に入れるのは表現がダークすぎたのか、以後のシリーズではなくなりました。

婚姻

さらに外交コマンドとして「婚姻」というものがあり、これを実行すると自分の娘を相手国の君主に嫁がせることで”縁戚関係”となることが出来ました。

縁戚関係は自君主または相手の君主が死なない限り続き、その間はお互いの国に攻め込めなくなります。(攻めこむとは可能だが強烈な”ペナルティ”を受ける)

この縛りが厳しかったというのもあったのですが、何よりヤバかったのは婚姻を申し込まれた際に出てくる選択肢のなかに「娘ごと皆殺し」という恐ろしいコマンドがあった事です。

これは読んで字のごとく、婚姻を結びにきた使者とその君主の娘を殺してしまうもので、逃げられる場合もありますが成功するとその娘が刺し殺されるグラフィックが表示されました。

やはりこれも表現がダーク過ぎたのか、以後のシリーズには登場していません。

批判を恐れずに言うなら、これらはある意味では「三国志」らしい表現だったと思います(実際そういう話もあったと思うから)。だから光栄としてもこのように取り入れたのでしょう。ただ子供も遊ぶような作品だと考えれば、以後登場しなくなったのも止むなしでしょうかね。

戦争について

戦争への準備

まず戦争に行く前の”準備”についてですが、戦争を始めるにはまず武将と兵士が必要になります。

本作では1武将=1部隊の扱いなので、武将に雇った兵を与える(最大2万人まで)事で部隊として戦場に出すことが可能になります(実は兵士は0でも出陣は可能)。因みに本作では雇った兵を予備兵として国で保持する事はできないので、雇った分は全て武将に与えておく必要があります。

兵にも武将同様に能力値のようなものがあり、細かい説明は省きますが、訓練したり武器を与えたり、褒美を与える事で能力値を上昇させられますが、1国で実行できるコマンドが毎月1回だけなので、なかなか兵の能力値にまで気を使うのは難しい問題でした。

因みに本作ではまだ騎馬兵や弓兵などの兵種が存在していなかったので、戦場では皆歩兵扱いになります。

戦争開始と終了のルール

自国から敵国へ、あるいは敵国から自国へ戦争が仕掛けられると”戦争フェーズ”に移行します。戦争フェーズに参加できる武将の数は攻撃側・防衛側ともに10人までなので、最大で20万対20万という壮絶な戦いになるという事です。

戦争フェーズは3日を1ターンとして、1日から30日までの全10ターン行い、それまでに決着がつかなかった場合は翌月に持ち越しとなります。

基本的に攻め手であっても守り手であっても、共通の勝利条件は10ターン以内に相手を全滅させるか退却させる事で勝利となります。ただし攻め手は敵の所有する城をすべて奪う、守り手は敵の兵糧を奪う事でも、特別条件として勝利扱いになっていました。

目的に向かって部隊を移動せよ

戦争が始まり、攻め手と守り手が部隊の配置を完了したら攻め手側から行動開始となり、その後守り手側の行動となります。戦争中にできる行動は、主に移動、攻撃、待機、退却の4つです。

「移動」は部隊を指定した方向に移動させられますが、移動できる距離(移動力)は地形や兵の能力で変わります。「待機」する事で次のターンに移動力が+1され、待機し続けることで移動力を一定値まで貯める事も可能です。

特殊な移動方法に「散開」があり、これを行うと部隊を二つに分ける事ができましたが、別れた片方の部隊は「合流」するまで動けなくなるのでちょっと使い所に注意が必要です。

個人的にこの部隊を散開させるというのは、三国志の劇中にも出てきたりするので、非常に面白いシステムだと思ったんですけど…なんでか以後廃止されちゃったんですよねぇ。

隣接した敵部隊に攻撃せよ

敵の部隊と隣接した場合、その部隊に対しで攻撃を行うことが可能になります。攻撃には通常、一斉、突撃、計略、火計がありました。

「一斉攻撃」は、敵部隊に隣接している味方部隊(最大6部隊)で一斉に攻撃を仕掛けるもので、敵に与える損害は大きく味方の損害は少なくなる優秀な攻撃方法です。しかも一斉攻撃に参加した部隊でも、自分の行動でまた一斉攻撃できるので、6部隊で1部隊を囲んだ場合なら、1ターンに合計て36回攻撃できるという優れものでした。

因みに敵の前で先程の散開を行えば、少ない部隊数でも敵を包囲して一斉攻撃が可能になります。まあ当然兵を二つに分けてる分、防御が薄くなってしまいますけどね。

「突撃」は一度仕掛けるとどちらかが全滅するまで攻撃をやめないという荒っぽいコマンドで、兵力の少なくなった敵部隊を逃さずに仕留めるのには便利なのですが、敵将の首を跳ねてしまう確率が高いというデメリットがあります。

本作はまだ武将数が少なかったために、武将を殺しまくってると、最悪の場合ゲームクリア不可能になってしまう可能性もあるので突撃は多用しない方が賢明です。

使いようでは恐ろしい「計略」

そして数は少ないですが本作では「計略」も実行できました。

計略を相手に実行し成功させると(双方の知力による)、相手の兵数を少しだけ減らすことができます。なんだ大した事無いじゃないかと思うかもしれませんが、この計略の真髄は兵を減らすことよりも相手の機動力を0にしてしまうという事にありました。

それについては一旦おいておいて、次に「火計」ついてです。初代三國志といえば火計と言っていいほど、火計は本作において重要なコマンドと言えるでしょう。

後のシリーズでの火計のイメージはちょっと兵力減らすだけのコマンド、という認識かもしれませんが、本作の火計はそんな生易しいものではありませんでした。なんと火計によって火のついた場所(マス)に1ターンいると”焼死”します!

例え武将の武力や知力が高かろうと兵が何万いようとも”全滅”です

もし四方八方すべてに火が回っている状態だったら、退却するか焼け死ぬかの2択になります。つまり相手をこの2択に追い込められれば、戦わずして戦場から敵の兵力をごっそり減らせるのですから、これがどれだけ重要で意味のあるコマンドなのかわかっていただけるかと思います。

ところで、火計で火がついたマスにいる敵武将に対して、もしさっき説明した計略が成功したらどうなると思います…?

お解り頂けましたか?だから恐ろしいのですよ計略は…。

ゲームクリアとなる条件

さて本作では、ここまでのように戦争を繰り替えして敵国をどんどん手中に入れていく事が目的ですが、最終的にどうなったらゲームクリアになるのでしょうか?

まずゲーム「クリア」の条件はプレイするシナリオによって違っていて、一定数の国(+特定の国)を支配すればクリアの場合と、全ての国を支配しないとクリアにならない場合がありました。

このゲームでは1つの国に最低でも1人武将を大守として配置しないと支配したことになりません(空白地になってしまう)。従ってゲームクリアの条件で必要になる国の数と同数の武将が配下にいないとゲームクリアできない、つまり詰むわけです。

まあ最終的には58人いればクリアできるのでそれくらいなら何とかなるはずなんですけど、無計画に殺しまくったり、時代が進みすぎて新しい武将が登場しなくなり、更に古い武将が寿命で死に始めると、そうならないとは言い切れない状況になってきます。

因みに指定数の国を支配するのが条件のシナリオの場合は、条件を満たすと一応大陸を支配した的なグラフィックは表示さます。ですがゲームはそこで終わるわけではなく、以後は残り全ての国を支配するまでプレイは続きます。

とは言え、大抵はそこで辞めちゃいますけどね。

最後に。

最後に、本作はもちろん古いゲームなので、グラフィックも表現もシステムも未熟で荒いところが目立つ作品です。

ですがゲームはただ複雑になれば面白いわけではありません。もちろんシンプルだからといって面白いわけでもありませんが、シンプルでありながらもユーザーを楽しませるために丁寧に作られているものは、欠点があろうとも今のゲームに負けない光り輝く”魅力”をもっています。

これが今の時代であっても、レトロゲームを愛してプレイする人が多い理由ではないでしょうか。

本作は昨今のシリーズに馴染んだ人にとっては、ちょっと見ただけでは「やってみようかな?」という気にならないような作品かもしれません。正直言うと私は本格的な三國志デビューは2作目からだったので、初代はあまりプレイしないまま現在に至っていました。「いまさらねえ…」って感じで。

しかし今回改めてちゃんと初代をプレイしてみたところ、最初こそ悪い部分にばかり目が行っていましたが、気がつくと夢中でプレイしている自分がいました。そのことでなるほど本作が「名作」と呼ばれていた理由にも納得した気がします。

無理にはお勧めしませんが、機会があったら触れてみてはいかがでしょうか?きっと何か感じるものがあるかもしれませんよ?

あ、最後にぶっちゃけてしまうと、さんざっぱらシンプルシンプルって言って来ましたけど。この作品、当時のレベルではそうとう複雑なゲームだったんですけどねw

≫EXIT

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コメント

  1. 名無しの冒険者 より:

    えーとすいません、私のプレイしたバージョン・・・MSX2/PC-98の、恐らくはデータ追加版なのですが、こちらでは「水軍を持った武将は低移動力で川に入れ、持たない武将は高い移動力を要する」と言う仕様でした(記憶によれば、6と10)。このため、水軍能力を持たない武将は「待機」で移動力を溜めてから渡河を行うと言うシステムです。公式攻略本である「三國志ハンドブック」にもこのように記載されています。

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