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『ザ・キャッスル』アクションパズルゲームの金字塔

闘士の塔 49F/No.0221

発売年:1985年
発売元:アスキー
ジャンル:パズルアクションゲーム
発売機種:FM-7、X1、PC-88、PC-98、MSX、SG-1000など

※画像は全てMSX版のものです

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いらっしゃいませ!

さていまこの時点の時間では2019年12月22日。もう2019年も終わろうとしておるのう。

あまり本編と関係無い話もあれなんじゃが、今年は今までサボりにサボっていたブログ更新をようやく再開できたんじゃが、それでも更新の頻度は非常に遅く、もし楽しみにしている人がおったのなら大変申し訳なく思っておる。

なので来年の目標はなにより「更新頻度を上げる!」じゃな?

というわけで今年2019年最後の作品はパズルアクションゲームの名作と評価の高い作品じゃな。ただもしかしたらこの作品よりも、続編のタイトルのほうを知っている、または遊んだことがあるというものがおおいんじゃなかろうかの?

では中に入るがいい、闘士の塔 FLOOR 49 じゃ!

「ザ・キャッスル」ってどんな作品?

「ザ・キャッスル」は1985年に「ウィザードリィ」や「ボコスカウォーズ」などでお馴染みの「アスキー」から発売されたサイドビューのパズルアクションゲームで、アスキーが開催した「アスキーソフトウェアコンテスト」の第二回グランプリ受賞作品である(ちなみに第一回は「ボコスカウォーズ」)。

プレイヤーは王子ラファエルとなって、魔王メフィストの支配する城からマルガリータ姫を救い出す事が目的であるが、城内は縦に10、横に10の全部で100もの部屋が存在し、その中を鍵を拾って扉を開けるなどしながら、移動可能な部屋を広げつつ、ときには前の部屋に戻ったりしながら広い城内を縦横無尽に探索し、最終的に姫を探し出さなければならない。

本作のジャンルはアクションパズルであり、アクション面ではシンプルな操作性でありながら、精密な操作や癖の強いジャンプを駆使する事を要求され、パズル面としては扉を開けるための鍵をいかに確保するか、そしてその鍵を使うべき場所とタイミングの思案が必要になるなど、奥の深いアクションパズルゲームとなっていた。

後に難易度を上げた「キャッスルエクセレント」が発売されているが、ファミリーコンピュータ版のみ同名タイトルだが若干の仕様変更がされている。そして恐らくファミリーコンピュータ版のほうが知名度的には高いかも知れない。

「ザ・キャッスル」の基本的ルール

本作の舞台となるのは魔王メフィストが支配する城となっており、城内は縦に10、横に10の計100の部屋で構成されている。各部屋はサイドビューで表現されており1画面が1つの部屋という扱いになっていて、基本的には左右の画面端にあるNEXT、または画面下端にある穴から隣接する部屋に移動が可能となっている。穴は画面上端に存在する場合もあるが、これはジャンプで入ることはできない(エレベーターが必要)。

プレイヤーは王子ラファエルを、カーソルキーで左右に移動、スペースバーでジャンプというシンプルな方法で操作し、城内の各部屋を探索していく。ちなみに王子自身は直接的に敵を攻撃する手段を持っておらず、後のファミリーコンピュータ版「キャッスルエクセレント」にのみ短剣で攻撃するという手段が追加された。

城内の部屋には様々な敵や、針などのトラップ、ブロックや壷などの障害物、エレベーターやベルトコンベアーなどの特殊なギミックが配置されており、王子は敵やトラップに接触してしまうと1ミスとなり、画面左上にあるLIFEのハートマークが一つ減って部屋の入り口からやり直しとなる(つまりライフ制っぽいが残機制)。このハートマークが全部無くなるとゲームオーバーとなってしまうのだが、ハートマークは城内のどこかにある「命の水」を取ることで一つ増やすことが可能である。

障害物は横から押すことで移動させたり段差から落とす事が可能であり、これにより障害物を足場にして通常ジャンプでは超えられない段差や隙間を超える事が可能になっている。また障害物は移動時に攻撃判定が発生するため、障害物をぶつける事で敵を倒す事が可能になっている。これは本作における王子の唯一の攻撃手段である。

パズルゲームとしての「ザ・キャッスル」

先程隣接している部屋に対してはNEXTから移動が可能だと書いたが、実は必ずしも可能であるとは限らない。まずNEXTから隣の部屋に移動することは可能なのだがそれは「扉が無いか扉が開いている」という事が前提条件になっている。そしてほとんどの部屋のNEXTには扉が設置されていてかつそれは閉じられているのだ。

閉じられた扉の先に行くためには鍵を見つけて扉を開けなければいけないわけだが、扉と鍵は何種類かの色で塗られており、扉と同じ色の鍵を持っていなければ開けることができない。鍵は扉を開けることに使うと消滅してしまうが、そのかわり一度開けた扉がまた閉まるということはない。

鍵は様々な部屋の中の決まった場所に配置されており、王子が触れることで取ることができる(取った鍵は画面上部に表示される)のだが、この鍵と扉の関係が特に本作をパズルゲームたらしめている要因となっている。

まず、その部屋にある扉を開けられる色の鍵は、必ずその部屋にあるとは限らない。またその部屋にあって見えていたとしても、その部屋から取れるとも限らない。さらに、その部屋にある扉は必ずしもこの部屋から隣に行くための扉とは限らない。つまり本作は他のアクションパズルゲームのように一つの部屋(一つの画面)で完結するタイプではなく、複数の部屋を行き来しながら進行する必要があるのだ。

また城内にある鍵は一度取った後は二度と復活しない。さらに最も数の多い黄色以外の鍵は、城内にあるその色の扉の数と一致している。つまり鍵は有限であり、特に黄色以外の鍵の見落とし取りこぼしは、ゲーム進行に大きく影響するのである。ただしやり方次第では開けなくても済む扉もあるので、うまく立ち回れば鍵に余裕を持った進行も可能になる。

目的地に向かうため、あるいは必要なアイテムや重要な鍵を取るために、限りのある鍵を今行ける範囲のどこから取ってきて、どこの扉を優先的に開けて、どこの扉は開けずに行くのかを常に考えて行動する必要があるため、このような鍵と扉の関係は、本作を「パズルゲーム」たらしめている最大の要因と言えるのである。

アクションゲームとしての「ザ・キャッスル」

本作はアクションパズルゲームであるが、そのアクション部分の要となっているのは、ちょっと特殊な仕様の「ジャンプ」であろう。ジャンプはスペースバーを押す事によって行えるが、ジャンプできる高さは2キャラ分までであり、対空時間はスペースバーを押している長さによって調節することができるが、最大で6キャラ分横に飛ぶことができる。

先述したように王子は部屋に配置されている壺やブロックなどの障害物を押して移動させることができ、この壺やブロックを移動させて足場にしてジャンプする事でさらに高い段差や長い穴を超えることも可能になる。

また障害物はぶつけたり落としたりして敵を倒す武器としても利用できるのだが、注意点として障害物は押したり落としたりすることはできても、引っ張ることや持ち上げることはできないので、穴に落としてしまったり外壁に密着させてしまうと戻すことは不可能になる。

そうなった場合は一度他の部屋に移動してから戻れば、壺やブロックは最初の位置に戻っている。

壺やブロックなどの障害物を足場にしたり、敵にぶつけたり、どう運んでどう利用するか、それは本作攻略のひとつの大きな鍵と言えるだろう。

話をジャンプに戻すが、本作のジャンプには他のゲームと非常に異なる点が存在する。

まずスペースバーを押すことで王子は上方向に向かってジャンプする。その時キーを左右どちらかに入れておくとその方向の斜め上に向かって飛ぶ。ジャンプはスペースバーを押す長さにより頂点での滞空時間がある程度長くなって、その後は地面に向かって落ちていく。と、ここまではよくあるジャンプの仕様である。 

他作品と違うのは、ジャンプ中であれば何時でも方向転換ができるということだ。はっきり言って慣性の法則など無視するレベルで、左斜め上に飛び上がってから、壁もないのに空中で反転して右方向に飛ぶなんて事も可能なのである。さらに真上に飛び上がってから、そのまま真横に移動し、そこから真下に降りるというようなあり得ない軌道でジャンプすることすらも可能になっているのだ。

ジャンプのおかしな仕様についてはまだある。

普通、飛び上がったときに頭上に天井などがあった場合、天井にぶつかった直後から落下状態に入るのが一般的なジャンプの仕様なのだが、本作の場合、天井にぶつかろうが滞空時間が残っていればなんとジャンプ状態を維持し続けるのだ。

もっと言えば例えば王子の真上に天井があり真下に床があり上と下でまったく隙間のない状態でも、スペースバーを押せばその場でジャンプ状態になるのである。ちなみにジャンプして天井にあたり、そのまま左右に移動してそこから天井が無くなった場合、まだ上昇中の時間であればそこからさらに上へと飛ぶことができるのだ。

このように本作のジャンプは非常に特殊な仕様になっており、もはやジャンプというよりも魔法の力で浮遊していると言ったほうがしっくりくるほどなのだ。しかしなぜもこのように特殊な仕様のか?実は本作においては、このジャンプの仕様を把握した上で、それを実践しないと進行が難しい箇所がいくつも存在するからなのである。

またアクション面で補足しておきたいのは、敵への対応についてである。本作に登場する多く敵はその場に固定されているか、単純に左右移動をしているだけなので、飛び越えたり障害物をぶつけたりするような対応は比較的楽なのだが、中にはプレイヤーである王子を執拗に狙って動いてくる敵、ジャンプ出飛び越えようとすると一緒にジャンプしたりする敵も存在する。その中でも特に炎の姿をした敵は、空中を自在に飛びながら王子を追いかけてくるため対応が難しい。

ただでさえ特殊な部屋の中を、独特で癖のあるジャンプを駆使して動き回らなければいけないのに、さらに邪魔をしてくる敵を駆除したり、避けたりしながらそれらを行わなければならないのだから、本作は「パズル」とついてはいるものの、プレイヤーはアクションゲームとしての腕前もかなり求められることになるだろう。

「ザ・キャッスル」のその他

では本作に関してのその他のことについても少し解説しよう。

まず城内の部屋の中には鍵や命の水以外にも様々なアイテムが存在した。重要なものとしてはゲームスタート直後の部屋にある、自分の居場所や既に行った部屋などがわかる様になる「マップ」、あとは水の中に長時間いられるようになる「酸素ボンベ」などがある。それ以外に金塊やネックレス、指輪なども落ちているがこれらはただの得点アイテムで、一応一定得点でライフが+1されるのだが「命の水」がわりと手に入るのでそこまで無理して取りに行くほどではない。

次に本作の目的はマルガリータ姫を助ける事にあるのだが、その前に必ず開けなければいけない「赤い扉」が存在し、その鍵は城内のどこかに囚われていいる二人の「妖精」が持っているのだ。つまり本作では「ハイドライド」ではないが、姫を助ける前に妖精を探し出して助ける必要があったのである。

そして本作は通しでやるにはかなりの時間を要する作品であるし、非常に難易度が高い部屋も存在する為、セーブ/ロード機能が存在している。ただしセーブした場合現在のライフからー1される仕様になっている為、頻繁にセーブを行うわけにもいかず、難易度の高い部屋ではライフ1払って安全を取るのか、ミスをしないで突破する事にかけるかの選択にも迫られてしまうのである。

「ザ・キャッスル」のまとめ

このキャッスルという作品は、ひとつひとつの部屋でも足場やギミックの利用、トラップの回避などの攻略が必要であり、そこは他のステージクリア型のパズルゲーム的な要素を持っている。しかしそれでいて、城全体の100部屋を通して探索・思案する1つの大きなパズルゲームとしての要素も持っている。そしてさらにはプレイヤーの邪魔をしてくる敵の存在により、見た目のファンシーさに反比例して非常に難易度も高く、攻略し甲斐のある奥の深いアクションパズルゲームになっている。

実際に遊んで見ると、最初はなんとなく成り行きの行き当たりばったりでもなんかクリアできてしまいそうに思えてしまうのだが、本当に自力でクリアを目指すとしたならば城全体のマッピングをして各部屋のいける方向行けない方向の記録、さらに取れなかった鍵、開けられなかった扉の記録などを踏まえた上で、何度もプレイしてルートや鍵の使い時をじっくり吟味して本クリアを目指さなければ無理であろうと思い知らされた。

個人的にはこれでもかなり難しい作品だと思うのだが、ここからさらに難易度を上げた「キャッスルエクセレント」があるというのだから凄いものだ。そこは「ロードランナー」に対しての「チャンピヨンシップロードランナー」と言ったところだろうか。上には上がいるのである。

《最後に》完璧なチュートリアル

どうじゃったかの?

最後にちと補足というか感想を述べさせて貰いたいんじゃが、ちとここで本作の最初の画面を見て欲しいんじゃ。

これをみて何か思うところはあるかのう?何の変哲も無いスタート部屋のように見えるんじゃが、実はこの1画面だけで本作の初歩的なチュートリアルは完了しておるんじゃよ。

まず鍵を取らないと扉は開けられないこと、そして扉には複数の色があること、ジャンプしても届かない段差があること、それは障害物を足場にしてクリアできること、他の部屋から入ってこなければ行けない場所があること、得点アイテムの存在、そして敵の回避方法、障害物による敵の撃退方法。そういったチュートリアルが説明なしにこの1画面で習得できるんじゃ。

昨今のゲーム作品では当たり前のように、重要なことから細かいことまでチュートリアルに最初の長い時間を取られてしまうものじゃが、このようにくどくど説明しなくてもプレイすることで自然に理解・習得できてしまうというのはとても「スマート」、そうわしは本作に触れて思ったんじゃな。

さて今回の作品、みなはなにか思い出とかあるかのう?あったら是非コメントに残してみてくれんかの?ではまた次回じゃ。

≫EXIT

お疲れ様でした!

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コメント

  1. 名無しの冒険者 より:

    ザ、キャッスルですか。コレは頑張った記憶ありますね。
    FMでキースキャン効かないのが良かったり悪かったり。
    あの短いながらも耳に残るBGMが印象的でした。
    しかもあの8801よりも早く発売されるとゆう7ユーザーには
    ちょっとだけ嬉しかったソフトでした。

  2. ソンゴスキー より:

    >>1
    そうなんですよね、最初に発売されたのがFM-7とX1ってのがちょっと面白いと言ったら失礼かもですが、不思議(それも失礼)。コンテスト作品だったから、そっちが元々FM-7で作られてたとかなのかしら?

  3. マーフィ大尉 より:

    今となっては昔のことですが、夜遅くまでこき使われて日付が変わる頃に晩飯を
    食べながらテレビをつけるとやっていたのは『機動戦士ガンダム』、の第一話。
    視終わった感想は「懐かしい」よりも「掴みがすげぇ!?」でした。
    同じサンライズの『装甲騎兵ボトムズ』もそうでしたが第一話の正味20分程度で
    これでもかと情報量と期待感を与えてくれました。
    前置きが長くなりましたが、何が言いたいかと言うと“掴みは大事だよね”
    同じゲームで言えば『ドラゴンクエスト』もフィールド上でスタートする初期版を
    子供たちにやらせたら武器も買わずに冒険に出かけてあっという間に敗北。
    そこで城内からスタートにしてコマンドを自然に使わせるようにしたという有名な
    エピソードがありますが、ゲーム自体がマイナーでプレイヤー側の経験値も少なかった
    当時、製作者側も乏しいリソースの中、色々知恵を絞っていましたねぇ。

  4. ソンゴスキー より:

    >>3
    私も少し前に、スペースコブラの第一話を見たんですが、たった20数分のアニメにこれほどの情報量と満足感が得られるモノなのかと驚きましたね。
    何事も最初の掴みは大事。そういう視点でゲームを見てみるのも面白いですね。

  5. 名無しの冒険者 より:

    ようやくキャッスルを取り上げていただき、嬉しい限りです。なかなか出てこないので、ソンゴスキーさん持ってらっしゃらなかったのかと思っていました。
    大好きなゲームのひとつです。パズルとアクション、ゲームバランスがよくまとまってましたね。

  6. ソンゴスキー より:

    >>5
    実は前からキャッスルは紹介候補に挙がってたんですが、このゲームの雰囲気をうまく言葉で説明できない感じがして後回しにしてたんですよね。
    とはいえ、じゃあ今回は上手く言葉に出来たのかと言われると悩んでしまいますがw

  7. 名無しの冒険者 より:

    懐かしい!
    子どもの頃に行き当たりばったりで、1度だけクリアしました。
    大人でも楽しめる名作だったと思います。

  8. 名無しの冒険者 より:

    更新頻度が上がるのは非常に嬉しいですが、ご無理はなさらぬようお願いします。

  9. ソンゴスキー より:

    >>7
    これ行き当たりばったりでクリアできたんですか?
    子供ってすげえw

  10. ソンゴスキー より:

    >>8
    ありがとうございます。無理して更新繰り返してると疲れてまたすぐサボっちゃいますからね。でも今はなんか書きたい気分が出ている感じで、無理はしていません。

  11. 名無しの冒険者 より:

    去年コレやりました(MSX版)。学生時代中古屋で安く売られてたのを買ったはいいんですが実家に棚積みしてて、でいつかやろうと思いつつ数十年経って・・・
    ドハマリしてやったはいいんですが途中どうしても鍵が足らなくなり見事ハマりましたね;;
    心が折れてリベンジできないまま年を越してしまいました。
    上に書かれてる方がいますが行きあたりばったりでクリアできるのはすげえ!(笑)

  12. ソンゴスキー より:

    >>11
    計画性なく進めてしまうと、鍵が見つからないとか無駄に使ったりでほんとに足りなくなるんですよね。これでさえクリア大変なのに、さらにエクセレントもあるんだからなー

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