隠者の迷宮 B38
発売年:1996年
開発元:フェアリーテール/レッドゾーン
ジャンル:コマンド選択式アダルトアドベンチャーゲーム
発売機種:PC-98、Windowsなど
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「X-GIRL」とは

「X-GIRL」は、「殺しのドレス」シリーズや「狂った果実」、「DEAD OF THE BRAIN 死霊の叫び」などで有名な「フェアリーテール」、その別ブランドである「レッドゾーン」が1996年に発売したコマンド選択式アダルトアドベンチャーゲーム。ちなみにフェアリーテールの別ブランドとしては、「ネクロノミコン」を開発した「ハードカバー」というものも存在していた。
本作は映画「ブレードランナー」や「攻殻機動隊」、「サイレントメビウス」のような、濃厚なサイバーパンクを臭わせる世界観となっており、人間の頭にプラグを差し込んだり、能力を上げるために体を改造するといった表現が作品の各所に見られるが、だからといって主人公の体がサイボーグだったり、敵が妖魔だったりということは無い。
日本が世界に対し戦争を仕掛けた影響で日本人が地下都市に住まざるを得なくなったり、そこで純粋な日本人が移民や移民との混血を迫害・支配していたり、無法地帯と化した秋葉原や千葉が登場するなど、内容的にはかなり危ないもののだったが、その世界観とそれを表現するグラフィックの作りこみが非常に良くできている作品であった。
物語は近未来の日本で起こった

舞台はそれほど遠くない時代の日本。
軍事国家となった日本は、突然世界の大国に対し「宣戦布告」を行う。
日本はその軍事力で世界中に広がった戦線を何とか維持していたが、その代償として日本の国土は敵国の絶え間ない爆撃や細菌兵器の影響にさらされる事になり、やがて人々は地上を追われ、巨大な防空壕を改造した地下都市へと移り住まなければならなくなってしまった。
戦争が始まってから10年以上たった頃、軍の情報部将校である主人公「キヨミ」は軍のやり方と、その軍に身を置く自分にに嫌気が差し軍を去ったのだが、軍の強引な手口により情報部に連れ戻される。そこに待っていたのは情報部の上官でありキヨミの恋人でもある「アンナ」、そして情報部内務査察官の「加藤」であった。
そして加藤は高圧的な態度で、アンナはなぜかすがる様な目でキヨミに命令する。
「機密を奪って脱獄した4人の囚人を捕まえろ」と。
システムは「ポイントアンドクリック」方式

本作のシステムについて最初「コマンド選択式」と説明したが、正確に言うとそれはちょっと違う。本作の操作は全編マウスで行われるようになっており、画面に表示されているマウスカーソルを動かし、画面のどこかで左クリックすることでカーソルの位置に適したコマンドが自動的に実行されるようになっていた。
例えば人間の顔の所をクリックすれば「話す/聞く」、人間の顔以外の箇所や、オブジェクト、背景などをクリックすると「見る/調べる」といった行動から、今の状況に適したものを自動的に行ってくれるのだ。つまり画面上に”コマンド”は表示されないので「コマンド選択式」という表現とは少し違う。あえて言うのであれば「ポイント選択式」であろうか。
ただし例外として、画面上で右クリックをすると「移動」や特殊コマンドが一覧で表示され、この場合のみコマンド一覧から選択する方式となる。特殊コマンドには、ある特定の場合のみ必要になる「ゴーグル」の着脱コマンドの他、ゲームのセーブなどもあるのだが、ゲームのセーブに関しては情報局内のキヨミの自室でしか行えない。
反射神経が要求される戦闘システム


本作においてプレイヤーの目的の一つは機密を奪って脱獄した囚人を捕まえることであり、そのためにプレイヤーは主人公であるキヨミを操って、地下都市となった東京近郊(秋葉原、チャイナタウン、市ヶ谷、千葉など)を巡り、先述したように画面をクリックしてコマンドを実行し、情報を集めながら囚人を捜索することになる。
しかしそうやって見つけた囚人も、黙って捕まってはくれない。キヨミに対して反撃を仕掛けてきたり、その場から逃走を図ったりしてくるのだ。そうなると状態が「戦闘モード」に切り替り、画面左下にタイマーが表示され、マウスカーソルが十字の照準に変化する。あとは、囚人に対しタイマーが0になるまでに”麻酔銃”を4発撃ちこむことが出来れば捕獲成功となる。
とはいっても適当に銃を4発撃っても捕獲はできない。囚人にはそれぞれ決められた弱点があり、そこを狙って当てなければ効果がないのである。囚人が弾を避けたりするようなことはないが、地味に囚人の絵が小さかったりすると弱点はわかってても外してしまうことがままある。ちなみに制限時間内に4発当てられなければ即ゲームオーバーである。
ちなみにこの戦闘システムは、同社1992年の作品「DEAD OF THE BRAIN 死霊の叫び」にて、ゾンビと戦うシーンとほぼ同じである。
尋問システムでエッチなことも…


戦闘によって捕まえた囚人に対しては、情報部に連れて帰り「尋問」を行うことが出来る。ところで、ここまでの内容を聞いてもそういう要素が見当たらないのですっかり忘れてしまっていたかもしれないが、本作はアダルトゲーム、つまり「エロゲ」である。そして本作がエロゲであることの証明がこの「尋問システム」だ。
主人公「キヨミ」は尋問のスペシャリストであり、情報部内でもその腕は高く評価されている。しかしここでいう「尋問」とは、刑事モノのAVGでよくあるような取調室で相手を問い詰めたり、証拠を突きつけたりして情報を聞き出すことでは当然ない。それではエロゲである証拠にはならない。彼女が得意とする尋問とは、
鞭でぶっ叩く事。そう、つまり彼女は”SMの女王様”なのだ。
尋問モードが始まると、囚人はSMチックに縛られた状態でキヨミの前に連れて来られる。ここでプレイヤーが行うのは、画面はしに表示されるアイコンから「鞭」か「スパンキングロッド」を選択し、連れて来られた囚人達を
ひたすらぶっ叩くのだ。それはもう体中隙間なくぶっ叩く。嫌になるくらい叩く。
そうするとやがて相手が弱音を吐き出し、グラフィックが別なものに変わる。そうなるとアイコンの中に追加で使用できる道具(バイブや浣腸、蝋燭、その他かなり危ないものもある)が現れるので、それを使ってさらに尋問を進めることが出来る。1人の囚人につき3~4枚の尋問用グラフィックが用意されており、そのグラフィックもエロイのだが、キヨミが囚人に浴びせるサディスティックな言葉もかなり本格的で、この手のものが好きな人はかなり楽しめるであろう。
言い忘れていたが、本作の中で登場する囚人は”全員女である”。なので安心して尋問して欲しい。
プレイした感想

本作のストーリーは大筋では「機密を奪った囚人を捕まえる」というものなのだが、ストーリーの各所に、軍事国家となった日本が戦争をはじめ、「日本人至上主義」のもと人口の30%を占める移民や移民との混血を迫害し、それらの人間がまともに”人として”生きるためには体を改造して高い能力を得るしかないという状況による影響が散りばめられている
また各国との戦争に全ての国力を注ぎ込んでいるため国内の治安が著しく悪化しており、チャイナタウンは廃墟化、秋葉原では軍から流出された武器が違法に売られ、千葉は一般人が入ったら生きて出られないほど犯罪者がたむろす無法地帯と化し、とんでもない風俗店や無許可の人体改造医院があったりと日本はかなり危ない国になっていた。
そういう内容なこともあり、本作は全体的に暗くシリアスで、この手のアダルトAVGには付き物の”遊び”や”おふざけ”の類がまったくない、さらに言うと”明るいエロ”も存在しない、徹底的にサイバーパンクを意識したエロゲ作品となっている。そこも含め全体的によく作られている作品だと思うのだが、ゲーム全体を通してあまり「主人公が女性」である理由が見当たらないのが欠点といえば欠点であろうか。
主人公が男だったら尋問パートでの感情移入ももっと出来たような気もするのだが、多分そこはルックスから判断しても、攻殻機動隊の「草薙素子」を表現したかったのであろうと予想する。
《最後に》ゲーム史に残すべきドット絵の芸術

最後にひとつ、本作において個人的に高く評価したいところは「グラフィック」である。人物もそうなのだが、特に背景などの書き込みの細かさと美しさは、本当にため息が出るほど芸術的で、このグラフィックを見るためだけに本作を購入する価値も十分にあるといえるだろう。PC98時代末期の大いなる遺産といったら、やや言いすぎであろうか?
以後は余談であるが、少し前の「アークスプレイ日記」にて、記事を書くためにプレイ中のゲームが、どうしても批判的な意見しか出てこなくて記事に出来ずに止まっているという話をしたが、それは本作の事ではないと断言しておく。本作はそのゲームがなかなか記事に出来ずに止まってしまっているため、止むを得ず予定を1個繰り上げて記事にしたものである。
正直、あちらのゲームについてはお蔵入りにしようかと考えているくらいである。
≫EXIT
お疲れ様でした!

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コメント
これは知らないゲームでしたが
デッドオブザブレインはX68でやった事があって
確かその戦闘で狙って撃つのがどうにも勝てなくて辞めちゃったんだったかな。
ポイント選択式と言えばダークシードなんかもそうでしたけど
結構難しいですよね、もう少し判定を甘くしてくれればと思うんですが。
>神楽さん
デッドオブザブレインは、単純に敵の頭を狙えばOKって訳にも行かなくて
全然関係なさそうな場所を狙わないと駄目だったりと難しかったですね。
ちなみに本作は、大体狙えばいいところが解るので詰まることはありませんでした。
初めまして。マニアックな雰囲気のサイトを見るのが大好きでたどり着きました。
めちゃくちゃやってみたい。
このサイバーパンクの世界観や、あまり知られていないというマニアック感、
もうワクワクが止まりませぬ。だけどPC98を持っていない。。。
なかなか、プレイするのは難しそうですね~。好き好き大好きというゲームも非常に気になっているのですが。。。エミュレーターとかであればうまい事出来るものなんですかね?
>>3
この作品は雰囲気もそうですが、兎に角ドット絵の美しさがたまりません。まさにドット絵円熟期の至宝と言えるでしょう。