元帥の塔 30F/No.0229
「三国時代」の英雄の1人となって、中国大陸の統一を目指す歴史SLG「三國志」シリーズの4作目となる作品。 新たに追加された「特殊能力」はゲームにどう影響を及ぼすのか。
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いらっしゃいませ!
先日ちょっと部屋の環境を変えたのでそれに合わせてPC環境も見直していたんじゃが、そのときに結構前にsteamで買っていた「シブサワ・コウ アーカイブパック vol1-5」を見つけてのう。その中でいろいろ遊んでみた中から今回はこれを紹介してみたいとおもうぞい!
では入るがよい、元帥の塔 FLOOR30 じゃ!
ゲーム基本情報
タイトル | 三國志Ⅳ(with パワーアップキット) |
シリーズ | 三國志シリーズ(4作目) |
ジャンル | 歴史シミュレーション |
発売年 | 1994年 |
販売/開発 | 光栄(現:コーエーテクモゲームズ) |
発売機種 | PC98、FM-TOWNS、スーパーファミコン、Windowsなど |
前作 | 三國志Ⅲ |
次作 | 三國志Ⅴ |
光栄「三國志」シリーズの4作目。今回は新たな試みとして武将の能力値以外に「特殊能力」というものが追加され、これが本作の大きな「キモ」となっている。また初の完全マウスオペレーションが採用されてUIも一新したほか、三國志シリーズでは初の「パワーアップキット」が発売された作品でもある。
ゲームの説明の前に
本作の紹介については、前作である「三國志Ⅲ」を基準に本作での変更点や改良点などを主に紹介する。「Ⅲ」を知らない方は、まず先に以下の記事を読んでおくと解りやすいかもしれない。
ゲーム中の基本的な画面について
ではまずゲームメイン画面の説明だが、本作のメイン画面は、主に大陸マップ、全体マップ、全体コマンド、都市コマンド、情報表示画面で構成されている。
▲ 大陸マップ
ゲームの舞台となる中国大陸を表現したマップ。マップ上には前作同様に都市や関所、戦場(本作では古戦場)などがあり、それらを繋ぐ街道も表示されている。
▲ 全体マップ
大陸上の各都市の支配勢力と街道がひと目で確認できるマップ。マップ上をクリックすると、大陸マップもそのエリアに切り替わる。
▲ 全体コマンド
ゲーム全体に関する情報や、武将への役職任命、プレイヤーターンの終了、ゲームのセーブ・ロード、または終了などが行えるコマンドボタン。
▲ 都市コマンド
現在選択している自勢力の都市に対して軍事、人事、外交、内政、商人、計略、助言などの命令を与えるコマンドボタン。いずれかのボタンを押すと、その項目に該当するサブコマンドのボタンが表示される。
▲ 情報表示画面
現在選択している自勢力の都市についての状況や様々な情報が確認できる画面。右端にある5つのボタンで、表示する情報を変更することが可能。
画面の見た目で大きく変わったのはやはり大陸マップであろう。前作までの1画面に収められたマップから、1画面には収まりきらないほど広いマップになっている。これにより大陸全体の状況はわかりにくくなったものの、それぞれの都市周辺の状況は非常に解りやすく、グラフィックがリアル目になったことで臨場感も味わえる。
過去作が画面全体で文字や数字が占める割合が高いものが多く、見た目で少し硬さを感じる部分もあったんじゃが、本作はマウスオペレーションでのボタン操作が基本になったことで、UIもスッキリ纏められて見た目も近代化、とっつきやすさを感じるような画面になっておったのう。
ゲーム全体の流れ
では次にゲーム全体の流れを説明する。
まずゲームスタート前に6本用意されている「シナリオ」から1つを選び、次にプレイする「君主」を選ぶ(新君主も可能)。選んだシナリオにより選べる君主とその支配状況、ゲームスタート時の年月などが変わる。本作は複数プレイヤーで遊ぶことも可能で、選んだ君主の数が同時にプレイする人数となる(選ばれなかった君主はCPUが担当する)。また歴史に存在しない「新君主」でのプレイも前作同様可能であった。
ゲームがスタートするとまずシナリオ毎に決められた開始年月になり、以後1ヶ月を1ターンとして、その時点で存在している君主それぞれに順番で行動ターンが回ってくる。プレイヤーは自分の行動ターンにおいて、自軍が支配している都市に対し様々な命令を与え、命令が終了したら「休息」コマンドでターンを終了する。
その後まだ未行動の君主がいた場合は次の君主のターンとなり、全ての君主が行動を終えると翌月になってまた行動ターンが回ってくる。これを繰り返し、最終的にいずれかの君主が大陸上の全ての都市を支配下に置くと「天下統一」となりゲームが終了する。
武将の能力と身分について
武将のパラメータ
さて三國志シリーズでは、自勢力に所属する「武将」に命令を与えて内政や外交、戦争などを実行させるのがお決まりとなっているが、それだけに命令を実行させる武将の「能力値」というものが重要になっていた。これについては本作でも変わらない。
前作で武将の能力値は武力、知力、政治、魅力、陸上指揮(陸指)、水上指揮(水指)となっていた(隠しパラメータは除く)。本作も基本的には同じだが、陸指と水指が統合されて新たに「統率」という能力値に変わっている。
※三國志シリーズではお馴染みの能力値「統率」はここから登場したのだが、以後数作品ではなぜか撤廃されたり復活したりを繰り返している。
陸指と水指が「統率」に変わった事で、陸上戦に強い武将、水上戦に強い武将の差別化が図れなくなったようにも思えるんじゃが、実はその辺りは別の部分で差別化されておるんじゃ。
各武将の「身分」については、前作までの君主、太守、軍師、将軍、武官、文官から少し変わり、まず新たに「侍中」という身分が追加され、さらに武官と文官は統合して「一般」という身分になっている。侍中は主に内政面での助言をしてくれる立場で、これにより軍師は軍事面に限った助言をしてくれる立場に変わった。また身分による実行コマンドの制限が無くなり、身分に関係なく様々な作業に従事させることができるようになったのだが、別の部分で新たに制限が生まれている。
ちなみに隠しパラメータではあるが、一部の武将には「血縁」が設定されており、特に君主と血縁関係にある武将は命令実行時や提案時にそれっぽい話し方をするようになっている。
武将が持つ「特殊能力」
そして本作より能力地に加え、新たに「特殊能力」というものが追加された。
特殊能力は本作から新たに登場したその武将が持っている技術や特技を表すもので、本作における「キモ」と言っても過言では無い要素である。全部で24個存在し、1人の武将が複数持つことも可能である。最初から持っている能力に加え、経験を積む、旅人に会う、アイテムを手に入れるなどで新たに会得することも可能であった。
特殊能力は大きく2つの分類に分かれる。
①その能力を持っていると「特定のコマンドが実行できる」もの
②その能力を持っていると「特定の効果が上昇する」もの
①について代表的なものを挙げると「駆虎」や「火計」などの計略系であろう。過去作では成功失敗の確率は違うが身分次第で誰でも計略そのものは実行できた。しかし本作では例えどれだけ知力の高い武将であっても、実行する計略に該当する特殊能力を持っていなければ実行できないように変わっている。
②について代表的なものを挙げると「騎兵」や「海戦」などの兵科系のものであろう。本作では誰でも全ての兵科の部隊を率いる事は可能だが、その武将が兵科に該当する特殊能力を持っていると部隊の攻撃力が上昇する。また水上戦の際に武将が海戦を持っていた場合は、なんと部隊の能力が3倍にもなる。
つまりこれによって陸指と水指がなくなっても、水上戦に強い武将、陸上戦でも歩兵が強い、騎兵が強い、弓兵が強い武将というさらに個性的な差別化がされたんじゃな。
この特殊能力の存在により武将に能力値以外での「個性」が表現され、また例え能力値がトップクラスではない武将だったとしても、特殊能力次第ではあらゆる面に使い道が生まれるようになった。
都市コマンド
内政は解りやすく
ではここからは本作のメインコマンドともいえる「都市コマンド」について説明していく。
本作が前作から最も改善された部分は、おそらく内政コマンドであろう。本作では内政コマンドが、前作の開発、耕作、治水、商業から、開発、治水、商業、技術に変更された。開発、治水、商業については効果はほぼ前作と同じで、追加された「技術」は武器や兵器の製造に影響する。
また前作での内政コマンドは最大3名にまで命令できたが、その中に役職者(将軍や軍師など)がいた場合は1ヶ月で実行完了、3名とも役職無しであれば最大で6ヶ月継続で実行させることができた。しかし支配都市が多くなってくると、いちいち毎月や数ヶ月毎に命令をやり直すのが非常に手間であった。
この点が本作では改善されており、内政コマンドでは開発、治水、商業、技術それぞれに担当者を1〜2名選んで資金を与えるだけ、以後は命令をいちいち与えなくても資金がなくなるまで毎月担当官が自動で命令を実行するので、支配都市が増えても内政を行うのが非常に楽になっている。
ちなみに内政コマンドが実行されているか資金が尽きていないかは、情報表示画面に表示されるチビキャラのアニメーションでひと目で判るようになっておってな、この辺の配慮も非常に良い改善点でといえるじゃろう。
外交・人事・計略は特殊能力必須
外交、人事、計略、商人のコマンドについては、前作とそれほどの違いは無い。
▲外交コマンド
他勢力との同盟の締結・破棄、他勢力への物資の要求・援助などに加え、本作から各地の異民族に対し他国を襲撃するよう要請することも可能になった。ただし、外交コマンドの実行には特殊能力「外交」が必須となる。
▲人事コマンド
未発見武将の捜索、他勢力や在野の武将の登用、自勢力の武将や都市の住民に施しを行う。ただし捜索と登用には特殊能力「人材」が必須となる。ちなみに本作では捜索の対象が1都市から1州に広がっている。
▲計略コマンド
埋伏の毒、敵中作敵、駆虎呑狼、流言飛語などに加え、本作より他勢力の都市の物資を減らす「焼討」、他勢力の都市を参考に実行都市の能力を上昇させる「諜報」などが追加された。ただし計略を実行するにはその計略に該当する特殊能力が必須となる。
▲商人コマンド
その都市の商人と兵糧の売買、または馬や弓などの購入を行う。これについては特殊能力は必要ない。
このように外交・人事・計略コマンドについては、そもそも特殊能力を持っていなければ実行できないものが殆ど(身分が君主の武将は能力が無くても実行可能)であるため、配下武将が少ない君主は能力値に関係無く、まずこういった特殊能力を持っている人材をかき集めるのが最優先であった。
人材捜索の対象が都市単位から州単位に広がったのは、コマンドが実行できる武将が限られるようになったせい(おかげ)かのう?
1部隊に3人まで武将を配置
戦争コマンドでは、他都市への侵攻・移動・輸送、兵士の徴用・訓練、武器の製造、他都市へ密偵を送り込むなどが行える。コマンドそのものは前作までとほぼ変わらないが、武器の製造には「製造」、密偵を送るには「情報」の特殊能力を実行武将が持っている必要がある。
また軍事面では、兵士と部隊の扱いが過去作から少し変わったので説明しておく。
▲ 兵士について
過去作で兵士は武将ごとに管理されるもので、都市にいる武将の兵士数の合計が都市の総兵士数であった。しかし本作では兵士は都市ごとに管理されるようになり、戦争時に部隊毎に都市の兵士数から割り当てるように変わった。
これにより、前作までの徴兵後や訓練前の煩わしい再編成の手間がなくなり、それに準じて再編成コマンドも撤廃された。また武将が引き抜かれた際に、兵士ごとごっそり持っていかれるというようなこともなくなっている。
▲部隊について
過去作では戦争時に出撃する1武将=1部隊という扱いだったが、本作では1部隊に大将1人、副将2人の最大3人まで配置できるようになった。また部隊の兵科は前作と同じ歩兵、騎兵、弩兵、強弩に加え、新たに「連弩」という兵科が増えている。※弓系の兵科は全て特殊能力「弓兵」が該当
部隊の攻撃力は所属する武将それぞれの統率により増し(大将の影響が最も高い)、武力の高さは部隊としては余り関係無い(武力は一騎討ちに影響)。また計略の成否は部隊で一番高い知力に依存する。つまり統率が高い武将を大将に置き、大将の知力が足りないようなら知力の高い武将を副将に配置、武力だけ高いような武将は一騎討ち要員として副将に置く、などといった編成ができるようになった。
また歩兵、騎兵、弓兵などの特殊能力は大将が持っていると効果が非常に高く、加えて副将達も持っていると効果が更に上乗せされる。実は本作では統率の高さよりも特殊能力の有無の方が影響大ので、副将には統率は微妙でも大将と同じ兵科の特殊能力を持った武将を置いた方が強い部隊になる。なお計略系の特殊能力については、大将が持っていなくても副将が持っていれば使うことは可能になっている。
今回1部隊の考え方が変わった事で、部隊という存在に厚みができて編成を考えるのが面白くなったうえ、夏侯惇の副将に李典をとか、趙雲の副将に鄧芝をみたいに物語でのコンビを再現できるのもファンにはたまらん点じゃろ。
戦争(野戦)
野戦のルールは前作をほぼ踏襲
戦争コマンドの説明をした流れで、戦争そのものについてもここで説明しておく。
戦争が発生した際、戦争を仕掛けられた側は「迎撃」を行うかどうかを選択する。それにより迎撃する場合は「野戦」に、迎撃しない場合は「攻城戦」へと移行する。ちなみに本作では、都市間に「戦場」が無くても迎撃を行えば野戦は発生する。また都市間に大きな川がある場合は野戦ではなく「海戦」となる。
本作での戦争のルールは、まず攻撃側、防衛側がそれぞれ戦場に部隊を配置し、1日を1ターンとして交互に各部隊に命令を与えていく。30日以内にどちらかの総大将の部隊が全滅、又は退却する事で戦争は決着するが、決着がつかなかった場合は翌月に持ち越される。ただし野戦時に防衛側が退却した場合はそのまま攻城戦に移行する。
各部隊への命令は、前作まではまず移動や攻撃、計略などのコマンドを選んでから移動先や攻撃対象を選ぶ流れだったが、本作では行動させたい部隊を選択すると自動的に部隊の移動力で移動可能な範囲が表示され、同時に攻撃可能な部隊にマークが付く。移動範囲内の好きな場所を選べばそこに移動し、攻撃したい対象を選択すれば、攻撃や一斉、弓矢あるいは計略などのコマンドを選択できるようになった。
これは大した変更には思えないかもしれんが、実際遊んでみると過去作と比べてストレスが少ないんじゃよな。攻撃方向を間違える事もないし、特に移動は一歩一歩方向を指定して移動していく手間がなくなったからのう。マウス操作が基本になった事の賜物じゃな
特殊能力が真価を発揮
野戦で大きく変わったのは、戦場マップがクォータービューからトップビューに変わり、マップに高低差が存在するようになった事である。そしてこの高低差を利用した強力な「落石」攻撃が追加され(ただし「落石」の特殊能力必須)、更に前作で防衛側に軍師が襲撃していると「落とし穴」を掘る事ができたが、本作ではそれに加えて火計の炎を一気に広げる「芝草」を置く事が可能になった。
野戦では特に火計の効果が高いのだが、風向きや天候に大きく効果が左右される。しかし本作にはなんと風向きを変更できる「風変」、雨を降らせたり止ませたりできる「天候」といった人知を超えた特殊能力が存在しており、更にはランダムで部隊に雷を落とす「落雷」などというとんでもない特殊能力も存在している。
風を呼んだり天候を操るなんて聞くと三国志ファンなら黄巾党の「張角」を想像すると思うんじゃが、本作ではまだ黄巾党の武将が参戦しておらんかったから、こういった異常な特殊能力は諸葛亮がほぼ独占しておったのう
ちなみに野戦時のみ最初に「兵糧」を管理する部隊を設定する必要があり、兵糧を管理する部隊が全滅すると以後毎ターン全兵士の士気が減少する。
戦争(攻城戦)
より攻城戦らしい戦いに
攻城戦も前作から大きく変わった。前作での攻城戦は1〜2回城門を破壊してから本丸にいる総大将の部隊を全滅か退却させると勝利で、城門の破壊はあくまで過程に過ぎなかったが、本作では総大将の全滅・退却とは別に城門の破壊そのものが勝利条件となった。
野戦と違い攻城戦は前作と同じクォータービューで行われる。ただし前作ほどマップは広くなく、画面上に巨大な城門があり、その城門の前や城壁の上での戦いとなる。攻撃側は城門を梯子で登ったり、攻城兵器などで城門を攻撃したりし、防衛側は城壁の上から弓で攻撃したり落石を行ったりと、まさに攻城戦と呼ぶにふさわしい戦いになっていた。
前述の通り攻撃側は総大将の部隊を全滅あるいは退却させるか、城門を攻撃して防御力を0にすれば勝利となるが、城門を破壊した場合のみその後「武力決着」、「兵力決着」のどちらかを選ぶ必要がある。
▲武力決着
その時点で生き残っている武将から双方1〜5人を選び、点取り方式による一騎討ちを行い勝ち星が多い方が勝ちとなる。
▲兵力決着
その時点で残っている双方の総兵力による総力戦を行い、最後まで兵力が残っていた方が勝ちとなる。
武力決着は兵力は消費しないが、相手側メンバーの武力と運次第なので、場合によってはここまで追い詰めて逆転負けになる可能性もあるうえ、一騎討ちなので武将に死者が出る恐れもある。兵力決着は兵力差があれば有利だが、兵力差が少ない場合はやはりここで逆転負けになる可能性もあるため、どちらを選ぶかはしっかり状況を確認して決める必要があった。
武力決着にしろ兵力決着にしろ、プレイヤーが介入できない仕様じゃから結構怖いんじゃよな。確実に勝ちたいなら、素直に総大将の部隊を狙うのが一番じゃのう
「攻城兵器」の登場!
ちなみに城門を効率よく破壊できる手段として「衝車」と「発石車」という攻城兵器がある。攻城兵器は戦争コマンド「製造」で生産でき、戦争時に持っていけば攻城戦の際に部隊に割り当てることができる。衝車は城門に密着して城門を攻撃するものだが、発石車は城門から離れたところからでも投石で城門を攻撃でき、更に離れたところにいる敵部隊に対しても投石攻撃が可能である。
ただし衝車と発石車は城門を攻撃する事については優秀だが、他の攻撃手段を持たないので敵部隊に密着されると一方的に攻撃されるがままになってしまう。更に一度部隊に攻城兵器を割り当てると途中でキャンセルもできない。従って便利とはいえ全ての部隊を攻城兵器にするのは避けた方が良い。
戦の華!一騎討ち
戦争中にコマンドから一騎討ちを実行するか、攻城戦で城門を破って「武力決着」を実行する事で武将同士の一騎討ちを見ることができる。本作の一騎討ちは見た目以外、基本的に前作と変わっておらず後年の作品のようにプレイヤーが作戦を与えるような事はできない。
一騎討ちが始まると片方ずつ馬上から名乗りを上げ、お互い中央部に走り寄って一騎討ちを始める。中心から右と左に向けて体力バーが伸びており、一合交える毎に体力バーが減っていく。減る体力の量は相手の武力に依存するが、ランダム性もあり減らなかったり必殺技を使われて一気に減ったりもする。
どちらかの体力バーが無くなると決着だが、状況が不利になった時点で武将が逃走する場合もある。逃走は成功する場合もあれば、追いつかれて後ろから斬られたり、弓兵の特殊能力を持っていれば逃げる途中で振り返って弓を撃つような事も起こった。
本作は一騎討ち中にかなり喋るようになったうえ、「燕人張飛」など異名を名乗るようになったり、戦っている者同士が血縁関係、義兄弟だと台詞がそれっぽいものに変わるなど、見ていての面白さも増しておったのう
都市コマンド(助言・訪問)、評定
作品が作品だけに今回かなり長くなってしまっているので、システム面の最後は簡単な説明だけに留める。
▲助言
過去作では何かコマンドを実行する際に、それについて軍師が助言してくれる機能があった。それは今回も存在するのだが、それとは別にいつでも軍師(または侍中)に助言を求められる「助言」というコマンドが本作には追加されていた。
▲訪問
本作では「旅人」という存在が頻繁に都市を移動している。彼らがその都市に滞在しているときは「訪問」というコマンドで会いに行くことができ、会いに行くと様々な情報を教えてもらったり、稀に特殊能力やアイテムを授けてくれることもある。
▲評定
これはコマンドではないが、毎年1月になると配下の武将がなにか提案をしてくる場合がある。そのときには「評定」を開くことができ、評定では提案内容について行うべきかどうか他の武将の意見を求めることができる。ちなみに提案を採用すると武将の忠誠度が上がり、却下すると下がる。
旅人というのは、有名なところじゃと「華佗」や「于吉」、「司馬徽」なんかじゃな。ちなみに彼らは直接君主を尋ねてくる場合もあるぞい
パワーアップキット
一部の機種では本作の発売から数ヵ月後に「三國志Ⅳ パワーアップキット(以下PUK)」という所謂「追加ディスク」のようなものが発売され、これ以降シリーズの定番となった。ちなみにPUKの発売には三國志Ⅲで他社が勝手に武将のパラメータをいじれるツールを攻略本のおまけにつけて発売し、それについて光栄と裁判沙汰になった事件が発端と言われている。
PUKの内容については、ゲーム中いつでも武将や都市のパラメータがいじれる「エディット機能」、好きな武将同士での一騎討ちのみを楽しめる「一騎討ちモード」、ゲーム中のBGMを聴く事ができる「サウンドモード」、さらに既存の6本に加え3本のゲームシナリオ追加、また一部システムの修正などが盛り込まれていた。
ちなみに本作までゲームに用意されていたシナリオは、三国志演義の物語の年代と状況に即した内容になっていたのだが、本作のPUKから架空の設定を元にしたオリジナルのシナリオも用意されるようになり「曹操がほぼ中国大陸を制覇している状況で辺境の都市で新君主として旗揚げし曹操に挑む」というようなシナリオも用意されていた。
武将や都市のデータが自由にいじれてしまうのは「チート」みたいなもんじゃから、あまり快く思わないユーザーもおったじゃろうが、個人的には昔から光栄の孫呉武将に対する評価が「糞」じゃと思っておったから、この機能はまさに待ちに待っていたものじゃったよ
まとめ
今回はかなり長くなってしまったので、まとめも簡潔にしておこう。
本作は、新たに加えられた要素だからということもあるが「特殊能力ゲー」と言っても過言ではないほど、とにかく特殊能力を持っているかどうかが武将の明暗を分けたと言える作品だったのではないだろうか。おかげで特に弱小勢力で自勢力に特殊能力をもつ人材が少ない陣営では、君主自らが人材、外交、計略などに奔走しなければならなかった。
それでも、今までの能力値が微妙な武将が委任地の肥やしになっていた状況を考えれば、特殊能力のおかげで微妙な武将でも政治、軍事に参加できる機会ができたことは本作の大きな改善点であったと思う。とはいえゲームでは基本である「他国の情報を得る」コマンドにも特殊能力「情報」が必要なのは、いささか行き過ぎとも思えたが。
しかしやはり特殊能力そのものは好評だったようで、以後のシリーズ作品にも様々な改良を施されてこの「特殊能力」という要素は受け継がれていった。特に次回作では特殊能力に加えて「陣形」という要素も追加されている。本作はシステムの基本的な部分では前作を踏襲しつつ遊びやすく改善していたが、この特殊能力という部分で「三國志」シリーズ次の世代の幕を開けた作品ではなかったかと私は考える。
最後に、現在(2020/8/30時点)でもsteamにて「三國志Ⅳ with パワーアップキット」は購入可能なので、興味のある人は是非遊んでみて欲しい。
≫EXIT
お疲れ様でした!
今回の記事はどうだったかの?何か感じた事があればどんなことでもコメントに残してくだされ。それと当ブログは以下のブログランキングに参加しておる。クリックして貰えるとわしの「やる気」がめちゃアップするぞい!
いつもバナークリックや拍手していただいて、誠にありがとうございます!
コメント
>光栄の『三國志』
三國志Ⅳは、数値化だけでは難しかった人材の個性を表現したという部分で
画期的でした。その後アイテムによる能力値&特性の取得によってより
適材適所の要素が重要視されたように感じられます。
>孫呉の悲劇
これは三國志Ⅵまで先送りされた大きな政治的課題(?)だと思います。
三國志Ⅰは「三國志演義」をモチーフとしていたため、孫呉勢力の人材
評価が適切ではないため、この流れは長く続きました(韓当とか蔣欽とか!)。
別作品ですが、関羽がセーラー服きたり夏侯惇が眼帯メイド服きたりしていた
とき、やたら孫呉がフューチャーされてから能力値が上がった感じがします。
>能力値と特殊能力
確かに「情報」はやや行き過ぎた感じもしますが、数値が凡庸な人材でも
「光るもの」があるというところでしょうか。
後に劉禅さまが個性の「全能」をお持ちあそばしたときには、制作側の
「遊び心」にほっこりしました。
>>1
記事にも似たようなこと書きましたが、特殊能力はこのあとの作品に厚みを持たせる結果となりましたね。最新作でも特殊能力あるくらいですから。
あー、一時期画像検索で「呂蒙」って検索すると、包帯巻いた女の子しか出てこなくなったあの一騎当○ですねw
確かにあの作品の影響もあると思いますが、個人的にはやはり1994年から連載開始した「蒼天航路」の影響も大きかったと思っています。後年では蒼天航路で目立ったキャラがその後の光栄作品に登場するとかありましたからね。白髪の孫堅とか魏諷とかw
孫堅 三国志大戦