勇者の塔 57F
No.0207
発売年:1989年
発売元:ハドソン(開発はアトラス)
ジャンル:アクションRPG
発売機種:PCエンジンなど
※画像はすべてPCエンジン版のものです
≫ENTER
いらっしゃいませ!
さて、昨今では…
インターネット回線やアドホック通信を利用して、多人数でアクションRPGをわいわい同時プレイ(マルチプレイ)するなんて当たり前の時代になってしまったのう。かくいうわしも今現在、某モンスターなハンターのクロス的なやつを、知り合いとインターネットで毎日のようにマルチプレイしておる(それでブログの更新が遅くなっているという感は否めないのう)。
その昔、わしらがゲーム機に触れ始めた頃というのは、ゲーム機にコントローラーは2つ(あるいは1つ)というのが基本じゃったから、アクションゲーム等を同時にプレイできるのも基本的には2人までじゃった。その頃にもゲーセンなどでは「ガントレット」や「カルテット」など4人まで同時プレイできるものはあったが、家庭ではあのわいわい感は味わえんものじゃった。
しかし1987年に発売されたゲーム機「PCエンジン」は、基本的にコントローラーは1つしか付いていないものの別売りの「マルチタップ」というものを接続することで、なんと家でも最大5人でアクションゲームがわいわい遊べるという優れものじゃったんじゃ。
そして今回紹介するゲームは、このマルチタップの売り上げに最初に貢献したのではないかと思われる作品じゃな。
では中に入るがよい、勇者の塔 FLOOR 57 じゃ!
本記事を読み進める前に…
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「ダンジョンエクスプローラー」とは?
「ダンジョンエクスプローラー」は、1989年に「ハドソン」より発売されたPCエンジン用アクションRPGで、プレイヤーは見下ろし視点のフィールド上でキャラクターを操作し、ショットや魔法を駆使して敵を倒しながら様々なダンジョンを制覇していく、という内容。アクション性の強いゲームだが、キャラクターの成長とそれをパスワードによって保存できるなどRPG要素も含まれていた。
本作は、外付けの機器である「マルチタップ」を使用することで、最大5人までの同時プレイが可能になるというのが大きなウリであり、それまで本格的に多人数プレイが可能なゲームがほとんど無かったPCエンジンにおいて、マルチタップ普及の第一歩になったのではないかと思われる作品である。
※恐らく爆発的に普及させたと思われる作品は翌年に発売された「ボンバーマン」
本作は発売はハドソンだが開発を行ったのはあの「アトラス」であり、さらに音楽を「女神転生」シリーズでお馴染みの「増子司」氏が担当していたということもありゲーム中のBGMに関しての評価も非常に高い作品である。ちなみに1993年にはCD-ROM2で続編が発売されており、こちらも開発はアトラスとなっている。
ストーリーとキャラクター
遠い昔、コーネリアという平和な国があった。しかし、いつの頃からかコーネリアの各地に魔物が現れるようになり、人々の平和な時は終焉を迎えてしまう。
”アイラの玉を手にしもの、民を治め地を支配し、悪しきものを滅ぼす”
平和を求める人々は言い伝えにある「アイラの玉」の存在に希望を託し、アルデ城の王はこの国のどこかにあるアイラの玉を探し出せる勇者を求めていた…。
プレイヤーは、ファイター、シーフ、ウォーロック、ウィッチ、バード、ビショップ、エルフ、ドワーフの8キャラクターの中から好きなものを選び、この地に現れた勇者の1人となって「アイラの玉」を探す旅に出ることになる。プレイヤーが選べるキャラクターは、それぞれ能力値や使用する武器、使える魔法などが異なっており、それぞれ情況によっての得手不得手が存在する。
また本作には上記の8キャラクター以外に、ゲームを進行させることで使用できるようになる「プリンセス」と「ハーミット」という隠しキャラクターも存在し、その中でもプリンセスは最初から全ての能力値が高いという優遇キャラクターであった。ちなみに本作は5人まで同時プレイが可能だが、別プレイヤー同士で同じキャラクターの使用は不可能となっている。
ゲームシステム
ゲームを開始するとアルデ城の城下町にある酒場からスタートとなり、ここで使用するキャラクターの選択、あるいは”パスワード”を入力してのゲームの再開を実行することができる。キャラクターの操作は、十字キーでキャラクターを8方向に移動、IIボタンで武器ショット、Iボタンで魔法の使用(ポーションが必要)、SELECTボタンで魔法(白/黒)の切り替えと非常にシンプルなものとなっていた。
ゲームがスタートしたらアルデ城の王に会いに行き、自分達がいま何をすべきなのかを聞いてポーションを貰ったら城を出て、王の指示があったほうに進んでいくとダンジョンの入り口が見つかるので、ここから本格的なダンジョン探索が始まる。ちなみに地上には城の他に民家なども存在し、そこに入るとゲーム進行のヒントが貰える(ヒントは割りと重要)。
ダンジョンの中には(一部の地上にも)「ジェネレーター」というオブジェクトが固定配置されており、このジェネレーターからはモンスターが次々と沸いてくるので、プレイヤーはこのモンスターとジェネレーターを武器ショットで破壊しながらダンジョンを進んでいく事ことが基本となる。
またダンジョン内には、炎や弾を撃ってくるオブジェ(壊せる)や、ショットで壊せる岩、壊せないが押すことで移動させられる岩などが固定配置されており、これらはゲーム進行上モンスターやジェネレーターと同じくらいやっかいな存在であるため、これも壊したりうまく回避したりして進む必要がある。
敵の攻撃(体当たりや弾)を受ける、あるいはオブジェクトの出す炎などに当たると、キャラクターの体力は減っていき体力が0になると”死亡”する。死亡時はRUNボタンを押すことでその場で復活することが可能だが、復活は5回までで、6回死亡するとゲームオーバーになってしまい、多人数プレイ時は全員がゲームオーバーになるまでゲームに参加ができなくなっていた。
ダンジョンの1フロアはそれほど広くは無いが階層が複数あり、下り(あるいは登り)の階段に入ることでさらに下(あるいは上)のフロアに進むことができる。多人数プレイ時に誰かが階段を使用して別のフロアに移動した場合、画面上から階段を使用したキャラだけがいなくなり、他のメンバー全員が階段を使用するまで次の画面に移動しない(しかも階段を使ったキャラは戻って来れない)という仕様になっている為、誰かが先行しすぎると、画面内での戦力が大きく低下してしまうという問題があった。
本作には後述の成長要素はあるものの”経験値”という概念は存在しないので、モンスターやジェネレーターをいくら破壊したところであまり得は無い。しかしそれらを放置していると敵がどんどん現れて通路を塞がれたり、囲まれてボコボコにされるなどして進行が儘ならなくなるので、ある程度は破壊しつつ進む必要があるだろう。
またモンスターに限り、倒したときにアイテムを落とす場合がある(出現はランダム)。アイテムは重要ななのでできることなら敵を多く倒してアイテムを稼ぎたいところなのだが、同じフロアに長くいすぎると耐久力が高く、しかも障害物をすり抜けてくるやっかいな敵(光の玉)が現れるので程ほどにしておくべきだろう。
迫力のボス戦
フロアを登ったり降りたりして、そのダンジョンの最奥地まで進むとダンジョンのボスがプレイヤー達を待ち構えている。ボス戦では基本的に1画面のみという狭い空間で戦うことになり、しかもボスキャラは雑魚と違って体が大きく、しかも動きも攻撃も激しいのが多いためかなりの苦戦を強いられる。
ボス戦で注意すべきは体当たり攻撃で、画面端に追い詰められてしまうと逃げ道が無く一気に体力を奪われ死亡というパターンが多々ある。しかも復活時は死んだ場所に現れるので、復活したらまだボスがそこにいてまた逃げ道が無くなって速死亡という悲しい結末も多々存在した。
なんとかボスを倒すことに成功すると、その場に人数分のクリスタルが出現する。このクリスタルは時間により、色が橙色>水色>紫色>緑色>橙色と変化し、拾ったときの色に対応した能力値が上昇するほか、拾うことでキャラクターのレベルがあがりHPの最大値が上昇する。ちなみに多人数プレイ時に、1人で複数のクリスタルを拾うことはできなかった。
ボスを倒すとボス部屋から次のダンジョンへ向かう道が開けるのだが、同時にアルデ城付近から次のダンジョンへのショートカットできるルートも出現するので、一度そこからアルデ城に戻って王様に次の目的を聞くことも可能になる。またパスワードでゲームを再開した場合、アルデ城の城下町から再スタートとなる仕様であるため、このショートカットが非常に重宝する。
以上のように、ダンジョンに行く>再奥でボスを倒す>王様に報告>次のダンジョンに向かう、というサイクルを繰り返して最終的にラスボスに辿り着くというのが本作の流れになる。
KEY POINT
本作のキャラクター能力値には、素早さ/攻撃力/体力/知性の4つがあり、各キャラクター毎に特徴にあわせた能力値が設定されている。この能力値はボス戦後のクリスタル取得により成長させることができるが、それ以外にもダンジョン内に落ちているアイテムを拾うことで上昇させることが可能である(斧は攻撃力、ブーツは素早さなど)。
この能力値の中で、特に重要なのが「素早さ」であろう。素早さはキャラクターの移動スピードに影響するのだが、ダンジョンの中には強風が吹いていて中々進めない場所があり、そこを抜けられるかどうかはこの素早さによって決まるのだ。素早さが低いキャラクターを使用している場合、道中でブーツを複数拾ってくるか、多人数プレイの場合は素早さの高いキャラクターに後ろから押してもらう、あるいは先に進んでもらって抜け道を作ってもらうなどしてもらわないと先に進むことができないのだ。
またとあるボス戦では、画面上からボスが追いかけてきて体当たりしてくるのを、下に向かって延々と逃げながら反撃しなければいけないものがあり、ここで素早さが低いキャラクターを使っていると一瞬で轢き殺され、復活してはまた轢き殺されを繰り返す羽目になってしまうのだ。
従って最初から素早さの高いシーフやエルフはソロプレイ時に有利で、素早さが低いキャラはボス戦後に素早さのあがる橙色のクリスタルをとるとか、複数人数プレイ時なら優先的にブーツをまわしてもらうなどの対策が必要であった(先にブーツを奪われて仲間内で喧嘩になるというのも日常茶飯事)。
最後に
さて、どうじゃったかの?
本作は個人的にも思い入れのある作品での、学生時代に学校帰りや休みの日に友人宅に集まると、まず決まってこれを遊んでおったほどの定番ゲームじゃった(のちにそれはボンバーマンに取って代わられたがの)。またPCエンジン本体が割と持ち運びに便利ということもあり、修学旅行に本体ごと持って行き、同室のクラスメートと先生にいい加減にしろ!とキレられるまで遊びまくったものじゃよ。
本作は仲間同士で協力し合うのは勿論熱いんじゃが、仲間同士での邪魔し合い(我先にとアイテムを奪い合ったりや、狭い通路や敵の多い場所に味方を押し込んで殺したり)がまた熱くてのう。わいわいどころか、みんな発狂したかのように叫びながら遊んでいたものじゃ。
本作は現代に先駆けて、家庭での多人数プレイの楽しさを教えてくれた名作といえるじゃろうな。
さて最後になるんじゃが、この作品を語る上で避けられないであろう他社の作品が1つあるんじゃ。それは最初にちょっと名前が出てきた「ガントレット(アタリ/1985年)」という作品じゃな。ガントレットは所謂洋ゲーだったんじゃが、日本でもゲーセンに多く置かれていた有名な作品で、ダンジョンエクスプローラーが発売された当時「これはガントレットのパクリでは?」というのがちょっと話題になったんじゃ。
ガントレットは4人のキャラクターから1人を選んで、見下ろし型のダンジョンをショットと魔法を駆使してジェネレーターから次々と沸いてくる敵を倒しながら進んでいく、というもので仕様だけでなく画面の見た目や挙動(特に階段使用時にキャラが回転するところ)などがダンジョンエクスプローラーとよく似ていたんじゃな。
確かに似てはいるんじゃがパクリというよりは、ダンジョンエクスプローラーはストーリー性やボス戦、RPGのようなフィールドの存在などを加えることで、ガントレットを参考にして、家庭用ゲームとしてウケやすく、遊びやすく、そしてマイルドにした作品ではないかと思うんじゃ。
実際ガントレットのほうは、遊んでみるとダンジョンエクスプローラーに比べてやや単調な感じがあるんじゃが、実は戦術性が高くてやりこみ度が深い作品だったと思うんじゃ。なので通好みではあっても、家庭用向けゲームとしてのウケはあまり高くなかったんじゃないかのう。
わしは単純にパクってキャラだけ変えたような作品は大嫌いじゃが、仮に参考にしてたとしてもちゃんとオリジナリティを作り出して、参考元と並び立とう、あるいは超えようという意思を感じられる作品は嫌いではない。
この「ダンジョンエクスプローラー」という作品からは、少なくともそういう意思を感じたわい。
≫EXIT
お疲れ様でした!
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