≫ENTER
いらっしゃいませ!

管理人じゃ。

謎の妖精よ。

さて、前回は「ルナティックドーン」の主なシステムについて説明したんじゃが、今回は本作の「総評」ということで話を進めていきたい

前回の内容を踏まえた話になると思うので、本記事を読む際は先に以下のリンクより前回の記事を読んでくださいね?

では早速じゃが、中に入るがよい。
本記事を読み進める前に…
本記事を読み進める前に、以下の点についてご了承願います。
- 当ブログで掲載している画像の、著作権または肖像権等は各権利所有者に帰属致します。もし掲載に問題等御座いましたらご連絡下さい。迅速に対応を取らせて頂きます。
- 筆者は本作品において、100%の知識と十分なプレイ経験を持っているとは限りません。誤りがある部分については、コメントにて優しくご指摘よろしくお願いします。
- 記事に書かれている内容についてはあくまで投稿時の状況や筆者の認識であり、現在の状況や筆者の認識と必ずしも同じではない場合があります。ご了承ください。
ストーリーの無い RPG
さて前回の最後、本作における主人公の目的はプレイヤーの自由だがというところで終わりました。
今回はそれはどう言うことか?という事、そして本作の最も大きな特徴についての説明から初めていきましょう。
あるべき筈のものが無いRPG
何故本作における主人公の目的が、プレイヤーの自由なのかというと、これが本作「ルナティックドーン」最大の特徴に繋がる部分なのですが、なんと本作には”ストーリー”が存在しないのです。もっと言えば、作品としての最終的な目的が存在しませんでした。
例えば一般的なRPGなら、世界を恐怖に陥れようとする魔王を倒すとか、クリスタルに輝きを取り戻すとか、そういった最終目的とそこに至るまでのストーリーがはっきり存在しています。

因みにこの頃発売されたRPGとしては「ドラゴンクエストⅤ天空の花嫁」「ファイナルファンタジーⅤ」「ドラゴンスレイヤー英雄伝説Ⅱ」なんかがあったのう

うーん、どれもストーリーに力が入ってる名作ね

ところが、本作にはそういうものがありませんでした。従ってこの作品の主役であるはずの主人公にも、何のために冒険に出でて何を目的として戦うのか、そう言った設定も物語も全く用意されていなかったのです。
主人公が人々を苦しめるモンスターを退治する英雄になるのか?それとも全ての魔法を取得した大魔法使いに?あるいは人々を恐れさせる暗殺者に?そう言った主人公の生きる目的を、プレイヤー自身で自由に決めることができる。
これが本作の最大の特徴でした。
そう聞くとなんか無責任にプレイヤーを突き放した作品かのように思われるかもしれませんが、本作が発売された頃のRPGは表現力や記憶容量が上がった事でストーリーのドラマ性が重要視できるようになり、逆にそれがユーザーの自由度を下げていたように思える作品が多くあったように思います。

例えば主人公の名前や生い立ちは最初から決められていて、冒険に連れて行けるキャラクターも固定であったりそうかと思えば急に抜ける奴がいたり、順番にクエストを終わらせないと次のエリアに進む事が出来ないとか、行く先々で会話イベントを延々と見せられたりとか様々です。

要はゲームのドラマ性が重要視され過ぎた結果、作り手の用意したシナリオからエンディングに沿ってでしかプレイヤーが動き回れないRPGが増えていたのがこの時期なんじゃな

ルナティックドーンはそうじゃなかったと
しかし、ここまで説明してきたように本作では主人公は自由に作ってよく、ゲームが始まったら世界のどこにでも自由にいく事が出来て、訪ねた町で自由にクエストを受け、必要なら自由に仲間をパーティに入れるなり外すなりして依頼を達成し、得たお金で能力値を上げて自由に強くしていく事ができました。
さらにストーリーや目的というプレイヤーを縛る最大の要素が存在しない事で、主人公がこの世界でどのように生きるかも自由、何を目指して何になるのかもプレイヤーが自由に選べるようになっていたのです。
そしてどう終わるのかも…。
一応のエンディングも…?
終わりという点について言うと、本作には一応エンディングに該当するものがあり、クエストをクリアする事で得られる“貢献度”や主人公の能力などによってあるタイミングでエンディングイベントが発生します。
一般的なものでは町に現れる異性との結婚イベントで、結婚する事で生まれた子供に跡を託し主人公は冒険者を引退、以後は子供を主人公としてゲームを継続することが出来ました(引退しなくても良い)。

それ以外にも国王になったり、秘密結社の首領になったりなど様々なエンディングイベントがあるようですが、そこに至る条件は結構厳しいようです。ただ別にそれらのエンディングがあるからと言って、そこを目指すのも目指さないのもまたプレイヤーの自由でした。
以上のように、本作はこの当時のRPGにはあって当たり前のストーリーを大胆にも撤廃して、プレイヤーにこの時代で考えうる最大級の自由を与えた作品だったと言うのは決して過言では無いと思います。
問題点
ではそんな本作が完璧なRPGだったかと言うと勿論そう言うわけではなく、幾つかの問題点や不満に感じる点も存在していました。
ハード的な問題

まず本作は日本初のハードディスク専用ゲームと言われている作品なのですが、ゲームのセーブデータがかなり大きくなってしまった為、データのセーブ/ロードにかなり時間がかかったそうです。
幾らハードディスクに保存できるとはいえ、セーブデータだけでフロッピー数枚分だったらしいので、そりゃ当時なら時間がかかりますよね。尚、現環境で遊ぶ場合は数秒でセーブ/ロードが可能になっています。
移動や戦闘について

次にフィールドに関してですが、世界がかなり広いので冒険のしがいはあります。ただ地形が単調なので歩いてても寂しいんですよね。もっと大きな川とか山脈があって、多少時間はかかっても迂回する事になるとかあったほうが冒険感は増したかなと思います。
戦闘に関してはRTS的なシステムがかなり面白いのですが、本作の特性上クエストボス以外は戦闘するメリットが殆ど無いので、せっかくの面白い戦闘がちょっと勿体無かった気はします。

ただそのお陰で、戦わなくても強くなれるので盗賊や魔法を専門にしたい場合でも、育て易くなっているのは事実じゃな
あと本作にはHPの回復手段が、魔法の「ヒール」かキャンプによる休憩しかなかったのはちょっと難儀だったと思います。自分で魔法を覚えるか、僧侶系の仲間を連れ歩くしかないですからね…。

え?薬草とか無いの?
訓練費用とその効果
最後に能力値や技能を上げる訓練についてですが、一回の訓練でそれほど高い値段を取られる訳では無いものの、その分上昇値が低くしかも毎回10日消費するのが地味に痛いんですよね。

能力値を上げるのであればまだそれでも良いのですが、武器や魔法の技能を複数のジャンル(例えば片手剣と弓とか、物理魔法と精霊魔法など)で上げようとするととんでもなく時間がかかってしまうのが難儀でした。

お金は割とすぐに貯まるので、訓練はかけるお金によって上昇値が変わる仕様とかだったら良かったかもね?
あと本作の”本質に関わるところ”についても思うところがあるのですが、そこは総評の中で話したいと思います。
【総評】自分で進む道を自分で決める力
改めてですが、本作「ルナティックドーン」が発売された頃のRPG(主に国産)は、ストーリーが全てにおいての軸になっていた時代だったような気がします。
主人公はストーリーに決められた目的のために旅立ち、ストーリーを進めるためにクエストをこなし、ストーリーに決められた町に向かい、ストーリーに登場する仲間と出会いそして別れ、ストーリーに決められた結末を迎える。それが当たり前でした。
勿論それが悪いRPGという訳ではありません。しっかりとしたストーリーがあるお陰で、プレイヤーは感動的な冒険に埋没する事ができますし、プレイヤーがそういう体験をRPGに求めていたのもまた事実ですから。
本作はそういう方向に流れていく時代へのひとつのアンチテーゼとして、RPGの巨大な軸となっているストーリーを撤廃し、RPGに当たり前に存在していた制約を無くしてプレイヤーを自由に冒険させるという試みを行った作品だったと言えるでしょう。
しかしストーリーを撤廃した結果、大きな問題が遊ぶプレイヤー側に生まれてしまいました。と言うのは、筆者が好きなコントグループ「ラーメンズ」のコントの中に、こういう歌が出てくるんです。
時間は欲しいけど
いざ自由って言われると
何していいかわからない
命令されたい 縛られたい
自由が苦手な せつない人間
『FLAT』より「プーチンとマーチン」
これが本作の総評と言っても過言ではないかもしれません。
「ストーリーに縛られるRPGは嫌だ!」と思っていても、いざ「じゃあストーリーは撤廃しましたので自由に生きてどうぞ」って言われると、意外と人間ってどうしたらいいのか何を目指せば良いのか分からなくなって、途方に暮れてしまうんですよね。
そして本作を遊んだプレイヤーの多くは、やっぱり何か指標(ストーリー)が欲しいと感じてしまって、その結果、ああ自分は自由が苦手なんだということを思い知らされるんですね。これは本作が悪いという事では無く、強いて言うならば本作が余りに自由過ぎたのかなと。
なので本作を本当に存分に楽しむ事ができる人というのは、自由という世界の中でやるべき事や指標を自分で作り出してそれを楽しんで行動できる人であり、本作はそういう力が試されるRPGなんだと思います。
本作はシステム上、どうしてもある程度同じことを繰り返し続けるプレイになってしまうので、プレイヤーに自分で目標を用意してプレイしていけり力が無いと、正直言ってすぐ飽きてしまうかもしれません。
なので、もしあなたがそういう力に自信のあるプレイヤーならば、一度遊んでみる事をお勧めしたい作品ですね。是非自由な冒険の世界を楽しんでみてください。
【余談】未来を先取りしたRPG?
最後にやや余談になりますが、割と近年の作品に「The Elder Scrolls V: Skyrim(スカイリム)」というRPGがあるのですがご存じでしょうか?これはアクションRPGである事を除けば、かなり本作「ルナティックドーン」に近い高い自由度のある作品でした。
ただこのスカイリムにはメインストーリーと複数のサブストーリーがちゃんと用意されており、冒険していく上で目標が必要ならばストーリーを軸に進めていけばいいし、そうで無いならストーリーを無視して勝手に生きていくのも全然構わないという本当に自由度の高い作品でしたね。
個人的にお勧めのRPGです。
また今回この記事を書いていて思ったのは、本作のRPGとしての仕組みは1990年代後半から登場し始める「オンラインRPG」に繋がっていたのかなと。全てではありませんが、多くのオンラインRPGは自由にキャラクターを作れるし、ゲームが始まってから何をするのも比較的自由なものが多いです。
またクエストを繰り返していく事がメインの仕組みであったり、キャラクターもプレイヤーのお好みに育てられたリ、ストーリーはあったとしても必ずしもそれに従わなくてもいいプレイが出来るなど、本作と同じように”自由な冒険”をウリにしている作品は今でも多いと思います。
本作が決してそういうRPGのはしりだとは言いませんが、本作の求めた”自由な冒険”という影響は少なからず後のオンラインRPGにも影響は与えていたのではないでしょうか?
あそびたくなったら?
今回の記事を読んで、もしこれを機に「ルナティックドーン」及び「ルナティックドーンII」を遊んでみたいと思った方は、以下のリンクを参考にしてみてください。
Steamにて購入
現在「Steam」にて「ルナティックドーン」、「ルナティックドーンII」、「ルナティックドーンIII(オフライン版)」の3本をセットにした「ルナティックドーン レジェンダリーパック」を購入して遊ぶことが可能となっています。
≫EXIT
お疲れ様でした!

今回の記事はどうだったかの?何か感じた事があればどんなことでもコメントに残してくだされ。それと当ブログは以下のブログランキングに参加しておる。クリックして貰えるとわしの「やる気」がめちゃアップするぞい!

いつもバナークリックや拍手していただいて、誠にありがとうございます!
コメント
昔のRPGは大筋が決められていたとしても、フィールドは結構自由度があり、ある時点の自分より高いレベルの敵が出現するエリアと地続きであることも多々あって、冒険感がありましたね
キャラクターは自我を持たず余計なことをしゃべらずに居てくれたので、画面の中の「彼」はまさしく自身の分身でした
けどスーパーファミコン辺りになるとストーリーメインで、キャラクターはあらかじめプロフィールを持ち、プレイヤーはゲーム会社の敷いたレールの順をたどって、ゲーム中の彼らの冒険を外から眺めるだけの存在に成り果てました
90年代後期2000年代初頭に第一次MMORPGブームのようなものがあり、RPGはふたたび「プレイヤー自身の冒険」に回帰するかに見えましたが、それをFF11が崩し、日本のRPGはまたしても「プレイヤーはキャラクターの冒険を外から眺めてときどき手伝うだけ」にされてしまいました
いまはもうRPGは「物語を読むもの、追うもの」で定着してしまいましたね
もうきっと昔のような「リソース管理、サバイバル」中心の冒険に満ちたRPGは出てこないでしょう
まぁゼルダのBoWやToKは久々に冒険感を味わえましたね、初回からハートも体力も増やさず加護も使わずアイテム管理や食材探し、採取場や調理場の位置を覚えたり、山登りは地形を見ながら登攀ルートを構想したりなかなかのサバイバルが味わえました
できればああいうゲームが増えてほしいものです
コメントありがとうございます。
>昔のRPGは大筋が決められていたとしても
例えば「邪聖剣ネクロマンサー」なんかは、かなり自由にフィールドを動き回れましたが、そこから先(橋の向こう)に進むかどうかは、敵の強さでプレイヤー自身が見極める事ができましたね。
>ゲーム中の彼らの冒険を外から眺めるだけ
ある時期からゲームを作る人たちが、ゲームの一つの目標として映画のようなゲームを作るという感じになった事で、自然とプレイヤーは傍観者かのようになりましたね。
>それをFF11が崩し
映画のようなRPGを作ったのも、映画のようなMMOを作ったのも、やはりスクエニ…。まあそれが面白く無かったかと言えば、面白かったんですけどねw
>ゼルダのBoWやToKは久々に冒険感を
私は記事の中にも書きましたが、やっぱりスカイリムが久々に作品の主人公になって自由に冒険をしてる快感を味わえましたね。今また遊んでも楽しくて楽しくて、ブログの更新が滞ると思いますw
そういうゲーム、もっと増えるといいですね。
どこまでプレイヤーに委ねるか、自由のさじ加減は難しいものですね。
塩と同じく必要不可欠ではあるけれど、少な過ぎれば味気無く、多過ぎればうんざりする。
とは言え、せっかく自由度を高くしてもゲーム的な効率(強さ)を突き詰めると誰も彼もが
同じような装備・スキルを持ち、同じようなルート(クエスト選択)を進んでしまう、
なんてこともありがちですが。
>自由という世界の中でやるべき事や指標を自分で作り出してそれを楽しんで行動できる人
本来の意味でRole Playingを楽しめる人、ぶっちゃけ縛りプレイが好きな人向けゲームと言えますか。
コメントありがとうございます。
>自由のさじ加減は難しいものですね。
不自由でもストーリーの壮大さこそRPGだと考える人もいますし、それも間違いでは無いですからね。好みの問題もありますし。
>同じような装備・スキルを持ち
特に近年のRPGでは、組み合わせは何万通り!みたいに謳っても、実際役に立つビルドは限られるなんてのもザラですもんね。
>本来の意味でRole Playingを楽しめる人
今、そういうプレイヤーは減っているんでしょうね。どこのメーカーも今それほど体力がないから、ニーズに応える作品を作って当てていくしかないのかと。