勇者の塔 7F/No.0016
本記事は、2011年7月26日に書かれたものをベースにリメイクした記事になります。
≫ENTER
いらっしゃいませ!
管理人じゃ。
謎の妖精よ。
さて世の中には”ダンジョン探索型RPG”というジャンルの作品は多く存在しておる
それこそ「Wizardry」みたいなやつ?
最近だと「世界樹の迷宮」のHDリマスター版が話題ね
そうじゃな。そして今回紹介する作品は、そういったダンジョン探索型RPGの「良い見本」と呼んでもいいと個人的に思っておるものじゃ
ほほう、そこまで言うとは…気になるじゃない?
うむ。では入って確かめるがよい、勇者の塔7Fじゃ!
本記事を読み進める前に…
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また本記事はこんな人向けに書かれています。
- 「シャイニング&ザ・ダクネス」という作品を知らない。
- 名前くらいしか知らない。
- 知っていた筈だけどもう忘れた。
概要
タイトル | シャイニング&ザ・ダクネス |
シリーズ | シャイニングシリーズ |
ジャンル | 擬似3Dダンジョン探索型RPG |
発売年 | 1991年 |
販売/開発 | セガ/クライマックス |
発売機種 | メガドライブ |
前作 | 無し |
次作 | シャイニング・フォース |
「シャイニング&ザ・ダクネス」は、1991年に「セガ」からメガドライブ用として発売された“擬似3Dダンジョン探索型RPG”です。
直接的な繋がりはありませんが、1992年に同じくセガから発売された「シャイニング・フォース 神々の遺産」とは同じ世界感を有する作品で、本作は後の「シャイニングシリーズ」の第1作目にあたります。
本作は、擬似3Dダンジョン探索型RPGとしては非常にベーシックな作りでありながら、ビジュアル効果や独自のUIなどで上手く特徴を出していた作品です。
物語と登場人物
ストーリー
かつて長く苦しい暗黒時代を経験したものの、
現在は「ストーム王」のもとで人々が平和に暮らせるようになった国「ストームサング」。
この国には年に一度の平和と豊作を祝う祭りがあり、今年は「クレア姫」が王の代理として”いにしえの神殿”で神に祈りを捧げる事になりました。そして神殿に向かう姫を護衛するのは、王宮一の騎士「モトレード」です。
しかしいつまで待っても王女が神殿から戻ってこない為、王は部下を伴って神殿に向かいます。
が、神殿の祭壇は何者かに荒らされており、そこに王女とモトレードの姿はありませんでした。
失望にうちひしがれる王ですが、そんな王の周りを何者かが取り囲みます。
それは国からいなくなったはずの闇の怪物たちでした。
どうにか城に逃げ帰ったストーム王は、この国に再び暗黒時代が来るのではないかと怯え始めます。
そんな時、モトレードの一人息子である16歳の少年が王の前に現れ、父に代わって事件の真相を解明したいと願い出たのです。
こうして少年は、冒険の世界へと旅立つのでした。
本作の登場人物とその目的
本作においてプレイヤーは主人公を含む3人でパーティを組み、いにしえの遺跡で行方不明となっている「クレア姫」を探し出し、今回の事件を引き起こした「メフィスト」を討伐するのが最終目的です。
ではプレイヤーの分身である主人公と、その主人公と共に冒険するメンバを紹介しましょう。
主人公
本作の主人公。クレア王女と共に行方不明になった護衛騎士「モトレード」の息子。剣や槍などによる肉弾戦が得意だが、魔法は一切使えない。行方不明の王女を探し出すため、たった一人でいにしえの神殿に向かう。
ビルボ
主人公と幼馴染みのホビットの僧侶。そのクセにメイス系以外にアックス系も装備でき、肉弾戦でも活躍できる。主人公がいにしえの神殿に一人で向かったと聞き、それを心配して自分も仲間に入れてくれと申し出てくる。
マーリン
こちらも主人公と幼馴染みのエルフの魔法使い。魔法戦を得意とし、屈強な戦士相手でも食って掛かるほどの超強気。主人公が自分たちに何も言わないで出発したことに頭にきて、町の酒場で主人公を探していた。
因みにゲームが始まって暫くの間は主人公1人での冒険になるが、ゲームが進む事でマーリンとビルボが仲間に加わってくれます。またゲーム中一時的にではあるがNPCがパーティに加わる事もあり、やりようによっては6人パーティにする事も可能らしいとの事。
「シャイニング&ザ・ダクネス」はどんな作品か
本作「シャイニング&ザ・ダクネス」は、非常にベーシックなタイプのダンジョン探索型RPGと言える作品ですが、ビジュアル面やUIの部分などで、他の同様なRPGとは一味違う体験ができる作品となっています。
ではここからは、その辺の中心にゲームシステムについての話をしていこうかと思います。
画期的で直感的なUI
まず最初に、本作では町中や商店、またはダンジョンなど様々な場面で、幾つかの選択肢の中から命令(コマンド)を選ぶ事で、主人公達にそのコマンド実行させることができます。
そして本作ではこのコマンドを与えるUI(ユーザーインターフェース)が非常に斬新で特徴的、かつ快適なものとして存在していました。
例えば町中で決定ボタンを押すと、画面下部に4枚のパネルが上下左右に並んで現れるのですが、このパネルにはそれぞれ何かしらの行動(入る、魔法、道具、ステータスなど)を表すアニメーションが仕込まれていました。
そしてこの上下左右に配置されたパネルはそれぞれ十字キーの上下左右に対応しており、十字キーの方向を押して決定ボタンを押す事で、主人公達に先ほどのアニメーションの行動を取らせる事ができたのです。
このコマンド指定の方法は他に類を見ない程に画期的であり、また解りやすいアニメーションで直感的に選択ができ、さらにどんなコマンドでも方向キー1回とボタン1回の2アクションで選択できるので操作性も快適でしたね。
このUIは評判も良かったのか、続編の「シャイニング・フォース」以降も採用され続け、シリーズの代名詞のようにもなっています。
ビジュアルで演出される世界
▼全体マップ
本作の中でプレイヤーが行くことができる場所は、”お城”、”町”、”ダンジョン(いにしえの神殿)”の3箇所あり、全体マップ画面から行き先を選択することで移動することができます。
地味にこのマップのドットの描き込みが凄いんじゃよなぁ…
羊皮紙に描かれた地図が立体的に表現されているのもオシャレよね?
因みにここで行き先を選択した時に、行き先が擬似的に拡大される面白い演出がありましたね。
▼お城
全体マップから城に入ると、「ストーム王」に謁見する事ができます。
ここでは画面上にいる相手にカーソルを合わせる(名前が表示される)事で、王や大臣などに話しかける事ができ、ゲームの進行状況によって重要な情報やアイテムを得る事ができたり、ここでイベントが発生する場合もありました。
王や大臣が居並んで描かれているところで会話が行われるので、実際に王と謁見しているような臨場感をプレイヤーも得られる場面でしたね。
▼町
全体マップから町を選ぶと、本作において冒険の拠点となる町に行く事ができます。
町に入るとまず画面に町の景色の一部が写し出されます。そして景色が見えている状態で、左右どちらかの方向キーを押していくと景色が左右にスクロールしていき、さらに押し続けるとやがて最初の景色に戻りました。
つまり主人公は町の中心部に立っており、そこで体を左右に回転さながら町をみているようなパノラマ視点になっているわけですね。
見える景色の中には酒場や教会、武器防具などを売っている屋台、さらに謎のテント(後に判明する)なんかがあり、視界を移動させていくとそれらの名称が表示されるので、その時点で前述のコマンドパネルから中に入る事が可能です。
因みに、酒場からは常に軽快なBGMが流れてきており、視界を酒場から離していくとBGMの音量が小さくなっていくと言った細かい演出もありました。
その酒場の中に入ると、お城の時のように酒場で屯する様々なキャラクターと会話が可能になり、こちらもゲームの進行状況によって情報を得る事ができました。また酒場は宿屋も兼ねており、酒場のカウンターにあるベルを鳴らすと宿に泊まる事が可能です。
多種多様な種族や、荒くれものっぽいやつらが屯してる酒場…この辺は「スターウォーズ」を彷彿とさせる場面じゃな
奥にいるハイエナっぽい獣人なんか、話しかけたら絡まれるんじゃないかとドキドキするわねw
尚、お城と同様に町中や酒場でもストーリーの進行によってイベントが起きる場合があります。
▼ダンジョン
全体マップから神殿を選択すると、本作において冒険の舞台となるダンジョン「いにしえの神殿」にいく事ができます。
神殿内部に入ると画面に擬似3Dダンジョンが表示され、この状態で十字キーを操作する事で前身、後退、方向転換が可能です。また移動したり方向転換すると、それに合わせてダンジョンがスムーズにアニメーションしました。
このスムーズなアニメーションは、セガマークIIIの「ファンタシースター」には及ばないものの、かなりヌルヌルではあるのう
あっちと比べてこっちは壁や床、天井などの書き込みも多いものね。
多少スムーズさに欠けるのはしょうがないかな?
因みにこの「いにしえの神殿」は全部で1階〜5階までの五階層しかありません。そう聞くとダンジョン探索型RPGとしてはボリューム不足ないんじゃないか?と考えてしまうかもしれません。
しかし実は神殿の中から別の4つの洞窟に行くことが可能になっており、その洞窟も複数階層になっていたりもするので、単純にフロア数だけであれば10フロア以上になるでしょう。従ってダンジョンのボリュームは十分あったと言えます。
しかもダンジョンはどこも複雑に入り組んでいるところばかりで迷いやすいので、マッピングが必須となる難易度だと言えるでしょう。あなたがダンジョンRPG好きならば、きっとやりがいを感じられるほどに。
ただし最初から自由に全ての階層、全ての洞窟に行く事は不可能となっており、ダンジョン内でイベントをクリアしたり、新たなアイテムを手に入れたりする事で行ける場所がどんどん広がっていく仕組みになっていました。
因みにダンジョンはちゃんと壁や床、天井などが細かく描かれているのですが、同じ神殿内でもフロアが違ったり洞窟に入ったりすると、壁や床、天井の見た目も変化する芸の細かさもありましたね。
全体マップから行ける場所についての説明は、以上になります。
戦闘システムはオーソドックス
では次は本作の戦闘システムについて説明しましょう。
本作において戦闘が発生するのは、ダンジョン内を探索中にランダムで怪物と遭遇する場合と、固定の場所で待ち構えている怪物と遭遇する場合との2パターンがありました。
ランダムで現れるものは、同じ種類の怪物1〜5体を1グループとして、最大で2グループ現れます。固定で現れるものは、基本1体しか現れませんが、その分ランダムで現れるものより強い怪物です。
因みに固定の敵は、登場時にカニ歩きで現れたり、水たまりの中から現れたり、天井の穴から降りてきたりと個性的な登場の仕方をするのが特徴的でしたね。
戦闘はターン制で、プレイヤーはそのターンでのパーティメンバーの行動を、コマンドパネルにある攻撃、魔法、道具、逃げるの4つから選び、その後敵味方含めてパラメータの“うごき”が高い順に行動を実行していきます。
あとはこれを味方が全滅する(または逃げる)か、敵が全滅するかまで繰り返す流れです。
戦闘に勝つ事ができれば、経験値とゴールドを得る事ができ、経験値が一定値以上貯まった場合はその場でレベルアップします。また稀にですが、倒した怪物から何かしらのアイテム(武器・防具・道具)を得られる場合もあります。
敵が落とすアイテムの中には、店売りしていないレアものもあるぞい
ちょっとしたトレジャーハント要素もあったのね?
後に引き継がれた魔法システム
システムの説明としては最後になりますが、本作の大きな特徴として魔法の存在がありました。
本作では、魔法使いの「マーリン」と僧侶の「ビルボ」が魔法を使う事ができるのですが、実は本作には魔法使い系僧侶系合わせて、全部で19種類しか魔法がありませんでした。
そう聞くと少ない!と思うかもしれませんが、ここに本作の魔法についての特徴があったのです。
というのも本作の魔法には、それぞれ1から最大4までの魔法レベルが設定されており、魔法を使用する際に十字キーの左右で自由にレベルの設定が可能になっていました。
これにより例えばHP回復魔法である「ヒール」の使用時に、魔法レベルを2に設定して使用すると、同じ魔法でもレベル1のヒールよりも高い回復効果が得ることができます。
また例えば攻撃魔法である「ブレイズ」は、レベル1では敵一体にしかダメージ効果がありませんが、レベル2からは敵一グループに、レベル4では敵全体にダメージ効果が発生します。
このように本作の魔法は、効果の違いによりいたずらに魔法の種類を増やすのでは無く、魔法の種類は最小限にしてレベルで効果の違いを表現させる事で、ユーザーにもわかりやすくしていた訳ですね。
確かに魔法の種類が多いのは、初心者にはハードルが高い感じがするわね…
頭に”MA”とか”LA”とかついたり、語尾が”ガ”とか”ラ”とかになったりだと、どっちが強いんだっけ?とかなっちゃうしのう…
魔法レベルだと単なる数字だから、その辺も解りやすいわ!
尚、当たり前ですが、最初から全ての魔法、全てのレベルが選択できるわけでは無く、マーリンやビルボが成長していく事でそれぞれ解放されていくかたちになっています。
因みにこの魔法の仕組みは、コマンド操作のUIと同様に後の「シャイニングシリーズ」にも引き継がれていました。
という訳で、「シャイニング&ザ・ダクネス」のゲームシステムに関する説明は以上になります。
「シャイニング&ザ・ダクネス」のちょっとした話
- 本作の町にある商店では「掘り出し物」として、通常店には並ばない装備やアイテムを購入する事が可能になっている。またダンジョンで手に入れた素材を”加工”する事でしか作れない装備もあるなど、結構奥深い部分も存在している。
- 武器屋の店主は、セガの「ゴールデンアックス」の主人公の1人「ギリウス・サンダーヘッド」にそっくりである(ゲスト出演?)。
- 本作の開発を担当したのは「ドラゴンクエストIII」や「IV」の開発に携わったスタッフによって設立された「クライマックス」という会社で、本作以降も「シャイニング・フォース 神々の遺産」や「ランドストーカー 皇帝の財宝」などの開発に携わっている。
- キャラクターデザインを担当したのは「玉木美孝」氏で、氏も上記のシャイニングフォースやランドストーカーにキャラクターデザインとして参加している。
個人的感想など…
個人的にこの「シャイニング&ザ・ダクネス」という作品は、“ダンジョン探索型RPGの見本”と言っても過言でない、それほど丁寧にかつ遊びやすく作られた作品だと思っています。
システムはRPG初心者の人でも触れやすい作りですし、難易度はRPGに慣れた人でも手応えは感じられるくらいあります。また全体的にそこはテキストだけでもいいのでは?と思うようなところまでもビジュアルを駆使して丁寧に描かれていました。
またダンジョン探索型RPGにありがちな陰鬱さも薄く、それ故にダンジョン探索型RPGってなんか…って感じの抵抗感を抱いている人に最初に遊んでもらいたい作品ではないかと筆者は考えています。
まあ細かいところには思うところはあるかもしれませんが、かと言って特に論うような欠点も見当たらない作品であり、もし強いてい言うのであれば、”見本的すぎて尖った部分が無い”という事くらいでしょうか。
作品の尖った部分というのは得てして欠点になりがちですが、うまくいけば魅了的な個性に化ける可能性があります。そういう尖った部分が無く、良くも悪くも手堅く纏まった作品がこの「シャイニング&ザ・ダクネス」なのかもしれません。
でも敢えて尖った部分を探すとするならば、個性的なキャラクターデザインかもしれません。本作の評価を見るとこのキャラクターデザインの評価が正に賛否両論で、これが合わなくて当時遊ばなかったという人も入れは、これがツボにハマった人もいます。
因みに筆者は後者であり、このキャラクターデザインにハマりすぎてシャイニング・フォースも買いましたし、ハマったが故にキャラクターデザインが変わってしまったシャイニング・フォースIIは遊びませんでしたね。
皆さんは、この作品についてどう思いましたか?
ではまた次の作品でお会いしましょう。
遊びたくなったら?
もし今回の記事を読んで「シャイニング&ザ・ダクネスに触れてみたい」とか、「シャイニング&ザ・ダクネスをまた遊んでみたい」と思った方は、以下のサイトを参考にしてみてください。
2022年10月に発売された「メガドライブミニ2」。その収録タイトルの中に、今回ご紹介した「シャイニング&ザ・ダクネス」が含まれています。
≫EXIT
お疲れ様でした!
今回の記事はどうだったかの?何か感じた事があればどんなことでもコメントに残してくだされ。それと当ブログは以下のブログランキングに参加しておる。クリックして貰えるとわしの「やる気」がめちゃアップするぞい!
いつもバナークリックや拍手していただいて、誠にありがとうございます!
コメント
>RPG初心者へ…
この作品はプレイしたことがないので大変興味を持ちました。
>キャラクターデザイン
AVGの「マスカレード」や「THE MAN I LOVE」を彷彿させるデザイン?
>ビルボ…
変な指輪をつけていなければいいのですが。
コメントありがとうございます。
> 大変興味を持ちました。
興味を持って頂けて嬉しいです。この時期、いやこの時代のRPGとしては高水準の作品だと思うのでお勧めします。
> 「マスカレード」や「THE MAN I LOVE」を彷彿させるデザイン?
そんな感じですね、要はカートゥーンとかディズニーっぽい、日本的じゃ無いキャラクターデザインなんですよね。だがそれがいい。
> 変な指輪をつけて
スピンオフで壮大な物語が始まりそうw