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『ロードス島戦記』 同名小説の世界感を丁寧にゲームに落とし込んだRPG

勇者の塔 6F
No.0013

今回紹介するのは、日本のファンタジー感に大きな影響を与えた作品「ロードス島戦記」をゲーム化した作品じゃ

昔OVAを見た事があるけど、映像と曲の美しさに驚いた記憶があるわね

そんな作品を「ハミングバードソフト」が、どのようにゲームに落とし込んだのかに注目じゃな

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本記事は、過去に公開したものを再編集した改訂版となります。
また内容に含まれていたデマ情報についても、削除したものとなっております。

ゲームの基本情報と概要

本作の基本情報

タイトルロードス島戦記 灰色の魔女
シリーズなし
ジャンルファンタジーロールプレイングゲーム
発売年1988年
発売元ハミングバードソフト
開発元ハミングバードソフト
発売機種PC-88VA、PC-98、MSX2、PC-9821、FM-TOWNS、X68000など
前作なし
後作ロードス島戦記II 五色の魔竜

本作の概要

本作は、1987年に「安田均」氏と組んで「ラプラスの魔」を制作した「ハミングバードソフト」が、翌年1988年に再び安田均氏率いる「グループSNE」とタッグを組んで開発した作品で、同年に刊行された「水野良」氏による小説「ロードス島戦記 灰色の魔女」を原作としたファンタジーRPGである。

原作に関わっている人々がゲーム制作にも協力しているということで、原作の世界観や設定、ストーリーなどが上手くゲーム内に落とし込められており、これにより「原作の追体験」も可能なのだが、一方でプレイヤーの行動や選択により原作とは違う展開も起こりうるなど、決して一本道ではないRPGとなっていた。

「ロードス島戦記」そのものについてご存じない方は、「ロードス島戦記30周年」特設サイトを確認していただけるとよく解ると思います。

「ロードス島戦記 灰色の魔女」とは、どんな作品?

なるほど、その「ロードス島戦記」の小説をゲーム化したものが、本作なのね?

では、次はこの「ロードス島戦記 灰色の魔女」がどんなゲームなのかを、ゲームの大雑把な流れでみていくとしようかのう

冒険への出発

冒険への出発

本作には「キャラクターメイキング」機能があり、プレイヤーが1〜6名のキャラクターを作る事でゲームを開始することができる(実はキャラクターを作らなくてもゲームは始められるが、それについては後述)。

※本作のキャラクターメイキングについては、専用の補足記事がありますのでそちらも是非ご覧になってください。

ゲームを開始するとロードス島大陸の東にある大国「アラニア」の、その片田舎にある「ターバ」という村で作成したキャラクターがパーティを組んだ状態で始まるので、プレイヤーはまずは村の酒場や寺院などで情報収集、市場で装備を整えたうえで冒険の旅へと出発するのだ。

原作を再現したゲーム世界

村の外に出ると画面はトップビューのフィールド画面に移行する。本作のフィールドマップは、原作のロードス島の地図をかなりしっかり再現したものとなっているため、実際にロードス島を冒険しているような感覚を味わえ、ファンであれば非常に嬉しい部分と言えるだろう。

また原作を再現しているのはマップだけではなく、そこにある町や村も原作に沿った場所に配置されており、またその町や村が抱える「問題」についても原作を再現しているものが多く、それはプレイヤーへの「依頼(クエスト)」として登場する。

このクエストを受けると、フィールドマップ上にクエストの目的地となる「ダンジョン(洞窟や廃屋など)」が現れるので、プレイヤーはそこへ向かいクエストの目的を果たすべく行動をすることとなる。

テーブルトークRPGを思わせる演出

ダンジョン内は所謂「擬似3D表示」となっており、フィールド画面とはまた違う冒険感を味わえるようになっているほか、要所要所で状況を説明してくれるナレーションが入るなど、テーブルトークRPGのような表現も随所にあった。

ダンジョンを探索中に敵と遭遇した場合には、「タクティカルバトル」という戦闘方法を行う事ができるというのが本作の大きな特徴であり、これもテーブルトークRPGでよく用いられる手法だが、戦闘が発生した場所を模した盤上に味方と敵のキャラクターを駒として配置し、敵との距離、移動距離や武器の射程、魔法の効果範囲などを考えながら戦闘する、シミュレーションゲームの要素を併せ持った戦闘方法である。

戦闘フィールドはそれなりに広く、敵がバラけてしまうと移動にも時間がかかり、一戦一戦に時間がかかってしまうなどは若干の煩わしさはあるものの、臨機応変に戦術を考えて戦う楽しさは大きな魅力でもある。ちなみに、本作の戦闘方法には「クイックバトル」という簡単で煩わしさの少ないのも存在しており、どちらの戦闘方法になるかは状況によって変化した。

クエストを繋いでストーリーを展開

「タクティカルバトル(又はクイックバトル)」で戦闘を繰り返しつつクエストの目的を達成し、依頼主の元に戻って報告すると大きな報酬(お金と経験値)が得ることができる。これによりキャラクターを成長させ新たに装備を整えさせて、プレイヤーはまた次の町へ向かい、そしてまた新たなクエストに挑むのだ。

このようにロードス島の各地を旅しながらクエストをこなしていく事で、プレイヤーは原作と同じようにロードス島に広がっていく戦乱に巻き込まれ、その影で暗躍する「灰色の魔女」の姿を追いかける事になるのだが、クエストの中でのプレイヤーの行動、選択次第で原作とは違う結末も…。

以上が、本作「ロードス島戦記 灰色の魔女」というゲームの流れである。

世界観だけではない原作の再現度

説明を見る限り、かなり原作小説の雰囲気を上手くゲームで再現できてた作品だったのね?

そうじゃ、じゃが原作の再現については、それだけじゃなかったんじゃぞ?

原作のキャラクターでプレイ出来る?

本作は原作の世界観をかなり忠実に再現できており、そういった「ロードス島戦記」の世界を自分の作ったキャラクターで冒険できるというのは、原作ファンを十分に楽しませてくれるところだ。しかし、本作には原作ファンを更に楽しませてくれる要素が盛り込まれていたのである。

それが原作「ロードス島戦記 灰色の魔女」に登場する主役たち、パーンギムエトスレインディードリットウッド・チャックをプレイヤーが自キャラクターとして操作できるモードだ。とは言えそういうモードが存在するわけではなく、やり方としてはキャラクターを一人も作らずにゲームを始めるだけである。

そうすると原作通り、パーティがギム1人の状態で「ターバの村」からゲームも始まる。そして「ザクソンの村」に行くと、酒場にパーン、エト、スレインが、「アレンの町」の酒場ではディードリットとウッド・チャックが仲間となってくれ、原作通りのパーティを組む事ができるのだ。

ちなみに原作メンバー達は、最初からレベル2(ギムだけレベル3)で、更に装備もある程度のものを所持した状態で仲間になるので、自分でキャラクターを作った時よりも序盤のゲーム進行が楽になる。

原作キャラで遊ばせる事へのこだわり

更に加えて、原作パーティでプレイするとクエスト中やイベント中に、各キャラクターが台詞をしゃべったり、原作で「迷いの森」に行こうとした時のように、ディードリットが迷いの森の入り口を教えてくれるなど、本当に原作を追体験しているような感覚を味わえるので、原作者ファンなら是非原作再現パーティを試してみて欲しい。

個人的によく出来てると思ったのはプレイヤーオリジナルのキャラクターの場合、アランの町で盗賊ギルドから情報を買うことでクエストが発生するのだが、パーティに「ウッド・チャック」がいるとこのやりとりが発生しない。一瞬バグなのかと思ってしまうのだが、実はそうではないのだ。

原作ではウッド・チャックはアランの町で盗賊ギルドから情報を買って、その後にその話をネタにパーン達の仲間になっている。つまりゲーム中でもウッド・チャックは仲間になる前にもう情報を買っており、彼が仲間になった時点でもうクエストは受領状況となっているのである。

原作の話を実に細かいところまで、ゲームに落とし込んでいたのだなと素直に感心した。

クエストが与える報酬と世界への影響

「クエスト」についての話が出たところで、今度は本作の大きな特徴である「クエスト」について観ていくとしよう

クエストって言ったって、お金とかアイテムが貰えるとかそういうやつでしょ?

いやいや、本作のクエストにはそれだけじゃなくて、もっと大きい影響が仕込まれていたんじゃ

とても大きな報酬

まず本作ではクエストで得られる「報酬」がとても大きいと言うのがある。一般的なRPGでクエストの報酬といえば、金銭やアイテムなどだと思うが、本作ではそれらに加えて「経験値」をもらう事が出来るのである。しかも大量にだ

クエスト達成時に獲得できる経験値は、まずその時点でのキャラクターレベルに依存し、そのレベルから次のレベルに上がるのに必要な経験値に近い量を獲得できる。つまりクエスト達成時のレベルが高いほど、獲得できる経験値も多くなるのである。

そのため本作ではクエストを続けてクリアしていく事で、一般的なRPGによく起こるレベル上げのための経験値稼ぎ作業というものが殆ど必要無くなったので、ゲーム進行のテンポが非常に良く快適になっている。ただし敵が強くてクエストそのものが達成できない、などの場合は例外だが。

ストーリーへの影響

次にクエストが本作のストーリー(エンディング)にも影響を与えるというのがある。本作には十数個のクエストが用意されているのだが、その中にはクリアしなくても先に進めてしまうものも結構ある。しかし一部のクエストについては、クリアしたかどうかによってゲームに大きな影響を与えてしまうのだ。

本作で主人公達が冒険の旅を行なっている裏では、「マーモ帝国」がロードス島の各国に侵攻を開始しており、「カノン王国」は既に滅亡、現在「ヴァリス王国」のみがマーモ帝国との戦いを決意していると言う情勢である。そして残りのアラニア、フレイム、モスなどの王国がどうなるのか、それがクエストの成否にかかっているのである。

一例として、アランの町で受けられる盗賊討伐のクエストは、一見なんの影響も無さそうな内容なのだが、このクエストでは最後に「アラニア国王暗殺計画」についての情報が得られる。一方でこのクエストはクリアしないで先に進む事もできるのだ。ではクリアせずに先に進むとどうなるのかというと、

アラニア王国が滅亡してしまうである。

そうなるとプレイヤーの旅立ちの村であるターバや、ザクソンの村、アランの町も崩壊してしまう。しかしちゃんとクエストをクリアすれば、今度はアラニア王国がヴァリス王国と同盟を結ぶ事になり滅亡を免れるのだ。こういった世界情勢の傾きは、勢力範囲の表示画面にて「天秤の傾き」でも表示されている。

天秤の傾き、つまり世界情勢はクエストに失敗したり、イベントなどでのプレイヤーの選択肢によっても変わる場合もあり、最終的にこの傾きによりエンディングが変わるようになっていた。以上のように、本作において「クエスト」と言う存在は「大きな報酬」そして「世界への影響」と、非常大きな「意味」を持っていたのである。

プレイヤーの行動が世界情勢に影響を与える。まるで昨今のオープンワールドRPGのような要素が、既に盛り込まれていたと言うのはなかなかに驚きの作品と言わざるを得ない。

ロードス島戦記ファンじゃないと楽しめない?

最後になりますが

最後になるが、ここまで何度も書いてきたように本作は原作となる「ロードス島戦記」を上手くゲーム化している作品であり、原作を読んだファンであれば、その世界観を味わいつつも、原作のあの部分はこういう感じでゲームに落とし込んだのかとか、原作ではここはあっさりしてたけどここにクエストを盛ったのかなどの発見も得られて、非常に楽しめる作品と言える。

では逆に、「ロードス島戦記」という作品を知らない人には楽しめない作品なのか?という疑問も当然あるだろう。筆者がこのゲームに初めて触れた時は「ロードス島戦記」という作品は未習得だったし、当然原作小説も読んでいなかったのだが、この作品は一つのファンタジーRPGとして特に問題無く楽しめていた記憶はある。

また作品をよく知らないからこそ気づく点というのもある。原作でパーン一行は、ヴァリス王国に向かう際に北の「砂漠を抜けるルート」と、南の「迷いの森を抜けるルート」どちらかを選ぶことになり、ディードリットの案内もあり迷いの森を抜けるルートを選択する。

このルート選択はゲーム中にもあるのだが、原作を知っているプレイヤーなら抜けられるとわかっているので十中八九「迷いの森ルート」を選ぶだろう。ところが原作を読んでいないプレイヤーなら指標が無いので、知らないからこそ「砂漠ルート」を選んでしまう可能性もある。

そしてなんと本作には、原作には無かった砂漠からのルートもちゃんと用意されており、そちらからでもヴァリス王国に辿り着く事が出来るようになっているのである。こう言う点については、原作を読んでいないプレイヤーの視点であればこそ気づく部分ではないだろうか。

またクエストについても、原作にもゲームのストーリーにも直接関わらないようなクエストも様々な場所に存在しているため、こういったクエストは寧ろ原作という固定観念の無いプレイヤーの方が見つけやすかったりするかもしれない。

なので本作は「ファンでなければ楽しめないRPG」では決してなく、「ファンでない人にも十分に門戸を広げつつ、ファンであればより楽しめるRPG」と言って差し支えない作品だったのではないだろうか。

良い点だけではなく

では最後に、ここまで良い部分を書いてきたが本作にもあった悪い部分も書いて終わろう。特に問題だったのは非戦闘時の「UI(ユーザーインターフェース)」周りで、プレイヤーが実行したいと思うコマンドまでが遠かったところだろう。戦闘後に味方1人にに治癒魔法をかけ終えるまでに、マウスボタンを8回も押さないと駄目なのは流石に不便がすぎたのではないだろうか?

といったところで、「ロードス島戦記 灰色の魔女」についての紹介を終わらせていただく。

遊びたくなったら?

もし今回の記事を読んで「ロードス島戦記 灰色の魔女に触れてみたい」とか、「またロードス島戦記 灰色の魔女を遊んでみたい」と思った方は、以下のサイトを参考にして欲しい。

パソコン版

レトロゲーム配信サイト「ProjectEGG」にてPC-9801版が現在配信中。またPC-9801版、MSX2版、X68000版の「灰色の魔女」、さらに続編の「五色の魔竜」や姉妹作品となる「ソード・ワールド」などを収録し、様々な豪華特典を封入た復刻パッケージ版も通信販売が行われています(2022/05/21現在では予約受付中)。

関連商品

「ロードス島戦記 灰色の魔女」発売より30周年ということで、2019/8/1に「ロードス島戦記」の最新刊「ロードス島戦記 誓約の宝冠」が発売されている。「灰色の魔女」の時代から100年のロードス島を部隊に、「伝説の乙女」ディードリットの新しい冒険が始まる。

2021/12/16より、なんと「ディードリット」を主人公としたアクションRPG「ロードス島戦記 ディードリット・イン・ワンダーラビリンス」が発売中(SWITCH/PS4/PS5)。いわゆる「メトロイドヴァニア」タイプの2D探索アクションとなっている。小説も含めて、興味のある方は是非!

≫EXIT

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