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『ハイドライド』アクションRPGというジャンルを確立した歴史的名作RPG!【勇者の塔08F】

ハイドライドに役立つ戦術

最初にアクションRPGというジャンルについてプレイヤーの腕前によるという話をしたが、本作ではそれと同じくプレイヤーの腕前によってゲームの進行(戦闘)が有利に働くようになっている。というわけで、ここでは本作での戦闘が有利になる戦術について話していこう。

方向の概念を利用しよう

本作の戦闘は魔物に対してジムを体当たりさせる事で行うが、当然ながら闇雲に体当たりすれば良いという訳ではない。本作にはジムにも魔物にも「方向」という概念があり、また進行方向にのみ攻撃判定がある(一部の魔物除く)という特性を持っている。従ってお互い真正面からぶつかり合うと、お互いが損害を被る事になるので、相手の背面または側面から体当たりを仕掛ければ一方的にダメージを与えられる。

しかしこちらの攻撃2回で魔物を倒せない場合、3回目で魔物がこちらに向き直り真正面同士のぶつかり合いになってしまうので、注意が必要である。またスライムやバットなど、どっちを向いているか判断できない魔物も存在するが、これはもう動き(進んでいる方向の反対が背面)で判断するしか無い。

強力、半キャラずらし

1987年に登場した日本ファルコムの「イース」では、敵と半キャラ分座標をずらして体当たりすれば、真正面からでも反撃を受けずに敵を倒せる「半キャラずらし」と呼ばれた裏技があった。これはイースの裏技として長年知られてきたが、実はこのハイドライドにも半キャラずらしの裏技が存在していたのである(ただし限定的なものだが)。

それは木や壁などの障害物にジムの体を半分引っ掛け、あとはATTACKモードで引っかかったまま進み続けるというやり方だ。この状態のときは魔物がジムの正面から突っ込んで来ても、正面同士のぶつかり合いなのに、なんと一方的にジムの攻撃のみが当たるのである。半身を出せる障害物があって、かつ魔物が正面からのみ近づいてくるような場所限定だが、必ずあるので探してみて欲しい。

ダンジョン内では通路が狭くてどうしても正面同士での戦闘になりがちじゃからな、これが利用できると超有利に戦えるぞい!

圧倒的じゃないか、我がジムは!

防御が最良の攻撃?

前述のように、DEFENDモードは魔物からのダメージを殆ど受けなくなるが、逆に魔物にダメージを殆ど与えられなくなるモードである。このダメージを「与えられない」ではなく、「殆ど与えられない」と言うのが重要で、これを言い換えればDEFENDモードは高い防御力を維持しつつ攻撃も可能なモードということだ。それに何の意味が?となるかも知れないが、実は大きな意味がある。

本作には、どの方向から攻撃しても反撃をしてくるという厄介な特性を持っている魔物が何体か存在している。こいつらに対してATTACKモードで突っ込むと、例え背後から攻撃しても手痛い反撃を喰らい下手をすると一瞬でジムが死んでしまう場合もある。こういった魔物に対しDEFENDモードで突っ込むと、相手からの反撃を高い防御力で最小限に抑えつつ、僅かずつではあるが相手にダメージを与え続ける事ができるのだ。

ちなみにジムと違い魔物はLIFEゲージが自動回復されないので、危なくなったら離れて回復してまたDEFENDモードで突っ込む、これを繰り返しながら徐々に魔物のLIFEゲージを削っていけば、長期戦にはなるが必ず勝利が掴めるはずだ。

ノーヒントで挑む宝探し

本作「ハイドライド」には様々な宝物が存在し、これらの宝物には最終目的の1つである3つの宝石や、ジムの冒険に役立つもの、ほかの宝物を取得するためのキーアイテムの役割をするものなどがあり、プレイヤーはこれらのものを探しながらゲームを進めていく。また正確には宝物ではないが、3体の妖精を探し出すことも最終目的の1つなのでここでは宝物と同じ扱いにする。

宝箱に入っているパターン

宝物のうちの殆どは「宝箱」に隠されており、ジムが宝箱に重なることで宝物を取得できる。
しかし、この宝箱には最初から見えている宝箱と見えていない宝箱があり、見えていないものについては「ある特定の行動」をすることによって見えるようになる。また、見える見えないに関係なく一部の宝箱には鍵がかかっており、鍵を見つけていなければ宝物の取得はできない。

敵が持っているパターン

宝箱に入っているもの以外では敵が宝物を持っているケースもあり、この場合はその敵を倒すことで宝物を入手できるのだが、ただ倒すだけでは駄目でここでも「ある特定の行動」を実行してから倒す必要がある。また敵ではないが何かに隠されているケースもあり、この場合もその何かに「ある特定の行動」を実行することで宝物が取得できる。

「ある特定の行動」とは?

何度も何度も言っている「ある特定の行動」についてだが、具体的にどう言った行動をすれば良いのかについての情報はゲーム中に一切存在しない。行うべき行動の中には、どう考えてもノーヒントで思いつくのは無理と言えるようなものもあり、中でも3体目の妖精を見つけ出す方法は、通常こういったアクション性のあるゲームでは「まず避けること」を実行しなければいけないのでわかるわけがないのだ。

じゃあどうやってクリアしたの?

ではどうやって当時のプレイヤー達は本作をクリアしたのかというと、当然解らなくて挫折した者も居るだろうが、世の中にはこのように難解な謎も実力(偶然?)で見つけ出せた人がおり、今のようにインターネットがなかった時代には、解けない人はそういう人達から直接(または人伝で)、またはパソコン雑誌などから攻略法を得たりしていたものである。

こういった本作の宝物に関するノーヒントな部分は、本作の評価を落としかねない部分でもあるのだが、この時代のゲームはアドベンチャーにしてもRPGにしてもノーヒントノーガイドは割と当たり前の時代であり、そのせいで本作の評価着が低かったという認識は個人的にない。本作発売以降のゲーム雑誌のランキングに、2年間もの間入り続けたという実績を聞けば、そこも含めて好意的に受け入れられたということであろう。

この辺で割を食ったのは、ファミコン版のスペシャルじゃろうなあ…

あー、ファミコンのユーザーは年齢層低いものねー

《最後に》言葉の無いハイドライドの世界

本作「ハイドライド」と言う作品は 「とにかく文字の無い世界」 だった。

画面上にステータスとしての文字が僅かにあるが、ゲーム上には町も村も無ければ、ゲーム中に主人公以外の人間(NPC)が登場することもない。なのでまずもって「会話が無い」のである。RPGにおいて会話が無いという事は、ゲーム進行上の指針となる情報、つまりヒントが得られないということだ。それが何を引き起こすかは、先程の宝物取得の難易度に繋がるだろう。

しかし文字の無い世界、文字の少ないRPGというのは、決してデメリットばかりでは無くメリットも存在している。それは「とっつき易さ」だ。この時代のRPGはグラフィック能力の問題もあるが、画面上に文字と数字が多くそれぞれが何を意味しているのか把握しなければならず、兎に角最初のとっつき難さがあった(慣れればそれが良い所でもあるのだが)。

個人的な話をすると私が生まれて初めて遊んだRPGは、PC-88を持っていた友人の家で遊んだ「夢幻の心臓」であった。しかし初めてRPGに触れる自分にとっては、画面上にいくつものコマンドや数値、メッセージが溢れる夢幻の心臓の画面は情報過多であり、しかも一番弱いという「農民」にすら勝てないので嫌になって「これ無理」と友人に言って辞めてしまった。

そこで友人がもう一つ遊ばせてくれたのが、なんとこの「ハイドライド」というゲームだった。ゲーム画面にめんどくさそうな文字や数字も無く、操作も他のアクションゲームと同じように単純で、しかも最初に登場するスライムは初めて触れる自分にでさえさくさくと倒せてしまう。先ほどの夢幻の心臓に比べてストレスの無さに若干の感動すら覚えた。

決して「夢幻の心臓」が駄作だったということではないぞ

最初のハードルさえ越えられれば、なんとかなるんだけどねー

そして私はこのハイドライドにはまってしまい、友人にヒントを貰いながら何日か通って、結局最後までクリアしてしまった。そう、私が生まれて初めてクリアしたRPGは実はこのハイドライドだったのである。全くのRPG初心者である私が最後まで出来てしまったのは、間違いなく本作の「とっつき易さ」と本当にアクションゲームのように遊べた単純な操作性にあっただろう。

本作は、確かに文字が無いことで謎解きは難解になってしまったが、逆に文字が無いからこそRPGを良く知らない初心者でも、そして子供から大人まで誰でも気軽に楽しめるゲームとなり、また別の側面では文字が無いからこそ様々な機種に移植が可能なゲームだったのではないかとも思える(当時は機種によって文字の大きさや表示に制限もあった) 。

しかし続編となる「ハイドライドⅡ」、そして「ハイドライド3」とシリーズが進むと、町が登場しNPCが登場して情報も多くなり、システムもより複雑化していき「とっつき易さ」からは離れていった。これは初代「ハイドライド」からすると矛盾している事なのだろうか。いや、とっつき易さも慣れればやがて「単調」に感じられるようになり、プレイヤーも新しい段階、新しい刺激を求めるものだから、ゲームもそれに合わせた進化をしていかなければいけない。

例えばいきなり「ハイドライド3」みたいな作品が出てきたら、それは流石にハードルがいきなり高いだろうという話になるが、ハイドライドシリーズは作品毎に徐々にハードルを上げていきプレイヤーを「アクションRPG」というジャンルに慣らしていっている。この辺は、RPGに馴染みの無かったファミコンユーザーに1からRPGを慣らして行った「ドラゴンクエスト」シリーズの進化と同じだろう。

初代「ドラゴンクエスト」が、とっつき易さでRPG初心者への間口を開き、自シリーズだけでなくRPGというジャンルを更なる進化と発展へ導いた歴史的作品であるように、アクションRPGというジャンルの間口をとっつき易さで開き、更にアクションRPGというジャンルの進化と発展を導いたのが、本作「ハイドライド」なのだと言っても全く過言では無いだろう。

複雑で様々なことができる昨今のアクションRPGも面白いが、たまにはこう言ったジャンルの源流に触れてみるのもまた一興なので、機会があれば是非触れてみてほしい作品である。

遊びたくなったら?

もし今回の記事を読んでハイドライドに触れてみたい、またハイドライドを遊んでみたいと思った方は、以下のサイトを参考にして欲しい。

パソコン版

プロジェクトEGGではPC-8801版を始め、PC-9801版、FM-7版、X1版、PC-6601版、MSX版、MSX2版が配信されており、様々なハイドライドを楽しむ事ができる。またファミリーコンピュータ版や、昔Windows版として発売された「ハイドライド1・2・3」なども配信されている。

≫EXIT

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コメント

  1. 通りすがり より:

    これは微かに記憶あるなー。トモダチに借りた記憶がある。
    T&EソフトだとDIVA(ディーバ)ってソフトあったけど、それはフォーキャストしないの?

  2. ソンゴスキー@れとろげ より:

    ディーヴァも懐かしいですね。一応全機種分持ってるのですが、なかなか説明できるほどやり込めていないので…。
    いつかは取り上げようと思っています。

  3. etc. より:

    >ARPGの元祖…
    拝読いたしました。大変わかりやすい記述ありがとうございます。
    私は、ハイドライドのⅠおよびⅡはFM-new7(テープ)版でプレイしました。やはりノーヒント&ノーガイドは当時もつらいものがあります。
    T&EさんだとこのRPGでもAVGでもノーヒントの信念は貫かれているような気がします。後年の作品で「ルーンワースⅡ」で最初何をやっていいのかわからないんですよ。そうしたら、ある雑誌の記事でN13とよぴかぱくんとの対談で「マニュアル末の漫画に当初の行動指針が描かれている」と述べておられて、わかりにくいわと心の奥底で叫びました。

  4. 名無しの冒険者 より:

    たしかにこのパッケージ絵は、他のファンタジーRPGとは違う感じがしました。
    派手さや一目で内容を理解させるようなものはないのですが……。
    ドラゴンスレイヤー、夢幻の心臓などは、勇壮な戦士と怪物が主流だった中、儚さを感じさせる妖精のイラストは印象深かった記憶があります。
    思えばこのころのファンタジー題材にした映画とかも、タイタンの戦い、ディズニーのドラゴンスレイヤー、コナン、エクスカリバーとかファンタジーといえば筋肉とばかりに、マッチョさを前面に押し出してたような。
    D&Dとかも「ドラゴンと戦士」が表紙だったわけだから、結構な英断だったのかもしれませんね。

  5. ソンゴスキー より:

    >>4
    ゲームのパッケージは、見た人にゲームのイメージを伝える最初の手段ですから、わかりやすいイメージのほうが適しているともいえるんですが、ハイドライドのパッケージイラストは「パッケージも作品の一部」という感じが伝わってくるものでした。あと「イース」なんかはゲームのパッケージそのものが「イースの書」になっているという素晴らしいものでした。この2つのパッケージを考えた人は本当に凄いし、採用したほうも英断だったと思います。

  6. ソンゴスキー より:

    >>3
    お褒め頂きありがとうございます。とても嬉しいです。
    やっぱり全体のボリュームがあの時代は限られてしまうんで、プレイ時間の水増しに長いレベル上げや金策、そしてノーヒントノーガイドの謎解きはやむを得ない時代だったんですね。マニュアルの漫画にヒントというと「ロマンシア」なんかもそうでしたね。

  7. 名無しの冒険者 より:

    ハイドライドの紹介記事、楽しく読ませていただきました。
    当時のゲームって確かに難解な部分も多かったですが、雑誌のレスキュー記事とか、ゲームに付属の紙製マップとかガイドとか、ヒント券なんかもあって、ゲーム以外の場所にけっこう豊富にヒントがあったんですよね。
    ハイドライドをクリアしたのはIIが出た後くらいなんですが、そのときには3番目の妖精が難しいのはすでに「有名」になってたように思います。
    自分はアドベンチャーゲームも大好きでしたが、ヒント券を使ってクリアしたものもけっこうありますし、当時はそういう文化的な要素もふくめてゲームを楽しんでたように思います。

  8. ソンゴスキー より:

    >>8
    インターネットが普及するまでは、ベーマガとかの雑誌に載ってる攻略やQ&A、あとは同じ学校のゲーム上手い奴とかが情報源でしたね。私もゲームに詰まって、ベーマガのQ&Aコーナーにハガキを出しましたが不採用でしたw
    今考えると不便極まりないですが、それはそれで充実したゲームライフだったのかなとも思ったりします。

  9. あきら より:

    おお、いつの間にかこっちにも妖精ちゃんが登場している!
    ハイドライド四人目の妖精でしょうか(笑)
    プロジェクトeggのサイトを見たところ、「ザ トリロジーズ」というディスク版のゲームセットが発売されるみたいですね。スターアーサー伝説、ハイドライド、夢幻の心臓、ルーンワースの各三部作セットです。ちょっと高いですが、ディスクを所持してオフラインでできる(多分)のは嬉しいかな~。
    ひとつお聞きしたいのですが、画面の表示モードはどうなっているのでしょう。このサイトの画面写真だと、元の画面が640×200でも、640×400にしてある感じなのですが。それだと色がきつくて眩しくないですか?良かったら教えてください。

  10. ソンゴスキー より:

    >>10
    やはりフェアリーランドってくらいですから、妖精さんは登場しないとねw
    表示モードは、所謂偶数ラインの表示ってやつですかね?エミュレータにもよりますが、設定があるものについては表示にしています。確かに明るい感じもしますが、個人的に暗い画面だと遊ぶ時はまだしも、プログの画像にしたりサムネイルとかにしたりすると見にくくなっちゃうので…

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