勇者の塔 55F
No.0205
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「Wizardry 6」とは
タイトル | Wizardry 6 Bane of the Cosmic Forge |
ジャンル | ダンジョン探索型ロールプレイングゲーム |
発売年 | 1991年 |
発売/開発 | アスキー |
発売機種 | PC-98、FM TOWNS、スーパーファミコンなど |
前作 | Wizardry #5 Heart of the Maelstrom |
次作 | Wizardry 7 Crusaders of the Dark Savant |
「ウィザードリィ – Bane of the Cosmic Forge(以下:BCF)」は、1990年に「SIR-TECH」よりIBM PC用に発売されたダンジョン探索型ロールプレイングゲームで、同社の「ウィザードリィ」シリーズの第6作品目にあたります。
日本では移植版が、1991年に「アスキー」よりPC-9801、FM-TOWNS用として発売され、1995年にはスーパーファミコン版も発売されました。
本作は「ウィザードリィ」というタイトルはついているものの、過去のシリーズとは様々な面で大きな変更がされており、それがウィザードリィファンの間に波紋を呼んで「受け入れられない派」と「受け入れられる派」の派閥を産み出した作品…と言えるかもしれません。
その後、本作の続編としてその方向性を受け継いだシリーズ7作品目「ウィザードリィ – Crusaders of the Dark Savant(以下:CDS)」が1993年に発売され、少し間が空いて8作品目「ウィザードリィ8」が2001年に発売されています。
ちなみにこのシリーズ6~8作品目は、まとめて「ウィザードリィ新三部作」と呼ばれることもありました。
最初に
先ほど本作が日本で発売されたときに「受け入れられない派」と「受け入れられる派」ができたといいましたが、当時の私は間違いなく「受け入れられない派」でした。それまで#4以外は全てのシリーズに触れてきた私にとっては、恥ずかしい話ですが「こんなものは俺のウィザードリィじゃない!」という拒否感でこの作品を忌避し続けていたのです。
では本作は過去シリーズと何がどう変わったのか?私は何にそこまで拒否感を感じていたのか?
それによりこの作品を忌避していた事は正しかったのか?
これからゲームの説明をしつつ、振り返って行きたいと思います。
ストーリー
”この世には 知らねばならない ことがある”
120年ほど昔、ある城に邪悪な王とその后が住んでいた。王は侵略によって領土を広げ、その挙句自分と同じほど邪悪な魔法使いと手を組み、彼ら以外の邪悪なものたちを滅ぼす戦いを繰り広げた。そしてある異教の神を打ち倒したとき、命乞いする神の口から彼らは「それ」の存在を知った。
書いたことが現実になるという恐ろしい魔法のペン…コズミック・フォージ。
二人はその魔法のペンを盗み出し、誰も想像すらできない恐怖を宇宙の中に織り込み始めた。しかしペンを手に入れてまもなく、二人はお互いの力を妬み始め、そしてもはや互いの力を必要としなくなると、彼らの運命とこの魔法のペンの行く末を決める最後の戦いを始めたのである。
それが知られていることの全てである。王のいた城にはそれ以来住むものもなく、王と王妃、魔法使い、そして魔法のペンがどうなったのかを知るものもいない。しかし今、汝らがここに来たことによって、全てが変わろうとしている…。
…ってリルガミン関係ない!! これまでウィザードリィシリーズでは、時代は変わっても作品の舞台は「リルガミンの街」とその周辺だったのですが、本作ではリルガミンの”リ”も出てきませんでした。やはりこれには抵抗感を覚えてしまいましたね。
キャラクターメイキング
さてゲームが始まったら、プレイヤーはまず”キャラクターメイキング”を行い、冒険に連れて行くメンバーを作成します。ここについては#4を除く過去シリーズ全てに共通する内容なのですが、本作BCFと次回作CDSについては特にその仕様がほぼ共通のものとなっていました。
BCFとCDS、この2作品のキャラクターメイキングについては、ここで説明すると長くなるので別記事にまとめました。気になる方は是非参照してください。
本作のキャラクターメイキングにおいて気になった点としては、まずで新しく追加された”スキル”の存在でしょう。
スキルは、本作が過去シリーズから大きく変わった部分の代表格と言える点ですが、正直種類がありすぐるのもあって「とっつき難くてよくわからない」という感覚がありましたね。
次に気になった点としては、魔法の仕様が大きく変わった事でしょう(詳細はキャラメイク記事にて)。
本作での魔法の仕様は過去シリーズの魔法レベル別の回数制から、魔法属性別のMP消費制に変更されました。これはそれなりに大きい変更点ではあったのですが、個人的にもっと気になった大きな変更点があったのです。
そしてそれこそが、もっとも私が本作に対して抵抗感を覚えたところであったといっても過言ではありませんでした。
魔法の何が気に入らなかった?
では早速ですが前回の最後にお話した、本作の”魔法”について私が非常に抵抗感を覚えたところ、それは魔法の名前が全部変わったことです!過去シリーズを遊んできた人なら解ると思いますが、このウィザードリィシリーズの魔法はこれまで一貫した名称でやってきました。
例えば攻撃魔法では、炎系は「HALITO」、氷系なら「DALTO」、そしてその上位魔法には”MA”や”LA”がついて「MADALTO」、「LAHALITO」というように、また回復魔法は「DIOS」、「DIAL」、「DIALMA」、「MADI」というように”DI”が含まれる名称で、回復を裏返す魔法(つまり攻撃魔法になる)の場合、”BA”がついて「BADIOS」になるなど独自の名称ルールがあったのです。
またそのルールから外れるものでも、睡眠魔法の「KATINO」、窒息魔法「MAKANITO」、そして最強の攻撃魔法である「TILTOWAITO」など独特なそのネーミングは最初こそ戸惑ったものの、やがてこれらの魔法は「ウィザードリィといえばこれだよな!」と思えるほどの存在になりました。しかし本作ではこれらを一切排除してまったく新しいものにしてしまったのです。
しかも新しい魔法名は「FIREBALL」、「SLEEP」、「HEAL WOUNDS」、「CURE POISON」というように、一般的なRPGで見かけるような非常に平凡な名称になってしまいました。これには、なぜだ!なんでそんなことをした!と当時の私は怒りを覚えたのです。いやいや、この程度でそんなに怒るか?と疑問に思うかもしれません。
しかし考えてみてください、あの「ドラゴンクエスト」が次の新作から魔法名を「ギラ」とか「ホイミ」から、「FIREBALL」とか、「HEAL WOUNDS」って名称に変わったとしたらどう思います?「そんなのもうドラクエじゃないだろ!」ってファンなら思いませんか?ファンタジー世界は、よく”剣と魔法の世界”といわれます。
つまり剣や魔法の存在は、その作品の言わば”顔”であり、その世界観を象徴するものなんです。それをこうも簡単に失っていくのは、それは、それは、酷いことなんだよーっ!(カミーユ?
とまあ私情むき出しで言ってみたのですが、ただ、ただですね?今となって考えてみれば、作り手の気持ちもなんとなく解る気もするんですよね。
なにせ本作では、今までの魔法使い系、僧侶系の2種類の魔法に加えて、超能力と錬金術という新たな魔法が加わりました。これら4種類の魔法を今までのルールで名付けたとしたら、それは相当複雑なものになり、本作からの新規ユーザーどころか古参ユーザーまで混乱させかねません。その意味でも文字を見て効果がある程度わかる、その”解りやすさ”を意識してこのような名称にしたのではないかと。そう思うわけです。
冒険への出発
さてちょっと私情が多めにあふれ出たところで、軌道修正してシステムの説明に戻りたいと思います。とりあえずここまででキャラクターの生成については終わりなので、あとは冒険に連れて行きたいメンバー6人を揃たら、いざ冒険に出発!ということになります。ところで過去シリーズを遊んだことがある方は、ここである事を考えませんか?
そう、冒険に連れて行くメンバー以外のサブのキャラクター達の事です。定番で言えば、迷宮で拾ったアイテムを鑑定する役のビショップ、そして迷宮内で不必要になったアイテムなどを持たせておく物持ち専用キャラなどですね。しかし本作では、こういったサブキャラ達を作ることは”全くの無意味”です。なぜなら、なんと本作では
一度迷宮に入ったメンバーは途中交代ができない んです。
本作では最初の迷宮(城)に入ったとたんに冒険者達は閉じ込められてしまい、城の外に出ることができなくなってしまいます。そのため城の外でのメンバーの交代ができないどころか、過去シリーズでは定番だった酒場、宿屋、取引所、寺院などの利用もできないのです。つまりHPやMPの回復は魔法か野宿で、アイテムの売買は迷宮内のNPCと行うしかないんですね。
じゃあ、しょっぱなからキャラが死んでしまったらどうするの?と思ってしまうところですが、本作では状態異常回復や蘇生のアイテムが序盤から手に入るうえ、冒険中も今まで似に比べれば頻繁にそういったアイテムを入手できるので、それで何とかすることになります(もちろん中盤~後半は魔法でも対応できる)。もっとも過去シリーズ同様、キャラが死んでしまうような戦闘を行った場合は”リセット”するのが定番なのですが。
キャラクターが交代できないのは私も当時驚きましたが、本作では後述する”転職”のハードルが過去シリーズよりも低くなったため、職業についてはあとから何とでもなるのでそれほど気になりませんでした。ただし、種族や性別は途中で変えられないので、それについてはキャラ作成時に十分考える必要がありましたね。
では長いこと時間がかかりましたが、ここからゲーム本編のシステム説明に入ります。
ダンジョン
本作はシステム面がかなり変更されていますが、それでもあくまで擬似3Dダンジョン探索RPGという路線は変わっていません。ただしグラフィック面は大きく変わりました。今までのダンジョンはワイヤーフレーム(白い線)のみで描かれていていましたが、それが一新され、地面も壁もちゃんと絵で表現されるようになり、ダンジョンに設置されたオブジェクト(扉や泉、宝箱など)も目視できるように変わっています(過去シリーズでも家庭用の一部の機種では、壁や扉の表現はあったが)。
また過去シリーズでは基本的に一つの地下迷宮や山中のダンジョンを舞台にしていたのに対して、本作では最初こそ城内から始まりますが、その後は鉱山やピラミッド、、巨大な川や森の中など次々と舞台が変わっていき、ダンジョンだけでなく野外を冒険することできるようになりました。ちなみにフィールドの広さも20x20などの決まった大きさではなくなっていますが、これは前作「V」の時点ですでに変更されていますね。
これらのダンジョンは見た目が変わっただけでなく、扉が開く、水面が揺れるなどのアニメーション演出が増えたり、ダンジョン内ではBGMではなくモンスターの鳴き声のようなものや、何かを引きずるような音が聞こえたりなど、冒険の臨場感の沸く演出も追加されていました。それは”進化”として良いのですが、当時本作を見た人のほとんどが”なんかあの作品に似てね?”と感じたのではないでしょうか?まあそれについては後で説明しましょう。
扉と門
さきほどダンジョン内の扉についてちょっと触れましたが、本作ではこの扉の存在についてもちょっと変更がされていました。過去シリーズでは扉には、鍵がかかっていない扉と、対応する”鍵”を持っていると通過できる鍵のかけられた扉の2種類がありましたね。これについては本作でも基本的には変わっていないのですが、鍵のかかっている扉の開け方がちょっと変わりました。
というのは鍵のかかっている扉に対して”対応する鍵で開ける”以外にも、3つの方法で開錠を試みられるようになったのです。その1つは”力づく”で無理矢理開ける方法、もう1つはスキル「指先技」で開ける方法です。力づくは試みるキャラの力強さで、指先技はスキルの値を基準にしてそれぞれ目押しみたいな判定を実行し、成功したら鍵は開きます。
しかしこの2つは失敗した場合、鍵が壊れてしまい扉が2度と開かなくなる事があります。そのときに役に立つのが、最後の1つ「KNOCK-KNOCK」という魔法で開ける方法です。魔法で開錠を試みた場合、MPは消費しますが仮に失敗しても鍵が壊れるということは無いので安全です。ちなみに扉の鍵には難易度が設定されており、この難易度によってそれぞれに求められる、力強さ、スキル値、魔法の威力が変わってきます。
また本作には、扉とは別に金属の柵で閉じられた”門”という存在も登場します。この門については、上記の3つの開錠方法は通用せず、その門に必要な鍵を持っていなければ開けることができませんでした。
宝箱
さて開錠の話が出たので、ついでに”宝箱”の話をしてしまいましょう。ウィザードリィといえば、やはり宝箱を開けるスリルと中身への期待感が欠かせないものでしたが、今回この宝箱の存在も仕様が若干変わっています。過去シリーズの宝箱は、部屋に入ったときに登場する敵を倒すと手に入るというものでしたが、これが変更されて宝箱は”決まった場所に置かれているもの”のみになりました。しかも一度開けたら二度と登場しないので、トレジャーハントの楽しみはかなり薄れてしまっています。
また宝箱にかけられた罠の解除方法ですが、これもちょっと変わっています。罠を調べてから罠を解除するという流れは一緒ですが、過去シリーズでは罠を調べると罠の名前が表示される(POISON NEEDLEとかTELEPORTERなど)ので、それをキーボードで入力して解除する。ただし表示される罠名が正しいかどうかが怪しいというものでした。
一方本作では、宝箱を調べると掛かっている罠の名前が分解され、1文字ずつバラバラに画面に表示されます。これを見て何の罠名なのかを判断し、罠の一覧から選択して罠を解除するという方法に変わっています。ところが解除者のスキル「指先技」の値と、罠の難易度によっては全部の文字が表示されないうえに、間違っている文字が表示される場合もあるのです。ちなみに緑文字は正しいものだが、赤文字は間違っているかもしれない文字です。
これについては例え指先技が最大の100であったとしても、全部の文字が表示されないことが殆どで、場合によっては緑文字が1~2文字しか表示されないなんてこともあるため、それだけで罠名を判断するのはそうとう苦労します。このときパーティーに魔法「DIVINE TRAP」を唱えられるものがいれば、罠解読の助けになりました。
これら扉や罠の解除方法についてはそれほど抵抗感はなかったのですが、宝箱でのトレジャーハントの楽しみが激減したのはやっぱり残念でしたね。そのかわり、お金さえ用意できればほとんどの武器防具がNPCから変えるようになったので、ある意味では楽になったともいえるのですが…。
BREAK TIME!
あまりに長いので、ここで一旦休憩しておくれ。
BREAK TIME!
コメント
私の場合、当時の受け止め方を思い出すと
「マイトアンドマジック」や「ダンジョンマスター」と変わらない見た目になったなー
でした。
>選べる顔のほとんどが致命的に可愛くない(かっこよくない)
ダンマスよりはマシな感じがしたので悪くないと思ってました。
そんな私も「受け入れられない派」でありました^^;
私も受け入れられない派だったなー
グラが微妙だったのと、当時重かったのがある。
Wizはワイヤーフレームでサクサク動くのが良かったのに・・・
迷宮の壁とか移動をリアルにする必要性は、あんま感じませんでしたね。
少しプレイしてすぐ止めちゃったのを覚えています。
それに比べてWiz5はヨカッタヨ・・・。
おひさしぶりです管理人様。江保場狂壱です。
私は未プレイですが、当時ログアウトというT-RPG雑誌で小説が掲載されていました。
著者は竹内誠先生で、MSXマガジンに連載されていたのを、ログアウトで加筆して掲載したそうです。
実は手元に残っていたので確認したのです。
確かに肖像はいまいちですね。なんというかアーケードのガントレットを連想しました。約24年前のゲームですからね。
私はファミコンで1と2をプレイしました。SFCでは5をプレイしましたね。
リルガミンという災厄に魅入られた土地。そこでの冒険は長年のファンにとって何物にも代えがたい故郷だと思います。
だからこそ賛否両論になってしまったのかもしれません。
では。
>MA2さん
そうそうマイト&マジックも3から急に変わりましたよね。
洋ゲー独特のバタ臭いグラフィックは、味ではあるんですけど
当時の日本の若者には、ちょっと受け入れにくいものがありましたw
>トリ頭さん
やはり受け入れられませんでしたかw
そうなんですよね、キーレスポンスが悪くて、そのくせ道から外れると落下死とかするし…。
WIZ5は、PC版なのにちゃんと日本向けにグラフィックが書き直されていたのが
凄く嬉しかったのを覚えています。
>江保場狂壱さん
おはようございますw
ほうほう、小説版なんかあったんですね。あー、でもこの前この作品をamazonで確認してたら、ノベル版みたいなやつを見かけたんで他にも小説でてるのかもしれませんね。
確かに古い作品なんですが、この当時日本では既にアニメ調のキャラクターグラフィックがRPGに登場する作品も多く出ていたので、そういう点で受け入れにくかったと思います。
>何物にも代えがたい故郷
やはり初代Wiz経験者にとっては、そうなんですよねー