NPCの存在

では先ほどNPCからの武器防具購入についての話が出たので、次は本作の”NPC(ノンプレイキャラクター)”の存在について話していきましょう。ダンジョン内でプレイヤーに情報や物を売ってくれるNPCの存在については、既に前作から追加されているので目新しさはありませんが、本作では町に戻るという事ができない為、物品の売買をしてくれるNPCの存在は過去シリーズ以上に重要なものとなっています。
NPCはダンジョン内の決まった場所に必ず出現し、プレイヤーと物品の売買や、金品の譲渡、情報交換などに応じてくれます。買取は一部の重要アイテム以外ならなんでも買い取ってくれますが、売っているものはそのNPCによって決まっており、決まっているものの中からランダムで店先に出してくれます。商品の中には、ゲーム進行上必須ではないものの、あると進行がスムーズになる特殊なアイテムなどもあるため品揃えのチェックは重要です。
ちなみに過去シリーズに馴染んだ人には信じられないでしょうが、本作ではあの伝説の剣「BLADE CUISINART」が一部のNPCから購入可能である(店売りかよ!と私も突っ込んでしまったw

NPCの存在は単に売買のためだけのものではありません。本作を攻略する上で不可欠な”情報”の持ち主でもあるのです。NPCに対してコマンドから”話す”を実行すると画面が「会話モード」に変わり、キーボードからの文字入力が可能になりますので、そこでNPCから聞き出したい情報を入力し、それで得た情報をさらに入力して次の情報を聞き出すというように繰り返して情報を得ます。
本作は海外のゲームなだけあって、ゲーム進行のために解いていかなければいけない謎の難易度は高く、ノーヒントでクリアするのはかなり無理があります。従ってNPCからの情報収集は不可欠なものになるでしょう。またNPCと会話を進めていく中で、「●●を取ってきて欲しい」と頼まれる場合があり、それらの依頼達成により得られる報酬は、ゲーム進行上必須のものだったりするので、その意味でもNPCとの会話は重要なものとなります。
ちなみにですが、本作に登場する全てのNPCは戦闘で殺すことも可能です。ですが、NPCを殺して得られるものよりも、失うもののほうが大きい(情報や物品が得られなくなるなど)ので、正直お勧めはできませんね。
ただNPCの中には、向こうからこちらに質問を投げかけてきたり、合言葉に応えるように要求してくるものもおり、そこでの回答次第で強制戦闘になる場合もありました。まあそういうNPCについては、殺してしまってもゲームに影響が無いものの、めっちゃ強いのでできれば何らかの方法で戦闘は回避するのが得策かもしれません。
重量
流れ的に次は戦闘システムについて話そうかと思ったのですが、長くなってきたのでそれは次回にまわして、今回は最後にアイテムの所持に関する話をしましょう。過去シリーズでは1キャラが持てるアイテム数は、装備品を含めて8個までと決められていましたが、本作では装備品を含めて10個+バッグの中に12個までと大幅に増えました。
しかしその代わりというわけではないのですが、持ち物についてはもう一つ制約がつきました。それがキャラクターが持つことができる”重量”の値です。本作からアイテム一つ一つには重量の設定がされ、キャラクターの力強さと生命力の値によって所持可能な重量が決められました。これにより所持アイテムの個数に関係なく、アイテムの総重量が所持可能重量の75%を越えると”ペナルティー”が課せられるように変更されたのです(回避力の低下やスタミナ消耗の上昇)。
幸いなことに、某アクションRPG3作目のように所持金にまで重量が設定されなかったものの、PC版については所持可能重量は”キャラクターメイキング時”の力強さと生命力の値によって決定し、以後キャラクターが成長しようとも決して変わらない。という謎仕様(バグ?)であったため、特に前衛職はキャラクターメイキング時に力強さと生命力をできるだけ最大値に(特に力強さは)しないと、後半の強い装備を身に着けただけで、所持可能重量ギリギリになってしまう貧弱キャラになってしまいます。
そうでなくても、ゲーム進行のためにやたらと重いアイテムを持ってうろつかされるというのに…。大岩とかw
戦闘システム

ではいよいよ、戦闘システムについて説明して行くとしましょうか。とはいえ本作の戦闘は大筋では変更がありません。敵とは移動中にランダムか、特定の部屋に入ったときに遭遇します。戦闘は過去シリーズと同じように、ターン毎に全キャラに実行させたい行動を選んでから戦闘実行で、敵味方入り混じって順番(速さ準拠)に行動していくという所謂「ターン制」の戦闘システムです。
味方は6人のうち3人(画面上の上段と中断左)が前衛、残り(中断右と下段)3人が後衛となり、前衛は主に肉弾戦、後衛は主に魔法による援護や攻撃を行いますが、後衛でもミドルレンジ、ロングレンジの武器を使用する事で、魔法以外にも攻撃に参加することが可能です。後衛からの肉弾戦は前作「V」から既に可能でしたが、本作ではさらにそういう武装が増えており、打ち上げ花火みたいなのを射出する武器までありました。
またこれも似たものが前作からありましたが、「隠れる」コマンドからの奇襲攻撃も存在しています。奇襲は前作では盗賊と忍者の専用コマンドでしたが、本作では忍術スキルを取得していれば実行可能です。あと種族ドラコンのみ、職業に関係なく戦闘中に”酸のブレス”を吐く事も可能でした。ブレスは単体攻撃ではあるものの100%命中するので、攻撃が当たらない序盤では有効な攻撃方法となります(ただ頼りすぎると武器のスキルがなかなか上がらないので成長も遅れる)。
一方で前作まで僧侶、ビショップ、ロードの専用コマンドであった、アンデッドを消し去る「呪いを解く」は排除されました。その代わりに僧侶系魔法の中に「DISPEL UNDEAD」という同じ効果を持つものが存在しています。「呪いを解く」がノーコストで実行できるコマンドだったのに対して、「DISPEL UNDEAD」はMPを消費する呪文になってしまっていますが、その代わりにこの呪文で消滅させた場合も経験値が取得できます(これは地味に嬉しい変更ですね)。

次に武器を使用しての肉弾戦に関してですが、本作では「攻撃」という1つのコマンドにも持っている武器によって、複数の攻撃方法が設定されていました。代表的なもので言えばソード系の「振る」と「突く」ですが、「振る」は補正の無い普通の攻撃で、「突く」は命中に-補正、貫通に+補正がかかるというように、選んだ攻撃方法により様々な補正が付くようになったのです(命中と貫通以外にダメージ補正というのもある)。
ところで”貫通”というのが何かというと、本作では例え敵に攻撃を当てたとしても、相手の装甲に弾かれてダメージを与えられない場合が多々あります(メッセージで表示される)。そういう場合に、相手の装甲を越えてダメージを与えやすくなるのが、貫通補正のある攻撃方法なのです。ちなみに最も貫通補正の高い攻撃は、弓系武器の「撃つ」でした(納得)。
他に肉弾戦に関係する変更点としては、本作から両手持ち武器と、二刀流可能武器というものが増えています。両手持ち武器の場合、盾が装備できない反面”乱闘”というダメージが2倍(命中率は下がるが)の攻撃方法が可能なものが多く、二刀流の場合も当然盾は装備できませんが右手と左手別々に攻撃できるので、純粋に1ターンでの攻撃回数が増えます。

さて次に魔法攻撃に関してですがその前に、本作にて戦闘中に登場する敵は最大で5グループまで、そして1グループにつき最大9体まで、つまり1戦闘に最大で45匹の敵が登場します。これに対応して、魔法の効果範囲も敵1体、敵1グループ、敵全体というように分けられています(正確にはあと1つ特殊な範囲があるが)。これについては過去シリーズと同じですね。
しかし本作では魔法の仕様がかなり変わったため、戦闘での魔法の使用についても過去シリーズと違う運用が必要になっています。まず”PL(パワーレベル)”です。全ての魔法は使用時に、その魔法の威力(PL)を任意に設定できるようになりました。PLが高いほど高威力になりますが、同時に消費するMPも上昇します。これにより、過去シリーズでは初歩の単体魔法は序盤以降使い物にならなかったのが、PLを上げることで中盤以降も要所で使用できるようになりました。
また魔法の中にはPLを上昇させることで、効果範囲そのものが広がる魔法もあります。例えば僧侶系の「BLADES」という魔法は、PL1で使用すると敵3体にしかダメージを与えられませんが、PLを1上げるごとに+1体追加でダメージを与える事ができます。このようにPLは高くするほど強くなるのですが、一方で高いほど失敗する可能性もありました(術者のスキルによる)。
次に、魔法の中に”持続効果”を持つものが増えました。過去シリーズの魔法は使用した場合、睡眠や沈黙などの状態異常効果以外は、そのターンで効果が終わり持続しませんでしたが、例えば錬金術師系の「POISON GAS」という魔法は、1度使用すると数ターンに渡って効果が持続し、敵にダメージと”毒”効果を与え続けることができます。もちろん効果が持続している間、術者はまったく別の行動をとっても問題ないという便利な魔法です。
そして魔法の使用に関して、最も気をつけなければいけなくなった点といえるのが”属性と抵抗”です。全ての魔法は魔法使い系や僧侶系といった魔法の系列に関係なく6つの属性に分類されており、そしてプレイヤーの操るキャラクター、及び全ての敵には内部パラメーターとして”属性への抵抗値”が設定されていています。これにより、例えば火属性の魔法を火属性抵抗の高い敵に使用しても「効果が無かった!」と表示され全くのMP無駄遣いになってしまうのです。
したがって戦闘の勝率を高めるには、どの敵が何の属性魔法に弱いのかを見極めること、そしてどんな敵にも対応できるように、より多くの属性の魔法(特に広範囲の)を用意する必要がありました。しかし中にはほぼ全ての属性抵抗値が高いような敵も登場するため、そうなったときはやはり属性に影響されない肉弾戦の出番ともなるわけです。
以上のように戦闘に関しては大筋では過去シリーズと変わっておらず、システムもシンプルでありながらそれでいて”厚み”が出たように思え、これに関しては全く抵抗感を覚えませんでした。ただ一つ、

敵のグラフィックが壊滅的に日本人向けでないこと を除けば…(慣れればこれも味なんだけど
レベルアップとセーブ

さて戦闘にて全ての敵を倒すと経験値とゴールドが貰え、経験値が一定値溜まるとキャラクターがレベルアップします。過去シリーズでは(IVは除くが)経験値が溜まった状態で町に戻り、宿屋で1泊することでキャラクターがレベルアップしていましたが、本作では町にもどる事もできないうえ宿屋も存在しないため、レベルアップは戦闘終了後に即行われます。
レベルが上がると能力値とHP、スタミナ、MPが上昇し、さらにスキルポイントを取得できるので、それで好きなスキルを上昇させることができます。それが終わると、魔法が使えるキャラクターはさらに魔法を1つだけ新たに覚えることができます。ちなみにどの能力値が上昇するか、HPがいくら増えるか、スキルポイントがいくらもらえるかはある程度ランダムで決まってしまいます。
過去シリーズであれば町に戻って一旦セーブし、その後1人ずつ宿屋に泊まらせてレベルアップに納得がいかなければリセットしてやり直しという事もできたのですが、実は本作ではそれが難しくなってしまっています。というのもセーブの仕組みが本作から変わったからです。今まではある特定のタイミングでオートセーブされていたのが、今回から任意でセーブが可能になりました。
なんせ事故ったらリセット推奨のゲームですから、自分のタイミングでセーブができるのは非常に助かる改良なんですけれど、ことレベルアップについてはそうも行かない。戦闘終了後にセーブするタイミングも無くレベルアップが始まってしまうので、レベルアップに納得いかなくてリセットした場合、前にセーブしたところから始まってしまいます(つまり最低でも戦闘前まで戻される)。
しかもいくつかの職業はレベルが上がるタイミングが一緒なので、あるキャラのレベルアップは納得して終わっても、セーブのタイミング無くすぐ次のキャラのレベルアップが始まってしまうので、そっちに納得いかなかったらまた最低限戦闘前からのリスタートになります。これが地味にキツイんですが、ただ救いもありまして、本作からレベルアップ時に能力値が下がらなくなりました。またHPの上昇も、過去シリーズのように1しか上がらないようなのが何度も続くということが無くなり、職業にもよりますが割りと高い数値がすぐ出易くなっています。なのである程度妥協しやすくなってるわけですね。
転職システム
本作では今回説明したように、戦闘とレベルアップを繰り返しつつキャラクターを強化させゲームを進めていくわけですが、普通にプレイしていくとキャラクターが中々強くならず、わりと早い段階で行き詰ってしまうのではないかと思います。その原因は、本作のシステムがスキルの値に大きく依存していることにあるでしょう。先ほども説明しましたが、スキルの値はレベルアップ時にもらえるポイントで上昇させることができます。
しかしその貰えるスキルポイントは大体5~7p程度(多くても10p)、しかも一部の職業はこのポイントから特定のスキルに”勝手に”ポイントが配分されてしまうため(侍はソード、バードは音楽、レンジャーは弓とスカウトなど)、1回のレベルアップで微々たるポイントしか自由に使えません。そのうえ魔法職は各魔法スキル、侍や忍者はキリジュツといった重要でかつスキルポイントでしか上昇させられないものにそれを注ぎ込まなければいけないので、ホントにカツカツで中々強くなれません。
しかも本作はそんなポンポンとレベルが上がるゲームではありません。最初の舞台となる城ではレベル5を過ぎたらもうなかなか上がりませんし、中盤~終盤に差し掛かってもレベル10あたりから結構厳しくなってきます。そうなるとそこまでで得られるスキルポイントって大体予想できますよね?あれもこれも上げることなんて、ぶっちゃけ無理です。
ちなみに魔法に関しても厳しい状況は同じで、1レベルアップ毎に覚えられる魔法は1つだけです。もしレベル10まで育てても、キャラメイク時の2つ+9ですから11しか魔法は覚えられないことになります。重要な魔法だけ選べるなら11でも足りるんですが、魔法にはLV7までのランクがあり、スキル値が0,18,36,54,72,90,98を越えないと1LV上の魔法を覚えることができません。つまり例えレベルが上がってもスキルが上がらなければ、より強い魔法が覚えられず弱い魔法しか覚えられない結果になってしまいます。
そこで出てくるのが”転職を利用する”という手段です。
過去シリーズをプレイして来た人にとって”転職”というものは、非常に大きな問題で軽々しく行えるものではないというイメージがあると思います。その理由は転職によるデメリットの大きさです。過去シリーズで転職を行った場合、①老化が進み石化や死、灰からの蘇生が難しくなる。②能力値が種族基本値まで落とされる。③レベルアップしても当分の間HPが1しか増えなくなる。④前職のLVに関係なくLV1に落とされる。というようにデメリットが多くありました。
ところが本作での転職の場合、①転職時に老化しない。②能力値はそれぞれ転職条件の数値と種族の基本値の大きいほうになる。③前職のレベルを超えるまでHPが1しか増えない。④やっぱりレベルは1に落とされる。というように過去シリーズの転職デメリットが④以外殆ど解消されたのです。そしてこの変わらなかった④が、本作攻略の大きな”救い”となったのです。
どういうことかというと例えばLV5まで育てたら、転職させてレベル1に戻してしまいます。本作ではなんと転職すると能力値はある程度下がるものの、スキル値も覚えた魔法もMPも転職前から何のペナルティも受け無い状態でレベル1に戻るので、以前より楽にLV5まで上げられ、しかもスキル値取得の機会がまた4回増えるということなんです。これなら、

レベルがたった4なのにスキル値100! なんてキャラクターも容易に作れてしまい、さらに同じ系列の魔法を覚える職に転職するか、一旦別の職を挟んでもとの職に戻すなどの手順を行えば、魔法も通常より遥かに多く覚えることができ、この後の冒険がめちゃめちゃ楽になります。ただしこれはあまりやり過ぎると、ゲームが簡単になり過ぎてつまらなくなってしまうという諸刃の剣でもあるので注意が必要ですね。
ダンジョンマスター

では紹介としては最後になりますが、本作を語る上で避けては通れない「ダンジョンマスターとの類似」について話していきましょう。「ダンジョンマスター」とは海外メーカーの「FTL Games」が1987年に開発した擬似3Dダンジョン探索型RPGなのですが、ゲーム中こちらが何も行動しなくても敵が近づいてきたり、例え敵と戦闘中でも別の敵が乱入してくるとか、スイッチで開けた扉が一定時間で閉まってしまうなど、リアルタイム性があるのが特徴のRPGであり、またそれらを臨機応変に随時対応しなければならないため、3DダンジョンRPGでありながらアクション要素も高かったという特殊な作品です。(日本のゲームで言うと「ブランディッシュ」を擬似3Dダンジョンにしたようなイメージ)
「ダンジョンマスター(以下:ダンマス)」は日本でもPC98やX68000、FM-TOWNS、スーパーファミコンに移植され知名度の高い人気作品となったわけですが、1991年に日本でこの「ウィザードリィ Bane of the Cosmic Forge(以下:BCF)」が発売されたとき、私を含めて多くの人がきっとこう思ったはずです。これダンマスじゃね? と。

どの辺が似てたのかというと、まずグラフィックですね。実際に並べてみるとそっくりという程ではないものの、石畳や壁の表現や色調、HPやスタミナのバー表示、右手と左手の装備状況の表現などかなり意識していると思えるものでした。次にアニメーションです。本作ではドアの開閉、戦闘中の敵、魔法や武器の射出などにアニメーション演出が追加されましたが、これらのテンポがものすごく似ていました。
システム面では、スタミナや重量制限が導入していること、本格的なスキル制の導入、肉弾戦時の「振る」「突く」などのコマンド選択、街に帰らせず「休憩」でのみ回復、後からのメンバー入れ変え不可、移動に左右平行移動の追加など本作から追加された仕様の多くがダンマスに存在していたものでした。しかしだからと言って、BCFはダンマスのパクリだ!などという気は全くありません。少なからず影響は受けたかもしれませんが、BCFとダンマスの類似点は、他のゲームにだって似たものがあったので、なにもダンマスの専売特許というわけでもありませんしね。
何か画期的な作品が世の中に登場して人気を博すと、それに影響を受けた似た作品が他社から登場するのはこの業界の常ですし、私はそういうのもアリだと思います。しかし個人的に許せないのは、影響を受けた作品を越えるものを創ろうという気概が感じられず、ただ人気作品のガワだけ似せた”劣化品”を作るメーカーですから。
というわけで、当時の私は「似ているな」とは思ったものの、それを理由に拒否感を持ったという事はありませんでした。
まとめ
ではそろそろまとめに入りましょう。まず今回の記事のテーマだった本作への拒否感についてなのですが、振り返ってみると以下の3点に、私は強く拒否感を抱いていたようです。
①舞台がリルガミンでない
②魔法の名前が変わった
③グラフィックが日本向けでない
①と②については、今考えるとこちらの一方的な認識であり”そうでなければいけない”という決まりも無いので、これは私の考えが間違いだったといえるでしょうね。もちろんユーザーとして”こうあって欲しい”という気持ちはあって構わないと思いますが、俺が思うものと違うからコレは駄目だ認められない!と忌避するのでは、やはり世界が広がらないんです。
③について少々言い訳させていただくと、私はウィザードリィ #1をずっとX1版で遊んでいました。当時私はパソコンはファミコンなんかより凄いRPGを遊べるものだと考えていたのですが、ことウィザードリィに関してはファミコン版の羽田健太郎氏によるBGM、そして末弥純氏のモンスターデザインが正直羨ましかったんです。しかし「V」でPC版も遂に羽田健太郎氏によるBGM、そして末弥純氏のモンスターデザインが採用され「いしよっしゃぁぁ!」と歓喜しました。

ところがBCFになってまた”コレ”です。 そりゃ嘆きたくもなる訳ですよw
先ほどBCFはダンマスにグラフィックの面でも似ているという話はしましたが、しかし見比べてみるとグラフィックもあらゆる点でダンマスに劣ってるんですよね。3年も後から発売された作品とは思えない…。まあ当時はこの拒否感を抱いてはいたものの、今改めて触れてみるとこれはこれで”迫力”と”味”があって良いんですが。
ではこの3点を主な理由として、私がこの作品を忌避してきたことは正しかったのか?
それは大間違いでした。
しっかり遊んで見ると解ります。本作は非常に面白いんです。
当時私は本作をプレイしたとき、戦闘がキツくて城の後半から先に進めなくなっていましたたが、これは先に説明した転職を利用する方法を知っていればかなり楽になります。各所の謎も、ノーヒントでキーアイテムを集めるのは非常に苦労するのですが、その為のスキルや魔法を覚えることでこれもかなりカバーできるんです(魔法は情報集めに役立つものもあるので)。
それらのスキルも含め、本作には多くのスキルや魔法の種類があるのですが、その中でも有用なものとなると限られてくるので、そこが解ってくると転職を効率的に繰り返しつつ、有用なスキルを多くのキャラに取得させていく、これによりまたゲーム進行は俄然楽になります。そしてこの転職のルート、それに適切な種族選びを考えるのが非常に楽しいんです。
同じ職業から同じ職業への転職は無理なので間に別の職業を挟む必要があるんですが、それは何が適切なのか?(次の職に転職しやすい能力値のものが良い)、途中の転職ルートを含めて能力値のロスが少ない種族は何か?(種族の基本能力値が転職条件に近いものが良い)。そういうプランを立てて、それを目指して好みのキャラに育成していくのが楽しい。
とはいっても何度も何度もレベル上げをするのは辛いようにも思えるんですが、最初の城であれば敵が繰り返し出るスポットを利用したり、城以降もHPやMPを何度でも回復できる泉がある所を拠点にしたり、中盤の死者の川あたりでは1戦で得られる経験値がグッと増えるので、レベル8、9くらいまでなら割りと楽に繰り返し上げられてしまうんですね。
しかしこれは諸刃の剣でもあり、何でもできる、どんな魔法でも使えるキャラばかりにしてしまうと、逆に簡単すぎてちょっとつまらなくなってしまうんです。なのであえてオールマイティは避けた個性的な育成を目指したり、あるいはちょっと上級者向けですがゲームスタート時に、冒険者の人数を少なくしてオールマイティキャラを育成してみるなんて試みも面白いと思います。

あとまあちょっとしたことではあるんですが、本作はテキストの言い回しも独特で面白いんです。固定的が登場する際にも「○○が現れた!」という単純な説明ではなく、「足元に管のようなものが見える。どうも植物らしい。おっと!腹が減っているらしい!」とか「しかしそれは、地獄からの悪魔猫が現れるまでことだった!」というような、あまり他のRPGでは使われないような直接的でない言い回しが随所で見られます。こういう言葉のセンスは、考えてみれば過去シリーズでも随所にあったもので、なるほどここにちゃんとウィザードリィは残っているのだなと感じることができます。壁に”TREBOR SUX!”って書いてあったときには噴出してしまいましたw
しかし、当然ながら本作にはあまり良くない所も存在します。
まずは全体のテンポの悪さ、移動も戦闘もUIに関してもことごとく遅い。キーを押したのに反応してるんだかが解らなくて、もう一回押すと2回押してしまっていたり、しかも道中には足を踏み外すと一発死するような道もあるためこれは怖い。このテンポの悪さは先に比べたダンマスとも共通するのですが、あちらは常にリアルタイムの対応に迫られるため、テンポの遅さはむしろ助かるのに対し、こちらはリアルタイム性皆無ですからね、これはストレスになります。
またゲーム中一番困ったところは、回復魔法の貧弱さです。過去のシリーズでは、「DIOS」「DIAL」「DIALMA」の順に強い回復魔法を覚えていき、後半になると「MADI」という全回復の魔法を覚えました。しかし本作の回復魔法は「HEAL WOUNDS」のみで、PLを上げることで回復量を増やせるのですが、最大PLで使用しても全回復なんてしません。しかもMP消費量は大きいくせに回復量そのものが信用できないレベルでした。MP消費は高くてもいいから、全回復する魔法がほしかったですね。
魔法に関してもう一つ。本作は最初古城から始まり、メインフィールドを鉱山、ピラミッド、大河、森林などと変えていくのですが、別のフィールドに移動してからも何度か古城に戻ったり、前のフィールドに戻ったりする必要がどうしても出てくるんです。しかし本作には移動に関する魔法が無い(過去シリーズで言う「MALOR」のような)ためこれを全部徒歩で移動しないといけなくてかなり面倒臭い。ポイントを記憶して、そこまで移動できる魔法があったら本当に助かったのになあと思います。
あと細かいことを言わせて貰うと、用済みになったキーアイテムが処分できない(捨てられないし、売ることもできない)というのが地味に嫌でしたね。キーアイテムは大抵軽いので重さ的には苦労しないんですが、後半になるとキーアイテムも増えていくので荷物の枠数を圧迫していくんですよね…。スーファミ版だと処分できるらしいんですけど。
最後に

では最後になりますが、本作は過去のウィザードリィに固執している人は、その違いばかりが気になって素直に遊べないため評価が低かったということもあったでしょう。またそうでない人でも、最初から戦闘でなかなか勝てない、謎がよく解らないなどが原因で先に進めなくなり、途中で投げてしまったということもあるでしょう。しかし本作はそういった壁を越えて、”しくみ”、そして”魅力”が理解できれば非常に遊んでいて楽しい作品になります。
「最初さえ耐えれば面白いゲーム」なんて評価する人もいますしね。
前にも言っていますが、私も本作にもともと良い印象は最初持っておらず、それでもプレイはしましたがなかなか先に進めなくて最結局初の古城から外に出ることもなく投げてしまいました。しかし、転職に関する仕組みなどを把握してから再度遊んでみたところ、その印象はガラリと変わり、なんで当時この面白さに気がつけなかったのかと情けなく思いました。
ゲームに限ったことではありませんが、偏見を捨て相手と真摯に向き合うことで見えてくる”本当の姿”というものがあると思います。しかしゲームするのにソコまでする必要は無いだろ?やりたくないものは避ければ良いじゃん?とも思うのですが、以前紹介した「ウルティマIV」のときも思ったのですが、面倒臭い、解りづらいという感情から来る壁を越えてそのゲームの持っている「楽しさ」を見つけ出したときの感覚というのは、実に格別なものなのです。
もしあの当時、私と同じように偏見をもっていて本作を避けていたり、解らずに行き詰って投げてしまったりした人は、機会があれば”転職システム”を理解したうえで、是非本作に挑戦して欲しいと思います。きっとあの時とは違ったものが見えるのではないでしょうか?とはいえ、パソコン版を今からプレイするとなると環境が難しいんですけどね。
そういえば、つい最近「レトロフリーク」というレトロゲーム互換機が発売されましたね。これを使ってスーパーファミコン版をプレイしてみるというのが一番楽かもしれません。スーパーファミコン版はグラフィックも綺麗になっていますし、重量制限の謎仕様やレスポンスの悪さも修正されているようですから、パソコン版よりは遊びやすくなってるはずです。
では長くなってしまったうえに、纏まりのない記事になってしまいましたが。これにて。
(まあいつもの事かw)
≫EXIT
お疲れ様でした!

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いつもバナークリックや拍手していただいて、誠にありがとうございます!
コメント
私の場合、当時の受け止め方を思い出すと
「マイトアンドマジック」や「ダンジョンマスター」と変わらない見た目になったなー
でした。
>選べる顔のほとんどが致命的に可愛くない(かっこよくない)
ダンマスよりはマシな感じがしたので悪くないと思ってました。
そんな私も「受け入れられない派」でありました^^;
私も受け入れられない派だったなー
グラが微妙だったのと、当時重かったのがある。
Wizはワイヤーフレームでサクサク動くのが良かったのに・・・
迷宮の壁とか移動をリアルにする必要性は、あんま感じませんでしたね。
少しプレイしてすぐ止めちゃったのを覚えています。
それに比べてWiz5はヨカッタヨ・・・。
おひさしぶりです管理人様。江保場狂壱です。
私は未プレイですが、当時ログアウトというT-RPG雑誌で小説が掲載されていました。
著者は竹内誠先生で、MSXマガジンに連載されていたのを、ログアウトで加筆して掲載したそうです。
実は手元に残っていたので確認したのです。
確かに肖像はいまいちですね。なんというかアーケードのガントレットを連想しました。約24年前のゲームですからね。
私はファミコンで1と2をプレイしました。SFCでは5をプレイしましたね。
リルガミンという災厄に魅入られた土地。そこでの冒険は長年のファンにとって何物にも代えがたい故郷だと思います。
だからこそ賛否両論になってしまったのかもしれません。
では。
>MA2さん
そうそうマイト&マジックも3から急に変わりましたよね。
洋ゲー独特のバタ臭いグラフィックは、味ではあるんですけど
当時の日本の若者には、ちょっと受け入れにくいものがありましたw
>トリ頭さん
やはり受け入れられませんでしたかw
そうなんですよね、キーレスポンスが悪くて、そのくせ道から外れると落下死とかするし…。
WIZ5は、PC版なのにちゃんと日本向けにグラフィックが書き直されていたのが
凄く嬉しかったのを覚えています。
>江保場狂壱さん
おはようございますw
ほうほう、小説版なんかあったんですね。あー、でもこの前この作品をamazonで確認してたら、ノベル版みたいなやつを見かけたんで他にも小説でてるのかもしれませんね。
確かに古い作品なんですが、この当時日本では既にアニメ調のキャラクターグラフィックがRPGに登場する作品も多く出ていたので、そういう点で受け入れにくかったと思います。
>何物にも代えがたい故郷
やはり初代Wiz経験者にとっては、そうなんですよねー