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『セイレーン』アニメのような躍動感あふれるアニマルAVG

賢者の塔 24F
No.0071

発売年:1987年
開発元:マイクロキャビン
システム:コマンド選択式AVG
発売機種:PC-88、MSX2など

≫ENTER

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「セイレーン」とは

「セイレーン」は1987年にマイクロキャビンから発売されたコマンド選択式ADVで、マイクロキャビンの代表作とも言える「はーりぃふぉっくす」シリーズと同じ動物を主人公にしたゲームでした。

主人公は”プリル”というトビネズミなのですが、はーりぃふぉっくすシリーズと違い、画像のように人間のようなデザイン(言ってみれば擬人化したもの)になっています。

ちなみに本作が発売された前年の1986年には、擬人化された動物達が主人公のテレビアニメ「メイプルタウン物語」がスタートし人気となりました。本作にはどうみてもそのアニメに出てきたようなキャラクターが何人か登場する事から、この作品の影響を受けていたのかもしれません。

行方不明の妹を助ける物語

ある嵐の夜”ブキミの森”に一つの影が現れる。その影の正体は”魔王パズル”。

翌朝、その森を行方不明の妹”クリス”を探して旅をしているトビネズミの”プリル”が通りかかったのだが、森には動物の姿はなく、かわりに動物の姿をした石像だけが残っている状態であった。

森の大木”モルグ”の話によると、森の動物達は”魔王パズル”の力で石に変えられてしまったのだと言う。

さらにモルグは、魔王パズルはこの森に住んでいた”クリス”という名のトビネズミをさらっていったとも言った。

魔王に妹をさらわれたと知ったプリルは、妹を助け出す為、そして森の動物達を救うために魔王パズルを倒す冒険の旅に出るのだった。

システム

コマンド選択式でゲームを進行

本作のシステムは当時ではもうADVの主流となっていたコマンド選択式で、最初に第一コマンドで”話す”や”見る”などの動詞を選び、その後第二コマンドで動詞の対象となる名詞を選択します。

第一コマンドの種類はゲーム中固定で変わりませんが、第二コマンドは場面やフラグの状態により可変します。

特殊なものとして第一コマンドの中には”その他”というコマンドがあり、その他を選択すると、通常のシーンでは使わないようなコマンド”食べる”や”戦う”などが表示されます。

セーブウサギは気まぐれ

第一コマンドの中の”呼ぶ”は画面上にあるなんらかの対象を呼ぶという意味では無く”セーブうさぎ”というキャラクターを呼ぶ事が出来るコマンドです。

実は本作においてゲームをセーブする為にはこの”セーブウサギ”を呼ぶ必要があるのですが、このウサギ困った事に常にどこでも、どこにでも来てくれるわけでは無く「そんなとこまでいけないよー」だの「今忙しいから後にして」などと理由をつけて断りやがりますw
(まあ呼び出せる条件ってのがあるんですけどね)

パワーアップしたグラフィック

「はーりぃふぉっくす 雪の魔王編」のわずか1年後に発売された本作ですが、グラフィック面ではかなりの進化を遂げていました。

静止画であってもアニメ的な動きの表現がふんだんに使われた躍動感あるグラフィックは非常に質の高いものでしたし、シーンによってはぐりぐり動くようなものではありませんが実際にアニメーションするところもありました。

また場面と場面の移動の間にプリルが跳ねながら移動している画像や、草むらからプリルが草を分けて現れたりするアニメなどが挿入されていて、通常ADVでは味気ない場面移動にもアクセントが付けられていましたね。

さらにBGMも雪の魔王編と比べて格段にパワーアップしていましたし、アニメで使われるようなSEも随所で使用されていてマイクロキャビンの技術の進歩がうかがえる、などと言ったら生意気でしょうかねw

難易度は控えめだけど…?

はーりぃふぉっくすシリーズの頃から他社のADVと比べると難易度は低めでしたが、本作ではコマンド選択式になった事でより難易度は下がっていると思います。

基本的には移動しながら出遭った動物達としっかり話していけば容易に先に進む事は出来るし、はーりぃふぉっくすにあったある場所に行くと絶対ハマっちゃうというようなトラップもありません。

ですがやはりゲームオーバーやハマりは何箇所か存在していました。

その中でも画像の場面で、どうしても溺れ死んでしまい先に進めなかった!と言う人もいたのではないでしょうか?
私もここで何度もゲームオーバーになったのですが、何が悪いのか解らなくて3回ほど最初からやり直しましたw

次シリーズへの布石が?

ちょっとネタバレになりますが、ストーリーの佳境でプリルは人間の男の子と知り合い一緒に冒険する事になります。その男の子の名前は「ラトク」

そうこの後マイクロキャビンの顔と言える作品となる「サーク(1989年)」の主人公と同じ名前の男の子なんです。

この子供の名前を後にサークに転用したのか、もともとサークの企画が決まっていて前振りとして同じ名前の子供を登場させたのかは解りませんが、こういうネタはメーカーのファンとしてはニヤリとできて面白いですよね。
(ちなみにサークのほうにもゲストとしてプリルが登場していました)

まとめ

本作はADVとしては難易度が低く物足りない感じはするものの、ストーリー自体は素晴らしいと言うほどではないにしろ、きちっとまとまっていて1本の短編アニメを観たような感覚を味わえる作品だったと思います。

ただシステム面で一つ言わせてもらうと、はーりぃふぉっくすシリーズでは場所の移動に”カーソルキー”を使用していたのですが、本作では何故か場所移動が”テンキー”に対応しており(ただし4方向)、コマンド選択が”カーソルキー”に対応していました。

このせいでコマンド選択しようとして前や後ろに進んでしまうという誤操作を何度もしてしまいました。まあこれは自分が悪いんですが、今までどおり移動はカーソルキーで良かったんじゃないの?と思ってしまいました。

でも逆に言えばその辺くらいしか文句をいう所は無い(大きく褒めるところも無いとも言えますが)、ADVとしては”良い見本”といえる良作ではないかと思います。

ちなみに画像は本作にゲスト出演した”雪の魔王編”の主人公子ぎつねです。子ぎつねといっても、今じゃ立派な大人になって、あの女の子きつねと一緒に幸せな家庭を営んでいるようですね。微笑ましい限りです。
リア獣爆発しろ。

さて、みなさんはこの作品覚えてましたか?

≫EXIT

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