賢者の塔 72F/No.0248
SF AVG「スターアーサー伝説」三部作のエピソードII。AVGとSTGとの融合、後のアクションAVGような仕掛け。これは「アクティブアドベンチャーゲーム」なのか?
≫ENTER
いらっしゃいませ!
管理人じゃ。
謎の妖精よ。
突然じゃが、アドベンチャーゲームというのは、どんなゲームだと考えるかのう?
そうね、物語を読み解きながらじっくり一手一手コマンドを選択して、謎を解いていく感じかしらね?
では慌しかったり、急かされるという感覚はAVGに感じるかの?
無いわ。さっき言ったようにじっくり構えながらやるゲームって感じよ。どうして?
今回紹介するのは、そういう一面のあるAVGなんじゃ。そして以前紹介した「惑星メフィウス」の続編にあたる作品でもある。
「惑星メフィウス」の紹介記事はこちら!
では入るが良い、賢者の塔72Fじゃ!
本記事を読み進める前に…
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「暗黒星雲」の概要とストーリーなど
基本情報と概要
基本情報
タイトル | スターアーサー伝説II 暗黒星雲 |
シリーズ | スターアーサー伝説 |
ジャンル | コマンド入力式SFアドベンチャーゲーム |
発売年 | 1984年 |
発売/開発 | T&Eソフト |
発売機種 | PC-6001mkII、PC-8801、FM-7など |
前作 | スターアーサー伝説I 惑星メフィウス |
次作 | スターアーサー伝説III テラ4001 |
概要
「スターアーサー伝説II 暗黒星雲(以下、暗黒星雲)」は、1984年2月にT&Eソフトから発売されたコマンド入力式のアドベンチャーゲーム(以下、AVG)で、「スターアーサー伝説シリーズ」の第二作目となる作品だ。
このスターアーサー伝説シリーズは三部作構成で、三作品で主人公「スターアーサー」の一つの大きな冒険譚になっており、本作のストーリーも前作の最後から直接繋がった話になっている。
本作「暗黒星雲」は前作に近いシステムでありながら非常にアクティブに感じるAVGとなっており、ゲーム中に突然始まる擬似3Dシューティングゲームや、後の時代のアクションアドベンチャーを彷彿とさせるような緊迫感溢れるエイリアンからの逃走撃など、革新的な試みが用いられている。
ただ前作で廃した筈の言葉探しによる足止めを、結局復活させてしまうなど考えさせられる部分もあった。
ストーリーと人物紹介
ストーリー
前回までのあらすじ
宇宙歴3826年、銀河連邦は外宇宙からの侵略者ジャミルと交戦中であった。
ジャミルの強大な宇宙艦隊の前に銀河連邦は次々と敗退し、銀河系宇宙の滅亡は時間の問題であった。
戦況の中、惑星シークロンの戦士スターアーサー・ミルパックは、伝説の剣“レイソード“を求めて銀河辺境の商業惑星メフィウスへと向かった。この伝説の剣“レイソード“とは、反物質で構成され、サイコエネルギー等によって、惑星ひとつぐらいは優に破壊できるパワーを発揮するといわれている。
愛機クラプトンIIを操り、惑星メフィウスに降り立ったスターアーサーであるが、すでに惑星メフィウスには、ジャミルが侵入し、”レイソード”を探索していた。しかし、スターアーサーは持ち前の勇気と英知によって、宇宙ピラミッド内でついに”レイソード”を発見した。
プロローグ
”レイソード”を手にしたスターアーサーは、スーパーコンピューター”テス”を備えたクラプトンIIを操り、”レイソード”の秘密を暴くべく、今、漆黒の宇宙空間へと旅立つ。
人物紹介
▼ スターアーサー・ミルパック ▼ その名の通り本シリーズ通しての主人公。 「ジャミル」を倒す為に、本作でははレイソードの真の力を開放する方法を探して旅立つ。 なかなかのイケメンなのだが、本作劇中でその顔が表示されることは無い。 |
▼ ルナ・ユーファンクル ▼ 本作におけるヒロイン枠?といえる人物。 ジャミルに雇われた傭兵だったが、スターアーサーに助けられ仲間になる。 本作において最重要情報を握っているのだが、聞き出せるタイミングが若干シビア。 |
▼ ボブ ▼ 様々な場面でサポートしてくれる頼れる相棒枠。 漂流船にてバラバラになっていたところを、スターアーサーに助けられ仲間になる。 バラバラにされてたり、オイル風呂に入りたいと言ったり、どう見てもC-3P●。 |
▼ 謎の老人 ▼ スターアーサーがレイソードを取りに来るのを2000年も待っていたという老人。 スターアーサーにオリオンへ向かえと道を示すのだが、その正体は全く不明。 |
ヒーローとヒロインに相棒ロボット、そしてヒーローに道を示す謎の老人…
これ完全にスターウォ
それ以上いけない。
シリーズの世界観を広げる役割を担った第2作目
ではここからは、本作「暗黒星雲」の特に大きな特徴二つについて説明して行こう。ただその前に、本作がどういう作品なのかという部分に先に触れておきたい。本作「暗黒星雲」は「スターアーサー伝説」シリーズの第二部として、前作から一気に世界観を広く厚くさせた作品と言えるだろう。
PFキーに割り振られた動詞コマンド
その話に入る前に簡単にシステムについて。
システムは前作とほぼ同じなので詳しい説明は省略するが、変わった部分としては前作では10種類に限定されていた動詞コマンドが、限定ではなくなり従来のAVGの入力式に戻ってしまっている。ただその代わりによく使用するコマンドについては「ファンクションキー(PFキー)」に割り当てられた。ゲーム中の殆どの行動はこのPFキーだけで対応できてしまうので、感覚的には前作と余り変わらない感じでプレイできるだろう。
この動詞コマンドをPFキーに割り当てるやり方も、この辺からよく見かけるようになった手法じゃのう
同じ1984年に発売されたエニックスの「ウイングマン」でも、同様の手法が使われていたわね?
更に増したスペースオペラ感
では本題。前作は主人公スターアーサーが惑星メフィウスに降り立ったところから始まり、惑星上の広大な砂漠にあるピラミッドで目的のレイソードを手に入れて終了した。つまり、ひとつの惑星の中で物語が完結していた訳だ。それに対し本作でのスターアーサーは、冒頭で謎の老人から「オリオンへ向かえ」と言われ、愛機であるクリプトンIIに乗り込んでオリオンを目指すために広大な宇宙へと飛び立つ。
しかしいきなりオリオンに向かっても諸々の事情でゲームを進めることが出来ないため、プレイヤーはクリプトンIIを操縦してこの宇宙の様々な星に任意でワープし、ワープ先の宙域で漂流している宇宙船を探索したり、凶悪なエイリアンに襲われたり、時に現れるジャミル軍の戦闘機とバトルしたりしながら必要なものや情報を集め、最終的にオリオンの「暗黒星雲」にあるジャミルの基地へと向かう事になる。
このように本作は正に宇宙を舞台にしたSF冒険活劇、スペースオペラという感じなのだが、ここで皆さんにお聞きしたい。本作をスペースオペラと言うには、何かが足りなくないだろうか?などと聞いておいて早速答えを言ってしまうが。足りないもの、そうそれは「ヒーロー」の脇を固める「ヒロイン」と「相棒」の存在だ。
脇を固めるヒロインと相棒の登場
前作では協力者こそいたものの、ずっと一人で孤独な冒険を続けていたスターアーサーだが、本作では待望とも言える彼の仲間なってくれるキャラクターが登場する。しかも2人だ。
まず1人目は、ジャミルに金で雇われた女傭兵「ルナ・ユーファンクル」だ。
ある戦闘でスターアーサーが撃墜した戦闘機から射出された脱出カプセルを回収すると、その中にいた彼女は恩に感じてかその後スターアーサーと行動を共にするようになる。彼女はスタイルも良く美人で正にヒロイン役に相応しいキャラクターと言えるのだが、それだけではなくジャミル軍にいただけあって本作での最終目的地に向かうための機密情報を知っているのだ。この超重要な情報を聞き出せないと、ゲームクリアは不可能だろう。
そして2人目は、人型万能サポートロボ「ボブ」だ。
彼はある宙域を漂流している宇宙船の中で、体がバラバラになりエネルギーも尽きた状態で放置されているのだが、スターアーサーが彼を修理してあげる事ができれば、以後行動を共にするようになる。ボブは探索に連れて行く事が可能で、その際には様々な面でスターアーサーのサポートをしてくれる。いやそれどころか彼がいなければ進行が不可能な場面すらあるため、彼はスターアーサーの頼れる相棒ポジション的キャラクターだと言える。
というわけで、前作での1つの狭い惑星内での孤独な冒険という物語から、プレイヤーが自由に宇宙を飛び回れるようにする事で世界観を大きく広げて、さらに主人公の脇を固めるヒロインと相棒を登場させた事で世界観に厚みを与えた。「暗黒星雲」とはそういう作品であったのだ。
映画やゲームなどでも1作目で基礎が作られて、2作目でその基礎をもとに世界観が一気に広がるという展開はあるあるじゃな
それこそスターウォーズとかそんな感じだし、あとエイリアンとかプレデターとか?RPGならドラゴンクエストあたりかしらね?
では次からは、いよいよ本作の大きな特徴について、説明して行こう。
AVGの攻略にSTGの結果が絡むのは是か非か?
本作のジャンルはコマンド入力式のアドベンチャーゲームなのであるが、驚く事に何と本作はゲームが始まるといきなり擬似3Dのシューティングゲーム(STG)が始まってしまうのである。しかも、このSTGの結果はその後のAVGの攻略にも影響するというのだ。果たしてこれはAVGとして是であるのだろうか?非であるのだろうか?
擬似3Dシューティングが遊べるAVG
では是非を問う前に、そのSTGについて説明しよう。
本作ではゲーム開始直後とその後最低でも2回、敵であるジャミル軍の戦闘機が2機、クラプトンⅡを襲撃してくる。そうなると彼らと宇宙空間での戦闘モード(STGモード)が始まるのだ。このSTGモードは、コクピット画面中央のモニタの中で行われる一人称視点の擬似3D STGであり、敵機が遠くに現れ徐々に接近しては通り過ぎるというのを繰り返すので、敵機を画面中央の照準に合わせてミサイルを発射し撃墜するというのが目的だ。
ATARIの「Star Raiders」や、アスキーの「ORION」。わかり易いところではナムコの「スターラスター」みたいなゲームの事じゃな?
クーソーしてから、寝てください。
当然敵機もミサイルを撃ってくるので、それを躱しつつ敵機を撃つ流れになるのだが、正直なところ操作性も反応も今ひとつなうえ、明らかにこちらのミサイルの命中判定もおかしく、相当引きつけてから撃たないと全く当たらないのだ。恐らくだがこのSTGモードはそこまでガチで制作されたものでは無いと思うので、ミニゲーム的な感覚であればまあこんなものかな?と思える内容ではある。しかし、これはそういうものではなかったのだ。
2022年4月にプロジェクトEGGから発売された「ザ・トリロジーズ」に収録されている「暗黒星雲」では、STGモード時にテンキーでの操作が出来なくなっているので注意。
STGモードの結果が本編にも影響?
このSTGモードは敵のミサイルを一発でも受けると即終了となってしまうのだが、そこでゲームオーバーとはならずゲームはAVGの方に戻ってそのまま継続される。従ってつい「STGモードの勝敗はゲームに影響無いんだな」などと思ってしまうのだがそれが酷い落とし穴なのだ。と言うのも、先程最低でも3回はSTGモードが発生すると説明したが、そのうちある1回の戦闘だけは勝って終わらないと最終的にゲームがクリアできないのである。
そこで沸く疑問が、AVGを遊びたくてこの「暗黒星雲」という作品を手にしたユーザーは、果たしてSTGで遊びたいユーザーだったのだろうか?という疑問だ。一括りに「ゲーマー」と言っても好きな、あるいは得意なジャンルは皆んな違う筈だ。AVGが得意だからとこの作品を手にしたユーザーが、もしSTGが苦手あるいは嫌いだったら?しかもその結果次第ではAVGがクリアできないとしたら?果たして納得できるだろうか。
一応練習用にSTGモードだけを遊ぶ機能もあったようだがそう言う問題ではないだろう。AVGというジャンルの中に全く違うジャンルのゲームを入れ、しかもそれをAVGの攻略の一部にしてしまう。これは果たして是なのか非なのか、皆さんはどう考えるだろうか?
90年代のAVG(エロゲ含む)には特に、こういうミニゲームがクリアできないと進めないというような、露骨な足止めをする作品は多かった印象じゃ
あー、あなた昔からアクションゲーム得意じゃ無いものね…
暗黒星雲は「クロックタワー」のご先祖様か?
さてこれを読んでいる皆さんは「クロックタワー」というゲーム作品をご存知だろうか?なぜその作品名がいきなり出てきたのかというと、筆者はこの暗黒星雲のある場面をプレイしていた時に、ふとこれはもしかしたらクロックタワーのご先祖様的なものなのではないか?と思い至ったからである。
「クロックタワー」について
では何故そう思ったのかの前に、まず「クロックタワー」という作品について簡単に説明しよう。クロックタワーは1995年にヒューマンからスーパーファミコン用アクションホラーアドベンチャーとして発売された作品である。
孤児院からバロウズ邸に引き取られる事になったジェニファー達4人の孤児が、シザーマンという怪人が引き起こす猟奇殺人に巻き込まれるという物語で、プレイヤーはジェニファーとなって、バロウズ邸内の様々な場所をポイントアンドクリック方式で移動したり探索したりしながら事件の真相を探って行くのだが、決まった場所やランダムなタイミングでシザーマンが現れ、ジェニファーを殺そうと追いかけて始めるのだ。
このシザーマンから逃げずにモタモタしていると殺されてしまうし、か弱いジェニファーにはシザーマンを撃退する術がないのでひたすら逃げるしか無いのだが、シザーマンはしつこく追いかけてくる。彼から逃れるにはどこかに隠れるか、追いかけてくる特性を利用して罠に嵌めるしか無い。果たしてジェニファーはシザーマンの魔の手から逃れ、無事生き延びる事ができるのだろうか?というのがクロックタワーの雑な概要だ。
ではこのクロックタワーの話は一旦置いておいて、本作「暗黒星雲」の話に戻そう。
宇宙船の暗闇に現れる恐ろしき眼光
本作にてある宙域を航行中にスターアーサーは漂流している大型の宇宙船を見つけて探索を始める。暫く船内を移動したり調べたりしていると、あるタイミングで部屋の入り口の暗闇のなかに不気味な眼光が現れるのだが、これはこの宇宙船を住処にしているエイリアンの眼光だ。この目が表示されてしまったら45秒以内に部屋を脱出するか、何らかの処置を行わないと問答無用でエイリアンに食い殺されてゲームオーバーとなってしまうのである。
本作ではクリプトンIIから外に探索に出る前に持って行くアイテムを自由に選べるのだが、ここで例えレーザーガンやレイソードを持って行ったとしてもエイリアンには通用しない。従って基本逃げるしか方法はないのだが、逃げてもエイリアンはスターアーサーをずっと追いかけてくる。ちなみにクリプトンIIまで逃げて宇宙船を脱出!なんて事をしても、よくあるホラー映画のような結末になってゲームオーバーだ。ではどうすれば良いのか?
いやちょっと待って!レイソードってなんか凄いパワーを持った剣なんでしょ?なんでそれがエイリアンに通用しないの?
恐らく「真の力」が発揮できてないから、現時点では「なまくら」みたいなもんなんじゃろな
エイリアンの対処法。それはSF作品ではお馴染みのあの装置が鍵だ。漂流していた宇宙船だが、幸いな事にこの船の中にはその装置が壊れずに残っているのだ。そこで、エイリアンがずっとスターアーサーを追ってくる性質を利用して、この装置に誘い込んで罠に嵌めて仕舞えば良いのである。ここまで追いかけられた恨みとばかりに、是非ハリウッド映画ばりの決め台詞を言いながら起動スイッチを押してやろう!
Smile you son of a bitch!
2つの作品にある共通点
如何だっただろうか?
探索していると突然現れる謎の怪物、そいつには主人公の力では歯が立たない。しかもモタモタしていると殺されてしまうので兎に角逃げるしかないのだが、怪物はしつこく主人公を追跡し続けてくる。追跡から逃れる打開策は、その性質を利用して誘い込んで罠に嵌めるのだ。と、どうだろう?この二つのゲーム、非常に類似する点が多いと感じないだろうか?
ちなみに早く部屋を出たいのに、システム面の問題でうまく外に出られずにもどかしい思いをしたり、問題解決から現実逃避して乗り物で脱出しようとすると酷い結末になる点などもよく似ている。こう言った意味でも、本作「暗黒星雲」は「クロックタワー」の先祖に当たる作品なのではないかと個人的には考え(妄想し)ている。だが勿論これは「パクリ」とかいうレベルの話をしているのではない。
筆者はこう言う話をする度に説明していると思うのだが、ゲーム作品というのは互いに影響を与え、そして影響受けてどんどん進化し成長していったコンテンツだ。だから似ている作品が存在するのも当たり前の話で、そう言う事ではなくもしかしたら昔のこの作品からあの作品は影響を受けていたのかもしれない、そう言う歴史や系譜を感じるられるのがクラシックゲームと言うものを知る楽しさなのだ。
少なくとも私にとっては。
まあ、クロックタワーを作った人達は実際「暗黒星雲?なにそれ?」って反応なのかもしれないけどね?
まあ、十中八九そうじゃろうなw
暗黒星雲から思い至った事【今回の着地点】
"アクティブ"なアドベンチャーゲーム
本作「暗黒星雲」を制作したT&Eソフトは、同年末に「ハイドライド」という作品を発売している。ハイドライドはアクションゲームとロールプレイングゲームという別々のジャンルを融合させた全く新しい内容のもので、そのジャンルは「アクティブロールプレイングゲーム」と名付けられた。(ただ世間一般では最終的に「アクションロールプレイングゲーム」というジャンル名に落ち着いた。)
さて話を本作に戻してこの暗黒星雲という作品も、アドベンチャーゲームにシューティングゲームという別のジャンルが融合されていたり、後の「クロックタワー」のようなアクションアドベンチャーゲームの先祖みたいな部分が組み込まれていた。筆者はこの時代に、これほどアクティブだったAVGを他に知らない。それ故に、この作品はもしかしたら「アクティブアドベンチャーゲーム」と呼ばれるべき作品だったのではないだろうか?今回この作品に触れてみて、筆者はそう思うに至ったのである。
でもハイドライドほどジャンルは融合されてないんじゃない?別々のジャンルが同居してるだけというか…X1twinみたいな?
凄い例えじゃのー。確かにそうなんじゃが、ただSTGでの結果がAVGに影響を与えているのだから、これは融合と捉えても良いと思うんじゃよ
皆さんはどう考えるだろうか?
超えられなかった”言葉探し”の壁【最後に】
では最後に、本作において筆者が抱いたどうしてそうしてしまったのだろうか?という疑問に対して自分なりの回答を述べさせてもらって終わろうと思う。
抱いた疑問
前作「惑星メフィウス」では、使用できる動詞コマンドは10種類だけに限定されいた。それは当時のAVGのゲーム性が、"言葉探し"の積み重ねでしかない事に疲れていたユーザーへの配慮だと筆者は理解していた。一方本作「暗黒星雲」ではその動詞コマンドの限定を廃し、従来のAVGと同様なものに戻した上でよく使う動詞をPFキーに割り当てる、という仕様に変更されていた。
PFキーについては、本作中盤くらいまでなら割り当てられている動詞だけでゲームを進める事が可能なので、前作と同じように限定されたコマンドという感覚でプレイできる。だがしかし中盤以降は、PFキーには無い(つまりプレイヤーが考えて手入力する)動詞コマンドでなければゲームを殆ど進められなくなっており、しかも中には思いつくのも難解なコマンドが必要になる場面もある。
つまり本作は結局以前のAVGのような、”言葉探し”の積み重ねゲームに戻ってしまっていたのだ。では何故そうなってしまったのだろうか?こうなってしまった理由は、本作には前作の砂漠のようなあからさまな足止め措置が無かった事にある、と筆者は考える。
疑問への回答
これはあくまで筆者の想像でしか無いのだが前作発売後のプレイヤーから、このような不満と意見があったのでは無いだろか?1つはあからさまな尺稼ぎの砂漠はもう嫌だという不満、そして1つはやっぱり難しいけど“言葉探し"はAVGの醍醐味だという意見。つまり前作で言葉探しという尺稼ぎを廃した結果が砂漠という尺稼ぎだったのだが、それがユーザーから不評だったので、従来のAVGの形に戻したのではないだろうか。
当時の容量の問題もあるので尺稼ぎは必ずしも悪では無い。その上でどうしても尺稼ぎを入れなければならないとしたら、砂漠の中で塩の粒を探すような作業を強いる事より、言葉探しに頭を使わさせる事の方がよりアドベンチャーゲームらしい尺稼ぎというものでは無いのか、要はそういう判断だ。実際に本作は言葉探しの難易度も高く、十分に尺稼ぎはできていたように思う。
ただ、それだけでは本当に従来のAVGと同じでしか無く、進歩というものがない。そこでこれまでに説明してきたSTGモードや、アクションAVGのような要素を導入したりする事で、言葉探しだけでの尺稼ぎで無くした、つまりユーザーに尺稼ぎと感じられる部分を散らしたのでは無いだろうか。重ねていうが、これは筆者の勝手な想像でしかない、ただ少なくとも筆者はこの「暗黒星雲」という作品をプレイしてそう感じたのである。
さて、この「スターアーサー伝説」シリーズも残るは「テラ4001」を残すのみである。次はどんな仕掛けを取り入れているのか?非常に楽しみだ。と言ったところで、今回の「暗黒星雲」の紹介を終わりたいと思う。
「暗黒星雲」で遊びたくなったら?
もし今回の記事を読んで「惑星メフィウスに触れてみたい」とか、「惑星メフィウスをまた遊んでみたい」と思った方は、以下のサイトを参考にして欲しい。
パソコン版
PC-6001mkII版
FM-7版
レトロゲーム配信サイト「ProjectEGG」にて現在配信中。対応機種が版Win10より古いものになっていますので購入については自己責任でお願いします。
参照用に使用したソフト
AX-5 オリオン(PC-6001版)
クロックタワー(スーパーファミコン版)
ハイドライド(PC-8801版)
こちらもレトロゲーム配信サイト「ProjectEGG」にて現在配信中。一部対応機種が版Win10より古いものになっていますので購入については自己責任でお願いします。
≫EXIT
お疲れ様でした!
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コメント
>AVGの攻略にSTGの結果が絡むのは是か非か?
私がプレイしたAVGでは「スナッチャー」とか「久遠の絆」でも
STG(ガンシューティング)っぽいのがありましたけど、あれは
いわゆるミニゲームで難易度もたいしたことなく、何回かやれば
クリア出来て問題は無かったのですが…
Xak(サーク)というアクションRPGで、いきなりSTG(ドラゴンに
のって飛行しながら敵を撃って中BOSSを倒すステージ)になって、
何度やってもボスキャラが倒せず、弟に泣きついてクリアした…
なんてことがありましたね。
(他の人にとっては)難易度はたいしたことないのかもしれないけど、
STG苦手な私にはああいうのはちょっと勘弁して欲しかったな
(弟が居なかったら詰んでいた…って笑い事じゃないしw)
ゲーム内にジャンルの違うタイプの要素を入れるなら、クリアとは
無関係な部分に留めておいてほしいと私は思います
>>1
>「スナッチャー」とか「久遠の絆」
久遠のほうはわかりませんが、スナッチャーは敵が出てきた位置のテンキーを押すものでしたから、まあモグラ叩きレベルので仰るように練習すればまあできるものではありましたね。
>Xak(サーク)というアクションRPG
ありましたねー、いきなりドラゴンスピリッツ始まっちゃう奴。あれ縦シューなのに画面が横長だから凄く見えにくいんですよね…
>STG苦手な私にはああいうのはちょっと勘弁
全く同じ気持ちです。男ならAVGひとつで勝負せんかい!って言いたくなりますよね。そういえばスナッチャーで思い出しましたが、ポリスノーツのSTGでも勝てなくて苦労したトラウマが…w
>AVG攻略にSTGの結果を加味すること…
これは「宇宙戦争(第6章は1983年公開)」の人気に当て込んで…すみません。失言でした。
レビューの中でも触れていますが、アクティブなアドベンチャーゲームを模索していたのと、T&ESOFTさんはフレームワーク3Dの技術を持っていたこともあり、何かに転用できるのでは、と考えていたのかもしれないですね。
>ミニゲーム(?)の結果では、ゲームーオーバーか、クリア不可か…
AVG中でのミニゲームを思い出してみます。
・ペンギンビレッジ(ポニカ:FM-7)
→DrSLUMPを原作としたAVG。道のりを教えてもらうのにゴルフゲームをする必要がある(勝っても負けても話は進む)。
・機動戦士ガンダムI(ラポート:FM-7)
→ファーストガンダム(1~2話?)をAVGにしたもの。4部構成になっていて、2部と4部とで疑似アクションゲームが待っている。ザクに負ける≒アムロ死亡なので、ゲーム終了。
・ウィングマン(エニックス:)
→ウィングマンを原作としてAVG。戦闘モードをクリアしないと先に進めない。個人的にはウィングマン2キータクラの復活の戦闘モードが良い。
・BEYOND~黒大将にみられてる(シルキーズ:PC98)
→キャラの攻略ルートでマウスを使ったアクションゲームが存在する。クリアしないとエンディングまでいけない。エロシーンはほぼ終了している終盤なので、問題はないとの意見もある。
シナリオだけでは味わえない「緊迫感」のような演出をしたいので、設けているのでしょうか。タイトルは忘れましたが、何かの推理AVGでアクション格闘パートがあって、勝つと助けた女性に見初められ、負けると助けてくれた女性(前述同一人物)の母性本能をくすぐるといったストーリー展開なるのもありました。
これぐらいがちょうどいいのかもしれません。
>>3
>「宇宙戦争」の人気に当て込んで…
でもまあSF華やかなりし時代でしたから、あながち影響が無いとは言い切れないかもですw
>何かに転用できるのではと考えていた
それは確かにあるのかもしれませんね。エニックスの軽井沢誘拐案内で、プロトタイプドラクエやってたのもありますし。スターアーサー以外の作品に活かすつもりだったのかも。
>ウィングマン
1とスペシャルは画面下の狭い空間で、2は画面全体使ってのアクションゲームでしたね。個人的には私も2の戦闘が好きでしたね。デルタエンドがかっこいい。しかも喋るしw
>シナリオだけでは味わえない「緊迫感」
そうですね、作品のテーマとしてSF冒険活劇があるので、やはり物語だけでなく戦闘での緊迫感を演出したかったのかもしれません。もしかしてもしかしてたら、スターアーサーが敵と剣で戦うアクションゲームも含まれていた可能性も…。そして戦っている敵が父親という展開も…w
>>4
>敵が親父…
敵の大将(ジャミルでしたっけ?)が、生き別れた兄貴(双子ならなお良い)というシチュエーションも捨てがたい!
>>5
そんなバルムンク=フェザリオンとアイザック=シュナイダーみたいな展開が!w